南壽あさ子と鈴木惣一朗による季刊限定プロジェクト、ESTACIONが紡ぐ美しい日本語による少女歳時記

凛と透き通った唄声を持つピアノの弾き唄い・南壽あさ子と、音楽プロデューサーでWORLD STANDARDやSoggy Cheeriosでも活動する鈴木惣一朗が、季刊限定ユニットを結成!! その名も“ESTACION(エスタシオン)”。昔ながらの日本の唱歌や海外の伝統曲を、4つの季節にわけて日本語で美しく唄いあげていく。このたび、第1弾としてリリースされた季節は「冬」。南壽あさ子の書き下ろし楽曲をはじめ、吉田美奈子の楽曲から、中原中也の詩の朗読まで、美しい日本語で季節を切り取った本作を、2人へのインタヴューとともにお届け。シンプルで美しい日本語と楽曲をご堪能いただきたい。

季刊限定ユニットによる「冬」作品を配信スタート

ESTACION / 少女歳時記<冬>

【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV、AAC
※ファイル形式について

【価格】
単曲 300円(税込) / アルバム 2,200円(税込)

【Track List】
1. ふゆる
2. ウィンター・ワンダーランド
3. 冬の星座
4. 500マイル
5. 白い道
6. 涙のシルエット
7. 生ひ立ちの歌
8. もみの木

INTERVIEW : ESTACION

南壽あさ子にとって2度目となる47都道府県ツアーのファイナル、赤坂BLITZ公演でバックバンドを務めたのが、鈴木惣一朗率いるWORLD STANDARDだった。そして同ステージ上で、「日本語のうつくしさ」をテーマに季節ごとに作品をリリースするユニットESTACIONをはじめることを発表した。当日のライヴを観ながら、この先もずっと一緒にやってくれたらいいのになと思っていただけに、あまりに嬉しいサプライズだった。

ESTACIONは、3年かけて春夏秋冬の作品を4作作っていく予定だという。このプロジェクトを鈴木は、自身のプロデュース業の集大成とも言ってのける。それに対して南壽は貪欲に歌うこと以外も吸収しようとして、自らMTRを買ったり、ドラムを叩いたりしたという。そんな制作過程で作られた初作品の季節は「冬」。南壽の透明な声と、鈴木のレコーディングへのこだわりが細部に宿った本作について、2人に話を訊いた。

インタヴュー & 文 : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希

自分のプロデュース業の総仕上げだと考えています

ーー南壽さんのワンマン・ライヴで鈴木惣一朗さんがバンマスを務めるなど、2人は音楽家として蜜月な関係性を持たれていると思うのですが、これだけ急接近したのはいつくらいのことなんでしょう?

南壽あさ子(以下、南壽) : もともとインディーズ時代からお世話になっているエンジニアの小島康太郎さんが「きっと惣一朗さんと合うと思う」と言ってくださって、2012年の秋口に上野水上音楽堂でご挨拶させていただいたんです。そこから少し時間は経ってしまったんですけど、今年6月に作ったアルバム『Panorama』で、惣一朗さんに3曲プロデュースをお願いして。そのとき「教科書にも載っていないような美しい日本の歌を歌ったらいいんじゃないか」ってことを言ってくださって。だったら、季節のアルバムを作りましょうっていう話をしたんです。

南壽あさ子

鈴木惣一朗(以下、惣一朗) : 僕がやっているWORLD STANDARDはインストゥルメンタルのグループなんですけど、プロデュースするときは日本語を大事にしていて、日本の唱歌とかをやってみたいと思っていたんです。南壽さんと話したとき「水のように歌いたい」ってことを言っていて、それがすごく印象に残っていて。水みたいに歌えるなら、ドメスティックな楽曲でもナチュラルな感じで、あまりウエットにならずにできるかなと思って。今回のプロジェクトは、洋楽のファンでも聴けるような日本の歌にすることがポイントだと思っていたので。

ーー童謡や唱歌を現代風にアレンジすると、かえって小難しくなったり、聴きづらくなる場合もありますよね。そういう意味で、本作品はフラットに歌を伝えようという意思が伝わってくる作品でした。

鈴木 : 南壽さんは「真夜中のsoup」っていうラジオ番組で朗読もやられているんですけど、僕は朗読ファンだから、よく聞いていて(笑)。感情表現を朗読するときって、感情過多にならないようにするのがポイントなんですよ。それを南壽さんはやっている。

南壽 : それはいいことなんですか?

鈴木惣一朗

鈴木 : それがいいんですよ。感情表現があり過ぎるとコアな部分が婉曲しちゃうんですよね。あと、震災以降に佐藤春夫さんの小説だったり、昭和文学を読み直していたんですけど、そこがリンクしたというか、日本語を大切にすることの必要性を思いました。2011年の震災のあと、渋谷の街並みが暗くなったじゃないですか。あのとき細野晴臣さんと2人で街を歩きながら気持ちいいねって言ったことを思い出します。あの時のトーンというかほのかな灯りの美しさと、日本語が本来持っている美しさがすごく重なった。それを徹底的にやるというか、南壽さんにはできる力があると思ったので、3年かけてやりましょうよという話をしたんです。今まで何十年もプロデュースでやってきましたけど、そのノウハウを南壽さんにぶつけてあげられるし、自分のプロデュース業の総仕上げだと考えています。震災後の空気感っていうか、そういうことが起きたときに沈静化させていく作業が必要で、いまもそういうことをやったほうがいいだろうなと思っていて。そのためには、3年かけて繋げていければいいのかなと考えてます。

水ってすごい強いんです

ーー先ほど「水のように歌いたい」という話がでましたけど、南壽さんは感情過多にならないような歌い方を意図的にされているんですか?

南壽 : 次第にそうなっていったというか、自分の中にある余計なものを削ぎ落としていったらこうなって。彫刻でいうとアルベルト・ジャコメッティのように、すごく細くなっていったんです。

鈴木 : ジャコメッティって、そうとう細いよ(笑)。

南壽 : (笑)。歌い手を目指したいと思ったとき、歌い上げていたり、声量のある歌手の方がテレビにいっぱい出ていて。私にはそういう要素がなさすぎたから、最初はそこに近づこうとしていたんです。でも、それだと無理をすることになるし、友達がわたしの歌のことを、水を飲んでるみたいに歌がすごく浸透してくるってことを言ってくれて、それがヒントになったんです。押し付けがましさもなく、自己表現はしているけど、あくまでも自然に歌う。聴く人が、絵画や自然を観るような感じで私の歌を感じてくれたので、これでいいんだなという発見ができて。そこからは逆に、意識的に水だったり木になるような感じで歌えたらいいなと思って歌っています。ラジオで朗読をしてるときも、自分がやるんだったらなるべく削ぎ落とした方がいいなと思って、フラットにすることを心がけています。

鈴木 : 26歳の方がこんなこと言ってますからね(笑)。56歳の僕からすると、30年くらいかけて到達する領域な気がするんですよ。

南壽 : ふふふ(笑)。

鈴木 : 最初、南壽さんってどういう人なんだろうと思っていたんですよ。今風に言うと、キャラ作りでそうしているのかなとも思っていて。でも、意外に天然だし、今言ってること以上でも以下でもない。なかなかそういうノーブルなことを思う26歳の女性っていないんじゃないかな。いまって、世の中で生きていくためにアイデンティティを強く出さなきゃいけない時代じゃないですか。強くてかっこいいことをね。南壽さんが言っている水になりたいってことは、弱いように見えて、実は力強いことなんですよ。やっぱり相当プライド高いだろうし、実際に会うと、とても頑固だし(笑)。

南壽 : いやいやいや(笑)。

鈴木 : だからこそ、余白を残すことだったり、ピュアであることに対して、本腰が入っているんですよね。ESTACIONでは、どのくらい音数を減らせるかが力強さに繋がると思って作っているので、すごく骨太な感覚を持った作品になっていると思います。

南壽 : 惣一朗さんがおっしゃいましたけど、水ってすごい強いんです。優しいっていうイメージがありますけど、こわいところもあるし、巡るものでもある。音楽も押し付けがましいと受け手が引いてしまうことがあるじゃないですか。逆にこちらがシーンっとしてると聴き手を引き込めることがある。なので能動的にその人が聴きたくなるような曲を作りたかったんです。特にこの<冬>ではそうなったらいいなと思いますね。

ーーちなみに、本作を作るにあたって、ヒントになるような作品とかはありましたか。

南壽 : 惣一朗さんから『ミツバチのささやき』っていう映画を貸していただいたんですけど、ものすごく言葉が排除されている映画で、ほとんどしゃべってないんですよね。

鈴木 : セリフもないし音楽も一種類くらいしかなくて、子どもがずっと囁いているんです。傷ついた兵士が空き家に隠れているんですけど、子どもだから「あの人はフランケンシュタインなんじゃないか」みたいなことを話していて、そのうちにファンタジーが重なっていってしまう。それを南壽さんが観たら、どういう風に感じるかなと思ってお貸ししたんです。

南壽 : 映画って会話とか展開が大事だと思ってきたんですけど、そうじゃないってことを気づかせてもらった映画でした。冬のアルバムを作るにあたって、無駄な音をなくすというか、隙間を作るってところも、改めてテーマとして持つことができたんです。真夏に作ってましたけど、気分が冬になることは大事でしたね。

もはやそれはこちらからしたら、恐れでもあるよね(笑)

ーー夏に作られたということですが、どれくらいの期間で制作はされたんですか?

鈴木 : 7月後半から9月頭で、南壽さんのツアーの合間に制作しました。週末に南壽さんがツアーに行くので、僕は平日担当みたいな感じでやっていたんですけど、それがスケジュール的にもよくて。もともと1週間とかの短期間でギュっとやる気はなかったんですよね。日常的に、お互いいろいろ仕事をしながら、スタジオに行って一緒に作って録るリズムができたのでそう言えば、 レコーディング前、一度、 リハスタで練習しましたよね。

南壽 : 唱歌から取りかかったんでしたよね。すでにある曲をどうアレンジするかっていうところで、スタジオに入ってその場で考えることから始めて。これまでそういうことをしたことがなかったので、瞬発力が必要でした。

鈴木 : 仮に僕がオケを作って南壽さんが歌うんだったら今までと一緒だから、白いキャンパスを2人でじっと見て作っていくような感じでやったんですよね。もともと、キャンパスに何も描いてない状態でやるのが僕は好きなんです。プロデュースって、そういうものだと思うんですよね。南壽さんは水みたいって言ったけど、僕自身も無色透明。南壽さんがピアノなしで歌っているだけとか、僕のカラーが全くなくてもいい。そういうフレキシビリティがあったほうがいいし、南壽さんがどういうふうに泳ぐかってことが大事で、スタジオに入ったときも勘のいい子だから、するするって入ってくるんですよね。

南壽 : 原曲はあるし、他の人が歌っているヴァージョンをなぞろうとしてるわけじゃないから、まずこの曲は何が大事かっていうところから考えていったんですよね。どういうタッチで、何もないところから曲を作っていくのか。難しいなと思ったんですけど、ひとつひとつ惣一郎さんと創り上げていきました。

鈴木 : 例えば、アスリートは考えて身体を動かしてるわけじゃないんですよ。ピアノを弾いて歌っていて南壽さんが間違えるときって、絶対に頭で考えているときなんですよ。だから、何も考えなくても身体が反応するっていうところに持っていきたかった。僕はビートルズ・ファンなんですけど、ビートルズがそういうふうに作っていることを知ったときから、絶対にこのやり方がいいと思っていて。ビートルズは何も用意しないでスタジオに入るんだけど、やっているうちに、何となく曲ができあがっていく。こんなに楽しいことはない(笑)。その後、そこからアンサンブル構築をやっていくんです。僕もベーシックのときはアスリートみたいに、どういうふうに瞬発的に発散してくるんだろうってことを狙っていて。こういうフレーズはどう? っていうアイデアに対して帰ってくるフレーズのやりとりをしたりしました。

南壽 : そうですね。

鈴木 : そのなかで、こっちのラインのほうがいいんじゃないか? っていうことに、僕より先に南壽さんが気付いたりもしたし。レコーディング中、実は、僕はずっとブースにいて、コントロール・ルームには南壽さんがいたんです(笑)。

ーーもはや、南壽さんがプロデューサーみたいな構図ですね(笑)。

鈴木 : かと思ったら、気付くと南壽さんが僕の後ろに立って「その音は違うんじゃないかと思います…」と囁いたりする(笑)。普通、そういう即興的な作り方は不安だと思う人も多いと思うんですよ。それを楽しめるかどうかっていうのが大事なところで。でも、南壽さんはよく理解してるんだなっていうのは驚きでした。まあ、お腹の中でどう思ってるのかは知らないけど(笑)。っていうのも、僕が26歳のときには反発したから。例えば、現場でトップの人に言われたとき反発で返すことしか出来なかったんです。

南壽 : それは、惣一朗さんが押し付けない人というか、決めつけない人だったからだと思うんです。音楽っていろんな形があるから、こうしなきゃダメってことはまずないし、わたしも言われてやるんじゃなくて、もっと積極的でありたいっていうか能動的に作りたいと思っていたので。そこはちゃんと言おうって決めていて。アルバムを作っていたときに「言いたいことはちゃんと言いな」ってサポートしてくれる周りの人に言われて。惣一朗さんがブースでやってると、夢中になって周りが見えなくなるからってことを言ってくださったり(笑)、知らないことを教えてくださいました。

鈴木 : 僕がブースにいて夢中になっていても、南壽さんの声が聞こえてきたら、作業は一旦止めます。それは無視できないです(笑)。いろんな挑戦もしたんですけど、ダメだったらやめればいいんだから、最初から怖がったりしなくていいわけですよ。アルバムには入らなかったんですけど「White Xmas」を声だけのアンサンブルで録ってみたんだよね。それが驚くほどよくて、この人は伸びるなって実感したんです。伸びしろがあるってことが伝わってきたし、レコーディングについて覚えれば、自分でどんどんやるなっていうか。もはやそれはこちらからしたら、恐れでもあるよね(笑)。

ーー南壽さんが、エンジニア部分までやってしまうみたいな(笑)。

鈴木 : でも、僕もそうだったし、そういうことを楽しんでいける体質が南壽さんにはあるんだなとわかって。こんな人、なかなかいないですよ(笑)。

南壽 : 今までは、歌とピアノしか表現するツールがなかったんですけど、私は曲を作る立場でもあるので、頭の中のものも上手く表現したいなと思って、MTRを買ったんです。いずれはいろんな楽器を使いこなせるようになれればいいですよね。

鈴木 : 知らない間にアコースティック・ギターも購入しているし(笑)。やる気があるなってことはすごく感じましたね。

南壽 : いずれドラムも叩けるようになりたいです。

鈴木 : ドラムが叩けるようになったら、歌のリズムももっとよくなると思うから、それはやったほうがいいかもね。1つの楽器に執着すると、それだけになっちゃうから。他の楽器をいろいろやると、もともとやっている楽器にも返ってくると思うんだよね。

南壽 : 小学校、中学校のとき、音楽部と吹奏楽部に入っていて、いろんな楽器を触らせてもらったりしていて。いろんな音を聴く経験が、いますごく役立っているんです。自分で曲を作るときにも音の幅が広がるので、バンドの音とか、パーカッションの音とかも変わっていくのかなって。

大人の女の人だから思い描ける少女性っていうのが大事なキー

ーー惣一朗さんは、以前別インタヴューで、60チャンネルくらいトラックをレコーディングして、ミックスのときに削ぎ落とすってことを話されていましたよね。

鈴木 : そうだね。じゃあ、使わなかった40トラック分はなんだったんだって思う人もいると思うんですよ(笑)。いらないんだったらやらなきゃいいのにって。でも、いろんなことを試しているんですよ。「涙のシルエット」をレコーディングしているとき、ProToolsが上手く作動しなくて、自分のドラムのリージョンが消えたときがあったんですよ。そのリズムレスのトラックも良かった! それ以降、積極的に自分の音を消すのがブームになってしまって(笑)。さっき言ったように、何10トラックも入れてみることで比較できたりもするし、多く録ることは無駄なことじゃなくて、それを経たことで見つかる4トラックがあるかもしれない。いろんなやり方があるので、とにかく試すんです。

ーー最初からシンプルなものを求めてそれだけを録るのではなく、あらゆる可能性を試したうえで、削ぎ落としていった音の上に成り立っている。そういうシンプルさと捉えていいわけですよね。

鈴木 : ブリッツのときのメンバーを日替わり定食?のように呼んで、いろいろ試すわけですよ(笑)。本来だったら、ここで金管とかフルートがほしいけど、そういう響きをエレキギターでできないかなと考えたりも。代理楽器という考えではなくて、DIYの精神で考えるのがいいんですよ。音楽はいろんなことに可能性があるんだから。そこには、僕が自宅録音でやってきた経験が活きていて、なんでも1人でやらないといけないから知恵を絞るわけですよね。だから、ヴァイオリンを入れたらおもしろいと思っても、その日にヴァイオリンを弾ける人がいなかったら、声だけでそういう広がりを作ったりもしたし。逆にペダル・スティールを録ろうと思ってペダル・スティールの人を呼んだのに、録らなくてってこともありましたし(笑)。とにかく試行錯誤しました。

ーー一番最初にリハーサル・スタジオで録られたのが、「冬の星座」と「白い道」の2曲だとお伺いしたのですが、それ以外の選曲はどのようにして選んだんでしょう。

南壽 : クリスマスの曲を1曲入れたいっていうこととで「ウインター・ワンダーランド」を、オリジナル曲を2曲くらい入れたらってことで、「ふゆる」と「涙のシルエット」を入れました。あと「500マイル」は私がよくライヴでカヴァーしてた曲で、入れたいなと思って決めました。

鈴木 : あと、ほぼアルバムができたときに、僕がもう一曲やりたいって言ったんです。っていうのも〈風街レジェンド〉という松本隆さんのイベントを観にいって、吉田美奈子さんが「ガラスの林檎たち」を歌っているのを観て、びっくりしちゃって。すごく輝いていて、なんて素晴らしいんだろうって。それで最後に僕のほうから「もみの木」を提案したんです。

南壽 : そのときはレコーディングの終盤だったんですけど、ライヴに行かれた次の日に興奮冷めやらぬ感じでおっしゃってくださって。ただ、レコーディングする日程も限られているので、どうしようと思いながらも、何か感じるものがあると思ってレコーディングすることにしたんです。

鈴木 : 「もみの木」は、塩谷哲さんが作曲で、吉田美奈子さんが作詞なんですけど、美奈子さんの詞が深いんですよね。南壽さんに、クリスマスに対してこういう歌詞を書くんだってことを知ってほしかったんです。もはや、一遍の映画ですよ。あんな短い曲なのに、すごく奥行きがある詞の作り方で、僕もまだ全貌は掴めてないですね。

南壽 : 一番最初に詞を読んだときにわからなかった部分もあったんですけど、歌ってみて、吉田美奈子さん自身が持っている祈りがストレートに伝わってきたんです。それが、自分で歌うことで初めてわかった。この曲はやってよかったなって本当に思うし、自分の祈りに変えて、今みなさんに聴いていただきたいと思っています。


もみの木 / ESTACION(エスタシオン)

鈴木 : この短いアルバムには、いろいろな思いがぐっと詰まっています。真夏に真冬のクリスマスに聴くことを想定して作りました。曲数的には、ミニ・アルバムとフル・アルバムの中間みたいなものになっています。それは自分が冬に何度も聴けるようになったらいいなと思ったのと、仕事なんだけど楽しんでやりたいっていうのがあったから。意外に濃密な空気感なんです。真剣な遊びが一番濃密になるんですよ。お互いが今置かれている環境の中で季刊限定としてやっているのには、そういう狙いもあるんですよね。次は夏のアルバムを作る予定ですけど、そのときはまた集中してやって、それぞれ自分の仕事に戻っていくのがいいなって。50代と20代の2人のユニットっていうのもワールド・ワイドに見ても珍しいと思うんだけど、世代差を越えて、共通なものを見つける音楽作業は、稀有なこと。それが、聴く人にとって、お歳暮みたいな感じのリズムでアルバムが出てきて聴くのが気持ちいいんじゃないかな。

ーー夏のアルバムも、冬にレコーディングする感じになるんですね。

鈴木 : アルバム・タイトルに「少女歳時記」ってつけたのは、要するに南壽さんのことで、大人の女の人だから思い描ける少女性っていうのが大事なキーなんですよね。少女のときに気がつかないことに大人になって気づく。南壽さんはそういう少女性があると思う。実際、少女歳時記ってドメスティックな言葉だけど、南壽さんだったら着こなせちゃうんですよね。

ーー中原中也さんの詞を選ばれたのも南壽さんなんですよね?

南壽 : そうですね。最初にオリジナルの詩を書いて朗読したらどうか? って提案を頂いたんですけど、それをわたしが覆して(笑)。それこそ日本唱歌を歌うみたいに、昔の人の詞を蘇らせることに意味がある気がして、すぐに冬の詞で中原中也の「生ひ立ちの歌」が浮かんだんです。あらためて読み返してもしっくりきたので、ぜひこれを読みたいってことで、アルバムに入れました。

ーーもともと自分の中に残ってる言葉だったんですね。

南壽 : 冬といえば宮沢賢治が浮かんだんですけど、今回は中原中也でと思って。たまたまアーティスト写真の撮影地が山口県で、中原中也も山口県生まれなので、そこもリンクしたんだなあというか、呼ばれた気もするんです。

ーー次の夏もそういう風にいろんなものの巡り合わせの作品になりそうですね。

南壽 : そのときの曲との出会いとかがあると思うし、そのとき影響を受けるものが詰め込まれると思います。冬とは全く違うものにしようという計画だけはあるので楽しみにしていてください。

南壽あさ子作品アーカイヴ

自身の声の魅力が詰まった1st アルバム

南壽あさ子 / Panorama

【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV / AAC / MP3

【価格】
アルバム 2,160円(税込) / 単曲 257円(税込)

【Track List】
1. サンセット・サイドストーリー
2. わたしのノスタルジア
3. 少年たち
4. どんぐりと花の空
5. みるいろの星
6. それがいいな
7. パノラマライン
8. かたむすび
9. PASSWORD
10. ちいさなラズベリー
11. ペーパームーンへ連れ出して
12.やり過ごされた時間たち


400年近くの歴史をもつ築地本願寺でDSDレコーディングした貴重な音源

南壽あさ子 / 南壽と築地と子守唄 〜南壽あさ子 at 築地本願寺〜(5.6MHz dsd + 24bit/96kHz)

【配信形態】
DSD(5.6MHz dsd + 24bit/96kHz)

【価格】
アルバム 1,080円(税込)

【Track List】
1. 旅愁
2. 星のもぐる海
3. 500 Miles
4. 真夜中のスープ (オルゴール Ver.)


鈴木惣一朗作品アーカイヴ


直枝政広(カーネーション)とのユニット作品

Soggy Cheerios(惣一朗惣一朗&直枝政広) / EELS & PEANUTS

【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV / AAC / MP3

【価格】
アルバム 2,057円(税込) / 単曲 257円(税込)

【Track List】
1. あたらしいともだち
2. いつも雨
3. かはたれとき たそかれどき
4. 何もない世界
5. うつくしいとしること
6. 伽藍堂
7. 道
8. ふやけたシリアル
9. 次の季節のための歌
10. UFO
11. サウンド・オブ・サイレンス
12. 趣味週間
13. 好きさ
14. MISSISSIPPI HONCHO RAILWAY



アコースティック編成で魅せる音の響き合わせ

World Standard / みんなおやすみ(24bit/48kHz)

【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz) / AAC

【価格】
アルバム 2,500円(税込) / 単曲 249円(税込)

【Track List】
1. クリスマスのうた〜希望に満ちたジュリエッタ〜赤鼻のトナカイ
2. ねむりのつばさ
3. この素晴らしい世界
4. エレニの旅
5. 小さな祈り〜ジェルソミーナ
6. アンダルシア
7. 遠い声 遠い部屋
8. 禁じられた遊び
9. 永遠と一日
10. マルメロの陽光
11. 雪と花の子守唄
12. きらきら星
13. 一日と永遠
14. みんなおやすみ


LIVE INFORMATION

『ESTACION』アルバム発売記念インストア・イベント

2015年12月6日(日)@北海道 HMV札幌ステラプレイス
時間 : START 13:30

PROFILE

ESTACION

音楽プロデューサーとして名高く、自身もインストゥルメンタル主体のポップ・グループで活動している鈴木惣一朗 a.k.a ワールドスタンダードと、透明感あふれる唄声で各方面から支持を受けるピアノの弾き唄い・南壽あさ子が巡り逢い発生した季刊限定ユニット。懐かしい情景を連想させ、水のように澄んだ声を持つ南壽が、日本の唱歌や海外のトラディッショナル・ソングをすべて日本語で美しく唄いあげる『少女歳時記』プロジェクト。

>>南壽あさ子 Official HP
>>鈴木惣一朗 Official HP

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[REVIEW]・2017年04月19日・【ライヴ・レポート】京都の若きノスタルジー・バンド、バレーボウイズ いま京都では、ギリシャラブや本日休演、台風クラブなど、ノスタルジックなサウンドで懐かしさを醸し出しているバンドが1つのムーヴメントになりつつある。京都のインディー・シーンは今、彼らの話題で持ち切りなのだ。かつてくるりやキセルなど、京都の音楽シーンに注目が集まっていた時代があった。そんな時代の再来を期待させるような火種が、京都には転がっている。そしてその火種の1つに名乗り上げようとしているのが、超若手の7人組ノスタルジック・ロックバンド、バレーボウイズである。avex、DUM DUM LLP.、HOT STUFF、lute、ULTRA-VYBEが合同で開催し、特別審査員として中尾憲太郎(ex.ナンバーガール、Crypt City)、松田“CHABE”岳二(LEARNERS、CUBISMO GRAFICO)、MC.sirafu(片想い、ザ・なつやすみバンド)が参加した無差別級ライヴ・オーディション「TOKYO BIG UP! 」ではグランプリを獲得するなど、着々とその名を広めるバレーボウイズのライヴ・レポートをお届け。 テキスト : 水上健汰
【ハイレゾ配信】8年ぶりの新作『async』について訊く──坂本龍一メール・インタヴュー
[CLOSEUP]・2017年04月17日・坂本龍一『async』について語る──メール・インタヴュー 8年ぶりの新作アルバムとしてリリースされるや、OTOTOYでも一気にチャートを駆け上がった坂本龍一の『async』。往年のファンはもちろんのこと、現在のアンダーグラウンドな電子音響のファンまで、広く聴かれるべき刺激的な作品となっている。OTOTOYでは本作をハイレゾで配信するとともに、アルバムまとめ購入には坂本龍一自らが書き下ろしたライナー、そしてクレジットなどが掲載された、CDと同様の内容のPDFライナーが付属している。そして、ここに坂本龍一からのメール・インタヴューが到着した。 24bit/96kHzハイレゾ+ブックレトPDF付きで配信坂本龍一 / async(24bit/96kHz)'【Track List】01. andata 02. disintegration03. solari04. ZURE05. walker 06. stakra 07. ubi08. fullmoon09. async10. tri 11. LIFE, LIFE12. honj13. ff14. garden【配信形態 / 価格】''24bit/96kHz WA
by 八木 皓平
筆者について
西澤 裕郎 (西澤 裕郎)

1982 年生まれ。ファンジン『StoryWriter』編集長。http://storywriter-magazine.com/

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