2012/06/17 00:00

フランス版ジャック・ジョンソン? 異色の経歴を持つSSW登場

セネガル生まれ、フランス育ちのシンガーソングライター、トム・フラジェ。サーフィン大会で数々の受賞歴を誇るプロ・サーファーとしても活躍する彼のセカンド・アルバム『Better Days』の国内版が到着。アフリカン・ルーツが生み出す独特のレゲエ・オリエンテッドなリズム。サーフィン大会の旅先で描き出すポップかつメロウなメロディー。通常のアメリカン・ポップスとは一味違う、 ヨーロピアンならではの憂いとエレガンスを秘めた、究極のフレンチ・サーフ・ミュージック&オーガニック・ サウンドをお届けします。

Tom Frager / Better Days

1. Lady Melody / 2. Home / 3. Give Me That Love (Version franc?aise) / 4. Birds Ask for You / 5. Alice / 6. Fall / 7. You Will Be / 8. Me?me si je sais / 9. Better Days / 10. Gwadinina / 11. Libre et le?ger / 12. Je suis pas vraiment jaloux / 13. All I Can Do / 14. Deep In My Heart / 15. Give Me That Love / 16. Lady Melody (Version acoustique) / 17. Miss Gwada

販売形式 : mp3 / wav(ともに2000円)

トム・フラジェ INTERVIEW

本国フランスでの大ブレイクから3年目にして、ついにトム・フラジェがここ日本でもデビューを果たす。

元々はプロ・サーファーとして世界各国を渡り歩き、華やかなキャリアを送っていた彼がミュージシャンとしての活動を始めたのは今から10年前のこと。仲間たちと結成したバンド、Gwayav’とともにサーファー活動の合間を見て作曲を進めていた彼は、2006年に自主リリースしたアルバム『Bloom Inside』の評判を受けて、少しずつ音楽家としての活動を本格化させていった。そして2009年にリリースした2作目『Better Days』は、なんと全仏5位(リード曲「Lady Malody」は全仏1位)という大ヒットを記録し、フラジェは一躍時の人に。そこからの3年間で彼を取り巻く環境は大きく変わったようだ。

「ツアー中の3年間は素晴らしかったよ。いまの僕は100パーセント音楽へのパッションと共に生きていると言い切れるね。元々はプロとしてサーフィンをやることがメインで、音楽は自分をリラックスさせる手段だったんだけど、今はそれが逆になって、音楽をプロとして演奏し、サーフィンはギグやレコーディング・セッションの合間に出来る限りやっているんだ。ただ、僕にとってはそのどちらも欠かせないものだということは変わらないよ。サーフィンと音楽はリンクしているものだからね。実際、音楽とサーフィンをやれる限り、自分は世界中で一番幸せな人間じゃないのかって思えるくらいなんだ。つまり僕は、本当にシンプルな生活、故郷、サーフィンを愛しているし、ショービズとは関係ないところで生きているんだ。“go big, stay small”(大ヒットして、地味に生きるのさ)だね(笑)」

サーフィン文化に密接なミュージシャンということで、しばしばジャック・ジョンソンやジェイソン・ムラーズなどを引き合いに出されるフラジェ。確かにサウンドの特徴からはそういった面々と共通するところも多く見られるが、彼の手による楽曲郡はいわゆるサーフ・ミュージックのイメージをさらに拡張させるくらいのヴァラエティに富んだもので、聴き込むほどに新たな味わいが増していく。たとえばそれは、レゲエやポップスはもちろんのこと、フォークやジプシー・スウィングといったように、よりトラディショナルな音楽からの反響がいくつも垣間見られるのだ。そしてそうした音楽性は彼の出自や経験とも大きく関わっているようだ。

「僕はアフリカで生まれ、ジャマイカに近いカリビアンで育ったんだ。それが僕の音楽にさまざまな音楽のミックスをもたらしたんだと思う。世界中を旅するなかで触れた様々なカルチャーが音楽としてミックスされていくのを僕は楽しんでいるんだ。だから“サーフ・ミュージック”が何かを定義するのは難しいよね。なぜなら、それはより“ライフスタイル”や“心理”に関わるものだから。間違いなくサーフィンは僕の作曲に多大な影響を与えている。僕はサーフィンと同じように音楽の中にも存在する“fluidity(流動性)”、“flow”(流れ)が好きだからね。どんなタイプの音楽からも、そういった海からの特別なヴァイヴを放つアーティストをいくつか見つけることはできるんだ。ベン・ハーパー、サブライム、レッド・ホット・チリペッパーズなんかもそうだね」

彼の楽曲が豊かなのはそうした音楽性の幅広さだけでなく、リリックについても言えることだろう。フランス語と英語を併用した語感は、それこそ彼が挙げてくれたアメリカのミュージシャンたちすら持ち合わせていない、彼ならではの個性だ。

「もし日本語が出来るのなら、是非日本語で歌いたいよ(笑)。僕はロックとレゲエに関してはイングリッシュ・カルチャーに馴染んでいるけど、一方でフランス音楽も素晴らしいと思っているんだ。世の中に対して何らかのメッセージを伝えたくて書いたいくつかの曲は、すぐに英語の歌詞が浮かんでくる。一方でスウィートな曲を作るときに僕を駆り立ててくれるのがフランス語だね。フランス語ってとてもロマンティックな言語だと思ってるんだ」

清涼感で溢れているのと同時に、とてもセンチメンタルなムードも感じさせる旋律とギターの調べ。それは都市生活とは距離を置いたところに自分の理想郷を見ている彼だからこそ紡ぎ出せるものなのかもしれない。

「僕らはストレスフルな日常生活から距離を置く必要があると思うんだ。一日中鳴り止まない電話や、ひどい交通渋滞、多過ぎる人口は人々をおかしくさせてしまうよ。もし、ひとりひとりが自らの内面に耳を傾けたなら、きっと『そんなクレイジーな列車からは降りちまえ!』と叫んでいるはずさ。毎日は自分にとってのギフトであるはずなんだから。僕は“we don’t need no more trouble, what we need is love”(これ以上のトラブルはたくさんだ。必要なのは愛。ボブ・マーリー〈ノー・モア・トラブル〉からの引用)ってことを世界中に理解してほしいと本気で希望しているんだ」

こうしてようやく日本でも『Better Days』を紹介できることになったが、フラジェはここにきて新しいアルバム『Carnet de route』を完成させ、もうすぐ本国でのリリースを控えている。前作の大ヒットを経て、より音楽制作に比重を置くようになった彼が今度はどんな作品を形にしたのだろう。ミュージシャンとしてワールドワイドな活動を展開し始めたフラジェに、ぜひここ日本からも熱い注目の視線を送り続けたい。

「新作も様々なレゲエとフォークを融合したものになっているよ。同時に管楽器を使って、よりオーケストラルなサウンドに仕上がっているんだ。ひとつ言えるのは、今の僕はルーツに戻って来ていて、それらすべてに僕の愛情が詰まっているということだね。それは約束するよ!日本にまで僕の音楽が渡ったことは本当にハッピーだよ!近い将来に来日出来ることを僕も強く望んでいる!」

2012年10月、待望の新作発売決定!

Tom Frager / Carnet De Route
2012年10月発売予定
品番 : INO-17
価格 : 2,415円(税込)

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Tom Frager PROFILE

セネガル生まれ、フランス育ちのプロ・サーファー兼シンガー・ソングライター。自ら率いるバンドGwayav'が生み出すレゲエ・オリエンテッドなリズム。サーフィン大会の旅先で描き出すポップかつメロウなメロディーは通常のアメリカン・ポップスとは一味違い、ヨーロピアンならではの憂いとエレガンスを秘めている。

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