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2013/03/30 00:00

 

忘れらんねえよ、ファンの期待を情熱で倍返し! ツアー・ファイナル完全燃焼――OTOTOY最速レポ

 

※4/1 ライヴ写真公開

本当に本当に、素晴らしいライヴだった。激しく、楽しく、最高のステージだった。特に後半の人気曲連発の流れは鳥肌が立つほど興奮させられた。それでも、〈最後の言葉を探している / それが見つかりゃいなくなる〉ライヴ本編ラストに歌われた『この高鳴りをなんと呼ぶ』の一節に堪えきれず涙してしまった。バンドマンという、華やかでありながら刹那的にも思える生き方がこの歌詞に表れているように感じた。情けなくも力強い、馬鹿馬鹿しくも切ない歌の力。忘れらんねえよツアー・ファイナルとなった3月29日金曜日、東京・代官山UNIT。こちらの勝手で過剰な思い入れを遥かに上回る情熱のこもったライヴがそこにはあった。

2013年、最も熱い「オレたち、ワタシたちのクソバンド」忘れらんねえよ。『この高鳴りをなんと呼ぶ』リリース・ツアー〈いけいけ中年かまってちゃん〉ファイナル公演となった代官山UNITには期待がパンパンに膨らんで今にも破裂しそうな空気が充満していた。観客は圧倒的に10代から20代前半の若者が多いようだ。中年はあまり見かけない(笑)。開演前から「忘れらんねえよ」と大きく書かれたTシャツ、タオルを身につけて談笑しているファンの姿が微笑ましい。ボーカル・ギターの柴田のツイッターに寄せられる多数の“SEXジャンプ”画像(もはや写真集が作れそうなレベル!)を見ても、中高生にも忘れらんねえよが支持されていることがわかる。そして、場内を見渡して見ると、結構女子率が高い。なんだ、本当はモテてるんじゃないのか!?と悔しさがこみ上げそうになったそのとき、場内暗転。

共演のグッドモーニングアメリカがいきなり会場後ろから「忘れらんねえよ」を歌いながら観客をかき分けて登場(笑)! 爆笑MCとタイトな演奏、フロア中央がモッシュピットと化す激しいライヴで会場をあたためまくる。最後は冒頭とは打って変わって真摯なMCで対バンに指名してくれた忘れらんねえよに対する感謝を伝えつつバトンを渡す(ちなみに最後の曲でボーカルの柴田が客席上手後方でステージを観ていた)。グッドモーニングアメリカも最高に熱いバンドだ。

数分後、大歓声に迎えられてボーカル柴田、ベース梅津、ドラム酒田がステージに上がりサウンド・チェック。柴田の第一声「セックス!」は残念ながらマイクがオフ(笑)。リラックスした様子が今回のツアーが充実したものだったことを伺わせる。バンドが一旦下がり暗転。SEに乗ってメンバー再登場。

「いつもは始まる前は正直ライヴやりたくないと思うんだけど、今日は少し楽しみに思った。あんたたちのおかげだよ!」という柴田のMCから、オープニング曲は、「僕らチェンジザワールド」。「セイエスッ!」いきなりの大合唱で初っ端から盛り上がる!ジャンプする柴田も面白サングラスをかけて登場した梅津もいつもの白いベスト姿の酒田も最高に楽しそうだ。もちろん、ライヴを待ちわびていた満員の観客も楽しそうに飛び跳ねている。あたりまえだが、1月30日に代々木公園でおこなわれた「無観客ライヴ」( http://ototoy.jp/feature/index.php/2013013000 )とは違い、ファンとの熱量の交感が最高に熱い。観客がいるって素晴らしい。観ているこちらも嬉しくなってくる。もちろん、無観客だろうが超満員だろうがバンドはいつも全力だ。

曲は続いて、バンドをやることで失うものがあることを振り切るように歌う「だんだんどんどん」、「中年かまってちゃん」と、シングルのカップリング曲が続く。それにしてもやはり曲が良い。特に「中年かまってちゃん」はその歌詞のインパクトはもちろんのこと、曲調、アレンジともに聴いたらバンドをやりたくなるようなロック・バンドの格好良さが凝縮されている。ライヴでは疾走感が増してさらにゾクゾクさせられた。

続いて「あんたなんだ」からMC。「1曲ごとにサンキューって言ってるんだけど… そういう歌があるんで」と「サンキューアイラブユー世界」へ。そしてここで「バンドワゴンという曲をやらせて下さい!」と新曲が披露された。〈高速道路のその先に / でっかいステージがある / 今は小さくても~〉というサクセスを夢見るバンドの歌。ツアー中にできた曲なのだろうか。柴田のギター1本で始まる曲「ドフトエフスキーを読んだと嘘をついた」。〈俺は / 嘘をつきそうになってしまう / 嘘をつきそうになってしまう〉と目を閉じて叫ぶ柴田の姿は何か己の内なるものと戦っているかのようだ。

「俺はしつこい男なんで、お客さんに媚びを売りたいのでもう1曲新曲をやります」。「馬鹿だ」という曲。 酒田のドラミングがドライブ感を増すイントロが印象的な曲だ。「ボツ曲集に入ってた曲なんだけど(笑)」に観客から笑いが起こる。続くMCではグッドモーニングアメリカ(以下グドモ)の曲「言葉にならない」を絶賛。そして、グドモとの対バンについての想いから、バンドをやっていく想いへと、柴田の口調が徐々に真剣になっていく。「まっすぐにやっていきます。絶対裏切らないから!だからこれからもよろしく。じゃああと残り183曲…」で静まりかえった客席を爆笑させながら、「気持ちをこめて演奏します!」と怒涛の後編戦へ。

「この街には君がいない」で一際盛り上がり、曲が終わるとベースの梅津がボールを客席に投げ、投げ返してもらい傘で廻す芸を披露!しかし何度やっても成功せず、失敗(笑)。続いて曲は「北極星」へ。サビの大合唱が最高にアツい。混沌としてきたステージの上、柴田は「みんなの1番好きな曲やっていいですか!?」と「CからはじまるABC」へ。梅津の印象的なイントロのベースのフレーズがブンブン唸ると、客席からダイブがおこる。ハイテンションでぶっ飛ばした後、曲はスロー・ダウンして「忘れらんねえよ」。バンドのテーマ曲ともいえるこのメロウな曲に客席全体の腕と体が揺れる。

本編最後の曲は、お客さん、スタッフなどへの感謝を述べてからの「この高鳴りをなんと呼ぶ」。大合唱に胸が熱くなる。涙が止まらなかった。2013年のレコード大賞をこの曲に勝手に授与したい。名曲だ。全速力で駆け抜けた13曲を終え、ステージを後にするメンバーたち。しかし1人ステージに残った酒田に「サ・カ・タ! サ・カ・タ!」とコールが起こる!コールに合わせて踊る酒田!こちらの涙はあっという間に引っ込んだ(笑)。

柴田と梅津がステージに戻り、アンコールは新曲、「僕らパンクロックで生きていくんだ(仮タイトル)」。オイ・パンク調のイントロと、〈そうなんだ、きっとそういうことなんだ〉という自己肯定の前向きな歌詞が特徴的な曲だ。そして最後はグドモを呼んで両バンドのメンバー全員で「僕らチェンジザワールド」を再び演奏。「みんなでチェンジザワールド、本当に変わるってことを確信しよう!」という熱い柴田のMCに盛り上がる観客。最後に最高の多幸感が代官山UNITに満ちた、ツアーファイナル大団円。

歌い終えた柴田がスーパードライの缶ビール片手に客席にダイブ(グリーンラベルはもうやめた、とのこと)。そして、両バンドがSEXジャンプで共演!客席に向けての撮影の為、客席にも協力を要請。「普通はファースト・テイクが1番いい」と言う柴田の声に従い、一発撮りを狙うも失敗(笑)!セカンド・テイクが成功して見事ツアーを締めくくった。これからさらに音楽シーンを席捲するであろうバンド、忘れらんねえよ。次は、是非是非、あなたにも観てもらいたい。(岡本貴之)

〈『この高鳴りをなんと呼ぶ』リリースツアー「いけいけ中年かまってちゃん」ファイナル〉
2013年3月29日(金) 代官山UNIT

〈セットリスト〉

1. 僕らチェンジザワールド
2. だんだんどんどん
3. 中年かまってちゃん
4. あんたなんだ
MC
5. サンキューアイラブユー世界
6. バンドワゴン(新曲)
7. ドフトエフスキーを読んだと嘘をついた
8. 馬鹿だ(新曲)
MC
9. この街には君がいない
10. 北極星
11. CからはじまるABC
12. 忘れらんねえよ
13. この高鳴りをなんと呼ぶ
アンコール
14. 僕らパンクロックで生きていくんだ(※仮タイトル 新曲)
15. 僕らチェンジザワールド(グッドモーニングアメリカと共演)

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