ルーツをブレンドしながら“正しい場所“を見つける旅は続く──注目の新人バンド、Wanna-Gonnaの初EP
時代や、そして洋・邦の垣根すらも超える普遍的サウンドを鳴らすバンド、Wanna-Gonna。〈FUJI ROCK'16〉への出演をはじめ、現在インディ・シーンで注目を集めている。先行でリリースされた7inch シングル「New Town」を筆頭に、ほっこりと落ち着いた気持ちになれるような良質な音楽を詰め込んだアルバムがやってきた!! ポップスの魅力に立ち返らせてくれる1枚を、レヴューと合わせてお楽しみください。
待望の1stミニ・アルバム!
Wanna-Gonna / In the Right Place
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 250円(税込) / アルバム価格 1,200円(税込)
【収録曲】
01. Three Miles
02. Run High
03. Nicaragua,1979
04. New Town
05. Transmitting End
06. Man in the Right Place
【REVIEW】Wanna-Gonna『In the Right Place』
東京のバンド、Wanna-Gonna初のミニ・アルバム『In The Right Place』=「正しい場所の中」という意味を本作から読み解くと、“ぼくたちのやるべき音楽がここにある!”と宣言しているかのような、フレッシュな泥臭さに満ち溢れた作品だ。全員20代の若き5人だが結成は中学時代と、音楽を知っていく過程から同じ歩幅でここまで歩んできた(砂井慧(Dr)のみ大学時代に加入)。
そんな10年ほどの歩みを経て本作が鳴らすサウンドには、ザ・バンドや、オハイオ・ノックス、ウィルコ、ファーザー・ジョン・ミスティなどから影響を受けたようなアメリカの香りを感じる。またタイトルからはドクター・ジョン1973年の同名アルバムも思い浮かべるだろう。アラン・トゥーサンのプロデュース、バックにミーターズを従えた大傑作、そんなニューオーリンズやスワンプ・ロックの空気も堂々と携えている。本作においてコーラスの声の重なりが雄大に広がる冒頭曲「Three Miles」や、ゆうらん船から内村イタルと本村拓磨を迎えたコーラスとシャッフル・ビートが小気味よい「Man in the Right Place」でそのルーツたちは特に顕著だ。
一方で「New Town」で見せるヴァースからコーラスへ移行した時の爆発力や、「Run High」のシンプルなリフで絡まるギターとシンセ、そして竹澤浩太郎(Vo,G)によるストレートながらもポップに響く歌には奥田民生、アジアン・カンフー・ジェネレーションやくるりといった彼らにとってのルーツのような日本のギター・ロックも色濃く感じられる。そんな二極のルーツの位相が曲ごとにパワーバランスを変えながら抜群の食い合わせで同居しているところに現代性が感じられる。
筆者が本作を音楽地図の中に置くとすれば前述のドクター・ジョンの同名作と、くるりがシンプルなロックに立ち返ることでメロディの良さが改めて際立った2009年作『魂のゆくえ』の間の“場所”だろうか。しかしまだここに腰を据えるような様子はなく、若きワナゴナの正しい場所を見つける旅はまだ続く。(峯大貴)
LIVE SCHEDULE
"In the Right Place" Release tour
2017年11月3日(金・祝) @京都 二条nano
2017年11月5日(日) @大阪 心斎橋CONPASS
2017年12月10日(日) @東京 下北沢THREE
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PROFILE
Wanna-Gonna
竹澤浩太郎(Vo.Gt)、奥津誌朗(Gt)、高山静迪(Ba)、小口健太郎(Key)、砂井慧(Dr)からなる5人組バンド。中学時代に結成。大学在学中に砂井が加入し、本格的な活動を開始。2016年3月に3曲入り自主制作盤「THREE」をリリース。フジロック2016ルーキーステージ出演。2017年7月に初全国流通盤7インチシングル「New Town」、9月に1stミニアルバム「In the Right Place」をリリース。 アメリカンルーツミュージックに敬意を表しつつ、現代の日本において、普遍的な音楽を鳴らすべく探究中。