沖縄県石垣島出身のシンガー・ソングライター、宮良牧子の約9年ぶりソロ・アルバムをハイレゾ配信

沖縄県石垣島出身のシンガー・ソングライター、宮良牧子。2005年のデビュー以降、日本郵政の第1弾コンピレーションCDのテーマソングや、NHK連続ドラマ小説「ゲゲゲの女房」サウンドトラックへの参加、そして、 ’12年秋公開映画『ペンギン夫婦の作りかた』では主題歌を担当するなど活動の場を広げている。約9年ぶりにリリースされたソロ・アルバム『シチヌウムイデ』は、新録曲に加え、タイアップ曲、カヴァーなど12曲が収録。金子飛鳥、富岡"GRICO"義広、窪田ミナら豪華な参加ミュージシャンも本アルバムに華を添え、ハイレゾ音質で聴くべき名盤に仕上がった。


宮良牧子 / シチヌウムイデ
【収録曲】
01. あん美らさ / 02. 月酔唄 / 03. MOTHER / 04. 赤い爪 / 05. 夏の思い出 / 06. 手紙日和 / 07. 虹の彼方に~Over The Rainbow / 08. ヌチグスイ / 09. MOTHER ~夕焼けの庭 ver.~ / 10. あがろーざ / 11. 花筏 ~Shetland Air~ / 12. 精霊のくに

【配信形態】
24bit/96kHz WAV / FLAC / ALAC / AAC

【配信価格】
単曲 300円(税込) / まとめ価格 2,500円(税込)

INTERVIEW : 宮良牧子

季節や節目を意味する「シチ」という言葉と思い出を指す「ウムイデ」で『シチヌウムイデ』。石垣島出身のシンガーソングライター、宮良牧子が約9年ぶりに発表するこの作品は、タイトルが示す通り、彼女が過ごしてきた月日が詰め込まれた1枚だ。ときに優しく包み込むように、ときに激しくドラマティックに。そして神々しい光に導かれるように広がって行く歌声は、聴くものに様々な情景を見せてくれる。多くのミュージシャンが参加した今作について、石垣出身のアーティストとして、そして母親でもある彼女が今作に込めた想いについて話を訊いた。

インタヴュー& 文 : 岡本貴之

いつ復活できるのかなっていう気持ちでしたね

──宮良さんは石垣島のご出身ということですが、今も石垣島在住なんですか?

宮良 : 高校まで石垣で過ごして進学のために東京に出てきました。その後東京の人と結婚したので、それからはずっと東京に住んでいます。年に何度も石垣には帰るんですけど。とくに今は古典音楽も八重山の師匠に習っていまして。去年はコンクールがあったので5回くらい帰りました。

──じゃあ、本格的に音楽活動を始めたのは東京に出てきてからですか。

宮良 : 音楽も歌もずっと好きだったんですけど、じつは音楽活動そのものはしていなかったんですよ。学校も普通の学校でしたし。自分でデモを録ったりはしていたんですけど、20代前半くらいにアルバイトしていた楽器屋で知り合った人に「歌を歌ってみない?」って活動に誘われたことがきっかけで活動を始めました。最初に誘ってもらったバンドは、アイルランド民謡やカントリー音楽などの要素を取り入れたオリジナル曲等を演奏するバンドで。そこで沖縄民謡も歌うようになって、そこから始まったんです。でもそのときは、じつはそんなに民謡を歌いたかったわけではなくて。

──そうなんですか? 小さい頃から沖縄の民謡に親しんでいたのかなって思ってました。

宮良 : 民謡は習っていたわけではないし下地もなかったんですけど、やっぱりお祝いごとのときにカチャーシーがあったり、お正月には古典音楽が流れていたりというのはあったので、そういうのは聴いていました。すべてではないにしろ、そういう匂いみたいなものは覚えていたんだと思います。

──2005年にソロ・デビューして以来、これまで作品も何枚か発表していらっしゃいますが、今回は約9年ぶりのフル・アルバムということですね。その間、音楽活動はしていらっしゃったと思うのですが、かなり間が空いたのはどうしてですか。

宮良 : 音楽活動はしていましたし、「チュラマナ」(フラ&ボーカリストの上原まきとのユニット)をやっていて、3、4枚はリリースしているんですけど、ソロとしてはほぼ9年ぶりということです。振り返ってみると、その間に結婚して子供も生まれていました。実は、2015年がデビュー10周年だったので、その年に何か出したいとは思っていたんですけど、子どもが生まれて1年目だったのでさすがにそんなモードにならなくて。子育てが「思ってたのと違う」みたいな感じだったので(笑)。

──思った以上に大変だったということですか(笑)。

宮良 : 生まれる前は、「このくらい経つと落ち着くと思うからその間にデモを作って…」とか段取りしていたんですけど、あわただしくて全然そんな気分になれなくて。でも音楽活動を辞める理由もないので、いつ復活できるのかなっていう気持ちでしたね。

──実際、お子さんが生まれてからどのくらい経ってから活動を再開したんですか?

宮良 : ライヴやイベントには呼んでもらっていてちょこちょこ出演はありました。7ヶ月の子どもを連れて与論島のお祭り「月酔祭(つきよいまつり)」に歌いに行ったり。このアルバムに収録されている「月酔唄」(与論島「月酔祭」オリジナルソング)はこのお祭りで生まれた曲なんです。

──「月酔祭」は毎年やっているものなんですか?

宮良 : そうです。2015年は、イベントのオーガナイザーで踊絵師の神田さおりさんが出産したこともありお休みだったのですが、2013年の第1回目からからずっと出させて頂いてます。そのときがまさしくお腹に赤ちゃんがいるときで、大きいお腹で歌わせてもらいました。満月の月明かりに照らされながら音楽とともに、踊絵師の神田さおりさんが絵を完成させるというイベントなんですけど、砂浜の上が本当に気持ち良くて。この曲は、2013年のときに感じた風景をもとにして、同じく出演者だったギタリストの成川正憲さんと一緒に作ったんです。それで2014年に披露することができました。

──この曲は聴いているとその場所に行ったことがないのに情景が浮かんでくるような曲ですね。

宮良 : そのまんま、歌になったっていう感じですね。歌詞もその時の情景をそのまま描きました。この「月酔唄」や「ヌチグスイ」という既発表の音源がいくつかあったので、そういう曲を含めて1枚のアルバムにしたいという気持は数年間持ち続けていました。去年の終わりに、「MOTHER ~夕焼けの庭 ver.~」をMotherAudioさんのイメージソングとして、アルバムが固まる前に先に録ったんです。この曲を録音したことで、すごくギアが入ったというか(笑)。「これも含めてアルバムにしよう!」って、一気にスピードアップした感じでした。


──「MOTHER ~夕焼けの庭 ver.~」は3曲目に入っている「MOTHER」のバージョン違いかと思いきや、逆なんですか?

宮良 : そうなんですよ。「MOTHER ~夕焼けの庭 ver.~」を先に録ったんです。この曲は、子どもが生まれた後に書いた曲なんですけど、歌詞の中に洗濯物とか、生活感の溢れる歌詞が出てきて。これまであんまりしてこなかったんですけど、「わかるわかる!」って共感してくれる人がたくさんいたらいいなっていう気持ちで書きました。

──使っている楽器が違いますけど、「MOTHER ~夕焼けの庭 ver.~」で使っているのはアコーディオンですか?

宮良 : あれは、バンドネオンというアコーディオンに似た楽器です。主にタンゴ用いられる楽器で北村聡さんが演奏して下さいました。あとはホイッスルを使ってます。豊田耕三くんというアイリッシュフルート、ホイッスルの名手が演奏しています。この曲は、MotherAudioという新しく立ち上がるオーディオブランドのイメージソングということで、アコースティックな音、音像が大きい音で録りたいというアレンジ的なテーマがあったので、そこを重視してまず録ったんです。でもさっきお話したように、この曲にはたくさんの人に共感してもらいたいという気持ちがあったので、もうちょっと違うポップなアレンジでも収録したいと思っていて。それで窪田ミナさんにアレンジを相談して、より多くの人に届けられるような形にしたいということで、2つのバージョンを収録しています。

──ポップな曲なんですけど、「MOTHER」はストリングスを使っていて美しく広がって行くアレンジですね。

宮良 : そうですよね。窪田ミナさんは劇伴音楽を多数作っていらっしゃる方で、景色を描くのが上手い方なので、すごく良いアレンジにして頂きました。同じく「ヌチグスイ」も窪田ミナさんのアレンジなんですが、イントロを聴いただけで曲の景色が目に浮かびます。


──金子飛鳥(バイオリン)さんをはじめとして色々なミュージシャンが参加していますが、金子さんは前作にも参加されていますよね。

宮良 : そうです。『マブイウタ』でも何曲かアレンジと演奏をして頂いていて。今回は、「花筏 ~Shetland Air~」という、アイルランド民謡に私が歌詞をつけた曲のアレンジと演奏をして頂いているんですけど、これがまた素晴らしくて。

──これはドラマティックでカッコイイ曲ですよね。

宮良 : ドラマティックですよね!? アレンジもテイクも本当に素晴らしくて、私自身何度も聴いているんですけど(笑)。特に間奏の飛鳥さんのバイオリンはもう興奮しちゃいますね。これはもともと歌詞がないインスト曲に歌詞をつけたんです。

──1曲目の「あん美らさ」を聴いたときに、ボサノバと沖縄の唄が融合したような曲でちょっと驚きました。あんまりこういう曲は聴いたことがないなって。

宮良 : 「あん美らさ」は井上もとやすさんが書いた曲で、もともとは私の曲ではないんですけど、音楽活動を始めた頃から知っていてライヴで歌っていた曲で。いつも一緒にライヴをやっているギタリストの川又トオルさんがボサノバ調にアレンジしてくれました。いつも2人プラスパーカッションで歌っていたんですけど、今回はピアノやベースも入れてやってみようということで肉付けした形です。チュラマナも沖縄とハワイのユニットなんですけど、沖縄の民謡がどこかに収まるのではなくて、ブラジルのボサノバとかハワイとか、こっちに来てもらうかもしくは丁度良いところでバランスを取ってできたら一番良いなっていう気持ちはずっとありますね。

歌でつながっていられたらいいなと思って習い出した

──今回はカヴァー曲もいくつかありますが、「夏の思い出」はまさにアルバムのテーマに沿って選んだということですか?

宮良 : そういうのもありますし、もともとこの曲が好きで数年前からライヴではカバーしていたんです。アレンジもライヴで歌っているそのまんまで。自然に入れた感じです。なんか、昔は好きじゃなくてちょっとダサいと思っていた曲が、歳を重ねることですごく沁みてくることってありません?

──あります、あります。

宮良 : それをこの前ライヴで言ったら「歳だなあ~」って言われたんですけど(笑)。

──(笑)。

宮良 : ギターはオープンチューニングで川又トオルさんがアレンジしてくれました。それに導かれる感じで歌っているので、アレンジがああじゃないとこういう雰囲気のテイクにはならなかったですね。ライヴでもずっとこの形で演奏しています。

──「あがろーざ」は八重山民謡なんですね。

宮良 : そうです。私が古典を始めたのは割と最近なんですけど、石垣から東京に出てきて、石垣で過ごした時間と東京で過ごした時間が同じ長さになったときに、何か自分の中の石垣が薄れていってしまう感覚がして(笑)。「これからずっと東京が長くなるばかりなんだな」って複雑な気持ちになったんです。そう思ったときに、もっと歌を通して八重山のことを知りたいと思ったり、歌でつながっていられたらいいなと思って習い出したんです。始めたときに最初の頃に習ったのが「あがろーざ」で。民謡の中でもメロディとしてはわかりやすい綺麗な曲で、ライヴでも好きでよく歌っているんです。昼の子守歌とも言われている曲です。

──「虹の彼方に ~Over The Rainbow」はアカペラでカヴァーしていますが、全部ご自分の声を重ねているんですか?

宮良 : これは、1パートを4本ずつ重ねて、16人プラスメインで、17人の自分で録音しています(笑)。これは作業的には根気がいりましたけど、でもアカペラで重ねていくことが好きで、1枚目と2枚目にも1曲ずつ入れているんですけど、今回も入れたいということでアレンジをしてくれた水野(忠光)君にいくつかパターンを持ってきてもらった中からピックアップしました。

──今作ではエンジニアの赤川新一さんがプロデューサーとしても参加しているんでしょうか。

宮良 : 赤川さんは、1枚目2枚目と一緒に作ってきていて、2枚目に関しては全部プロデュースしてもらっています。今回は、プロデューサーということではないんですけど。本当に私の歌のことを知ってくれている方なので、聴いて色々意見を出してくれました。それで私も変えていったりしたので、そういう意味ではプロデュース的なこともしてもらっているという実感はありますね。

歌うことの意味がわかったら歌ってないかもしれない

──今回、レコーディングでこだわったことや試みたことあったら教えてもらえますか。

宮良 : 逆に、1枚目2枚目に比べると、“こだわってないことがこだわり”じゃないですけど(笑)、特に2枚目のときはちょっとしたズレも気になったし、できるだけ良い歌を聴いてもらいたいと思っていたので何度も歌い直しました。今回はちょっと気になるところもあったんですけど、そういうところが後に“キュン”とするポイントだったりする事も多いので、あえてそのままにしている箇所もあります。ラフな部分をそのままよしとすることができて、許容範囲が広がったのかもしれません。それが良いか悪いかはわからないですけど。

──それは長い間歌ってきた中でのアーティストとして変化しているということですよね。

宮良 : そういうことなんですかね~。無駄に間が空いてないぞというか(笑)。

──沖縄とか奄美大島出身の歌い手さんが歌う世界って、スピリチュアルなものを感じさせるというか、宗教とは違う意味で「神」っていう存在が歌の中にあるじゃないですか?

宮良 : うん、うん。

──そういう世界観がある中で、宮良さんにとって歌うことの意味ってどんなものなんでしょうか。

宮良 : う~ん、歌うことの意味がわかったら歌ってないかもしれない(笑)。ずっとそうやって探していくのかなっていう気がしますけど。さっきおっしゃった“宗教とは違う意味の「神」”っていうのは、たぶん木とか石とかそのへんにあるものすべてに神が宿るっていう精神があって。そういうのが「月酔唄」とかに入っているんじゃないかなって思います。それは歌う意味っていうのとは違うかもしれないですね。歌う意味っていうのはずっと探していくんだと思います。辞める理由もないので。ずっと歌っていくものだと思います。

──それだけご自分の生活と密着したものだということですね。

宮良 : そう思います。自分の生活の中から生まれていくものは、その都度歌として残していけたらなと思います。

──「MOTHER」がまさにそういう歌詞ですもんね。

宮良 : そうですね。「MOTHER」は子どもが生まれたときの歌ですけど、映画の主題歌に起用して頂いた「ヌチグスイ」は、夫婦の物語で(「ペンギン夫婦の作りかた」)、私もそのちょっと前に結婚していたので、リンクさせることができたかなって。そいう感じでずっと歌にしていけたらいいなって思います。

──ジャケットのアートワークは、石垣のものをモチーフにしているのでしょうか。

宮良 : 中のブックレットにも色々あるんですけど、ジャケットの赤い花は「でいごの花」といって、でいごっていう沖縄の県の木なんです。ちょうど東京でソメイヨシノが満開になる頃に、沖縄ではでいごが咲いているんです。鳥は「アカショウビン」という天然記念物の鳥です。あとはツルとか花びらは白浜の上に生えたり咲いてるものです。それを、石垣島のアーティストの池城安武くんがモチーフとして描いてくれてジャケットになりました。

──『シチヌウムイデ』は宮良さんにとってどんな作品になりましたか?

宮良 : オリジナル曲からカヴァー曲に至るまでそれぞれ色んな過程があってエピソードがあって、それが私にとっては1つ1つの季節とか節目ごとの特別な思い出ですし、タイトル通りのアルバムになったのかなって思ってます。このアルバムを聴いてもらって、今度は聴いてくれた人の思い出の一部にしてもらえたら嬉しいです。

DISCOGRAPHY

宮良牧子 / 月酔唄

毎年夏の満月の夜に与論島(沖縄にほど近い鹿児島最南端の島)で開催されているこの「月酔祭」に集いし者たちによるコラボレーションで自然発生的に誕生した奉納の唄、それが『月酔唄(つきよいうた)』です。

宮良牧子 / マブイウタ

島言葉による「アメイジング・グレイス」、五輪真弓1972年のデビュー曲「少女」、沖縄歌謡のクラシック「芭蕉布」、そして「きよしこの夜」。これまでステージで歌い続けてきたオリジナル曲と新たな書き下ろしを含めた2ndアルバム。

宮良牧子 / 心の星

2005年にリリースされた宮良牧子のデビュー・アルバム。

LIVE INFORMATION

2017年7月8日(土)@与論島・茶花海岸
2017年7月9日(日)@那覇・タワレコ那覇リウボウ店
2017年7月15日(土)@石垣島・新栄公園
2017年7月16日(日)@ベルサール秋葉原

PROFILE

宮良牧子

6歳でピアノを習い始め、9歳の時に地元合唱団に入団。

天性の素質とIsland soul を武器に‘05年『心の星』でCDデビュー。清冽な輝きを放つ『心の星』は、彼女が島人(しまんちゅ)である前に、ひとりの希有な歌い手であることを強く印象づける渾身 のデビューアルバムとなった。

’06年には、フラ&ボーカリストの上原まきと、ハワイ&沖縄のスピリットを伝える新ユニット「チュラマナ」を結成。ビクターエンタテインメントよりアルバム『ふたつの楽園』、‘07 年には 2ndアルバム『楽園の虹』をリリース。ハワイでの「沖縄フェスティバル」や「まつり in ハワ イ」等、海外からも招聘される。

ソロとしては同年、日本郵政の第一弾コンピレーションCD『手紙日和』にテーマソング『手紙日和』で参加。千葉ロッテマリーンズ×楽天イーグルス戦では国歌斉唱を行い注目を浴びる。NHK連続ドラマ小説「ゲゲゲの女房」サウンドトラック(窪田ミナ)に参加。’12年秋公開映画『ペンギン夫婦の作りかた』では主題歌(作詞曲・歌唱)を担当し活動の場を広げている。

デビュー以降、ソロとして3枚、チュラマナとして5枚のアルバムをリリースし活動中。

八重山古典音楽コンクール 平成25年新人賞

八重山古典音楽コンクール 平成28年優秀賞

>>HP

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インタヴュー

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