2016/08/23 16:14

【あの人の5曲】台湾インディーズ界屈指のライヴ・バンド、落日飛車

落日飛車(Sunset Rollercoaster)

【あの人の5曲】とは…

新たに楽曲配信がスタートしたミュージシャンに、「OTOTOYで配信している中から自分が好きな5曲」を選択してもらい、選んだ理由とその楽曲に対する思い入れを存分に語ってもらうコーナー! なのだ!!

台湾インディーズ界の重要バンド落日飛車による1st、配信スタート

 台湾のインディー・ロック・バンド、落日飛車(Sunset Rollercoaster)が2011年にリリースしたアルバム『Bossa Nova』の配信がスタートした。フォーキーな歌ものにソウル・フィーリングがまぶされ、その根底にはサイケ感が漂う… ソフト・サイケ・ソウルとでも言いたくなる本作は、台湾インディーズ界にて大きな支持を得た。

 バンドは本作をリリースした後に活動を休止し、2015年にはメンバーを5人に増やして復活している。今年に入って彼らは日本ツアーを開催、中心メンバーが重なっているバンド森林(Forests)と全国6ヶ所を周っている。また今年に入ってリリースされたEP『Jinji Kikko』は、USインディー・マナーのシンセ・ポップ~ドリーム・ポップの影響を感じさせつつも、トロイ・モ・アに80年代序盤の角松敏生要素を無理やり混ぜ合わせたようなバランスが妙な気持ちよさを感じさせる作品であった。

今回配信がスタートした『Bossa Nova』は約5年前にリリースされた作品ということもあり、現在の落日飛車のアウトプットとは多少趣が違う部分もある。だが、本作でも歌心やサイケ感といった、彼らの本質に触れることができるのは間違いない(最近のライヴでも当時の楽曲は披露されている)。台湾インディーズの幅広さを知るためにも、ぜひ体験してもらいたい一枚だ。

落日飛車 (Sunset Rollercoaster) - Bomb Of Love
落日飛車 (Sunset Rollercoaster) - Bomb Of Love

2011年の作品を配信でリリース。まとめ購入で歌詞カードも付属

落日飛車(Sunset Rollercoaster) / Bossa Nova
【配信形態 / 価格】
ALAC / FLAC / WAV
価格 まとめ購入 2,160円(税込)/ 単曲 216円(税込)

AAC / MP3
価格 まとめ購入 1,944円(税込)/ 単曲 194円(税込)

【トラック・リスト】
1. Bomb of Love
2. No Man's Land
3. Hogi Hogi LaLa Jo
4. Punk
5. A Little Piece of Sadness
6. Pinky Pinky
7. Little Monkey Rides on the Little
8. Donkey
9. I Know You Know I Love You
10. Blues
11. No Man's Land (Reprise)
12. Queen
13. My Monday Throne

今回のアルバム配信を記念して、メンバーの 國國(guoguo)にOTOTOYで配信している楽曲の中から5曲をセレクトしてもらい、それぞれの曲に対する思いを語ってもらいました。テーマは〈同じステージに立ってみて印象深かった日本のバンドの4曲+1曲〉。果たして台湾インディーズ界の重要バンドは日本のバンドたちをどう見ているのか? アルバム『Bossa Nova』を聴きながらお楽しみください!

〈同じステージに立ってみて印象深かった日本のバンドの4曲+1曲〉
selected by 國國(guoguo)from 落日飛車

OGRE YOU ASSHOLE「ムダがないって素晴らしい」
――2016年『POP SONGS』収録

初めてOGRE YOU ASSHOLEのライヴを見たのは台北のTHE WALLというライヴハウスだった。ライヴを見る前からオウガが日本で有名なサイケ・ロック・バンドであることは知っていたし、彼らの作品を聴いて非常に印象深いと思っていたのだけれど、ライヴを見てさらにびっくりした。日本特有の控えめで静かな様子は、武士が刀を抜く前のあの殺気に満ちた静けさ極まる空気感にも似ていて、その感覚がサイケ・ロックの曲風にぴったりハマっていて、ライヴの余韻も残る素晴らしいバンドだった。

あらかじめ決められた恋人たちへ「rise」
――2016年『After dance/Before sunrise』収録

日本ツアーが終わったあと、友人の集まりで盪在空中(台湾のDUBバンド)のヴォーカル賴Qが、「あら恋のライヴはどうだった?」と聞いてきた。実は彼はあら恋がとても好きだ。最初はこの稀有なバンドを形容する言葉がみつからなかったのだけれど、ノイズとDUBの要素に特徴があって、ライヴはある種ハイパーな劇場の様だった。フロントマン池永氏のシャウトには、非常にカオティックなロマンを感じた。

Taiko Super Kicks「メニイシェイプス」
――2015年『Many Shapes』収録

若い彼らのライヴから垣間見えたのは、年齢に似つかわしくない堂々とした態度と、素晴らしい編曲&演奏が訴えかける曲のダイナミクス。taiko super kicksは沢山のストーリーを歌っているバンドだと思うのだが、残念ながら私は日本語がわからない。台湾ではすでに彼らに注目している人が少なからずいるので、台湾でのライヴを期待している。

王舟「Thailand」
―― 2014年『Wang』収録

歌声はとても清らかで、かつ鍛錬されたささやき声も持っている、これはフォーク歌手として完璧だ。ライヴで聴いたいくつかの曲はカヴァーだったが、気持ちが入りこんでいて曲のストーリーに完全に引きずりこまれてしまった。歌とギターが一体となり、いくつかの簡単なコードと低めの歌声で構成された彼のライヴを聴いていると、小舟に軽々と乗って延々と続く時代の流れを進んでいくような感覚になった。

落日飛車「Bomb of Love」
――2011年『Bossa Nova』収録

このロクデナシのバンドの1枚目のアルバム 『BOSSA NOVA』は2011年に発表された。ちょっと前の作品だが、発表後しばらく活動休止をしてから去年復活して、今はまた新たな方向性を探りながら新曲も作りだしている。振り返ってこのアルバムを聴いてみると、若さゆえの勢いで沢山のアイディアを突き詰められないまま作り終えてしまった感があるが、それも全部青春だ。当時の生活や未来への期待は全く曲に込められていない。黄昏時の台北の街角を走り回って、うるさく通り過ぎるバイクみたいなもの… 落日飛車はだいたいこんな感じのバンドだ。


PROFILE

落日飛車(Sunset Rollercoaster)

2011年にアルバム『巴莎諾娃 Bossa Nova』発表し、その年のSUMMER SONICに出演。台湾のシーンにおいて大きな話題と期待を強烈に残し、その後急遽活動を休止し数年間の沈黙を続けた。そして2015年に台湾ツアーを皮切りに再びシーンの最前線に躍り出たバンドは現在U.S.や日本を含むアジア中の音楽フェスティバルに名を連ねている。メンバーが5 人に増え、サイケロック、JAM的な要素に台北のメロウさが加わり、唯一無二の台湾式A.O.Rロックを生み出している。間違いなく今の台湾のインディシーンを牽引するバンドである。

>>落日飛車(Sunset Rollercoaster) オフィシャルフェイスブックページ

[レヴュー] 落日飛車

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