メロウ・グルーヴ・ポップの最新型──Kan Sano『k is s』独占ハイレゾ配信

mabanuaらとともにorigami PRODUCTIONSを象徴するソロ・アーティストとして、そしてHEXへの参加や、作品 / ライヴでの多くの客演など、この国のシーンになくてはならないキーボーディストでもあるKan Sano。待望の3rdアルバム『k is s』がここに完成した。国内のインディ・ロック・シーンでも多く援用されるようになったポスト・J・ディラ〜ネオ・ソウル的なビート(というか彼はインディ・ロック・シーンとの邂逅も含めて、その道のパイオニアのひとりと言えるだろう)や鮮やかなファンクでグルーヴを刻みながら、アルバムではメロディアスなアプローチの楽曲を多く展開している。さらに言えば、すでにMVが公開され話題になっている、七尾旅人をフィーチャリングした「C’est la vie」をはじめ、その他のゲスト・ヴォーカル、そして自身のヴォーカルも含めて、歌心に溢れたアルバムでもある。OTOTOYでは本作を独占のハイレゾ配信を行うとともに、レヴューにて紹介しよう。


Kan Sano / k is s(48kHz/24bit)

【Track List】
01. Penny Lane
02. Magic!
03. Reasons feat. Michael Kaneko
04. C'est la vie feat. 七尾旅人
05. lovechild
06. Can't Stay Away feat. Maylee Todd
07. Momma Says feat. 島村智才
08. LAMP
09. と び ら
10. Awake Your Mind
11. Let It Flow

【配信形態 / 価格】
24bit/48kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 250円(税込) / アルバムまとめ購入 2,057円(税込)

REVIEW : 滲み出す、ソングライターとしての才能

Kan Sanoというミュージシャンはたしかに優しくも洗練されたメロディラインを紡ぐピアニストであるし、微妙な揺らぎを持ったドープでストイックなブレイクビーツを生み出すビートメイカーでもある。そして、その両方のキャラクターを精緻に交配させて生み出した作品が前作『2.0.1.1.』だった。だが、牽強付会を承知でいうが、Kan Sanoは実は優れたポップ・ミュージックを書くことのできるソングライターなのではないか──約3年ぶりの新作となるこの『k is s』を聴いているとそう思わずにはいられないのだ。

輝きを放つメロディ

今作は全曲打ち込みで音を作っているゆえか、前作では抑制されていたビートの躍動感が全面に出ている。その躍動感は2011年の『Fantastic Farewell』にあったゆったりしながらも複雑さや揺らぎを意識したようなビートからではなく、シンプルかつタイトなビートによって生み出されているのだ。また、ピアノを通して自分の音楽がどう成り立ってきたのかということまで思いを巡らせたともいえる前作にあった、メロディやハーモニーを大切にしたソングラティングと地続きになっている点も見逃すことはできない。

今作に七尾旅人やメイリー・トッド、島村智才、Micheal Kanekoといった多彩なゲスト・ヴォーカルを迎えていることからも、それをうかがい知ることができる。そんな曲作りから生み出される艶然かつ甘美でどこかノスタルジックさも感じさせるメロディは今作でも堰を切ったように溢れ出し、輝きを放っているのだ。そんなメロディに対して、ビートは絶妙なタイム感とライヴ感を持ちながらしなやかなグルーヴをキープしている。それらのスリリングな関係が、この『k is s』という作品をポップ・ミュージックたらしめているように思うのだ。そして、この作品は間違いなく、我々をスウィートな気分にさせてくれる。(text by 坂本哲哉)

RECOMMEND

Kan Sano / 2.0.1.1.(24bit/48kHz)

2年前にリリースされた前作。ビート・ミュージック的な感覚よりも、ピアノの音色をフィーチャーし、どちらかと言えば彼のジャズの出自へと寄った感覚の作品に。
Ovall / DAWN(24bit/48kHz)

同じくorigami PRODUCTIONS所属、mabanuaらが在籍したOvall。この後、残念ながら活動を休止した。ネオ・ソウル的なビート感をドープでなく、ポップへと昇華。
cero /街の報せ (24bit/48kHz)

ceroの最新シングルは、NY録音での黒田卓也(Tp)、Corey King(Tb)、トラックメイカー、Sauce81の参加など「Obscure Ride」で見せた現在進行形のR&B/ジャズの感覚をさらに推し進めている。

LIVE SCHEDULE


Magical kiss tour 2017
京音 -KYOTO- 2017
2017年2月17日(金)〜19日(日)
@京都会場未定
※ Kan Sano の出演日・会場は決まり次第お知らせします。

2017年3月3日(金)
@代官山LOOP “360° ALLINONE”
Guest : 七尾旅人 / Michael Kaneko

2017年3月11日(土)
@心斎橋 SUNHALL “Magical Echo 2017”
with Yasei Collective and more
※ 最速オフィシャル先行予約 受付中!! (〜12/6まで)

2017年3月18日(土)
@群馬]前橋市芸術文化れんが蔵
with Michael Kaneko and more

2017年3月24日(金)
@福岡大名brick

2017年3月25日(土)
@佐賀ROCKRIDE

2017年3月2日(日)
@熊本NAVARO

more shows to be announced !!

>>詳しいライヴ・スケジュールは公式ページへ

PROFILE

Kan Sano

キーボーディスト/トラックメイカー/プロデューサー。バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。在学中には自らのバンドでMonterey Jazz Festivalなどに出演。キーボーディスト、プロデューサーとしてChara、UA、大橋トリオ、RHYMESTER、佐藤竹善、Madlib、Shing02、いであやか、青葉市子、Seiho、韻シスト、Nao Yoshioka、Ovall、mabanua、須永辰緒、七尾旅人、Monday Michiru、羊毛とおはな、片平里菜、Hanah Spring、COMA-CHI、Twigy、アンミカ、Monica、ゲントウキ、Eric Lauなどのライブやレコーディングに参加。また新世代のビートメイカー、プロデューサーとして国内外のコンピレーションに多数参加する他、LION、カルピス、CASIO、NTT、ジョンソン、日本管理センターのCMやJ-WAVEのジングル、AnyTokyo 2015の会場音楽など各所に楽曲を提供。さらにSoundCloud上でコンスタントに発表しているリミックス作品やオリジナル楽曲がネット上で大きな話題を生み、累計40万再生を記録。また、トラックメイカーとしてビートミュージックシーンを牽引する存在である一方、ピアノ一本での即興演奏でもジャズとクラシックを融合したような独自のスタイルで全国のホールやクラブ、ライブハウスで活動中。

>>Kan Sano アーティスト・ページ

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by 純三
筆者について
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