“スロウタッチ”と標榜された音楽──STEPHENSMITHのメロウ&グルーヴィーな佇まい

2014、15年〈りんご音楽祭〉への出演や、2016年の福岡県開催〈CIRCLE〉にニューカマー枠として初の出演を果たすなど、いまじわじわと人気を博しつつある3ピース・バンド、STEPHENSMITH(スティーヴン・スミス)。インディR&Bやファンク、ソウルなどの要素からヒップホップなど、さまざまな音楽を吸収しつくりあげられた、スロウでメロウな雰囲気を醸し出す。昨年10月19日にリリースした1stアルバム『sexperiment』をこのたびOTOTOYでハイレゾ配信が開始。こちらの配信開始を記念してメンバー3人にインタヴューを行った。

1stアルバムのハイレゾ配信が開始!


STEPHENSMITH / sexperiment

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC
>>>ハイレゾとは?

【配信価格】
単曲 350円(税込) / アルバム 1,500円(税込)

【収録曲】
1. D.S.D.
2. 微温湯の雨
3. イエロータウン
4. 夜釣
5. 無題
6. スロウタッチ
7. 皺寄せ

INTERVIEW : STEPHENSMITH

70年代と“いま"を紡ぐ、オルタナR&Bでブルージーな3人組バンドSTEPHENSMITH。洒落たポップ・センスに溶け合う魔法めいたノスタルジー。独特なテクスチャーを感じるスロウタッチなサウンドが琴線を刺激する、平均年齢23歳の注目すべき新鋭だ。キーワード的には、ディアンジェロやフランク・オーシャン、フィッシュマンズ、松本隆などが浮かびつつも、メンバーと話していると時代感や枠にとらわれないオリジナリティを感じた。USのトレンドと符合するこだわりのサンプリングやエディットを駆使した実験性とメロウな演奏が掛け合せれる魅力。今年、活動の拠点を福岡から東京へ移し、自らをライヴ・バンドだと言い切る彼ら。この秋ハイレゾ化された、歌にこだわりを感じる1stアルバム『Sexperiment』について聞いてみた。

インタヴュー&文 : ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
写真 : 大橋祐希

お客さんがノッてきたとこを落としてやりたいな(笑)

左からTARO(Ds)、CAKE(Vo,G)、OKI(B)

──結成は2013年とのことですが、なぜこの3人が集まったのですか?

CAKE(Vo,G) : TAROとはもともと大学と音楽サークルが一緒で。OKIはバンドで3人目のベーシストなんです。バンドは、僕がもともとブラックミュージックや洋楽が好きで、それを自分でやってみたいなというのではじまりました。

──今回、1stアルバム『Sexperiment』がOTOTOYでハイレゾでリリースされますが、丁寧にレコーディングされた1枚だと思いました。

CAKE : そうですね。レコーディングは慣れてなかったこともあって、1年くらいかかってます。でもぎゅっとしたら2ヶ月くらいの長さですね。友人のエンジニアの家に通いながら作った宅録なんですよ。家がちょっと遠かったのと、あとやっぱり何回も試行錯誤して作り上げていきました。

──人によっては今作にシティポップなセンスを感じたり、または今を感じるインディR&Bなブラックミュージックなテイストを受け取ると思うんです。しかしながら日本語歌詞へのこだわりも感じられて、幅が広いんですけどオリジナリティは確立されているのがおもしろいなと。アルバムを作るにあたってテーマはありましたか?

CAKE : アルバムにコンセプトは特になく、楽曲ごとにそれぞれで作っていきました。とにかく今ある曲を録ろうっていう感じだったので。タイトルにexperimentというワードを入れたのは実験性あるアルバムにしたかったんです。聴いてすぐにわかるものじゃなくて、何度も繰り返し聴ける盤にしたかった。

──確かに聴くたびに発見のあるアルバムですよね。

CAKE : それを意識しました。エンジニアの子もバンドをやっていて仲が良くて、きっかけはその子が1曲録りたいって言ってくれたことだったんです。それが1曲目のインストの曲「D.S.D」。もともと歌詞もあったんですけど、アルバムがインストからはじまるのもいいねって。

──どんな音楽が好きなメンバーなんですか?

CAKE : たぶんみんなバラバラ。僕はブラックミュージックが好きで。親がバンドをやってて洋楽好きだったんです。ウェストコーストとか好きで。ギターも普通に家に置いてあって、それで弾きはじめました。いま特に好きなのは、ディアンジェロですね。衝撃を受けました。個人的なルーツは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンというブルースのギタリスト。ブルースが好きで影響を受けています。邦楽だったら山下達郎さんとか、海外からの影響が大きなアーティストが好きですね。

TARO(Ds) : 僕ナンバーガールが好きでした。その影響もあってけっこうガツガツしていたドラマーでした。CAKEに音楽を教わっていろいろ聴くようになりました。そこから自分のドラムのスタイルも変わっていきましたね。

OKI(B) : 中学くらいから邦楽ばっかり聴いてて。the Pillowsがきっかけで高校生のときにギターをはじめました。ずっと弾き語りをやっていたんですが、STEPEHNSIMITHと対バンしてめっちゃいいなって。それで、ベースが抜けますって話があったので、ベースやったことなかったんですけど加入させてと(笑)。

CAKE : まったく未経験で入ってきたんだよね。なんか神妙な面持ちで声をかけられて。

TARO : 一回俺に確認いれてきたよね? CAKEに言う前に。

CAKE : あ、そうなの??

OKI : ライヴを観ていたら、俺がベースをやったらなんか変わるかもって思う瞬間があって。

──それこそ、STEPHENSMITHはリズムがかっこいいバンドだと思います。リズムへのこだわりは強そうですよね。

CAKE : そうですね。僕は音楽はベースとドラムだと思っているタイプなんで。デモを作るときもドラムとベース、いわゆるビートから作って上に乗せていく感じなので。テンポ感にとにかくこだわります。

──日本の音楽シーンって、今ものすごいギター・バンドのブーム感あるじゃないですか? どんな風に感じられていますか?

CAKE : 対バンしたいですよね。そして、ビート感が全然違うと思うので、お客さんがノッてきたとこを落としてやりたいな(笑)。

──こういう気持ちよさもあるんだぞ、みたいな?

CAKE : そうですね。リズムとベースへのこだわりの気持ちよさが伝わってくれたら嬉しいなと。

「スロウタッチ」というジャンルでやっている感覚

──ちなみに、1曲目の「D.S.D」を聴いていると前半は打ち込みというかサンプリング?

CAKE : サンプリングですね。

──でも後半は生音になるでしょ?

CAKE : そうですね。サンプリングのエディットもバーンと重ねるのではなくて、1個1個切って貼ったり、逆にそこもアナログっぽい感覚なんですよ。デジタル機材で簡単にできることを、アナログの考えで取り込むみたいな。そういうなんか変な感じ、それはほんと気持ちよさを基準に実験的という感覚で。後半、ドラムが生音になるのは、もともと歌詞があった曲で、そのとき後半の盛り上がっていくノリがメインになる感じだったんです。ただ歌を無くすんだったら、リフが印象的だったので全面に出して、インスト曲としてサンプリングでやった方がわかりやすいのかなと思って。ただ、最後のエモーショナルな部分は残しておきたいなと生音でアレンジしたらバチッとハマりました。

──なるほどね。R&B的なかっこよさもありながらもオルタナロックな流れもあったり、自分たちの中ではどんなジャンル感っていうのはあるんですか?

CAKE : それをいま考えていて新しいジャンル名としては、「スロウタッチ」という曲があるんですけど、それを自分たちのジャンルとして確立していきたいなと思っています。いま、普及活動をしています(笑)。

──誤解が進んでるからあれですけど、シティポップが当時と今ではジャンル感としては受けて側にズレがあって、ややこしい流れになってきてますもんね。

CAKE : そこからすっとぬけて「スロウタッチ」というジャンルでやっている感覚です。誰も聴いたことのないジャンルとして。

──2曲目の「微温湯の雨」もR&B的な気持ちのいいサウンドで、バスドラはサンプリング?

CAKE : バスドラは好きなアーティストからのサンプリングですね。もともと僕がデモを作っていたときからバスドラを3つくらいドドドって重ねて。このまま使った方がいいんじゃないかと、デモと同じやり方でエンジニアに1個1個詰めてもらってトラックにしてもらいました。

OKI : ちょうどその頃、宇多田ヒカルをよく聴いていて。その流れで車を運転しているときにこの曲を聴いたんですよ。違和感なく聴ける感じがいいなって思いました。日本のバンドでそんなに多くないんじゃないですかね。

CAKE : いいコメントだね(笑)。基本的に曲を作る時は、適当に当てはまる言葉を採用する感じが多いんですけど、「微温湯の雨」はポンって出てきた言葉で。この歌詞は自分でも好きで、なんていうんですかね。ベタに微温湯に浸かっている感覚ってやだな〜と思って。ちょっと難しいんですけど。インスピレーションとかは、テレビとかで出てくる言葉でかっこいいなと思うものが多いかもです。

──ふっと入ってくるもの?

CAKE : 4曲目の「夜釣」っていう曲はテレビからふと耳に残った言葉で。いい言葉だなって。そこから歌詞含めバーンと思い浮かんだ。


STEPHENSMITH/夜釣

──夜釣が好きなワケではないんだ?

CAKE : はい、全然(笑)。言葉を拾って広げていく感じですね。

──「夜釣」とか、演奏していてめちゃくちゃ楽しい曲なんじゃないかなと思いました。後半のギター・ソロに熱量を感じられたり。

TARO : 京都でライヴした時に車で行ったんですけど、CAKEが「夜釣」のデモを作ってきて。それを車で聞いて、そのまま昼からスタジオ入ったんですよ。そして、ライヴでポンって出来た曲なんです。自分らが気に入っている曲っていうのは、そんな作り方が多くて。これもドラムとかスナッピー外していて。

CAKE : はじめてライヴをちゃんと意識して作った曲ですね。

──ライヴ感がありますよね。戻りますけど3曲目が「イエロータウン」。これはラジオ風のイントロのギミックも含めポップなナンバーで。バンドにとっては異色なのかな?

CAKE : これはエンジニアの子と2人で作った曲なんです。2人で歌詞も考えて、松本隆さんや鈴木茂とか、そんな世界観にしようと。

──タイトルにも感じられますね。

CAKE : そうですね(笑)。友達の女の子にちょっとコーラスに入ってもらって。でも、遊びで作っちゃった曲なんでライヴでもやったことがないんです。全部好きなものを入れて作った曲ですね。

──フックが強いポップソングですよね。振り幅広いなと。

CAKE : いろんなジャンルを聴く方が好きなので。なんて言うか、一旦全部音楽ジャンルは消化しておきたいというのがあります。ヒップホップとかももっとやってみたいんです。興味ありますね。

3ピース・バンドとして名前がすぐ上がるバンドにはなりたい

──2017年は、新しいも古いも無い時代だと思うんです。あらゆる時代の音楽をフラットに判断できる、めちゃくちゃおもしろい時代だと思います。そんななかチャレンジ精神を持つSTEPHENSMITHがどんなアウトプットを生み出していくのかに興味があります。5曲目のインスト「no title」は、エディットで遊んでみた?

CAKE : そうですね、アナログ・レコーダーの回転数をいじって入れちゃえみたいな感じで。フランク・オーシャンの1stアルバム『Channel Orange』が遊びが多くて、その影響です。

──6曲目「スロウタッチ」はインストからの流れからはじまって、世界観がガラッと変わってヒップホップ風という。ラップの表現にも興味がある?

CAKE : そうですね、サンプリング文化みたいなのが好きだったので、それでヒップホップもよく聴いていて。ディアンジェロもそういう表現もあるので触ってみたいなと。ヒップホップの文化もおもしろいなと思って、その頃たくさん調べていたんですよ。

──リスナー気質というか、研究タイプなんだ?

CAKE : はい、ハマるとそうですね。機材とかあまりわからないタイプではあるんですけど文化とか時代感とか、すごい入りくんだものが好きですね。入り込んじゃいます。

──この曲はトラックがかっこいいですよね。コード感が気持ちよくて都会的な感じ。ライヴでもやるの?

CAKE : やっていたんですけど、最近はあんまり。新曲を作るようにしていて、ライヴって30分ぐらいの時間だからなかなか曲が固定しないんですよ。新しい曲をやりたいので。

──ちなみに、ラップもいろいろ研究しながら?

CAKE : でもフローとかそういうのはあんまりわからないんで、感覚ですよね。僕もトラックを作るのが好きなんで。

──STEPHENSMITHのライヴは生音を大事にされていましたが、ラップトップを使ってのライヴのイメージは?

CAKE : それは頑固にしない(笑)。

TARO : ライヴは楽器だけでこだわりたいんです。

OKI : ライヴ・バンドでありたいんですよ。

CAKE : やっぱりスリーピース・バンドっていって、ライヴのとき4人とか、そういうの嘘じゃないかと思ってしまうんです。なので3人だけでやれることをやりたいですね。''

──なるほどね。7曲目がメロウにドープなサウンド「皺寄せ」。この曲もイントロからインパクトのある曲で。

CAKE : 歌詞自体、僕が落ち込んでいる時に作った曲でとても思い入れがあります。バンド・サウンドにした時にいろいろ消化できたかな。ディアンジェロに近い雰囲気で。影響を受けたものを自分たちのサウンドに落とし込めたかなと。


STEPHENSMITH/皺寄せ

──イントロからの音使いがすごく切なく、甘い感じが出ていて。あと、コーラスの厚みも気持ちいいですもんね。

CAKE : コーラスはめちゃくちゃこのアルバム自体こだわりましたね。

TARO : ミュージックビデオに出したの2015年12月やけん、たぶん最初にできたんじゃない?

CAKE : あれ、あ、そっか。

TARO : 先にこの曲だけ完成させて、ミュージックビデオを作って1年後のリリースとなりました。

──これが最初だったんですね。

CAKE : 最初にこれを作っちゃおうってなったんだ。この曲の大サビの歌詞は、ずっと前から考えていた歌詞で。いつか使いたいなって思ってました。“皺寄せ”って“幸せ”っていう言葉をもじってるなって思って。“皺寄せ”って悪いイメージの言葉じゃないですか? でも、幸せだって何か起こった悲しいことの“皺寄せ”として生まれたんじゃないのかなってネガティヴにとらえて落ち込んでいたんです。でも、それでも生きるしかないねっていう感覚で作った。

──いい曲ですね。ちなみに次なるアルバムの構想もあったりするの?

CAKE : アルバムは全然作っていないんですけど、TAROくんの家が今機材が充実している状態なので。

──機材好きなんだ?

TARO : まだまだ簡易的なものしかないんですけど、トラックを作ったりするのが好きなんで。電子ドラムを最近買ったり、オモチャみたいなものなんですけど、せっかくあるし録ろうよって。

CAKE : レコーディングしてまずは無料配布していきたいですね。いまはライヴを大事にしたいですね。

──バンド、STEPHENSMITHは今後どんなバンドになっていきたいですか?

CAKE : まず、ヤバTは超えなきゃ(笑)。人数的にもね3人だから。3ピース・バンドとしてペトロールズとかいると思うんですけど、やっぱり名前がすぐ上がるバンドにはなりたいですね。

TARO : ゆら帝とかね。

CAKE : あの時代の日本っぽさが好きで。日本の変態性っていうのがちゃんと消化されている時代だなと思って。ああいう感覚を洋楽に落とし込みたいなと思っています。

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前作リリース後、6人のバンドとしてスタートし、彼らの高い音楽性やメッセージ性の強い歌詞にはさらに磨きをかけた、odolの最新EP。その楽曲は、聴き手の心を強く震わせること間違いなし。

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HIPHOPやSOULの影響を多分に受けた、東京発信のアーヴァンSOULバンド・eckeの1stアルバム。ホッと一息つきたい時に聴くのもオススメです。

LIVE SCHEDULE

〈xsprout. #2〉
10月4日(水)@下北沢 ERA
時間 : OPEN 18:00 / START 18:30
出演 : STEPHENSMITH / Calmine / yeti let you notice / and more
チケット : ADV.¥2,000 / DOOR.¥2300

〈rock'nrollblood〉
10月19日(木)@Club Que
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
出演 : STEPHENSMITH / The Neon Tetra / yun /and more
チケット : ADV.¥2,300 / DOOR.¥2,500 [1D別]

〈Dig Urban Oddities〉
11月14日(火)@Shibuya duo MUSIC EXCHANGE
時間 : OPEN 18:00 / START 19:00
出演 : STEPHENSMITH(O.A) / RAMMELLS / She, In The Haze / The ManRay / sooogood! / and more
チケット : ADV.¥2,800 / DOOR.¥3,300 [1D別]

PROFILE

STEPHENSMITH(スティーブンスミス)

2013年結成。福岡を拠点に活動中のトリオ・バンド。ブルース、R&B、AORなどルーツ・ミュージックを現代へ昇華した楽曲、スリー・ピースならではのミニマルな構成に反して厚みのあるサウンドによって生バンドであることを強く意識したライヴでこれまで多くのバンドと対バン。過去にlucky tapes、踊ってばかりの国、おとぎ話、ROTH BART BARON、KONCOS、雨のパレード、LILILIMIT等との共演。2014、15年には長野県で開催の〈りんご音楽祭〉へオーディションを経て2度出演、2016年には福岡県開催〈CIRCLE〉へニューカマー枠初の出演。

>>>STEPHENSMITH 公式ツイッター

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インタヴュー

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