2016/09/29 19:48

【REVIEW】18年かかろうが、奇跡の1枚が創れれば、それでいい! tepPohseen、1stフル・アルバム登場!

ヴォーカルがもたらす爆発力が魅力な1枚
tepPohseen / Some Speedy Kisse
【Track List】
01. 鋏を持つ手
02. Love is Over
03. 禁止
04. ろ過
05. kill city kill
06. 近付く
07. 衛星/宿り木
08. 秘密

【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
単曲 194円(税込) / アルバム 1620円(税込)

1998年に福岡にて結成された4人組ロック・バンド、tepPohseen(テッポーシーン)が結成18年目にして1stアルバム『Some Speedy Kisses』を9月25日にリリースした。結成当時はノイズ、コラージュ、前衛音楽を背景にしたバンド・サウンドだったが、長い年月をかけて研ぎ澄まされた今作は、どこか切ないが、温かさを持ち合わせたロック・ミュージックとなっている。

『Some Speedy Kisses』を聴いて最初に感じたのは、極端にヴォーカルが少ないということだ。 4曲目の「ろ過」という曲は最初のメロディから曲の終わりまでヴォーカルがしっかりと入っており、ヴォーカルのポップさが強調された曲となっているが、ほかの曲は言葉には無い切なさを持った演奏が曲の大半を占め、インストゥルメンタル曲なのかと思わせるほどだが、しかしそれゆえにヴォーカルがもたらす展開が楽曲の爆発力を生む。これこそが『Some Speedy Kisses』最大の聴き所である。2曲目の「Love is Over」では、ギターのアルペジオを筆頭に、演奏で切なさを余すところ無く感じさせたと思いきや、機会を狙っていたかのようにどこか温かいヴォーカルが入って来る。そのヴォーカルがきっかけとなり、演奏の切なさは更に上のステージへ進む。 更に5曲目の「Kill City Kill」は、先に述べた切なさだけでなく、ラスサビのヴォーカル終わりから、畳み掛けるような激しいサウンドが展開される。そのために感情は大きく揺さぶられ、楽曲の印象はより味わい深いものとなり、気付いたら涙が止まらなくなっている。

切なさと温かさを持ち合わせた『Some Speedy Kisses』。人肌恋しくなるこれからの季節にピッタリな1枚だ。 (text by 丸山 健人)

PROFILE

tepPohseen

1998年、福岡にて結成。 4人編成で活動中。 通りの良いシンプルなリズムに弦楽器のアンサンブルを展開する楽曲。

2016年秋、ギューンカセットより1stフルアルバム発表。

>>tepPohseen オフィシャル・サイト

[レヴュー] tepPohseen

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