どんなに新人でも、母になっても──タフな乙女のアパートメント〈花とポップス〉連載、第1回座談会

"タフな乙女のアパートメント"を掲げ、フリーランスの女性クリエイターが集まる、つるうちはな主宰のレーベル〈花とポップス〉が4ヶ月連続、計10タイトルをリリースすることとなった。幕開けは8月31日。「モナレコ女子2015」で準グランプリを獲得し実力を伸ばすシンガー・ソングライター"あーた"の2ndミニ・アルバムと、そんな彼女に憧れてアコギ弾き語りを始め早くもその才能を開花しようとしている札幌在住の"はかまたりの"の初作品。それに続いて9月28日にリリースとなったのが、大人気の音楽ゲームアプリ「Cytus」、「Deemo」で楽曲が使用され、その歌声に海外からも注目を集めた青柳舞と、現在4児の母となり10年ぶりに作品をリリースする元junior size、sinkirowとしても活動していたイナダミホ。〈花とポップス〉という場に集まった彼女たちは、いまここでどのような表現をするのか。主宰のつるうち含む4人に話を訊いた。

〈花とポップス〉9月リリース作品

妊娠を機に活動休止を発表した青柳舞が復帰を誓う約束のEP

青柳舞 / これを愛と呼ぼう

【Track List】
01. これを愛と呼ぼう
02. ラーテル[2016mix ver.]
03. ハレノヒ[2016mix ver.]
04. SeeYou.

【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC / MP3
単曲 200円(税込) / アルバム 800円(税込)

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元 junior sizeのイナダミホが送る「愛を引き連れて生きていく歌」

イナダミホ / ポップネス

【Track List】
01. いいこと
02. テレビスタ
03. トーキョー
04. 傘はいらない
05. オルゴール

【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC / MP3
単曲 257円(税込) / アルバム 1,000円(税込)

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INTERVIEW : つるうちはな、あーた、イナダミホ、青柳舞

2016年8月、花とポップスから「4ヶ月連続10タイトル・リリース」という一大プロジェクトが発表された。本企画に際してレーベル主宰のつるうちはな、そして8-9月にアルバムをリリースしたあーた・イナダミホ・青柳舞の鼎談を行った。葛藤から抜け出し在るがままの自分を見出し始めたあーた、4児の母でありながら音楽を続けていく決意を固めたイナダミホ、リリース決定直後に妊娠が分かり近々母親になる青柳舞――という三者三様の目線から、つるうちはなとの出会い、花とポップスというレーベル、そして女性SSWの音楽活動について、深く語ってもらった。花のように美しくしなやかで、ポップスのように悲しみも喜びも内包する、そんなタフな乙女のアパートメント・花とポップス。彼女たちのありのままの思いを、とくとご覧あれ。

インタヴュー : 竹島絵奈
写真 : マイクサカスミ

やっぱり女の人って比べられながら生きてきている。だから「みんな仲間だ!」なんてなかなか思えない

──まずは青柳さん、イナダさんが花とポップスに参加されるまでの経緯をお伺いしたいです。

イナダミホ(以下、イナダ) : 元々対バンを通してつるうちはなちゃんとは面識があって。最初の方はちょろっと挨拶するだけだったんですが、私が一人目の子どもを産んでから(注・イナダさんは現在4児母)のライヴで出会いなおした時に、すごく分かり合える感覚があって。『ポップネス』のリード曲に「いいこと」っていう歌があるんですけど、それをはなちゃんがいいって言ってくれたんです。私は子供が4人もいてライヴもあまりやれず、ほとんど引退って言われてしまうような状況だったんですけど、それでもリリースしようって言ってくれて。

イナダミホ

──はなさんから見てイナダさんはどのような印象でしたか?

つるうちはな(以下、つるうち) : かつてイナダさんはsinkirowっていう女の子の2ピース・バンドをやっていて、すごくいいなって思ってました。でもその時期、私たちはどっちも20代で。20代の女性シンガー・ソング・ライターって特有のプライド感があるんですよ。

イナダ : あるあるある…(笑)。

つるうち : やっぱり女の人って比べられながら生きてきている。幼稚園の時からそうじゃないですか。「あの子の方がかわいい」とか「あの子の方がモテる」とか。音楽の世界も当然そうなんです。だから、業界のおじさんから「もうちょっと可愛かったら売れたのに…」とか当たり前に差別的なことを言われることに対して慣れちゃって、ちょっと擦れてるんです。だから「みんな仲間だ!」なんてなかなか思えないし、才能があるやつほど嫉妬心で距離を置いてみちゃう。

青柳舞(以下、青柳) : あーわかるー!

──女性SSWあるあるなんですね。

つるうち : 最初はそういう感じだったんですけど、ミホちゃんのお子さんが生まれたタイミングっていうのがちょうど私も30歳になっていて、いいと思った人と仲良くした方がいいに決まってるじゃん、というシンプルなところに帰ってきた時に出会い直して。

──お互い角が取れたタイミングで再会したわけですね。

つるうち : うん、青柳さんとの出会いもそうですね。

青柳 : 私7〜8年前はバンドで活動してたんですよ。はなちゃんのライヴも見たことがあったのでずっと知っていたんですけど、それこそ私も当時、はなちゃんをかっこいいなとは思っていたけど話しかけられなくて(笑)。若い時は少し距離を置いてたんですよ。でもそれからしばらくして、オガワマユちゃん(花とポップス所属)とはなちゃんのツーマン・ライヴがあって。それを入籍した日に見に行ったんです。

つるうち : そうだ! 入籍した日に来たわ、この人(笑)。「まじでおめでとう!」みたいな(笑)。

青柳舞

──入籍した日に見ようと思ったきっかけはあったんですか?

青柳 : 本当にたまたまです。オガワマユちゃんとは元々仲が良かったので。AC/DCのTシャツを着て観に行きました(笑)。

つるうち : 全然新妻感ねえ! と思って(笑)。

──インパクトがすごいですね(笑)。

青柳 : その日をきっかけに普通にお客さん的視点で注目していたんです。CDも予約しに行って、インストア・ライヴを見て、サインもしてもらって。

つるうち : それがめっちゃ嬉しくて! それこそ20代の私達だったら絶対できないって思いました。

青柳 : 角が取れていたっていうのもあるんでしょうけど、やっぱりいいものはいいので、アーティスト同士だからとか関係ないなって。「花とポップス、すごい楽しそうだな~」と思って眺めていたらはなちゃんが声をかけてくれたんです。

つるうち : インストア・ライヴに来てくれて、顔見た時に直感的に「この人花ポ入ればいいんじゃないかな? 」って思って。基本的に私は自分のことをすごく信用していて。目先の損得とか全く考えないで、直感で決めるんですよ。

──花とポップスのメンバーはその直感の連続、偶発的な出会いの連続っていうことですね。

つるうち : うん、そうですね。

花ポの1番大事なことはそれだもん。まず信頼関係・愛情ありき

── 一方あーたさんは花とポップスの中でも「花とポップスの娘」と呼ばれているそうですが。

あーた : ですね…でも今後はもっと年下の人も入ってくるし…。

一同 : (笑)

イナダ : その座を奪われるからやだって感じだ(笑)。

つるうち : 今、完全に長女の顔になってたよ! 「お姉ちゃんなんだからって言われるんでしょ私」みたいな顔してたよ(笑)!

あーた : (はかまた)りのちゃんが花とポップスに入ってきた時、若干思うところがあって、そこから私、頑張ったんですよ!

──葛藤があったってことですか?

あーた : かなりありましたね…。

つるうち : ちょっとここで8月のリリース組の話に移るんですけど。はかまたりのちゃんは19歳の札幌在住SSWで、あーたのYouTubeの弾き語りを動画を見て「自分も音楽を始める」って言って始めた子なんです。そしたら師弟関係として2人とも8月にリリースしちゃえばいいじゃんって思って。あーたは花ポでは妹分だったけど、自分よりも年下の子が入ってくることによって彼女の精神的な成長が間違いなく見込めると思って。あーたは私の右腕にするって完全に決めていたので、今のうちに早く育ってくれないと困ると思って放り込んじゃったんですよ。


はかまたりの / ぬいぐるみに心があったなら

──敢えて試練を与えたわけですね。

つるうち : そう! あと、お互いの相互作用も期待しました。共通点持たせてあーたのお客さんもりのちゃんのお客さんもどっちもCDが欲しくなるっていう流れを作りたかった。それで見事にいい感じになったわけです。

──あーたさん本人としては苦しい時期もあったってことなんでしょうか。

あーた : めっちゃ苦しかった…。リリースまで本当に時間がなかったので、りのちゃんがいる札幌と東京の橋渡し的な仕事がすごく大変で。はなさんにたくさん弱音を吐きました。

あーた

つるうち : 本当に大変だったんですけど、よかったね。なんとかなってね。花とポップス、毎回トラブルがすごく多くて。なんでこんなことを始めたんだ! ばかじゃないの? って思うこともあったんですよ。でもそこ超えたらむしろ楽になって、もっとみんなを頼ろうと思ったんです。

イナダ : 信頼が大前提にあって、その人たちとものを作れるっていうのがすごい幸せですね。

つるうち : 花ポの1番大事なことはそれだもん。まず信頼関係・愛情ありきで、少しでも今までより売ろうと。でもそれは個人の幸せを犠牲にしてまでやることではないから、個人の幸せはそれぞれ自分で守ってください、っていう。まさに自立ですよね。

──花とポップスのアーティスト各々にその精神が根付いているように思えます。

つるうち : 依存的だったりとか、誰かになんとかしてもらえるっていう人は絶対にうちには寄ってこないし、そもそも私が無理ですね。

▶︎次項 : 新しいレーベルで「現実をよくしていくことをさぼりたくない」 / あーた・青柳舞・イナダミホが"花ポ"から出す歌

PROFILE

花とポップス

〈花とポップス〉は、音楽家・つるうちはなが主催する"タフな乙女のアパートメント"。気の合う女の子たちと共に、音楽・アクセサリー・イラスト・写真・コラム・料理レシピなど、あらゆる表現で、楽しく世界とコミットしてゆきます。

>>〈花とポップス〉 Official HP




つるうちはな

シンガー・ソングライターとして15歳からライヴ活動を開始。現在までにフル・アルバム1枚、ミニ・アルバム3枚、シングル1枚を全国発売している。近年は自身の活動に加え、楽曲提供、トータル・プロデュース、鍵盤サポート、CM歌唱など、幅広い音楽シーンにて活動中。2015年9月11日、3年ぶりとなるニュー・シングル『あいゆうえにい』をリリース。

>>つるうちはな Official HP




あーた

調布出身のシンガー・ソングライター。2013年7月より活動開始。2015年11月に開催されたモナレコガールズオーディション「モナレコ女子2015」では準グランプリを獲得。2016年3月には同じくSSW・つるうちはな全面プロデュースの1stミニ・アルバム『あーた』で全国デビューを果たした。唯一無二のガーリーボイス&抜群にポップなメロディ、押し付けない等身大の歌詞、そして愛嬌のあるキャラクターで老若男女問わず幅広い層のファンを持つ。

>>あーた Official HP




青柳舞

心の琴線にふれる言葉を紡ぐピアノ弾き語りシンガー・ソングライター。

12歳から音大入学まで続けた打楽器の影響が感じられるリズミカルなピアノのプレイスタイルと耳に残るメロディ、釣られて笑ってしまうファニーな笑顔とキャラクターが特徴。

2012年10月17日、1stフル・アルバム『Life is Beautiful』全国リリース。インディーズでは異例の総勢25名のミュージシャンが参加した大作となっている。2014年7月より全世界でトータル1000万ダウンロードを超える人気の音楽ゲームアプリ「Cytus」「Deemo」に楽曲が採用。海外から多くの反応を得る。

FMラジオ・パーソナリティ、ミュージカル・ユニットでの映画出演と台湾ライブ、他アーティストのコーラス・鍵盤サポート等活動は多岐にわたる。

2016年9月28日、花とポップスより3rd EP『これを愛と呼ぼう』全国リリース。

>>青柳舞 Official HP




イナダミホ

指揮者と声楽家の間に生まれ、ピアノ弾き語りの好きな子供に育つ。19歳のころ、原宿の路上で「あなたに歌つくります」と看板をかかげ、のべ500人にプレゼントする。その活動が各メディアに取り上げられたのがきっかけとなり、ホリプロと契約。本格的な活動を「junior size」としてはじめる。シングル4枚アルバム2枚を制作。ラジオのDJ、音楽番組のVJ、CM音楽やナレーションなどを担当し、映画「問題のない私たちに」に「青いナイフ」が起用されるなど、活動の幅を拡げた。後に「稲田光穂」と本名で活動。アルバム『呼吸』をリリース。収録曲の「花」は有線のチャートイン。

25歳、Dr.オオツカサキと女子だけのユニット、sinkirowを結成し、ピアノドラムだけのシンプルな編成ながら、他の楽器を必要としない熱量の高さでライヴを展開していく。現在は4人の子供を育てながら着実にライブを行い、10年ぶりのミニ・アルバム『ポップネス』をリリース。

>>イナダミホ Official HP