「遂に来たか、PELICAN FANCLUB!」──初のフル・アルバム『Home Electronics』を語る

syrup16gやTHE NOVEMBERS、きのこ帝国などを輩出してきたDAIZAWA RECORDSからデビューを果たし、現在まで多くの注目を集めてきた4人組ロック・バンドPELICAN FANCLUB。これまで3枚のミニ・アルバムをリリースしてきた彼らが、待望のフル・アルバム『Home Electronics』をリリースする。甘酸っぱいメロディーと不思議な浮遊感をもったサウンド、透明感のある歌声、多角的でどこかユーモラスな歌詞といった彼らの魅力も、今作では遺憾なく発揮されている。

作品ごとにテーマ性を交えながら様々な視点で楽曲を作り上げてきた彼らであるが、今作は「君と僕」をテーマにしたアルバムとなり、珠玉の新曲12曲が収録されている。メンバー自身も「調子が良すぎて笑っちゃいました」と語る今作のレコーディングはどのように行われ、このアルバムはどのようにつくられたのか、メンバー4人に話を訊いた。

待望の1stフル・アルバムが登場!


PELICAN FANCLUB / Home Electronics

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz)
>>>ハイレゾとは?

【配信価格】
単曲 300円(税込) / アルバム 2,800円(税込)

【収録曲】
1. 深呼吸
2. Night Diver
3. Luna Lunatic
4. Black Beauty
5. You’re my sunshine
6. 夜の高速
7. ダダガー・ダンダント
8. 許されない冗談
9. Trash Trace
10. 花束
11. 朝の次へ
12. Esper

INTERVIEW : PELICAN FANCLUB

本当に凄い作品こそ、何が凄いのか言葉では説明できないものである。『Home Electronics』は間違いなくペリカンファンクラブの最高傑作だし、エンドウ アンリ(Vo.)が「遂に来たか、PELICAN FANCLUB!」というように、多くの人に聴かれるべき名盤だと思う。12曲をすべて聴き終わった時に、まるで宇宙の果てにいるような不思議な感覚を味わった。「何だコレ!?」って感じである。一体彼らはどんなテンションでこのアルバムを作り上げたのか、とことん語ってもらった。

インタヴュー&文 : 真貝聡
写真 : 作永裕範

聴いた人が自分を投影できる場所が12曲すべてにある

左からシミズヒロフミ(Dr)、クルマダヤスフミ(Gt)、カミヤマリョウタツ(Ba)、エンドウアンリ(Gt&Vo)

──PELICAN FANCLUBは、今までに3枚のミニ・アルバムをリリースしてたし、本当はもっと早くに1stアルバムをつくれたんじゃないかなって思いました。あえてこのタイミングでリリースすることに、どんな意図があったんのでしょうか?

エンドウ アンリ(以下、エンドウ) : これまで、自分たちを1番表現できるアルバムの形態というのはミニ・アルバムだけだったんです。だけど3枚のリリースを経たことによって、今のPELICAN FANCLUBを伝えるにはフル・アルバムが良いんじゃないかと。

──では4人にとって、ミニ・アルバムとフル・アルバムの違いってなんですか?

エンドウ : 僕はミニ・アルバムというのはEPに近くて、アーティストの意図が色濃く込められているコンセプチュアルなものだと思ってます。フル・アルバムはその人の歴史を刻む作品かな。

──『Home Electronics』はどんなコンセプトが込められているんでしょうか?

エンドウ : 前作の『OK BALLADE』はみんなが共感できるように、自分の過去と誰かの過去を重ねるような書き方をしていたんですね。特に「記憶について」は〈帰る場所があるから 帰りたくなる〉っていう、誰もが感じているようなことを歌いたいなと思って書きました。今回は「君と僕」ということをテーマにしていて。歌詞の中にいる僕っていうのは聴き手のことで、聴き手が主人公となるっていう。だから、聴いた人が自分を投影できる場所が12曲すべてにあると思います。

左からエンドウアンリ(Gt&Vo)、シミズヒロフミ(Dr)

──前作の『OK BALLADE』で、歌詞は作り込み過ぎずに原文のままメンバーに見せていたと話してましたが、今回はどうですか?

エンドウ : 物語テイストの詞が多かったので、原文というよりは色々と手を入れた段階でメンバーに見せました。1つ気をつけたかったのは、同じ景色でも自分から見ている世界とメンバーから見えている世界が違うことがあって。僕にとっては綺麗だけど、誰かにとっては濁って見えるような。やっぱりそこはPELICAN FANCLUBとしての視点にしたいと思ったので、4人共通の情景を作れるように色々と意見交換をしましたね。

クルマダ ヤスフミ(以下、クルマダ) : エンドウやカミちゃん(カミヤマ)が書いてきた詞に対して、「もっと情景が見えたが良い」って伝えて書き直してもらったりして。そういうやり取りがあったから、より景色が見えやすくなったのかな。

──そんなやり取りがあってなのか、今作はPELICAN FANCLUB史上、最もグルーヴが感じられる1枚になってますよね。

カミヤマ リョウタツ(以下、カミヤマ) : うわー! ありがとうございます。

クルマダ : やっぱり、曲の世界観を全員が共有できているのが大きいよね。

エンドウ : うん。シミくん(シミズ)は、僕の歌詞が1番よく聴こえるようにドラムを叩いてくれてるしね。

シミズ ヒロフミ(以下、シミズ) : 今までリリースした作品の中でも、ダントツで曲と演奏と歌が三位一体になっていると思います。

エンドウが宇宙に行ったなって感じがありました

──12曲の中で、アルバムの軸となっている曲はなんでしょうか?

エンドウ : 僕は「You’re my sunshine」ですね。この曲があるとないので世界観が全然違うんですよ。というのもミックスが全曲で1番派手というか、良い意味で統一感がない。やっぱり、そういうハズしを効かせた曲って、他の曲をよく見せるための隠し味にもなるし、アルバム全体が引き締まるんですよね。

カミヤマ : 迷うんですけど、「Esper」かな。これを最後にもってくるってことに意味があって。普通だったら「朝の次へ」を最後に選びそうですけど、その後に合うテンションの曲を最後に入れる終わり方が昔から結構好きなので。

エンドウ : 本当にそれはあるね。学生の頃からずっと、その良さについて話し合ってたし。今回、それをきちんと形にできたのが本当に良かった。

カミヤマ : 「Esper」はエンドロール的な役割を果たしているので、それがアルバムの締めに繋がっているなって思います。

シミズ : カミちゃんの話しを踏まえて、俺は「朝の次へ」ですかね。最後の曲ではないですけど、最大のクライマックス感をここで表現したことによって、12曲目へキレイに繋がるのかなって。クラシックのティンパニのロールをイメージして叩いてて。「これで終わりだよ」みたいな感じから、最後に繋がる感じがエモいなと。

エンドウ : 本当にこの流れはキレイだよね。

──凄くわかります、今回は本当に曲順の構成が見事ですよね。

エンドウ : めちゃめちゃおもしろい話題だな、コレ(笑)。

クルマダ : 全部の曲に役割があってね。「許されない冗談」とかも、僕は結構イイ味を出しているなと思ってます。最後の感動的な流れをイイ感じに変えることができてるなって。

クルマダヤスフミ(Gt)、カミヤマリョウタツ(Ba)

──ちなみにアルバム全体で「月」、「空」、「空気」、「夜」って言葉が多く使われている気がしました。これは、どんな意図があったのでしょうか?

エンドウ : 対象物はできるだけ遠くに置きたいなと思ったんですよね。例えば、みんなにとって月って1個しかないじゃないですか。そういう対象物が遠いところにあるとか、規模感が大きいものほど共通した認識になるんですよね。そこにおもしろさがあるなって。

──なるほど。

エンドウ : SFもそうじゃないですか? 「あの火星に人が住んでいて、地球を襲撃してくる」みたいなSFならではの感じってイメージしやすいんですよね。何よりも気持ち良いし。

──気持ち良い?

エンドウ : 極端な話ですけど、宇宙の果てを考えて死にたくなることってありません?

──どういうこと?

エンドウ : 僕はよく宇宙の終わりを想像するんですよ。大気圏を超えて、無重力の空間へ通って、さらに先のずっと末端へ行ってみる。でも、それより先は想像できないじゃないですか。それが気持ち良いんですよね。そういう未解決なものを解決してくれるのがSFの魅力かなって。空想だけど、そういうことにしてしまう解釈が凄く好き。

──そういう発想はどこで培ったんですか?

エンドウ : 何が起源なのか分からないくらいありますね。それこそSFものの小説とか映画とか沢山観たかなあ。「ダダガー・ダンダント」もそうですけど、何かに対して愛着を話すときはそれを巻き込んで話したいと思っていて…… もはやフェチですかね。

シミズ : 確かに、あの曲を聴いてエンドウが宇宙に行ったなって感じましたね(笑)。歌詞がこれまでと全然違って、ストレートだし。

クルマダ : 「ダダガー・ダンダント」は今までの中でも新しいし、凄い分かりやすくて、曲を聴いた時点で「良いものができそうだな」って手応えがありましたね。

「遂に来たか、PELICAN FANCLUB!」って

左からクルマダヤスフミ(Gt)、カミヤマリョウタツ(Ba)、エンドウアンリ(Gt&Vo)、シミズヒロフミ(Dr)

──1stアルバムをリリースするということで、これまでの活動を振り返ってもらいます。バンド最大の危機と結束が強くなった瞬間を教えてください。

エンドウ : 解散するかもしれないって危機が1度だけあって。

──そんなことが!?

エンドウ : シミくんが加入する前、CDデビューもしてなくて3人だけで活動していた時期のことなんですけど。クルちゃん(クルマダ)が「もう、これ以上バンド活動はできない」って言って、僕らが下北沢のサイゼリアで延々と止めてて。

クルマダ : 前にいたドラムが抜けちゃって、僕たちは正式なドラマーを見つけられずに2ヶ月ぐらいグダグダした日々を過ごしていた時期があって。このまま、バンドをやってて良いのかって迷いが生まれたんですよね。その時は、バンドだけじゃ食べていけないから別で仕事をやっていたんですけど、そっちも楽しくやっていたので、このままどっちもメインでやるのは難しいなって。それで「バンドを抜ける」って話をしました。

エンドウ : お互いの言い分もあるから、「気持ちはわかるけど、続けることに意味があるんだよ」って僕とカミちゃんで説得して。最終的には続けようってことになったんですけど、あの時はヤバかった。

カミヤマ : 全員で泣きながら話し合ったよね。サイゼリアの店員からしたら、いい迷惑ですよ(笑)。

エンドウ : 逆にシミくんが加入して以降は、バンドとして危機を感じたことはないですね。

カミヤマ : シミくんが正式加入した最初のライブで「コレだ!」ってしっくりくる感覚があって、あの日のことは凄く覚えてますね。

エンドウ : CDをリリースする度に結束力が高まっていて。特に、レコーディングをしていると強く感じますね。

──今作だと、どんな時に感じました?

エンドウ : 「Night Diver」は1発でOKテイクが出て。その時の空気感が今までにないような感じだったんですよ。あれを言葉で表現しづらいんですけど。


PELICAN FANCLUB/Night Diver

クルマダ : 僕はその演奏をブースの外から観ていたんですけど、録り終わった瞬間にこっちの部屋では「うおぉ!」って歓喜の声を上げてましたね(笑)。

エンドウ : 凄かったんですよ、演奏中に鳥肌がずっと立っていて。

カミヤマ : バンドインした瞬間の重力が凄かった。レコーディングの現場にいなかった人でも音を聴いただけで分かるんじゃないかなっていう、謎の重力がありました。

エンドウ : サッカーをやったことがある人ならわかると思うんですけど。ゴールを決めた瞬間って全身にビリビリって電気が通る感覚があるんですね。それと同じ感じが演奏中にずっとして、止まらないんですよ。凄すぎて笑っちゃいましたもん。「遂に来たか、PELICAN FANCLUB!」って、あれは結束感があったな。

──今のPELICAN FANCLUBは凄く調子が良いと。

エンドウ : アルバムを通して、かなり調子が上がりましたね。

──ちなみに音楽以外はどんなことを話しているんですか?

カミヤマ : いつも笑ってるよね(笑)。

──じゃあ、最近1番笑ったことは?

エンドウ : 1番笑ったのはクルちゃんだった気がする。

クルマダ : スリランカカレーを食べた時じゃない?

カミヤマ : え? なんだっけ?

シミズ : スリランカカレー?

──さっきまで「結束力が高まってます」なんて言ってたのに、全然話しが噛み合ってないじゃないですか(笑)。

クルマダ : 掘っ立て小屋の…。

エンドウ : ああ、思い出した! えっと…… クルちゃんて言葉選びが尋常じゃないんですよ。それに対して、僕らは凄く笑うことがあって。たまに無茶振りで弾き語りをしてもらうんですけど、ある日「クルちゃん、即興で曲を歌ってよ」って言ったら、歌詞の出だしが「掘っ立て小屋〜」だったんですよ。

カミヤマ : 普通は「僕は〜」とか「君は〜」から始まるじゃないですか。それが掘っ立て小屋ですよ(笑)。

シミズ : 今までの人生で口に出したことすらないよね。

エンドウ : それを、スリランカカレーを食べた後のリラックスした時に聴いたから思わず爆笑しました。普段だったらなんてことないですけど。

──凄く語彙力あるのか、凄く語彙力がないのか分からないですね。

クルマダ : その流れで話すと、「Dali」のMV撮影で僕が急に弾き語りをした時も大爆笑したよね。

エンドウ : それは今、関係ないだろ。

クルマダ : あ…… じゃあ、大丈夫です。

一同 : (笑)。

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LIVE SCHEDULE

〈PELICAN FANCLUB 『Home Electronics』 発売記念インストアイベント〉
2017年5月13日(土)@タワーレコード新宿店 START 12:00
2017年5月18日(木)@タワーレコード名古屋パルコ店 START 18:30
2017年5月26日(金)@タワーレコード難波店 START 19:00
2017年5月27日(土)@タワーレコード広島店 START 18:30
2017年5月28日(日)@タワーレコード福岡パルコ店 START 18:00
2017年6月02日(金)@タワーレコード仙台パルコ店 START 19:00

〈PELICAN FANCLUB TOUR 2017 “Electronic Store”〉
2017年6月9日(金)@名古屋 APOLLO BASE (ワンマン)
2017年6月18日(日)@大阪 阿倍野ロックタウン (ワンマン)
2017年6月25日(日)@東京 代官山UNIT (ワンマン)
2017年6月30日(金)@福岡 graf
出演 : PELICAN FANCLUB / さよならポエジー / Halo at 四畳半
2017年7月2日(日)@広島 BACK BEAT
出演 : PELICAN FANCLUB / odol+1 Artist
2017年7月3(月)@高松 DIME
出演 : PELICAN FANCLUB / odol / パノラマパナマタウン+1 Artist
2017年7月11日(火)@新潟 REVERST
出演 : PELICAN FANCLUB / mol-74 / lazuli rena nicole / Scott of Grin
2017年7月12日(水)@金沢 vanvanV4
出演 : PELICAN FANCLUB / mol-74 / パノラマパナマタウン
2017年7月13日(木)@仙台 enn 3rd
出演 : PELICAN FANCLUB / The Floor / パノラマパナマタウン+1 Artist
2017年7月14日(金)@千葉 LOOK
出演 : PELICAN FANCLUB / SHE’S / パノラマパナマタウン

その他LIVE
〈シネマのキネマ〉
2017年5月19日(金)@キネマ倶楽部
出演 : PELICAN FANCLUB / cinema staff / Age Factory / SHE’S

〈CINRA×Eggs presents『exPoP!!!!! volume97』〉
2017年5月25日(木)@O-nest
出演 : PELICAN FANCLUB / evening cinema / and more

〈ekoms presents 夜明けの月と煙 vol.10〉
2017年5月29日(月)@青山月見ル君想フ
PELICAN FANCLUB / Maison book girl / BILLIE IDLE

〈YATSUI FESTIVAL! 2017〉
2017年6月17日(土)@渋谷ライブハウス各店

〈mol-74『colors』release tour〉
2017年6月23日(金)@仙台enn 2nd
出演 : PELICAN FANCLUB / mol-74 / LILI LIMIT

PROFILE

PELICAN FANCLUB

2012 年に結成。甘酸っぱいメロディーと多幸感、そしてどこかシニカルな歌詞が魅力の新世代ドリームウェーブ・バンド。2014年10月にタワーレコード限定でリリースした『Capsule Hotel』が早耳音楽リスナーの中で大きな話題となり注目を集める。そして、2015年には1stミニ・アルバム『ANALOG』をリリース。ツアー・ファイナルでは下北沢 SHELTERにて初のワンマン・ライヴを開催。同年7月全国リリース前にも関わらずフジテレビ「LIVE FACTORY 2015」に出演し、8月には2ndミニ・アルバム『PELICAN FANCLUB』でUK.PROJECTからDAIZAWA RECORDS期待の新人として堂々デビュー。8月度「タワレコメン」に選出される。大きな注目を集め「UKFC on the Road」「スペースシャワー列伝」「SAKAE SP-RING」「MINAMI WHEEL」など各地イベントに出演。11月には渋谷 WWWでのワンマン・ライヴを満員の会場の中成功させた。
2016年6月には“今”“瞬間”をテーマにした3rdミニ・アルバム『OK BALLADE』のリリースをリリースし、東名阪で「 CULT’URE OF PELICAN FANCLUB」をThe Mirrazをゲストに迎え開催。7月から毎週月曜日20時〜i-dioの高音質チャンネルTS ONEでレギュラー番組「MUSIC ARROWS〜PELICAN FANCLUBのどストライクヘブン〜」をスタート。9月DAIZAWA RECORDSの15周年イベント「代沢まつり」でウソツキ・pollyと全国5箇所をまわる。11月大阪CONPAS・渋谷WOMBにてワンマン・ライヴ「CULT」を開催3Dメガネを使用した演出やPeriscopeでの生配信など、新たな試みで会場を沸かせた。2017年2月Age Factory・パノラマパナマタウンと「GREAT TRIANGLE TOUR 2017」を開催、全国6箇所をまわる。5月10日待望のファースト・フル・アルバム『Home electronics』をリリース。東名阪ワンマンを含む7箇所でツアーを行う。

アーティスト公式HPはこちら

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