かせきさいだぁの新作──“ミスターシティポップ”からオニギリ・ユニバーシティ開校のお知らせ

1995年にアルバム『かせきさいだぁ』でデビューして以来、日本語ラップを援用しつつ、独自のサウンドを展開してきた、かせきさいだぁ。オリジナルとしては『ミスターシティポップ』以来、5年ぶりにリリースする5枚目のオリジナル・アルバム『ONIGIRI UNIVERSITY』。デビュー当時から、ヒップホップに影響を受けながら、いわゆるハードコアなヒップホップ・シーンともまた違った独自のポップなスタンスで作品をリリースし続けてきた彼らしい、本作もまたその名が示す通り、どこかユーモラスでポップな、そしてこの国のカルチャーのなかでしか生まれえないような“かせぎさいだぁ”ワールドを示している。さて、本作をレヴューと共にお届けしよう。


かせきさいだぁ / ONIGIRI UNIVERSITY

【Track List】
01. Yes
02. カンフーダンス
03. CANDY POP
04. BABY × 4
05. 常夏ココナッツ
06. Chocco that I know girl
07. さよならファンタスティカ
08. ちょうどいい 〜Feel so good〜
09. フローズン・ウィンター
10. わたしのはっぴいえんど

【配信形態 / 価格】
WAV、ALAC、FLAC(16bit/44.1kHz) / AAC
単曲 257円(税込) / アルバムまとめ購入 2,057円(税込)

REVIEW : ミスターシティポップの真骨頂


昨今のシティポップ・ムーブメントに強烈なカウンターパンチを喰らわす一作。それがこのかせきさいだぁの新作『ONIGIRI UNIVERSITY』だ。以前から、ティン・パン・アレー、ユーミン、山下達郎、細野晴臣などの日本のポップス界を築いてきた先人達のエッセンスをポップスからヒップホップに寄せていくというオリジナルの「シティポップ」を生み出してきたと言える存在。いやむしろ2012年の時点で、自らのアルバムに『ミスターシティポップ』と名付けたあたり、昨今のブームの予見する存在、ある種のシティポップ・リヴァイヴァルのオリジネイターと言えるだろう。そして、ご多聞にもれず、今作は今まで以上にアルバム全体を通して、そうした先人たちが生み出した1970~80年代のシティポップ・サウンド的なフィーリングを全面に押し出したアルバムとなっている。まさに“ミスターシティポップス”の真骨頂と言えるアルバムだ。

特に1曲目の「Yes」と4曲目の「BABY×4」はまさにこのアルバムのハイライトだ。アルバムのスタートを飾る「Yes」では、スタートに相応しい明るい曲調で、夏を感じることができる。そのサウンドと、ヴォーカルとして参加している脇田もなりの繊細で切なさのある歌声が重なることにより、どこか懐かしくも新鮮に感じられる1曲となっている。「BABY×4」は、コーラスワークの挟み方、ギターのカッティング、80年代のポップ・ソングを象徴するかのようなサウンドに、軽快なラップを乗せていてとても心地いい。

また、豪華なゲスト・アーティストも今作の大きな特徴だ。2曲目「カンフーダンス」には、Negicco(Nao☆, Megu, Kaede)がコーラスを、ラップにDJみそしるとMCごはんが参加し、華やかさ満載の楽曲に。そして5曲目の「常夏ココナッツ」には、7月に新作EPを発売し、いまギターロック界で注目を集めているReiが参加、厚みのあるギターを鳴らしている。この他にもMC Shirafu、松田岳二、真城めぐみ(HICKSVILLE)などが参加し、各人の魅力を存分に発揮した楽曲が並ぶ。

最近は、かせきさいだぁと同じように山下達郎や細野晴臣などをリスペクトしたアーティストが増えたなかでこの作品は、他のアーティストとは一線を画すオリジナリティがあり、頭ひとつ飛び抜けている。普段若手のバンドばかり聴いてしまう層にもぜひ聴いて欲しい1枚だ。とにもかくにも、無条件に身体が揺れてしまうゴキゲンで爽やかな楽曲達で溢れるこのアルバムを夏のお供にすることをオススメする。(Text by 高柳圭佑)

RECOMMEND


かせきさいだぁ / かせきさいだぁのアニソング!! バケイション!

直前の作品にあたる2013年のアニソン・カヴァー集。1980年代のアニメ・ソングを中心に、そのある種ファンシーなリリックとシティポップのカラフルなアレンジを融合させた作品。

かせきさいだぁ / ミスターシティポップ

オリジナル・アルバムとしては前作はこちら。2012年リリース、EPOや堀込高樹などが参加。その後のリヴァイヴァルを予見させるタイトルに偽りなしな内容。

かせきさいだぁ / SKYNUTS

本作のリリースともに配信開始された1998年のセカンド。ラップ&サンプリングを中心にしたサウンドはレイドバックした日常感で、ここ最近の歌モノ&バンドとも違った風景を描き出している。

Negicco / Negicco 2011~2017-BEST-2

「カンフーダンス」へのゲスト参加をしているNegiccoが、結成14周年となり、15周年に突入するタイミングでリリースされた、キャリア2枚目のベスト・アルバム。これまでの代表曲に加え、作詞・作曲 堀込高樹、編曲 KIRINJIによる書き下ろしの新曲「愛は光」など、初音源化の楽曲も収録。

>>本作に関する特集記事はこちら

PROFILE

かせきさいだぁ

1968年静岡県出身。桑沢デザイン研究所卒業。hiphopチーム「TONEPAYS(1990~1993)」解散後、'94年1人で「かせきさいだぁ」を結成。'95年にインディーズ盤『かせきさいだぁ』発表。翌年メジャー盤『かせきさいだぁ』を、'98年に2ndアルバム『SKYNUTS』を発表。'01年にワタナベイビーとのバンド「Baby&CIDER」を結成し'03年にアルバム『BACK TO SCHOOL』を発表。同年ヒックスヴィルの木暮晋也と「トーテムロック」を結成しミニ・アルバム『TOTEM ROCK ep』を発表。'08年には「いとうせいこう&ポメラニアンズ≡」のアルバム『カザアナ』に参加。'09年にいとうせいこう、ダブマスターXらと「The Dub Flower」を結成し、ライブ活動。また、音楽以外でも4コマ漫画『ハグトン』を'01年から描き続け自費出版の漫画は現在7巻まで出しており、今ではハグトンを題材にしたアート活動にまで表現の場を拡げ、個展も年に3回ペースで開催されている。'09年秋からバックバンド"ハグトーンズ"をしたがえ、「かせきさいだぁ」の音楽活動を再開。そしてとうとう、'11年、2ndアルバム『SKYNUTS』リリースから13年ぶりとなる待望の3rdアルバム『SOUND BURGER PLANET』を発表した。'12年秋に『ミスターシティポップ』発売。'13年夏に『かせきさいだぁのアニソング!! バケイション!』発売。

>>かせきさいだぁ アーティスト・ページ

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レヴュー

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