2017/02/27 10:54

【REVIEW】ノイジーでありポップ、驚くべきスピードで進化を遂げたヒップホップ・サウンド——JJJ、2ndアルバム

その存在は、Fla$hBackS、ソロとして作品の評価はもとより、その客演やトラックメイクのクレジットのリストを見るだけでもシーンのなかでもはや欠かせない才能であることがわかる。ここに、JJJの2ndソロ『HIKARI』が届いた。自身のトラックメイク、ラップを中心に、5lack、同郷川崎のSTICKY、MONJU/DOWN NORTH CAMPの仙人掌、KANDYTOWN / BCDMGのラッパーYOUNG JUJUなどのラッパーをフィーチャー。またENDRUN、Aru-2、STUTSといったトラックメイカーも参加。まさに2017年の国産ヒップホップの重要作の1枚と言えるだろう。OTOTOYでは本作を配信、二木信のレヴューで紹介しよう。


JJJ / HIKARI
【Track List】
01. BABE feat. 鋼田テフロン
02. ELA
03. EXP feat. KID FRESINO
04. COWHOUSE feat. YOUNG JUJU
05. HPN feat. 5LACK
06. PLACE TO GO
07. ORANGE feat. STICKY
08. DJANGO!
09. COLD
10. SOUL
11. MIDNIGHT BLU feat. 仙人掌, Emi Meyer
12. 2024 feat. Fla$hBackS
13. DANCE SHOES

【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 257円(税込) / アルバムまとめ購入 1,697円(税込)

REVIEW : JJJ『HIKARI』──進化の先、さらなるステージへ


text by 二木信


すべては音からはじまっている。すべては音の、音楽の中の世界の出来事だ。JJJは純粋に音楽の世界の住人だ。JJJの1st『Yacht Club』(2014年11月)のレビューを書いたとき、「音楽は組織化されたノイズに他ならない」(ハンク・ショックリー)という言葉を寄せた。2ndとなる『HIKARI』でもその感想は変わらない。が、この約3年でJJJは進化している。驚くべきスピードで。Illicit Tsuboiのツイートで「機材がMachineに」なったことも知った。ビートメイカー/プロデューサーとしてのJJJは大量の音のパーツを組み合わせ組織化する。それはヒップホップ・プロデューサーであれば誰もがやっている。だがJJJは圧倒的に他と違う。複数のスネア、いくつものハイハット、数々のキック、そしてベース、SE、声ネタ、スクラッチ、ブルース・ギター、シンセ音、叫び声……——それらの組織化の方法が型破りだ。

騒々しいはずなのに騒々しくなく、激しいようで静かで、またその逆もある。ノイジーでありポップ。そこが最も驚くべきところで稀に見る才能としか言いようがない。その強烈な個性ゆえに、JJJがENDRUNと共作したシンプルなループ、またSTUTSの正統派のブーム・バップ、Aru-2のムーディーなダウンテンポが心地良く際立つ。JJJのリリックには詩情がある。が、ウェットではない。その多彩なフロウとスキルで詩情はすべて音楽への情熱に昇華される。仙人掌、5lack、YOUNG JUJU、STICKY、KID FRESINOといったラッパー、シンガーEmi Meyerとの共作もあり、Fla$hBackS名義の曲もある。どれもがシングル・カットできるクオリティだ。鋼田テフロンのヴォーカルをフィーチャーした華のある1曲目“BABE”を聴いてこの作品は特別ではないかという期待は高まる。その期待は裏切られない。JJJがより大きな世界で勝負する日は遠くないと確信できる。

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こちらは2010-2012年の間に制作したという、いまではレアな初期作品集とも言うべき作品。

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前作にあたる1stソロ・アルバム、febb as Young Mason、KID FRESINOといったFla$hBackSの面々に加えて、SU (RIP SLYME)、MONJU、MUTA、Kiano Jones、Taha Vanillaなどヒップホップ、メジャー / アンダーグラウンド、さらにACOなど多彩なゲストも。

Fla$hBackS / FL$8KS(Another Mastering Ver.)

シーンにその存在をFebb、KID FRESINOとともに知らしめた1stアルバム。

KID FRESINO / Salve

最近リリースされた朋友KID FRESINOの新作はバンドをフィーチャーしたグルーヴィーな作品。タイトル曲にてフィーチャー。

プロフィール

JJJ

1989 / Fla$hBackS / KC ALLDAY

Twitter : twitter.com/__j_j_j__
Soundcroud : soundcloud.com/jjj-soma
Blog : jjjj-soma.blogspot.jp

この記事の筆者
二木 信 (shin)

音楽ライター。共編著に『素人の乱』(河出書房新社)など。2013年、ゼロ年代の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』(ele-king books)を刊行。漢 a.k.a. GAMI著『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社/2015年)の企画・構成を担当。@shinfutatsugi

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