【ライヴ・レポート】京都の若きノスタルジー・バンド、バレーボウイズ

いま京都では、ギリシャラブや本日休演、台風クラブなど、ノスタルジックなサウンドで懐かしさを醸し出しているバンドが1つのムーヴメントになりつつある。京都のインディー・シーンは今、彼らの話題で持ち切りなのだ。かつてくるりやキセルなど、京都の音楽シーンに注目が集まっていた時代があった。そんな時代の再来を期待させるような火種が、京都には転がっている。そしてその火種の1つに名乗り上げようとしているのが、超若手の7人組ノスタルジック・ロックバンド、バレーボウイズである。avex、DUM DUM LLP.、HOT STUFF、lute、ULTRA-VYBEが合同で開催し、特別審査員として中尾憲太郎(ex.ナンバーガール、Crypt City)、松田“CHABE”岳二(LEARNERS、CUBISMO GRAFICO)、MC.sirafu(片想い、ザ・なつやすみバンド)が参加した無差別級ライヴ・オーディション「TOKYO BIG UP! 」ではグランプリを獲得するなど、着々とその名を広めるバレーボウイズのライヴ・レポートをお届け。

テキスト : 水上健汰

LIVE REPORT : バレーボウイズ

2017年2月、3月は詰め込むようにライヴを行い、すでに京都のライヴハウスでは話題の中心にいることが多いバレーボウイズ。今回はそんな中の1つ、3月27日に心斎橋Pangeaで行われたイベント〈おにぎりvol.3〉に出演していた様子をレポートする。

バレーボウイズ

九鬼BOY(Gt.)のソウルフルなギターと、サカキ(Ba.)、ビッグナゲット(Dr.)によるセッションでライヴはスタートした 。そこからチャッキー(Gt. / Cho.)によるサイケデリックなギターがセッションに合流。会場はダンディズムを感じる音像に引き込まれた。そしてその渋い雰囲気は一変し、ノスタルジックなメロディーに急展開を見せる。

こうして始まった1曲目の「祭」。ライヴ初めの渋い音と、ノスタルジックで民謡のようなメロディーとのギャップは、観客をくぎ付けにした。「アサヤケ」ではじゃーぱ(Vo.)が鳴らす自転車のベルと、ねぎ(Vo. / Gt.)の落ち着いたアコギが、フォークソングのようなメロディーを奏で、そこから一気にガレージ・パンクのようなメロディーに爆発する姿は、観客を童心に帰らせる。「夏休み」では、SEとして使われたセミの鳴き声によって、薄暗いライヴハウスを、まるで夏休みの青空が広がったかのような空間にした。そんな解放感とは裏腹に物憂げなギターの音と、優しく語り掛けるようなヴォーカルは、夏休みが終わりに向かっていくような哀愁を漂わせていた。曲が終わる頃には、観客はお盆休みに田舎に帰った時の、あの夕暮れのような何とも心地よい優しさに包まれた。

ここまであまりMCを挟まずに演奏してきたが、最後の曲を前にして前田タイソン(Vo.)が「卒業シーズンですけどそんなんどうでもいいなって曲です。」と一言。はじまった最後の曲は「卒業」。「いつまでたっても大人になりゃしねぇ!」と叫ぶ前田の姿は無垢なこどものようでありながらも、熱い思いを感じさせる。ところどころ感じるパンクの要素に、観客も一緒にシンガロングしたくなる。こうして、終始バレーボウイズの漂わせるなつかしさと心地よさに、観客は体を揺らし続けライヴは終了した。

バレーボウイズが注目され、じわじわと活動の幅を広げているのは、メロディーの持つなつかしさや、ヴォーカル3人のアンサンブル感によるものが大きいだろう。しかし、バレーボウイズの魅力はそこだけではない。ポップなメロディーの中にギター・ロックをしっかり感じるところだ。ガレージ・パンクのようなギターが鳴り響いていることで、なつかしさや優しさのあるヴォーカルを後押しし、ただただ優しいだけではない迫力のある音楽を作り出している。そんな歌謡曲とパンクが共存しているようなバレーボウイズの音楽は、見る人をただなつかしさに浸らせるのではなく、音の心地よさでしっかり観客を躍らせていた。これからも進み続けるバレーボウイズをぜひ1度体感してほしい! (Text by by 水上健汰)

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PROFILE

バレーボウイズ

2016年京都市左京区民で結成されたナツカシイサウンズバンド。
昭和歌謡とアイドルサウンズの融合を目指す。切ないギターの音と田舎臭い歌詞が誰もが経験したことのあるあの頃の懐かしい感覚を呼び起こす。
活動拠点は主に京都であるがお呼びとあらばどこへでも。

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