2015/10/16 14:41

ソウル・フィーリングなアコースティック・サウンドとスウィートな歌声で心を掴む―Rickie-G、新EP配信

スウィートかつソウルフルで、一瞬で虜になる“奇跡の歌声”を持つと呼ばれたシンガー・ソングライター、Rickie-G。彼が約6年ぶりとなる新作を8月に発表した。フジテレビで放送されていたリアリティ・バラエティ番組『テラスハウス』には初期からの人気曲「Life is wonderful」が使用されるなど、サーフ・ミュージック / レゲエ・ファンのみならず、幅広い年齢層から支持を集めるなか待望の作品となる。そんな本作は「自分の、本当の本当の心の奥の声に、正直に生きて欲しい」 というRickie-Gの願いがこめられているという。作品を提げて全国ツアーを巡る彼に直撃し、今作への想いを訊いた。

Rickie-G / Follow Your Heart E.P.
【Track List】
01. Follow Your Heart(EP Version)
02. いとしのエリー
03. 58 Journey
04. I belong here

【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC)
単曲 300円(税込) / アルバム価格 1,200円(税込)

AAC / MP3
単曲 250円(税込) / アルバム価格 900円(税込)

INTERVIEW

淡い感情を描き出すエモーショナルな歌声と、レゲエやソウルのフィーリングを持ったアコースティックなサウンドによって、2008年のファースト・アルバム『am 08:59』以降、全国区での人気を獲得したシンガー・シングライター、Rickie-G。2009年には2枚のミニ・アルバムをリリースした彼だったが、その後の活動はライヴ・パフォーマンスを中心としたものへと移行。作品リリースは途絶えたままだった。それがこの2015年、実に6年ぶりとなる新作『Follow Your Heart E.P.』をリリース。来年にはフル・アルバムのリリースも控えているという。ライヴ活動は継続して行っていたものの、作品リリースという意味では復活作とも言える『Follow Your Heart E.P.』。そこには以前と変わらないどころか、より深みを持った歌世界を紡ぐRickie-Gの姿があった。『am 08:59』以降の6年間について、そして彼の思いがたっぷり詰まった新作『Follow Your Heart E.P.』について、Rickie-Gがたっぷり語ってくれた。

インタヴュー&文 : 大石始

今回の4曲は曲間にも波の音とか鳥の鳴き声が入っていて、全曲が繋がってるんです

――Rickieさんご自身のスタジオ「CREATORS' LOUNGE」を作ったのは2009年のことですよね。

そうですね。リハーサルやバンドアレンジができる場所がほしいという思いは前からあったんです。制作場所としても、メンバーとの練習場所にしても自由にいれる空間がずっと欲しかったんですね。小さい築60年の小屋なんですけど、大工さんに天井を抜いてもらったり、廃材を壁に敷き詰めてもらったりしながらコツコツ作ったんです。

――自分の空間を作ったことによって音楽活動のスタンスって変わりました?

うん、また変わりましたね。自分の制作や練習が思うようにできるようになったというのも大きいし、あと、出会いや再会の場所にもなっていますね。基地みたいな感じで友人達と楽器を奏でたり、お酒を交わしたり。そういう時に音楽的にも一歩一歩また新たな発見があったりして。

――2009年3月のミニ・アルバム『CREATORS' LOUNGE』からはそのスタジオでレコーディングを行っているわけですよね。

そうですね。『CREATORS' LOUNGE』では楽器の録りまでそのスタジオでやって、同じ年の10月に出した『BOOK OF MY JOURNEY VOL.1』というアルバムでは一部の曲のミックスまでやりました。今回のミニ・アルバムはエンジニアさんとともにレコーディング、ミックス、マスタリングまでほぼ全部自分のスタジオでできましたね。ただこれからの作品に向けては外の色んなスタジオ環境、色んなエンジニアリングも試していくつもりです。

――作品としては久しぶりのリリースになりましたが、音源は出していなかったものの、ライヴはずっとやってましたよね。

そうですね。ツアーも毎年やってるし、ライヴそのものはずっとやってますね。各地でライヴをやって、そこでお客さんからエネルギーをもらって、期間は空いてしまったけどそのエネルギーによって次の作品につなげていきたい…… そのサイクルはまったく変わらないでいきたいですね。

――今回の4曲に関してはギタリストであるMIKIHITOさんとの共同プロデュース作品であるわけですよ。

そうですね。自分は歌とコーラスなどをやっていて、MIKIHITOはバックの音を演奏しながらコードやリズムの部分まで色々とディレクションしてすごくカラフルに楽曲のアレンジをしてくれた。ただ、「こういうリズムで歌いたい」という最初のアイデアは僕から希望しますね。そこから出てきたリズムやアレンジに対して、さらにアイデアを出して。オンラインでも細かくやりとりをしたので、良い感じで楽しみながらアレンジも詰められました。今回の4曲以降の曲も全部そうやって作ってますね。

――最初のアレンジはギターで作っていくんですか。

そうですね。僕がざっくりとコードを起こして歌をのっけることが多いですね。今回は鍵盤が入ってなくて、アンビエント的なフレーズも全部ギターでやったんですよ。リヴァーヴをかけたりして、ちょっと鍵盤みたいな音を作りながら、そこにハーモニカやベースを入れてる。

――へえ、おもしろいですね。そういうやり方は今回初めて?

そうですね。新たな試みかもしれないですね。

――過去の作品に比べて満足度が違います?

比べる事はできないけど満足してるし、良い経験になりました。今までの音源の世界観を聴き返しながら「これ、どうやって作ったんだっけ?」と振り返ることも多かったですけどね。今回はいろいろと実験しながらつくれました。

――ちなみに、MIKIHITOさんとの付き合いはいつから?

そんなに長くはないですね。2年ぐらいかな。でもね、その前から存在は知ってました。ライヴも見てたし、音源も好きで。もともとは友人が紹介してくれたんですけど、最初に音を出した瞬間から音で会話できるような感覚があった。引き出しもめちゃくちゃ多いし、『BOOK OF MY JOURNEY VOL.1』以降で温めていたアイデアを形にするには彼の力が必要だった。そう考えると、結構重要な出会いだったのかもしれませんね。

――制作にあたって全体のテーマとかイメージみたいなものはあったんですか。

「ドライヴをしながらとか、~しながら聴けるものを作りたい」というイメージはありましたね。あと、今回の4曲は曲間にも波の音とか鳥の鳴き声が入っていて、全曲が繋がってるんですよ。4曲でひとつのストーリーを表現したいと思ったんですね。鳥の鳴き声をフィールドレコーディングするのも楽しかったですよ。機材を持って森のなかに入っていったりしてね。

「どこかで会おう」みたいなメッセージを友人たちに投げかけるような曲を書きたくなって

――せっかくなので、4曲全曲を解説してもらいましょうか。まずオープニング曲である「Follow Your Heart」。

この曲は2年ぐらい前にできたのかな。ここ数年いろんな出会いと別れがあって、いろんなことを考えたし、この曲も自分を奮い立たせるようなものになったかも。このヴァージョンと配信ヴァージョンで少しアレンジが違っていて、ここに入っているのは少しアコースティックな感じ。

――ちなみに今回のミニ・アルバム、ドラムやベースは誰が演奏しているんですか。

ベースは全部SHINJU (ALBATRUS) 。今回ドラムは今までの生演奏の素材を使ってビートを組みました。生ドラムと違うグルーヴが出るからまたそれもおもしろかったかも。

――2曲目はみなさんよくご存知のサザンオールスターズ「いとしのエリー」のカヴァー。どういうところからこの曲をカヴァーしようと?

子供のころからこの曲が大好きだったんですよ。何曲かカヴァーの候補はあったんですけど、桑田さんがライヴでこの曲を歌う後ろ姿を映像で見て、ふと「これしかない」と思ったんですね。それでライヴでやるようになって、今回レコーディングしてみようと。

――「58 Journey」はまさかのインスト曲で。Rickieさんはギターも弾いてない?

うん、弾いてないですね。今のバンドの編成がすごく良くて、それでツアーも回ってるんですけど、その姿を残しておきたくて。この曲に関しては俺もディレクションしてなくて、何テイクから録ったセッションから選びました。後からシェイカーとコンゴは入れたかな。自分で鳥の鳴き声を真似して、それを環境音と混ぜたりしてます。

――そして4曲目の「I belong here」。これも現在のRickieさんの音楽世界のキーになるような曲なんじゃないかと思うんですが。

震災後、東京や神奈川から離れる友達もいれば、残る友達もいて、僕も親戚の家にステイさせてもらっていた時期もあったんですね。そういう生活のなかで「どこかで会おう」みたいなメッセージを友人たちに投げかけるような曲を書きたくなって。そういう友人たちと沖縄や九州で再会することも多かったので、この歌のなかでも「いつか琉球の地で会おうか」という歌詞が出てくるんです。

――なるほど。

ちょっとシリアスなテーマだけど、自分たちの憂いが雲に吸収され、他の土地に移動していき、雨となってその地に降り注ぐ。。ここにいる(I belong here)、目に映るのは前と変わらない綺麗な海や森が広がってるよ――みたいなうたですかね。

――寂しさと切なさと前向きな気持ちがゴチャ混ぜになった、震災直後のあの空気が反映された曲ですよね。

そうですね。

――僕、東京在住なんですけど、震災直後に東京から離れて九州や沖縄に移った友達もいるし、最近になって東京に戻ってきた友人もいる。そういう別れと再会を体験した人は多いはずだし、この曲が響く人は多いと思うんですよ。

移住者のコミュニティーも色々できてますよね。僕自身もその後、色んな繋がりができました。

――それでも今のところはCREATOR'S LOUNGEというホームに戻ってきた、と。

そうですね。この2015年という年は自分にとっても節目の年だと思ってるんですよ。戦後70年という日本の節目でもありますけど、個人的な節目でもあると思っていて。

――そういう年に久々の音源を出せたというのはとても重要なことでもありますよね。

そうですね、うん。音源のリリースを二の次に考えてしまっていたところがありましたからね。もちろん出したかったけど、つい目の前のライヴなどを優先していたから。ここでもう1回、腰を据えてしっかり作ろうと。

――そして、この後アルバムが出る、と。

勢いでいきたいですね! 今回もリリース・ツアーがあります。いろんな編成、いろんな音でできればと思っています。貰ったエネルギーをしっかり音源にいかしていきたいと思っています。

――ここからRickieさんにとっての新しいストーリーが始まっていくわけですね。

そうですね。自分にとってもスタートという感覚がありますね。

LIVE INFORMATION

Creators' Lounge presents 『Rickie-G / Follow Your Heart Release Tour 2015 』
2015年10月10日(土)@大阪 名村造船所 STUDIO PARTITA
2015年10月16日(金)@新宿 ReNY ※THANK YOU SOLD OUT!!

GREEN PIECE 2015
2015年10月25日@八女市鉄道記念公園 特設会場

PROFILE

Rickie-G

アコースティックを基調とした生の暖かいサウンドと伸びやかな歌声でジャンル問わず様々な方面から注目を集めるRickie-G。ソウルフルな歌詞と歌声は聞く人の心を動かす。2006年より『Life is wonderful』『逃飛行』『ラブソウル』とリリースを重ね、2008年に待望の1st Album『am08:59』をリリース。iTunesランキングでは長期にわたり1位をキープ。ほぼ口コミのみで5万枚を記録し、ロングランヒットとなった。2009年3月ミニ・アルバム『CREATORS' LOUNGE』に続き、10月にはコンセプト・ミニ・アルバム『BOOK OF MY JOURNEY VOL.1』をリリース。追求した自身のスタジオで制作し、唯一無二な音を生み出した。Ryan Shaw / Steph Pockets / Lee Evertonの来日公演で競演するなど海外アーティストからの評価も高く、全国各地で様々なスタイルでライブを行っている。現在セカンド・フル・アルバムを自身のスタジオ「CREATORS' LOUNGE」にて制作中。

>>Rickie-G Official HP

[インタヴュー] Rickie-G

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