2017/04/17 15:16

トータスのギタリスト、ジェフ・パーカー、ディラからの影響を公言する作品をハイレゾ・リリース!

Chicago Underground、Activities Of Dustをはじめ、現在もトータスのメンバーとして活躍する名手、ギタリストのジェフ・パーカーが2016年6月にリリースしたソロ2作目『The New Breed』の日本盤がリリースされた。日本盤では、レーベルメイトであるシカゴ在住のドラマー、マカヤ・マクレイヴンによる「Logan Hardware Remix」が追加収録されている。シカゴの新興レーベル〈International Anthem〉から昨年リリースされていた本作は、NPR、Observer、New York Times、Los Angeles Times、Aquarium Drunkard、Bandcamp等アメリカの音楽メディアで年間ベストにランクインし、非常に高い評価を獲得している。OTOTOYでは、こちらハイレゾ版のデジタル配信を行うとともに、アルバム全体購入に、CDと同様、柳樂光隆(『JAZZ THE NEW CHAPTER』監修者)によるライナーノーツをPDFで同梱。きめ細やかなギターの響き、そしてその極上のビートをハイレゾで。


配信ではOTOTOY限定、ハイレゾ版アルバムまとめ購入で柳樂隆光によるライナーPDF付き

Jeff Parker / The New Breed (24bit/44.1kHz)
【Track List】
01. Executive Life
02. Para Ha Tay
03. Here Comes Ezra
04. Visions
05. Jrifted
06. How Fun It Is To Year Whip
07. Get Dressed
08. Clich
09. Logan Hardware Remix -- Jeff Parker, Makaya McCraven

【配信形態 / 価格】
24bit/48kHz WAV / ALAC / FLAC
単曲 250円(税込) / アルバムまとめ購入 1,800円(税込)

REVIEW:Jeff Parker『The New Breed』ジャズを起点に、ディラ・ビートへ


文:寺島 和貴

こんな秀作に気づかずにいたなんて……。僕と同じように買い逃していたアナタ、日本盤が出るこのタイミングでしれっと買ってしまいましょう。今なら去年この作品をスルーしていたことも帳消しです。

とかいう話は置いておいて。ソロ2作目となる本作は、ジェフ本人とポール・ブライアン(ミシェル・ンデゲオチェロやノラ・ジョーンズのツアー/レコーディング・メンバーとして知られる)の共同プロデュースとなっており、ポールはベーシスト / レコーディング・ミックス・エンジニアとしても参加している。また、Jディラ以降のうねるようなビート感をもフリーキーにたらしているのはロバート・グラスパー・トリオへの参加で一躍注目を集めたジャズ・ドラマー界の新星ジャマイア・ウィリアムス。それに加え、マスタリングはJ・ディラの最高傑作『Donuts』を手がけたデイヴ・クーリーが手がけている。これだけの情報でも、この作品がソウル~ヒップホップ~ジャズとクロスオーバーした音楽性を持っていることは明らかだろう。

オープニングを飾る「Executive Life」は、タメの効いたドラムとバッキングにギターとサックスの艶やかなユニゾンが乗るネオ・ソウル・ライクなビート・ミュージック。かと思いきや、後半からは各パートがフリーキーにプレイする浮遊感ある展開が刺激的。インタールード的な「Para Ha Tay」を挟んで、3曲目の「Here Comes Ezra」は、BADBADNOTGOODの『Ⅳ』を彷彿とさせる、ふくよかなギターとミニマルなトラックが不穏な一曲だ。昨年惜しくも亡くなったビブラフォン奏者ボビー・ハッチャーソンのカヴァー「Visions」では、ジェフの哀愁ただようソロギターが耀り、続く「Jrifted」はどのパートを取ってもジャズ・プレイヤーたちの真骨頂を見るような、フリースタイルな展開が続く。ジェフの実娘であるルビー・パーカーがヴォーカルを務める「Cliche」では、素朴な彼女の歌声とサックスの二枚看板で曲を彩る。ストイックにロウでレイドバックなビートを叩き続けるジャマイア・ウィリアムスの仕事も素晴らしい。そして、アルバムの最後を担うは日本盤限定の「Logan Hardware Remix」。収録曲のトラックから生み出された“いいとこどり”のリミックスは、作品中で最もアグレッシブなビート・ミュージックに仕立てあげられ、まるで洋画のエンドロールを見ながら聴くふたつ目のエンディング曲のよう。ぐっと重心を抑えつつもじわじわと高揚感が煽られる気持ちいい締めになっている。

『The New Breed』、非常に間口が広いアルバムである。トータスやジャズのファンはもちろん、ヒップホップとネオソウルやいわゆる『Jazz The New Chapter』系のサウンド、ロウなビート・ミュージックといったようなヒップホップ経由の音楽を聴いている人には特にレコメンドしたい。普段聴いている音楽にも新たな発見があるような味わい深い作品になっているので、是非手に取ってみて欲しい。また、翌月にトータスとジャズ・ドラマー、スコット・アメンドラのメンバーとして来日が予定されている。こちらも併せてチェックしてみて欲しい。


本作品のクレジット(日本盤リリース元、HEADZの公式ページより転載)

Produced by Paul Bryan and Jeff Parker

Jeff Parker - electric guitar, Korg MS20, Wurlitzer electric piano, Mellotron, loops and samplers, MIDI and drum programming
Josh Johnson - alto saxophone, flute, clarinet, Wurlitzer electric piano, Mellotron
Paul Bryan - electric bass guitar
Jamire Williams - drums
Jay Bellerose - drums and percussion (“Visions” only)
Ruby Parker - vocals

Engineered, edited and mixed by Paul Bryan intermittently from February to December, 2015 in Santa Monica CA.
Vocals recorded by John McEntire at SOMA E.M.S., Chicago.
Mastered by Dave Cooley at Elysian Masters, Los Angeles.

All songs and lyrics composed and arranged by Jeff Parker (umjabuglafeesh music, BMI),
except “Visions” by Bobby Hutcherson

RECOMMENDED

J Dilla / The Diary

2002年に制作されるもお蔵入りとなっていたJ・ディラのアルバム。2002年といえば、2000年前後のディアンジェロ、スラム・ヴィレッジ、ア・トライブ・コールド・クエストの作品といった彼の才能を世に認めさせた、代表的なプロデュース参加がリリースされた直後。とはいえ、こちら数曲以外は彼が認めたプロデュースによるラップ・アルバムといった体裁。

PPP / Triple P

上記作品にも参加、プロデューサーとしてJ・ディラにも認められたワジードを中心としたR&B〜ビート・ミュージックのグループで、デトロイト出身というところも含めて、ある意味でJ・ディラの後継者とも言えそうな期待を背負っていた。こちらは2005年の名盤。

Tortoise / The Catastrophist

ひさびさのリリースとなったアルバム。ジェフの本格的な参加作品となった名盤『TNT』を彷彿とさせる、豊かなバンド・アンサブルが中心にした作品なった。

SCHEDULE

ジェフ・パーカー来日情報
5月にトータスのメンバーとして来日決定、またジャズ・ドラマー、スコット・アメンドラのユニットのメンバーとして来日します。

SCOTT AMENDOLA BAND featuring
NELS CLINE, JEFF PARKER, JENNY SCHEINMAN & CHRIS LIGHTCAP


2017年5月11日(木)~ 5月13日(土)
at COTTON CLUB

■5月11日(木) & 5月12日(金)
[1st.show] open 5:00pm / start 6:30pm
[2nd.show] open 8:00pm / start 9:00pm
■5月13日(土)
[1st.show] open 4:00pm / start 5:00pm
[2nd.show] open 6:30pm / start 8:00pm

ライヴの詳細情報
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/scott-amendola/

トータス
ビルボードライブ公演

東京
2017年5月15日(月) & 5月17日(水)
at Billboard LIVE TOKYO

1st 開場17:30 / 開演19:00
2nd 開場20:45 / 開演21:30

大阪
2017年5月19日(金)
at Billboard LIVE OSAKA
1st 開場17:30 / 開演18:30
2nd 開場20:30 / 開演21:30

ライヴの詳細情報
http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/47583/2

PROFILE

JEFF PARKER

ヴァージニア州ホンプトン生まれ、ジャズ・ギターリスト。やはりキャリアが注目されるようになったのは、1993年にシカゴにその活動拠点を移し、シカゴ音響派〜トータスへの加入を経てから。トータス以外では、ソロ作、そしてアイソトープ217、シカゴ・アンダーグラウンド・トリオ / カルテット / オーケストラなど、そのキャリアを象徴するようにシカゴのポストロック〜アヴァン・ジャズの橋渡しとなるようなプロジェクトで活動。現在はシカゴを離れてLA在住。

JEFF PARKER アーティスト・ページ

この記事の筆者

[レヴュー] Jeff Parker

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