2017/06/23 10:30

ゴンドウトモヒコ・プロデュースのシンセ・ポップSSW、ミラ パラメータ──2週間先行ハイレゾ配信

左にミラ パラメータこと悦歌(えつか)、そして本作をプロデュースしたゴンドウトモヒコ

管楽器&電子音楽を操り、ソロ、さまざまな客演、そしてMETAFIVEのメンバーとして活躍するゴンドウトモヒコ。そんな彼がプロデュースする、ユニークな名前のレーベル〈愚音堂〉。このたび、このレーベルから飛び出したのはミラ パラメータ。SSWの悦歌(えつか)のシンセ・ポップ・ユニットとなる。ここに1stアルバム『リボーン』が届いた。もちろんプロデュースはゴンドウトモヒコ。80年代を思わせるカラフルなシンセ・ポップ・サウンドに、悦歌のヴォーカルがのびのびと、これまたさまざまな色を表現していく。またマスタリングはMETAFIVEにて、ゴンドウとも活動を共にする砂原良徳が手がけている。本作をOTOTOYではハイレゾ配信をするととともに、なんとフィジカル・リリースから2週間の先行配信となる。


2週間先行ハイレゾ配信

MIRA PARAMETER/リボーン
【Track List】
01. Onion Girl Onion Boy
02. 御徒町ロマン
03. 兎の追憶
04. ナックルボールは過去のスマッシュから飛んだまま
05. MANGEKYO
06. だいきらい だいすき
07. スカートの中の城
08. 夜マラソン
09. かぐやひめ
10. モンスターの子守唄
11. 夜マラソン(ゴンドウトモヒコ Remix) 【Bonus Track】

【左パッケージ:配信形態 / 価格】
24bit/96kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 216円(税込) / アルバムまとめ購入 1,620円(税込)

【右パッケージ:配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 162円(税込) / アルバムまとめ購入 1,296円(税込)

INTERVIEW : ミラ パラメータ with ゴンドウトモヒコ

クジラ座の変光星からやって来た電子の歌姫。 音を聴いた瞬間、そう呼びたくなってしまうアーティストだ。 ゴンドウトモヒコ(METAFIVE、anonymass、pupa)プロデュースのもと、愚音堂から1stアルバム『リボーン』をリリースする歌姫の名は、ミラ パラメータ。占い師としても活動するシンガーソングライター、悦歌のソロ・ユニットだ。 悦歌としては愚音堂のレーベル・サンプラーに参加しているが、ミラ パラメータのサウンドは、悦歌時代のピアノ弾き語りスタイルとは異なる。耳の鋭い人たちの間で「プログレ・エレクトロ・ポップ」として早くも話題になっている独特なものだ。しかもプロデュースをゴンドウトモヒコ、マスタリングを砂原良徳という鉄壁の面々が固めているのだから、80’s世代の人たちのツボにはまるのも当然。そして聴けば聴くほど、電子の迷宮にはまっていくような危険な魅力が備わっている。 そんな不思議的なキャラの実像に迫るべく、ゴンドウトモヒコを交えて話を聞いた。ミラ パラメータとは一体何者なのか。オルター・エゴ? それとも?

インタヴュー&文 : 小暮秀夫
写真 : Hiroko Oishi

実はその昔……

──悦歌として活動する以前、メジャー・デビューもされているんですよね。

ゴンドウトモヒコ(以下、ゴンドウ) : どうしてSONYから?

ミラ パラメータ(以下、ミラ) : 2003年ぐらいの話なんですけど、友だちのライヴを観に秋葉原の〈グッドマン〉ていうライヴハウスに行ったら、DJの男の人がトム&ジョイスとかブラジル系のかっこいいのをかけていて。ちょうど自分のデモを入れたMDを持ってたから、(その人に)渡したの。そしたら3日後くらいに連絡が来て。「音楽事務所系の人に聴かせたら“会いたい”って言うから、ちょっと会ってくれない?」って言われて、会ったんですよ。で、その方がレコード会社に持っていったら、大人たちの話が進んで、それで(契約が)決まったの。

ゴンドウ : 初めて聞いた、それ。

──その時の音楽のスタイルは?

ミラ : まわりが色々なアイデアを出してきて、プリンス女性版とか、ぬいぐるみ持って、服は黒着て歌うとか、ジャニス(・ジョプリン)ぽくとか。で、結局弾き語りにおさまったんですけど。プレデビューCD『Trust Me』の時はバンドで一発録りだったんのですが、アルバム『心のメデューサ』の時はプロデューサーがついて。

──当時、その方向性に満足はしていたんですか?

ミラ : いろいろ勉強になりました。

──その時のアーティスト名の表記は、ECKKO(エッコ)で。

ミラ : 最初はEKKOだったんですよ。でもプロデューサーさんたちが「“C” を入れたほうがデザイン的に面白いんじゃない?」ってなって、ECKKOに。けど、その後やっぱり“C”を抜きました(笑)。それでECKKO時代っていうのは一旦終わり。

──一区切りみたいな感じ?

ミラ : 音楽にどう携わっていいのかちょっと分からなくなって。ただ、CMの仕事とかコンピレーション(のCD)で歌ったりとかはしてましたね。

──ライヴのサポートも色々されているんですよね。

ミラ : 色々と知り合いがいたので。

──村松邦男さんと安部OHJIさんのバンド、R・O・M・Aに参加されていたことがあったそうですが。

ミラ : 音楽の専門学校に行っていたとき、安部OHJIさんがベースの先生をしていて、私はそんなに接点なかったんですけど、授業が終わってから生徒はみんな先生たちといろんな形で交流を深め(笑)。そんなこんなで、繋がりがあったので、 ある時安部OHJIさんが電話をくれて「村松邦男さんとユニット組んだんだけど、手伝って」って言われました。それから3~4年間ぐらいかな。ツアーも行ったりして。すごい勉強になりました。ふたりともとても素敵な曲を書かれるんで。

──占い師はいつ頃始められたんですか?

ミラ : 子供の頃からスピリチュアルな世界は身近に感じていて。事務所を離れた頃に、たまたま知り合いのピアニストさんからタロットカードをプレゼントされて。それで触っていたら、向いてたみたいで、それから、時が経つうちにいつの間にか悦歌という名前で占い師として仕事をするようになりました。

──ということは、悦歌っていうのは、もともとは占い師としての名前だったんですね。

ミラ : そうです。

──悦歌として音楽活動もするようになったのはいつ頃からですか?

ミラ : 悦歌の名義では最近です。 本当ここ2年もたってないぐらい。音楽活動の時の名前と、占い師の名前を一緒にしようと思いました。

Logicで夜なべして打ち込みました

──ゴンドウさんと知り合ったのはいつ頃ですか?

ゴンドウ : ちょうど、飲んだくれてた頃(笑)。

ミラ : (笑)。湯島のバー、MUSIC BAR 道で。その時私、そのBARで占い師やってて。 その時に会いました。

ゴンドウ : (初めて会った時は)ミュージシャンとは知らなかった。共通の友達はいたけど、曲は全然聴いたことがなくて。

ミラ : だから最初の頃はBAR道でたまに会うぐらいだったんだけど、 私が打ち込みを始めたんですよね。logicをいじって遊んでいるうちに面白くなってきちゃって、何か作ろうって思ったの。それが3年ぐらい前の話で。少しずつ曲が溜まってきた段階で、ゴンドウさんに聴かせたんですよ。その時は(歌詞が)全部英語の曲を聴かせたような気がする。

ゴンドウ : それでふたりでライヴとかもちょいちょいやるようになっ て。

ミラ : デュオでライヴをやったんですよ。打ち込みじゃなくて、弾き語りとユーフォニアムで。対バンが村松邦男さんでした。確か、渋谷のラストワルツで。

ゴンドウ : 他にも、色々なところでやって。

ミラ : 自分でも打ち込みの曲を作り貯めてたんだけど、でもそれは、弾き語りの路線とはまた別物みたいな感じで。

ゴンドウ : て言ってるうちに、僕が愚音堂を設立したんだよ。第1弾アーティストで河合(耕平)君がいたんだけど、(レーベル・アーティストとして)頭数にえっちゃんは、もうそこに入ってたっていう。

ミラ : 何気に入ってたよね。

ゴンドウ : その時点でそういうメンバーには入ってて。いつか(アルバムが)できるんだなとは思ってた。

ミラ : 河合君とか今泉仁誠さん(THE GINSENG)とかが先にね。

ゴンドウ : その間どんどん早いのが先に(笑)。えっちゃん、わりと流れるままだから。

ミラ : 自分からガンガンいくって感じじゃないからね。でも、なんか居たね、ずっと。

ゴンドウ : 占い師とか、(他の活動でも)わりと忙しい人なんだな っていうイメージもあるから。

ミラ : そう思われてたんだね。

ゴンドウ : で、ようやくって感じですね。

ミラ : でもそれからはすっごく早かったんですよ。

──今回のアルバムは弾き語り路線ではないですね。

ミラ : 全然違いますね。(どの曲も) Logicで夜なべして打ち込みました。そしたら、ゴンちゃんや知り合いのエンジニアの方にスクリッティ・ポリッティの匂いがするって言われました。でも、私そのスクリッティ・ポリッティってアーティストを知らなくて。

ゴンドウ : そういうの好きなんだなと思って、「こういうの知ってる?」って、スクリッティとか聴かせると、「こういうの好き!」ってはしゃいで。

──スクリッティ・ポリッティの他にはどういう音を聴かせてもらったんですか?

ゴンドウ : プリンスとか。

ミラ : プリンスはもともと好きでした。あとはニュー・オーダーとかデペッシュ・モードとか教えてもらいました。

──そのあたりのアーティストの音楽は自身のルーツにはなかったもの?

ミラ : まったくなかったですね。

──ルーツにはなかったのに、エレクトロ・ポップ世代の人たちのツボを刺激するサウンドになっているのが面白いですね。

ミラ : (リアルタイムでは)通ってなかったので、そういうのは全然意識してないです。むしろ子供の頃に聴いた音を思い出して作ったりとか、頭に響いてる音を表現したりとか。今まで色々な音楽を聴いてはいると思うんですけど、そういうのが出てきたのかも。

──シーケンサーを使って、自分の中に今まで蓄積されてきたものを掘 り起こしていった感じですか?

ミラ : そうですね。音にけっこう敏感だから、「ガー」とかノイズの音を聴いた時に思い出すんですよ。子供の頃のこととか。それで作ったりとか。

──そういうイメージの断片が曲としてつながっていくと。

ミラ : そうそうそう。コラージュみたいな感じで作る。あとは好きなメロディとか。メロディはどんどん出てくるから、組み合わせて。パズルみたいな感じ。

今までやってきた中で、今の自分に一番近いですよ

──ミラ パラメータという名前はいつ頃決まったんですか?

ミラ : 一番最後です。ミラだからこういう音楽を作ろうとかは、これっぽっちもありません。

ゴンドウ : レコーディングしながら、「1人ユニットみたいな名前にしたほうがかっこいいんじゃない?」みたいな。

──ということは、名義変更はゴンドウさんが?

ゴンドウ : 提案してるんですよ。音を聴いた時に、男の子か女の子か分かんない声色だったから。

ミラ : そうらしい。「名前を変えようよ」って、ずっと言われてたの。

ゴンドウ : 「ユニット名っぽいほうがいいんじゃないの?」って。

ミラ : 今はしっくりきてるんですよ、ミラ パラメータが。まわりの人に「ミラさん」て言われるようになったし(笑)。

──ミラ パラメータという名前の由来は?

ミラ : きっかけはSF小説ですね。湯島BAR道で呑んでたら隣に座ってた人が急に本をくれて、SF小説。その主人公がパラメータ・ソルスティスって宇宙人で「パラメータ、かっこいいな」と思って。あと、“ミラ”ってクジラ座の恒星がずっと好きだったの で、ミラもつけようと思って、ミラ パラメータになりました! 名前を決める締め切りの前日くらいでしたね(笑)。

ゴンドウ : 他に名前の候補として、メデューサっていうのもあったんですけど、ただ、メデューサはなあ…って(笑)。

ミラ : メデューサってキャラとして好きなのでいいなって思ったんだけど、大反対の嵐を受けて。

──今回のアルバムではどういうことを歌おうと思いましたか?

ミラ : 今、メッセージっているより日常を歌っていますが、それは今生きてる世界と、その先にある世界が繋がっていていること、場所も時間もあるんだけと無い面白いなってことを歌っています。ゴンちゃんはパラレルワールドみたいだね言ってます。

──確かに現実とファンタジーの境界線上を表現している、みたいな感じはありますよね。

ミラ : ね。だけど私の中では境界線はないんですよ、あんまり。可愛い曲もあり、少年時代の曲もあり、人生つまずいてもう酔っぱらって転がっちゃって駄目な人の曲もあり、キツネの神様の曲もあり、幽霊の曲もあり、結局それは全部自分だったりもして。色々なキャラが私の中に入り込んでいるのかもしれないですね。

──ということは、ミラ パラメータというキャラを演じているわけではない?

ミラ : 今までやってきた中で、今の自分に一番近いですよ。

──ミラさんって、情念むき出しな歌いかたをして自分をさらけ出そうとするタイプではないですよね。

ミラ : でも淡々とむき出してるんですよ。ツンツンむき出している んですよ、一応。

──でもあくまでも表面はポップで。

ミラ : はい。

──今後も打ち込み路線を?

ミラ : もちろん。コンピュータでも作っていくし、でもミラ パラメータとしてのピアノ・アルバムを出すかもしれない。広げていくとは思います。ただ、ミラ パラメータを背負って生きていこうとは思う。

──ミラ パラメータはユニット名?それとも個人名?

ミラ : そこも境界線がなくなってきました。最初は一人ユニットってことでしたけど、皆さんに『ミラさん』って呼ばれる機会も増えてきたし、そこのボーダーラインはあんまりないですねー。

──ミラ パラメータとしてライヴは考えているんですか?

ミラ : コーラスワークにかなりこだわってるから、コーラス隊がいて、あとはおもいっきり打ち込みでやるっていうパターンと、今回のCDをピアノ・アレンジでやるパターン、そのふたつをやりたいなと思ってます。

──『リボーン』というタイトルが物語っているように、今回は第一歩という感じですか?

ミラ : 新たな第一歩です。まさかこうなって、名前も変わって、って自分で、思いもしなかったから。作っていきながらどんどん固まっていくもんなんですね。最初からこうだってことじゃないんだなって。自分でも(完成形が)分からないでパズルを組み立ててた らこうなったんですよ。ここにかけらがあった。ここにもかけらがあった。それを組み合わせたらこういうアルバムができて、最後に名前がミラ パラメータ、作品名が『リボーン』と来た! みたいな。普通は逆なんでしょうか。自分でも驚いています。

──どういう人に聴いてもらいたいですか?

ミラ : 心にモンスターを持ってる人達。色々な思いを経験している人に聴いてほしいです。幸せな人だって何かしらあったりするよね?(笑)。みんな生きてるからね。『リボーン』聴いて、楽しくなってくれたらいいなって思います。ありがとうございます。

RECOMMEND

Maika Leboutet / 100


日仏ハーフの宅録系女性シンガーソングライター、マイカ・ルブテによる穏やかなエレクトロ・ポップ。小山田圭吾、鈴木慶一などゴンドウとも近しい人脈の錚々たるアーティストとの客演を経ての1stアルバム。

AZUMA HITOMI / CHIIRALITY(24bit/48kHz)


野顕子の最新アルバム『飛ばしていくよ』にトラック提供、サンナナニとしてのバンド活動などなど活動も多岐に渡る、いま最も注目のエレクトロ・ポップ・クリエイターと言えるでしょう。

谷本早也歌 / 箱の中の少女 (24bit/48kHz)


自身で作詞・作曲・歌唱を務め、自らDTMですべてのサウンドを作り出し、チップチューンを下敷きにした独自の世界観の楽曲を世に送り出した谷本早也歌。

PROFILE

ミラ パラメータ/MIRA PARAMETER

ミラはクジラ座の変光星で、明るくなったり暗くなったり不思議な恒星。
パラメータは、母数、引数etc、外部から投入される変動要素など意味が書かれてありますがSF小説の人物から取りました。

この2つを繋げて、ミラ パラメータです。

この世に住んでこころからふるわせる出来事、時空を超えてずっと感じて来たことを、思いを込めて音で表現しています。
2004年、Sony music associated recordより、ピアノ弾き語りEckkoとして、デビュー。
2011年より占い師 悦歌‘えつか’としても活動を始める、タロットリーディングを最も得意とし、今まで沢山の方達を鑑定している。

2017年7月愚音堂よりミラ パラメータ/MIRA PARAMETERとしてアルバムをリリースする。

ミラ パラメータ・アーティスト公式ページ

[インタヴュー] MIRA PARAMETER

TOP