さよならだけが人生さと唄う18歳ーーシンガー・ソングライター、山﨑彩音の心の底に迫る

18歳のシンガー・ソングライター、山﨑彩音が4曲入り音源『キキ』をリリース。15歳から東京・神奈川のライヴハウスで活動をはじめ、16歳のときに声と言葉、全曲詩先による作風、唄とギターのみの一発録音、6曲中2曲がカセットテープ・レコーディングされた1st E.P『Yer』をライヴ会場と通信販売のみで発表。2016年には仲井戸“CHABO”麗市、GLIM SPANKYのオープニング・アクトを務め、〈FUJI ROCK FESTIVAL 2016〉にシンガー・ソングライター史上最年少で出演するなど話題を集めてきた。〈さよならだけが人生さ〉と唄い出す今作は、言葉と空間を響かせる、余計なものが一切入っていない。削っていく、捨てていくというよりは、鳴っているべき、必要な音しか入れない、声と音の間の空気や静寂を鳴らしている。西野カナ、aiko、ハナレグミ等のエンジニア / マニュピュレーター / キーボーディストとして活躍する山本哲也と共に作り上げられた本作をOTOTOYではハイレゾ配信し、山崎彩音への初インタヴューを掲載する。

同世代の少年少女へ向けて唄った4曲でひとつの物語をハイレゾ配信スタート

山崎彩音 / キキ

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC

【配信価格】
単曲 540円(税込) まとめ 1,500円(税込)

【Track List】
1. プレゼント
2. ◯
3. キキ
4. La mer


ギターと唄の一発録りをした1st EPをハイレゾ配信

山﨑彩音 / Yer

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC

【配信価格】
単曲 233円(税込) / まとめ 1,000円(税込)

【Track List】
1. 風の夢
2. 朝の唄
3. アオイカノジョ
4. 叫び
5. 15
6. 誰も知らない

INTERVIEW : 山﨑彩音

いつからか、頻繁にその名前を聞くようになったシンガー・ソングライター、山﨑彩音。活動開始後、〈FUJI ROCK FESTIVAL 2016〉をはじめとする数々の音楽イベントへの出演や大物アーティストとの共演が短期間で実現してきたのは、間違いなく彼女がホンモノのシンガーとして観る者の心を掴んできた証拠だと思う。

しかし、山﨑彩音がいったい何者なのか、はっきりいって僕はまったく知らない。彼女がどこからやってきてどこへ向かおうとしているのか、それは別に知らなくていいことかもしれない。ステージに立つ彼女の佇まいも、その特徴的な節まわしによる歌声も、“そんなことたあ~どうだっていいじゃん”と言っている(ような気がする)。

でも、1stミニ・アルバムの冒頭で〈さよならだけが人生さ〉(「プレゼント」)といきなり歌い出す18歳の心の底をひっくり返して見てみたい。そんな気持ちになったので、本人に思いきって訊いてみた。答えはきっと奥の方、です。

インタヴュー&文 : 岡本貴之
写真 : Jumpei Yamada

高1の秋くらいから自分の歌を歌いたくなって曲を作るようになっていった

ーー彩音さんは湘南出身ということですが、海が近い街の生まれなんですか。

山﨑彩音(以下、彩音) : 湘南といっても家が海の近くとかでは全然なくて別に海が好きなわけでもないんですよ。ただ海の前にある高校に通ってたので、ここ3年間くらいで海に行くようになったような感じですね。

ーー憶えている限りで1番古い音楽体験ってどんなものだったんでしょう。

彩音 : 小さいときからBoAちゃんが好きで歌って踊ったり。そのあとはずっとジャニオタで、関ジャニに入りたくてギターを始めたんですよ。

ーー関ジャニに入りたかった?

彩音 : 関ジャニに入りたかった(笑)。好きすぎてどうしていいのかわからなくて、もうメンバーに入るしかないと思ったんですよ。今思うと、私がジャニーズに入ることってできないって冷静に思えるんですけど、当時は女だからとか関係なく本当に入ると思ってたんです。恐ろしい小学生ですよね。

ーー(笑)。そこからギターを買ってもらったとか?

彩音 : お父さんがもともとギターをやってたので、やりたいって言って貰ったんです。お父さんもお母さんも音楽が好きな人だったので。今思うとジョン・レノンとかクイーンとか流れてた気がしますけど、当時は関ジャニに入ることしか考えてなかったので全然響かなかった。

ーーじゃあ、ギターを手に入れてから変わっていったんですね。

彩音 : 関ジャニに、斉藤和義が楽曲提供してたんですよ。お父さんが斉藤和義を好きだったんで聴くようになって「いいじゃん!」って、熱がどんどんそっちの方に行った感じですね。ジャニーズは今でも好きですけど。それが小5、6くらいです。

ーーロックバンドを聴きだしたのは?

彩音 : 最初に好きになったのバンプ(BUMP OF CHICKEN)だったんですけど、それも小学校のときで。ネットが好きだったんですよ、ネットオタク。パソコン依存症だったんです(笑)。それでニコ動とかでバンプを知って、すごく好きでしたね。バンプもよくコピーしてました。

ーーこれまでバンドの経験はないみたいですけど、その時はバンドをやろうとは思わなかったんですか?

彩音 : バンドやりたかったし、今もやりたいと思ってます。高校に入ったときに軽音部に行ったんですけど、入っているかもわからないような状態だったので、バンドはやらなかったですね。

ーーバンドではなくて最初から1人で歌い出したんですね。

彩音 : そうです。中学校のときに、Xmasコンサートみたいなやつに1人で出ました。ライヴハウスは、高校1年の夏休みにTwitterか何かで出演募集していて、たぶんバンドが出るような感じだったんですけど、「私1人なんですけどいいですか」って連絡して。バンドは組めなかったけど歌いたいし、好きな曲をカバーして歌えるならやってみようかなって。それでブランキーとかゆらゆら帝国とか東京事変とかをやりました。

ーーゆらゆら帝国をアコギ1本でやってる女子高生ってあんまり見たことがないというか…。

彩音 : ウケますよね(笑)。「空洞です」をやりました、あのイントロのリフを弾いて。なんかお気に入りで。本当に自分が好きな曲を歌いたいっていうだけだったから、もちろんバンドの曲が多いし、弾き語りっていう意識もあんまりなかったんです。でも、向上心はあったのでもっと頑張りたいなと思って続けていて。高1の秋くらいから自分の歌を歌いたくなって曲を作るようになっていきました。

「私はこうやっていく」という第三者に対するメッセージ性もある

ーー彩音さんの曲は詞が先に出来るそうですね。

彩音 : そうなんですよ。気に入っているフレーズが先にある場合もありますけど、ほとんど詞が先ですね。音楽を作るより詞を書く方が身近というか。

ーー学校の授業中に書いたりとか?

彩音 : 高校とかほとんどサボってばっかりで。朝、家を出てまっすぐ学校に行けないんですよ、ひとまず間に挟んで休まないと。カフェとかマックとかに行って、そこから学校に行ったり行かなかったりっていう生活を3年間していたんですけど、そういう朝の時間が自分の中では大事で。本を読んだりノートに何か書いたりして。そこで前作『Yer』(1stE.P)の歌詞は書きました。

レーベル me and baby music  発売日 2015/12/18

※ 曲名をクリックすると試聴できます。


ーー確かに、「朝の唄」ってありますもんね。

彩音 : 「朝の唄」を1番最初に作ったんです。高1の秋冬くらいに家でギターを弾いてたら、何の前触れもなく曲ができたんです。曲を作る上で誰かを参考したとかいうことはないんですけど、周りの同世代の子たちがオリジナル曲をやってたので、私も作りたいなと思ってたらできました。

ーー学校に関してはあんまりポジティヴな感じじゃなかったんですね。

彩音 : 入学してしばらくは絵に描いたような女子校生の生活をして輝いていたんですけど(笑)、そこから一気に落ちてから上がれなくなりました。学校がつまらなくなって。友だちはいたんですけど。

ーーそういうときの気分は歌に反映されている?

彩音 : そうですね、前作はそれが強く出てました。

ーー本格的に活動をし出したのはいつ頃からなんですか。

彩音 : 高2が始まるくらいに高橋 Rock Me Babyさん(東芝EMIで忌野清志郎の宣伝を担当・現在山﨑彩音をマネージメントしている)と出会ってからですね。3月くらいに初めて東京でライヴをやって、これからもっと頑張って行こうと思っていたときだったので。ただ、歌を歌って生きていきたいというのは、結構前から思っていたんですよ。オリジナルがなかったくせに図々しくも。

ーーでも、だからこそオリジナルを作れなきゃと思ったわけですね。東京でライヴ活動を始めてからは、学校のない日はほとんどライヴみたいな生活だったんですよね。

彩音 : そうですね。だから学校と自分のやっている音楽とかライヴとのギャップが激しくて、つらかった時期はありましたね。やっぱりライヴは好きなことをやってるから楽しいし、狭いライヴハウスでも広く感じるんですよね。でも教室にいると、「なんでここにいなきゃいけないんだろう?」みたいな気持ちになったり、「昨日ライヴ楽しかったのになあ」とか。

ーーそういうギャップの激しさでいうと、高校時代から〈フジロック〉をはじめとする大きいステージや有名ミュージシャンとの共演も経験してきましたよね。そうした経験から歌や作る曲が変わってきたりはしましたか。

彩音 : それはありました。『キキ』に反映されていると思います。2016年4月8日に下北沢GARDENでやったライヴでチャボ(仲井戸"CHABO"麗市)と共演したとき(リクオ主催のセッション・イベント〈HOBO CONNECTION~HOBO SPECIAL~〉)が大きかったですね。あのライヴは、うれしいけど「まだいいよ~」っていう気持もあったし、「だってチャボだよ!?」って思ってたんですけど。『キキ』の1曲目が「プレゼント」っていう曲名になったのも、その8日の出来事があったからなんです。チャボに会うことは私の中で夢だったんです。(忌野)清志郎には会ったことがないしもう会えないし、チャボに会ってチャボのギターで清志郎の歌を歌うっていうのが1つの夢だったので、それがこんなに未熟なときに叶ってしまうのかっていうのもあったし緊張もあったんですけど、実際にチャボに会って一緒に歌って「また夢を見せてもらったな」っていうか、すごくロマンチックで希望に溢れてたんです。それでその日の夜に「プレゼント」っていうワードと、歌詞の一部が書けて。「こんな素敵な夜もあるんだから頑張って生きて行こう」って思って、〈小さくなっちまう心に こんな夜を 君に プレゼントしたい〉っていうところが浮かんできたんです。メッセージ性とか自分の気持ちが混ざって、自分の中では1番前向きで意志が強い曲になったかなって。

ーー前作は学校生活とか自分の日常を日記みたいに書いていたというか。

彩音 : 自分のために作って自分のために歌うというのがありましたね。でも今作はもっと聴かせたいというか、「私はこうやっていく」という第三者に対するメッセージ性もあったりします。

村上春樹に呪われている感じなんです(笑)

ーー「キキ」はアルバムタイトルにもなっていますが、どんなテーマで作った曲ですか。

彩音 : この曲は〈フジロック〉の後くらい、9月くらいにできた曲なんですけど、17歳だったときのリアルな気持ちというか、自分の中にずっと潜んでいる少女的というか幼い気持ちがあって。それが出ている曲です。タイトルは村上春樹の本に出てくる“キキ”っていう子がいるんですけど、村上春樹は、ギターを弾き出した頃に出会って以来、ずっと今も好きというか囚われているというか、村上春樹に呪われている感じなんです(笑)。村上春樹の作品に出てくる女性に私自身が憧れているというのがあって。お気に入りの名前だったのでつけちゃいました。

ーー村上春樹の影響は大きいんですね。

彩音 : 大きいですね。音楽よりもけっこうそういう方からの影響が大きいですね。

ーー彩音さんはどちらかというと、“ことばの人”ですよね。

彩音 : ああ、うれしい言葉ですね、それは。カッコイイ(笑)。

ーー歌詞を聴いていても自分のことを直接的に言っている感じじゃないですもんね。

彩音 : うん、だって恥ずかしいですもん。わりと恥ずかしがり屋なんで。本当のことはあんまり言えないですね。言わない方がいいっていうか、“隠しておく美学”みたいなものが自分の中であって。「キキ」は聴いてくれた人が想像してくれる曲になったなって思います。

ーーでもその中には、メッセージ性も含まれているわけですよね。誰に向けて歌いたい、という気持ちも大きくなってきましたか。

彩音 : いろんなことがあんまりわからなかったんですよね。自分のこともそうだし世の中のこともそうだし、音楽のことも全然わからないし、これまでは「わからないからわからない」っていう風に歌っていたんですけど、それも変わってきて。どういう人に向けて歌いたいのかっていうことを思うようになりましたね。

ーー彩音さん自身が歌を聴くときにそういうメッセージを感じることが多いですか。「この曲は私の歌だ」とか。

彩音 : だいたい、自分のために歌ってくれているって思っちゃいますよね、曲を聴いていると。「私の曲じゃん!」みたいな。たまに悔しくなったりするんですよ、「この曲をあなたが作ってなかったら私が作ってたと思う」って。そういう感情になったりするときがあります。

ーー本当にその人の曲が好きになるってそういうことだと思うんです。自分は世代的には彩音さんの曲に自分を投影するというのとはちょっと距離があるんだけど、同世代の人が聴いたときには「これは私だ」って思う音楽なんじゃないかなって。

彩音 : ああ~、たまに言われますね「よく言ってくれた」みたいなことは。嬉しいことですね。

今は「次の作品はどうしよかな」っていう新しい気持ちでいる

ーー『キキ』かなり前からライヴでやっていた曲も入っていますが、制作は去年から始めていたんでしょうか。

彩音 : そうです。バンド体制で録るとか色んな案があったんですけど、やっぱり高校生のうちに、もう1枚自分だけでやりたいと思ってこういう形になりました。

ーーエレキギターやピアノが入っていたり打ち込みのリズムが入っていたり、アコギに弾き語りだけではないですけど、そのあたりは共同プロデューサーの山本哲也さんと話しながら進めていった感じですか。

彩音 : わたしはイメージを口にするのが苦手だったんですけど、山本さんがレコーディングのときに「この曲はこう思うけど、これを加えてみよう」とかアイデアを出してくれて。1人でやる音源として考えてはいたんですけど、「この曲は上でピアノが鳴っているな」とか、ちょっとしたイメージがあったので、何かしら音は加えるだろうなとは思っていたので。「プレゼント」なんかは「これはバンドの曲だ」みたいに作ったりしました。

ーー最近、ドラマーのワタナベミカさんとライヴをやっていますが、それは『キキ』の制作過程でそういう方向性も生まれたということ?

彩音 : そうですね。ライヴでやるんだったらリズムを加えてみるのもいいかなということで、今回は打ち込みを入れてみたんですけど、いずれバンドでやりたい気持ちもあって、まずドラムと2人で固めた方が良いかなって。やってみたら、ドラムと2人って意外と新鮮で面白くて。それを今は突き詰めてます。

ーー出来上がりを聴いてみてどう思いました?

彩音 : ギター以外の音を入れたりすることによって、曲たちが持っているあるべき形に近づいたというか、曲自体の良さが広がったと思うんです。それが形になってすごくうれしかったし、前よりもジャケットも含めて「こういう風にしたい」という自我が出てきたので、それが上手くできたのでよかったです。前作では自分を客観的に見ることができなかったんですけど、今回はそこが少し補われたかなって思ってます。でも、わりと出来上がってから時間が経っているので、それも過去の自分になってきちゃったかなって。これがリリースされて、今までの自分と『キキ』が一緒にどっかにいっちゃうような感覚ですね。だから今は「次の作品はどうしよかな」っていう新しい気持ちでいる感じです。色んなことにチャレンジしたいですね。

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LIVE SCHEDULE

山﨑 彩音 ミニアルバム『キキ』リリース記念 MINI LIVE&サイン&握手会
2017年5月5日(金)@HMV&BOOKS TOKYO 6Fイベントスペース
時間 : 開演 14:00
イベント内容 : ミニ・ライヴ&サイン握手会 ※ミニ・ライヴは観覧フリーです。

PROFILE

山崎彩音

1999年1月26日生まれ、神奈川県湘南 18才
シンガー・ソングライター

15才から東京、神奈川の有名ライヴハウスで活動。16才の時に1stE.P『Yer』をライヴ会場と通信販売のみで発表。声と言葉、全曲詩先による作風、唄とギターのみの一発録音、6曲中2曲がカセットテープ・レコーディング。ジワジワ話題になる。翌2016年、仲井戸“CHABO”麗市、GLIM SPANKYのオープニング・アクト、アースデイ at 代々木公園野外音楽堂、渋谷クアトロ、渋谷WWW等のイベントに出演。〈FUJI ROCK FESTIVAL 2016〉にシンガー・ソングライター史上最年少で出演(2日連続で出演)。オハラ☆ブレイク 16のトップで出演。2017年4月26日、ファースト・ミニ・アルバム『キキ』を発売。言葉と空間。余計なものが一切入っていない。声と音の間の空気や静寂を鳴らしている。

Official HP

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インタヴュー

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筆者について
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