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2013/04/08 09:45

 

きっと何か変わる!! radioDTMの記念イベント最終日——OTOTOY最速レポ

 

4月7日、この日は前日の嵐から一転、雲一つない快晴と、初夏を感じさせるような陽気に包まれた。どこかピクニックにでも出かけたくなるような気分の日曜日であるが、新宿・歌舞伎町の地下にあるライヴ・ハウス、新宿LOFTへと向かった。この日は、先週から2週に渡って行われている、ポッドキャスト番組「radioDTM」の配信200回を祝したイベントの最終日である。

筆者が乗っていた電車が強風のため、まさかの遅延。LOFTに着いた頃には、1番手オワリカラのライヴは終わっていた。このライヴの様子をradioDTMパーソナリティの社長に聞くと、1番手にしてピークが来たと思わせるほどの盛り上がりだったとのこと。無念、見たかった…。というわけで、バー・ステージで行われていた東京真空地帯のライヴから参加した。

戦隊もののヒーローと悪役が入り混じったような仮面を全員が被りながら、色とりどりの照明が飛び交うステージで演奏する東京真空地帯。バー・ステージ前は完全にダンス・フロアと化している。また、彼らはステージ上で瓦を割るパフォーマンスを見せ、客席のテンションは早くも最高潮に達した。

続いては、メイン・ステージでのヤーチャイカのライヴ。ニシハラシュンペイ(Vo、Gt)は、「バンドのことを応援してくれる社長だから、僕たちもradioDTMを応援してます。これからもよろしくお願いします」と、radioDTMへの信頼を口にした。なお、この日も、これまでの3日間と同じように、バー・ステージとメイン・ステージで交互にライヴが行われた。

続いて登場したのは、笹口騒音ハーモニカ。「アメリカから来たカート・コバーンです」という自己紹介で、客席の心を掴む。彼は、この時すでにアルコールが入っていたのか、いつも以上に饒舌で、会場は笑顔に包まれた。笹口はこの後、太平洋不知火楽団として再びステージに登場する。そして、Lighter190E、テツコと女性ヴォーカルのバンドが続く。Lighter190Eはしっとりと聴かせ、テツコはキュートな世界観を作り上げた。

イベントは中盤に入り、クウチュウ戦のライヴが始まる。目まぐるしく展開が変わるプログレッシブな曲を披露すると、客席はその演奏に見入った。次の壊れかけのテープレコーダーズは、演奏開始と同時にコモリキヨタカ(Vo、Gt)が「ロフトー!!! 」と高らかにシャウト。満員の客席を前に、熱い演奏を披露する。

そして、このイベントの中で最も注目すべきアクトの一つである、太平洋不知火楽団の登場である。2012年10月1日の無期限活動休止から半年、まさかこうしてもう一度ライヴを見られる日が来るとは。ファンには聴き馴染みのありすぎるSE「柳川下り」が流れると、大内ライダー(Ba)が登場し、華麗に変身ポーズを決める。その後、津金(Dr)、笹口(Vo、Gt)がステージに揃うと、「たとえば僕が売れたら」からライヴはスタートした。太平洋の演奏に飢えていた客席は、絶叫で応える。「よいまち」では、大内ライダーが客席へと飛び降り、そのまま場内を駆け巡りながら演奏した。最後の「Dancing Hell」では、感極まった観客によるダイブの嵐。演奏が終わると、この復活劇に終止符を打つかのように、大内ライダーがベースを破壊し、無惨にもネックが切断された。それに同調するかのように、笹口はギターの弦を引きちぎり、津金はドラム・スティックを客席に投げてライヴは終了。客席から沸きあがる拍手と歓声も虚しく、太平洋不知火楽団は再び長い眠りについた。笹口はMCで、お世話になったradioDTMのイベントだからこそ、こうして再びステージに立ったと話していた。また彼らのライヴが見られる日は来るのだろうか。個人的な話ではあるが、今回のステージを見て、いつまでも再開の日を待ち続けようと心に誓った。

太平洋のステージを見て、かなり感傷的になってしまったが、この後ももちろんイベントは進行していく。次のバンド、僕のレテパシーズは、相変わらずのエモーショナルな歌と演奏で、感傷的になった心をさらに抉っていった。気がつけばもう、メイン・ステージは次が最後のアクトである。2ndアルバム『SONGS』をリリースしたばかりの、THE ラブ人間が登場。新譜に収録されている曲のみで構成した攻めのセット・リストで、MCもほとんどない圧巻のステージだった。その後、アンコールに応え再び彼らはステージに登場する。金田康平(Vo、Gt)は「彼らは200回やってるけど、1回1回で全てを出し切って、その積み重ねで200回やってる。300回目でまた」と、radioDTMへの尊敬の念と、再会の言葉を口にした。

そしてついに最後のアクト、4日間に及んだイベントの大トリを任されたテングインベーダーズがバー・ステージに登場すると、中村むつお(Vo、Gt)が「うおおおおおおおお!!!!! 」と雄叫びをあげる。これまでのイベントのエネルギー全てを、巻き込んで吐き出すかのような白熱のステージ。中村は「すごい熱量だわ。4日間こんだけすごい熱量でやってんだ。次はあんたらの番だよ!!」と、息を切らしながら叫ぶ。アンコールでは、社長が中村を肩車すると、そのまま客の頭上になだれ込む。それでも中村はギターを搔き鳴らし続け、最後に高々と腕を挙げると、全てのライヴは終了した。

4日間に及ぶイベントの最終日、やはりその熱量は半端なものではなかった。この圧倒的な熱量を帯びたイベントを総括するに相応しい言葉が見つからないので、ライヴ後の社長の挨拶を引用させていただきたい。この言葉だけでも、充分に彼らの熱量が伝わることだろう。

「今日楽しかったですよね? でもみんなきっと、この楽しさ、感動をどんどん忘れていきます。何かやろうって気持ちもなくなっていきます。そうなって欲しくない。俺は何かを続けるっていうことは、絶対に自分のためだと思ってるし、radioDTMを続けてるのも自分のためです。音楽っていうもので火がついたから、その火を消さないために毎週やってる。今日のライヴを見て、みんな音楽って素晴らしいと思いましたよね。その気持ちを消さないために、毎日音楽を聴いて音楽を愛し続ける、それだけでいいんです。それだけで音楽の力に支えられ続けるし、救われるし、音楽にパワーを与えられる。そうすれば、今日出てたバンドのような素晴らしい音楽が、もっともっと多くの人に届くと思ってます。音楽を聴き続け、見続けて、愛し続ければ、きっと何か変わる。そのエネルギーを自分の心の中にある音楽への炎に向けることで、きっと何かが変わります。僕はそれを、ラジオでやってます」。

今後のradioDTM、そして2年後に開催されるであろう配信300回記念イベントが、今から楽しみである。そう思わせてくれる、素晴らしいイベントだった。

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