こういうくだらなさを前面に押し出した感じ、嫌いじゃない

新手のポエトリー・リーディングである。何が新手って、これといった重要なメッセージが隠れていないこと。パーティの様子を淡々と述べる「面白いパーティ」や、工場の流れ作業の様子も淡々と述べた「スキルアップ」を筆頭に、変に具体的で何一つ核心が掴めないし、歌っている内容は正直どうでもいい。しかしながら耳に残るワード・センスばかり揃っているものだから、ついつい聞き入ってしまう。サイトでいえばデイリーポータルZや虚構新聞、観光先でいえば熱海秘宝館のような、とてつもないB級感が漂う。とはいっても誰にも分らないマイナーなネタでオナニーしているのではなく、日常という共通項の中で漏れてしまった心の声がつづられているので、なんとなく理解できるしニヤニヤできる。

そんなリリックをタイトで無駄のないサウンドが支える。ソリッドなカッティング、地に足ついたベースは明快だけど時にサイケ。それは上京しておきながら東京に反骨精神を持ち、それを尖ったサウンドという形で表現していった90年代後半~00年代初頭の閉塞感、すなわちスパルタローカルズやナンバーガールらの時代を思わせる。それが2014年に降臨しちゃったのは、近年のゆるゆるとした音楽シーンへのアイロニーかもしれないけど、特に意味はないと思う。またDAFやYOLZ IN THE SKYを目標のバンドとして挙げていることから、ニューウェーヴに影響を受けつつ、パンクっぽくメッセージ性を前面に打ち出す方針なのだろう。でも彼らの場合、”メッセージ性がないこと”がメッセージなのだと思う。

こういうくだらなさを前面に押し出した感じ、嫌いじゃない。むしろ大好物だ。数ある東京インディ・バンドの中でも飛びぬけて何も言いたくないバンド。こんな彼らの音楽をずっと聴いていたら、スキルアップというか、ご利益ありそうじゃない? 友達は増えてかわいい彼女ができて新婚旅行はハワイにいけそうだよね。(Text by 梶原綾乃)