なんてことのない「心の風景」を、あえて、渡してみたい──長澤知之、デビュー10周年目の渾身の作、ハイレゾ配信

2016年前半、ALとしてのリリースとパフォーマンスでロック・シーンの話題をさらった長澤知之が、デビュー10周年の節目に渾身のソロ作品をリリース! 共同サウンドプロデューサー益子樹(ROVO)による、本人の鼓動に寄り添ったプロダクションを軸にもう死んだ人たち、ジム・オルークバンドなどでベーシストとして活動する須藤俊明、大柴広己のサポート他で知られるドラム・吉本ヒロ、ゲスト・コーラスに一色徳保(つばき)が参加。「風鈴の音色」では新鋭の女性シンガー・ソングライター、村上紗由里をメイン・ヴォーカルに添える大胆な試みも披露。今までにない実験性と彼の持つ普遍性が融合した意欲的な作品に仕上がった。OTOTOYではCDの発売に先駆け、ハイレゾ配信をスタート。

デビュー10周年を迎えて渾身のソロ・アルバム、先行ハイレゾ配信!!

長澤知之 / GIFT

【Track List】
01. 時雨
02. 舌
03. アーティスト
04. 君だけだ Acoustic Ver.
05. ボトラー
06. 風鈴の音色
07. 無題

【配信形態 / 価格】
24bit/96kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
アルバム 2,800円(税込)

REVIEW : 長澤知之『GIFT』

わたしたちにはそれぞれ、どんな「心の風景」があるだろう。たとえばそれは、自分のふるさとの景色かもしれないし、夜道で遠くから聞こえる電車の音かもしれない。あるいは、惨めさを感じた夕方。寝起きに聞こえた雨音。イヤホンコードの絡まりを解きながら家を出る瞬間。いつの間にか、あんなに欲しかったものが溜息にかわってしまっていたこと。どうにも名前のつけられない、「無題」と呼びたくなるような心の隙間。


長澤知之 / 無題

長澤知之の新譜『GIFT』は、自身のブログで宣言していた通り「流れる水みたいな」アルバムだった。常に流れているからこその澄み切った美しさや諦め、そして流れの中でも揺るがない信念。日常や、感情にしても、たくさんの思い出にして“流れていく”ということは、きっと滞ることよりも難しいことだろう。流れるために必要なのは、緩急と挑戦。それが、アルバム全体の構成や、言葉選び、感情の波、音の一つ一つによって表現されている。特に、今回自身初の取り組みとして日本のダンス・ミュージックを牽引してきたROVOの益子樹を共同サウンド・プロデューサーに迎えたことによって、音の配置が整理され、言葉とサウンドが絶妙に絡み合うよう研ぎ澄まされていったように感じられる。

でもきっと、それだけではない。流れるために必要なのは、自分ではない“誰か”の存在じゃないだろうか。ひとりでは滞ってしまうような日常が、“誰か”の些細な一言で、いとも簡単に流れていくこともあるのだ。それがとてもよく表れているのは、2曲目「舌」のあちこちに散りばめられた「ただいま」「おかえり」「おはよう」「おやすみ」といった不特定多数の“誰か”の声。その様々な声には、自分ひとりでは成立し得ない空気と温度が宿っている。それは、きっと誰しもが頷ける、普遍的なもの。冬の日のお鍋のような、あたたかな感触だ。

「あなたがくれた思い出がよみがえる」(6曲目「風鈴の音色」より)

そんな流れゆく日常の中でも、たしかに残っていく「心の風景」。『GIFT』には、誰かに、あるいは自分に、リボンをかけて渡したくなるような、自分だけの心の風景を見ることができる。それはおそらく、他人の目から見ればなんてことのないものだ。でもそれを、あえて、渡してみたい。『GIFT』という名の通り、この作品は聴く人それぞれに特別なものを感じさせる、彼からの、そしてあなたからの、唯一無二の贈り物だ。ただのセンチメンタルではなく、流れるように、ずうっと聴いていられる、澄んだアルバムだ。(text by 角萌楓)

関連作品

AL / 心の中の色紙

世代を代表するソングライター、小山田壮平と長澤知之から生み出される珠玉のリリックとメロディー。確固たるパートナーシップで築かれたハーモニーが鳴り響き、藤原寛と後藤大樹による鉄壁のグルーヴが加わるALの傑作アルバム。

>>ALのインタヴューはこちら

LIVE INFORMATION

Nagasawa Tomoyuki Live 'Gifted' 2017
2016年1月21日(土)@東京キネマ倶楽部
2016年1月24日(火)@umeda AKASO
2016年1月31日(火)@福岡LIVE & 喫茶 照和
2016年2月1日(水)@福岡LIVE & 喫茶 照和

PROFILE

長澤知之

2006年「僕らの輝き」でデビュー。以降コンスタントにライヴ活動を行いながら、2011 年4月に発表した自身初のフル・アルバム『JUNKLIFE』が各所で評判となり、活動の幅が一気に広がる。2013年11月には、多様なアーティストをゲストに迎えた楽曲を含むセカンド・アルバム『黄金の在処』をリリース。

2015年、自身の活動と並行し、プライベート・プロジェクトとして楽曲制作やライヴを断続的に行っていたユニット、AL(小山田壮平×長澤知之)をバンドとして正式に活動発表。2016年4月13日にファースト・アルバム『心の中の色紙』をリリースし、全国ツアー「AL 1st Tour 2016」を開催した。

7月からは「Nagasawa Tomoyuki Acoustic Live 2016」をスタート、11月3日(木・祝)には渋谷 duo MUSIC EXCHANGEでのファイナル公演を迎え、12月7日にミニ・アルバム『GIFT』をリリース。来年1月にはツアー「Nagasawa Tomoyuki Live 'Gifted' 2017」の開催が決定している。

>>長澤知之 オフィシャル・サイト

o

 
 

"review"の最新アーカイヴ

髭、新アルバム『すげーすげー』をリリース──沈黙を破る、変容の先のグッド・メロディー
[REVIEW]・2017年05月24日・髭、新アルバム『すげーすげー』をリリース──沈黙を破る、変容の先のグッド・メロディー 2006年のデビュー以来、サイケデリックかつロマンチックな世界観で、シーンを魅了し続けているロック・バンド“髭”。10年代に入り、邦楽シーンが盛り上がりを見せるなか、ガレージやサイケといったスタイルから、シンプルでストレートな王道のロックに変容を遂げてきた。髭のプリティ・サイケなスタイルはそのままに、どこかトリップ感のある楽曲が並び、新たなモード感を提示することとなった前作『ねむらない』から約1年半。沈黙を破り、新アルバム『すげーすげー』がリリース! ギターロックへの回帰ともいえる今作だが、その先にあるものとは? 待望の新アルバムを、レヴューとともにお届けします。 ギターロックへ「回帰」した新アルバム! 髭 / すげーすげー'【配信形態】ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC【配信価格】単曲 257円(税込) / アルバム価格 2,469円(税込)【収録曲】''01. もっとすげーすげー02. ヘルシンキ03. S.O.D.A.04. TOMATO05. スターマイン06. CLASH! LAOC
by 中の人
【REVIEW】《12ヶ月連続配信企画》──goodtimes、聞き逃せない第2弾フリー音源到着
[REVIEW]・2017年04月20日・【REVIEW】《12ヶ月連続配信企画》──goodtimes、聞き逃せないフリー音源到着 突如、アーティスト写真もなく素性のいまいち知れない2人組のギター・ロック・バンドが現れた。彼らの名前は「goodtimes(グッドタイムス)」。バンド名にポエム調なものが多く見受けられる昨今、なかなか潔い名前だという印象だった。彼らは前代未聞の《12ヶ月連続音源配信》をOTOTOYにて予定している。そんなぶっ飛んだ企画をスタートさせた彼ら、前作「beyond」が好評な中、期待の第2弾「sunny」が届いた。 goodtimes無料配信、第2弾(只今無料配信は終了し、有料配信中)goodtimes / sunny '【配信形態】24bit/48kHz WAV、ALAC、FLAC / AAC 【収録曲】''1. sunny REVIEW : 細身で髪型はマッシュ・ベースのセンターわけ。身長はそんなに高くなくてもいいけど、ご飯の食べ方が綺麗で、子供と映画と池脇千鶴が好きな男の子。あと、自分の家族に優しくて私の家族にもおどおどしなくて、それから…。付き合う前にも理想はたくさんあるし、付き合ってからもああだったらな、こうだ
by 宮尾茉実
【REVIEW】ISSUGI & GRADIS NICE、昨年リリースのアルバム 『DAY and NITE』のリミックス盤をリリース!!
[REVIEW]・2017年05月18日・【REVIEW】ISSUGI & GRADIS NICE、昨年リリース『DAY and NITE』のリミックス盤をリリース!! MONJU、SICKTEAM、DOWN NORTH CAMPのメンバーであり、東京を代表するラッパー、ISSUGI。そしてニューヨーク・ ブルックリンを拠点とし、5lackの『5 sence』や、C.O.S.A.×KID FRESINOの『Somewhere』など近年の日本のヒップホップの名盤にいくつも参加しているプロデューサーGRADIS NICE。この2人がタッグを組み、昨年2016年アルバム『DAY and NITE』をリリース。今作はそのリミックス盤ということで国内外を問わず彼らと親交のあるプロデューサーたちが集結。さらに、長野県松本市を中心に活動するラッパー、トラック・メイカーであるMASS-HOLEのプロデュースによる新曲も収録。こちらにはセカンド・アルバム『So Sophisticated』をリリースしたばかりのFEBBがゲストとして参加しており、FEBBのビートによる新曲「RHYZMIK & POET」も収められている。2曲の新曲とまた別の顔を見せるリミックス楽曲。
【REVIEW】再び火のついた初期衝動──アット・ザ・ドライヴ・イン、実に17年ぶりとなるアルバムをリリース!!
[REVIEW]・2017年05月05日・再び火のついた初期衝動──アット・ザ・ドライヴ・イン、17年ぶり(!!)となるアルバムをリリース!! アメリカを代表するエモ、ポスト・ハードコア・バンド、アット・ザ・ドライヴ・イン。2001年に無期限の活動休止を宣言し、以降はマーズ・ヴォルタ、スパルタなどで精力的に活動を続けていた彼らですが、突如として2012年活動再開。海外フェスであるコーチェラやロラパルーザにヘッドライナーとして出演し、日本でもフジロックに出演した。その後はしばらく沈黙が続いたものの、2016年には活動休止後は初となる大規模なワールド・ツアーを実施。圧巻のライヴを世界各地で見せつけた彼らは今年2017年、満を持して17年ぶりとなるアルバム『in∙ter a∙li∙a』をドロップ。伝説となっていたバンドを再びその前線へと引き戻す快作。是非ともハイレゾで。 At The Drive-In / in∙ter a∙li∙a'【Track List】01. NO WOLF LIKE THE PRESENT02. CONTINUUM03. TILTING AT THE UNIVENDOR04. GOVERNED BY CONTAGIONS05. P
HIP HOPライター斎井直史による定期連載──「パンチ・ライン of The Month」 第4回
[REVIEW]・2017年05月11日・HIP HOPライター斎井直史による定期連載──「パンチ・ライン of The Month」 第4回 桜咲く4月もあっという間過ぎ去り、早くも5月。夏に向かってじわじわと気温も上がってきている今日この頃ですが、今月もHIP HOPライター・斎井直史による定期連載「パンチ・ライン of The Month」いきますよ〜! 先月は『So Sophisticated』をリリースしたFla$hBackS、DOGGIESのFebbを迎えての本人解説によるパンチ・ライン特集ですが、今月は名古屋を中心に活躍するラッパー、SOCKSがリリースしたアルバム『JAPANESE THAN PARADISE』より「KUTABARE feat.般若」をピックアップ! 残念ながら今作はOTOTOYでの扱いは無いのですが、ページの下の方に名古屋産・ヒップホップをいくつかチョイスしたのでコラムと共にそちらも是非。では今月もいきましょ〜!! 第3回 SOCKS 「KUTABARE feat.般若」 平日は忙しくてもニュースを観るのに、連休中は時間があってもニュースはそんな観ない。これって自分だけですかね。とはいえGW中にニュースを観なく
by 斎井 直史
【REVIEW】新たな扉を開いたTOTALFAT、8枚目のフル・アルバムリリース!
[REVIEW]・2017年05月04日・【REVIEW】新たな扉を開いたTOTALFAT、8枚目のフル・アルバムリリース! TOTALFATが約2年振りに8枚目のフル・アルバム『FAT』をリリースした。TOTALFATというバンドの身体の一部である言葉を切り取り「FAT」と名付けられたアルバム、そのタイトルの中にTOTALFATの歩んできた17年間が垣間見えるデザインになっている。そんな想いが詰まった今作を紹介しよう。 TOTALFAT / FAT'【配信形態】alac,flac,wav【配信価格】単曲 200円(税込) / アルバム価格 1,650円(税込)【収録曲】''01. R.E.P02. スクランブル03. Delight feat. J-REXXX04. 晴天05. Chanse06. Wanna Be07. Revenge of Underdogs08. 宴の合図09. マエニマエニ10. Eyes11. CALLING YOU faet. LIBRO12. ONE FOR THE DREAMS 【REVIEW】TOTALFAT『FAT』これまでTOTALFATのアルバムは疾走感のあるメロディックなサウンドが魅力的で、何よりも全神経
【REVIEW】USツアーを経てパワーアップしたCHAIの2nd EPをハイレゾ配信!
[REVIEW]・2017年04月26日・USツアーを経てパワーアップしたCHAI、最強の2nd EP『ほめごろシリーズ』をリリース! 今年3月に米国で開催された世界最大級フェスティバル〈2017 SXSW Music Festival〉内で開催されるJapan Niteに出演し、その後7都市に渡る全米ツアーを敢行したCHAI。USツアーから帰ってきて、さらにたくましさを増した彼女たちの2nd EP『ほめごろシリーズ』がリリース。本作にはCHAI初のアナログ・リリースとなった「Sound & Stomach」「ボーイズ・セコ・メン」をはじめとした5曲を収録。オトトイではこちらをハイレゾ配信中です! さらに今回はOTOTOYインターン5人によるクロス・レヴューを掲載。CHAIメンバーとほぼ同世代の彼らにとって、CHAIの音楽はどんな風に聞こえているのか、その音楽からはどのようなものを感じ取っているのか、語ってもらいました。ぜひ音源と共にお楽しみください。 パワー・アップしたCHAIの2nd EP!!! CHAI / ほめごろシリーズ 【配信形態】 ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC >>>ハイレゾとは? 【配信価
【REVIEW】街から街へと旅する現代の流れ者たちのための歌──SSW・松井文、5年ぶりとなるアルバムをリリース
[REVIEW]・2017年04月26日・街から街へと旅する現代の流れ者たちのための歌──SSW・松井文、5年ぶりとなるアルバムをリリース 1989年生まれ、横浜出身のシンガー・ソング・ライター松井 文(まつい あや)。そんな彼女が1stアルバム『あこがれ』から5年の月日を経て、2ndアルバム『顔』をこの度リリースした。折坂悠太、夜久一(やく)と共に運営するレーベル「のろしレコード」通算4枚目となる今作は、昨年発売した1stフルアルバム「たむけ」が好評を得た折坂悠太が初のサウンド・プロデュースを担当。折坂のほか、田中悠貴(ex. THE NAMPA BOYS)、三輪二郎といった多くのミュージシャンが作品に彩りを加えている。OTOTOYでは本作の配信とともに、彼女のキャリアのスタートから今作までを記したレヴューを掲載。彼女が描く10の様々な「顔」たちに是非とも触れていただきたい。 松井文 / 顔'【Track List】01. 相槌02. ああ無常03. いつになったら04. 安いバーボン05. カエル06. 海は遠かった07. 水平線08. 家路09. 君の顔が霞んでみえる10. すきま【配信形態 / 価格】''16bit/44.1kHz WAV