2015/09/15 15:58

新たなエレクトロニック・ミュージックの旗手、yuichi NAGAOの

秀逸デビュー・アルバムをハイレゾ配信& インタヴュー

日本のテクノ / エレクトロニカを中心に次々と新しい才能を生みだしている「PROGRESSIVE FOrM」から、yuichi NAGAOのデビュー・アルバム『Phantasmagoria』をOTOTOY限定曲付きでハイレゾ配信開始。疾走感溢れるアップ・テンポなダンス・ナンバーから、心地よいダウン~ミッド・テンポのバラード・ナンバーまで、聴き手を全く飽きさせない至福の全14曲を、本人へのインタヴューと共に堪能してほしい。

yuichi NAGAO / Phantasmagoria
【配信形態】
【左】(24bit/48kHz) : ALAC / FLAC / WAV / AAC : 単曲 216円(税込) / まとめ購入 1800円(税込)
【右】MP3 : 単曲 162円(税込) / まとめ購入 1500円(税込)

【Track List】
01.Nostalgia / 02.Jewel Eyed Girl / 03.Orb / 04. Procyon / 05. Vega / 06. Northern Cross / 07. 真夏の夜の夢 / 08. Star Rain / 09. Merry-Go-Round / 10.Journey To The Stars / 11. Promise / 12. Sea Of Memory / 13. Star Dancer / 14. Virgo

INTERVIEW : yuichi NAGAO

日本を代表する名門電子音楽レーベルであり、近年は若手のデビュー・アルバムも多くリリースし、新人エレクトロニック・アーティストのフック・アップ / サポートも熱心に行う「PROGRESSIVE FOrM」より、また1人、新たな才能がデビューする。 yuichi NAGAOによる『Phantasmagoria』は、その名のとおり、幻想的な情景が次々と去来する情感豊かな作品であり、且つ、NAGAO氏の理論的な方法に裏打ちされた逸品である。彼に幼少の原体験から現在に至るまでを語ってもらった。

インタヴュー& 文 : 植松幸太(HEADZ)

音楽を好きになったきっかけとしては、ゲーム音楽ですね

――リリースおめでとうございます。デビュー・アルバムということで、NAGAOさんのバイオグラフィー的なところからまずはお伺いしていければと思います。美術教師の父と音楽教師の母の家庭に育ったとききました。音楽との関わりはどのようなスタートだったのでしょうか。

NAGAO : 小さい頃に、エレクトーンを「やらされていた」という状態でやっていました。そのときは本当にやりたくなかったので、嫌々やっていたんです。毎週レッスンがあって「それまでにこの曲を練習しておきなさい」とかだったんですけど、ずっとサボっていて、あと1年はやるから、1年やったら辞めさせてくれって言って、辞めさせてもらった。だからそのエレクトーンは今の活動には全くいきてないですね(笑)。どちらかというと父親の方の影響というか、小さい頃から絵を描くのが好きだったりして、そっちのほうが直接的に今の自分に繋がっているような気がしますね。父親のアトリエが自宅にあったので、絵の具とかが散乱してる、それを使ってがーっと描いたりとか。姉がいたので、一緒に漫画の模写をしたりとか、そういうことをしてました。

――むりやりやらされていた嫌いだった音楽が好きになり、実際にやるようになったのはどのように?

NAGAO : 音楽を好きになったきっかけとしては、ゲーム音楽ですね。ゲームはすごく好きだったので。ゲーム音楽がルーツにある。ドラゴンクエストとかファイナルファンタジーとかロマンシング サ・ガとかの音楽とか好きで。自分で作りたい、という気持ちにはすぐならなかったですけど、元々、マンガや絵を描くことの延長で空想とか妄想が好きだったんですが、音楽があることで、より空想の世界に入り込んで行ける、みたいな。

――なるほど。

NAGAO : だから音楽は自分でやる、というよりは、最初は没入するための装置みたいなイメージでした。そこから、小さいころはゲーム音楽が好きだったんですけど、歳を経ていろいろと情報が入ってきますよね、そこで、美術大学に漠然と進学の意思があったので、そこでなにかやろうってなったときに、サウンド・アートとかが勉強できるらしいってパンフレットで読んで。当時、ソニックユースとか、エクスペリメンタルなものが好きだったので、でも普通にバンドとかがやりたいわけじゃなかったから。音で変わったことをしたいという本当に漠然とした動機でしたね。

――武蔵野美術大学だとお聞きしました。サウンド・アートというと、クリストフ・シャルルさんのゼミなどがありますよね。

NAGAO : そうですね。シャルルさんのゼミでした。

――シャルルさんからどんなことを学びましたか?

NAGAO : シャルルさんからは技術的なことよりも、考え方や環境を与えてもらったことの方が大きかったですね。あとシャルルさんはやっぱり、あの人のエクスペリメンタルな、アンビエントなライヴを学生のときによくみていたんですけど、周波数とテクスチャーによる展開の作り方がすごくうまかった、と、そこはすごいなぁと。1、2年のときは共通の課題をやっていたんですけど、3年からメディア・アートで、進級制作ではライヴをやって、卒業制作では、Max / MSPを教えてもらって、オブジェクトと人が介在して映像が変化する、みたいなインスタレーションを作りました。

yuichi NAGAO

――その頃から、アーティスト活動をされていたのですか?

NAGAO : 今みたいな形では全然やってはいなかったですね。インプロ畑の人と結構やってました。

――そこから今にいたるのは、どのようなステップがあったのでしょうか。

NAGAO : 物理的に、時間も実際に結構空いていて、仕事をしはじめたというのもあって、一時そっちのインプロのほうが、なんとなく自分の中でもういいかなっていう気持ちになってきてたので、そこでそっちのライヴをある時点でやめちゃったんですね。そこからはお仕事で、ウェブ・コンテンツの音楽制作の仕事とかは頂いていたので、そういうのは作ってはいたんですけど、自分の名義で作品発表みたいなことはやっていない時期がわりとあったんです。

――そこから、プロフィールには2010年の「Red Bull Music Academy Basscamp」への参加がきっかけだったとありますね。

NAGAO : それが1番きっかけとしては大きかったですね。岸野雄一さんのつてで、こういうのあるんだけど応募してみれば? って言っていただいて。僕はアーティストとしては全く無名だったので、アーティスト枠じゃなくて、裏方的な枠として、参加させていただくことがたまたまできたので、そこで同じ部屋にDaisuke Tanabeさんとかがいらっしゃって、そのときは自分はアーティストという意識では行っていなかったんですね、完全に裏方というか、わりと一歩引いた目線で参加してるという意識があったんですけど、そのときに、Daisukeさんと結構しゃべったのが大きかったかもしれないですね。

――岸野雄一のお名前が出ましたが、岸野さんや菊地成孔さんが講師をつとめる美学校の音楽コースに通われていたと。菊地さんからはどんなことを学びましたか?

NAGAO : 菊地さんには、音楽理論ですね。ジャズ理論というか。それまでは、エレクトーンをやってたとは言いましたけど、全然キーボードや楽器は弾けないですし。コード理論も手癖でしかやっていなかったので、ちゃんと勉強しようと思って、ドレミから教わったという感じですね(笑)。

ちゃんとコンポーズして、ポリリズミックにビートをヨレさせたい

――現在レジデントを務めているイベント"Sukima Tokyo"、不定期で参加しているビート・コレクティブ"En-Tokyo" についても教えてください。

NAGAO : Sukimaは、2012年位からだったかな。Sukima自体は青山蜂で長年やってるイベントで、そこに途中参加させてもらうみたいな感じで。オーガナイザーのLasphereというDJでトラックメイカーの人と知り合って、1回出させてもらって、で、レギュラーで、どう? みたいな感じで声かけてくれた感じですね。EN TOKYOはどちらかというとサポートみたいな形で関わっているんですけど、神保町界隈でレコードを掘ってるビート・メイカーの子達がいて、その子らがEN TOKYOってのをやるということで、神保町でビート・メイク出来るスペースをサポートしたり。元々はPigeondust君というビート・メーカーが中心になって、レコードを一緒に買いに行って、一晩かけてトラックを作る、みたいな集まりで、最近はRedBullスタジオ・ホールでやったりしてましたね。

――「SECONDHAND SURESHOTS」みたいな、面白い企画ですね。

NAGAO : 僕自身としては、もろビート系みたいな感じの音は今は自分ではやらないんですけど、聴く分には好きなので、その周辺のイベントにはちょこちょこ遊びに行っていて、それで知り合ってという感じでした。「ビート系」でいうと、2000年代後半位のMyspace全盛期的なごった煮感というか、あの感じが好きだったんですけど、今はもう少しピュアに進化してる感じがある、そうなると、自分の持ち味とは違うので、自分ではそれはできない。自分でやるんだったら、単にヒップホップ的にビートをヨレさせるのではなくて、ちゃんとコンポーズして、ポリリズミックにビートをヨレさせたい。もうちょっと頭でっかちなアプローチなんですけど(笑)、そっちのほうが自分には合っている。

ENTV! #7 - 5.yuichi NAGAO
ENTV! #7 - 5.yuichi NAGAO

――そこは菊地さんの影響も大きいのでは?

NAGAO : ありますね。やっぱり、ヒップホップがルーツのビート・メーカーって、理屈じゃなくリズム感とヴァイブスでよらせるんですよ。それはとてもかっこいいんですけど、ちょっと自分にはできないので(笑)。やっぱりそこで僕は考えてしまう。

――でもそこが個性ですよね。同じことをやっても意味ない。NAGAOさんは頭で考える(笑)。

NAGAO : そうですね(笑)。

――アルバム『Phantasmagoria』の話しに入っていきたいのですが、これはいつ頃から制作を始めたんですか?

NAGAO : 今年の6月にまとめてPROGRESSIVE FOrMのnikさんに送らせてもらったんです、9曲くらいですかね。今年の頭くらいからアルバムを作ろうとは自分の中で決めていて、作り貯めていたんです。その中である程度まとまった9曲位ができたので、それをお送りして、それを聴いていただいてリアクションをもらえたので。それで、という感じですね。「Orb」と「Procyon」は去年作った曲なので、ちょっと毛色が違っていますが、それ以外は基本的に今年に入ってから作りました。

――制作開始当初からこういう作品のイメージがあって作っていったんでしょうか。

NAGAO : 実は最初はもう少し、全編変拍子、ポリリズムの作品にしたいって思ってたんですよ。先行試聴でSoundCloudにアップした「Jewel Eyed Girl」という曲があって、これが中心というふうに思ってて、で、全部変拍子で攻めたくて、そういう曲をnikさんに送る前に実は結構作っていたんです。でも送る時点で、ちょっと自分の中でGOサインが出せなかったので落としました。この音楽的な構造をもうちょっと突き詰めたいという欲求にこだわりすぎると、いつまでたってもアルバムが完成しない、と思ったので、そこでテーマを切り替えて、もう少しテーマを個人的なところにシフトしたんですね。構造的に実験する、というよりは、もうちょっとエモーションというか感情を忠実に出そう、と。

――頭で考える理論派が出しちゃうエモーション。いいですね。

NAGAO : 今回は感情に振り切った。だから多少青臭くても感情をメインに出して作ろうと決めたんですね。

――宇宙というか壮大なイメージ、情景が浮かぶ作品でした。

NAGAO : 個人的にルーツ、イメージとしては、ますむらひろしの「銀河鉄道の夜」なんですよ。あの猫の「銀河鉄道の夜」。あれがすごく好きなので。

――あれはトラウマ・アニメですよね。なるほど。音楽は細野さんでしたよね。

NAGAO : あのイメージが好きで。その辺はインスピレーションになっていたのと。あとは、今回アート・ワークをQ-TAさんというコラージュ・アーティストの方にお願いしたんですけど、この人のコラージュ作品が、さっき言ったEN TOKYOのLidlyさんのアイコンとかを描いていて、それつながりで知って、この人の作品がすごく好きだったので、アート・ワークを頼むとしたらこの人だなって、たまにtumblrから、インスピレーションに近いものを補充したりして。

――アルバム制作と同時並行で、この方がいいと思っていて、そこからインスピレーションを受けながら?

NAGAO : そうですね。そこでQ-TAさんの作品の中で、天体のモチーフだったり、宇宙のモチーフだったりとかが出てるのが非常に好みだったので、その辺からもインスピレーションをもらいながら作りました。

――意外だったのが、クレジットをみると初音ミクを多用されたりしていますよね。それは以前から使われてたんですか?

NAGAO : 2年くらい前にミクのマック版が出たんですよ。それを物珍しさで買ってはいたんですけど、そんなに使っていなくて、歌というか、声ネタとして使いたかったんですね。ベース・ミュージックとかでは、みんな声をサンプリングしてピッチ・シフトしたりよくしますけど、あれの延長で、自分でコントロール可能な声という感じです。もしくは、声の音色が出るシンセ、という感覚で使っています。

――聴くと歌詞のようなものがあったりして、あれもご自身で?

NAGAO : 歌詞は完全に自動筆記に近いですね。音ありきで、意味はほぼないです。洋楽の歌詞が全部は聴き取れないけど、部分的に言葉が拾い上げれて、なんとくイメージが拡がっていく、みたいなことがたまにありませんか? その感じがすごく好きなので、単語単位では、一応意味のある言葉ですけど、トータルでは意味はないですね。意味はあくまで副次的なもので、まず、音という抽象性があった上で、言葉の具体的な意味が日本語がわかるんだったらたまに入ってくるな、くらいの。

――なるほど。

NAGAO : あとは、感情というところで、去年の年末くらいから、和声をもう1回個人的に復習をしてたんですよ。コード理論とかを。改めて勉強し直したら、できてなかったことが山のようにあって、それによって、例えば、「楽しい」と「悲しい」という感情があったとして、その中間色みたいなものが表現できる為のツールを得られたというか。だから、「楽しい」と「悲しい」とかに振り切っているというよりは、中間を通すような色使いというのが、例えば「Star Rain」という曲ではそれが出来たかな、って。地味な曲なんですけど、その地味な感情が出したかったんです(笑)。その点でこの曲は気に入っていますね。

やっぱり元々、ダンス・ミュージックが好き

――お気に入りの曲、一押しポイントを教えてください。

NAGAO : やっぱり、2曲目のさっき話した「Jewel EyedGirl」とかは、構成とかが今後やっていきたい部分というか。あとは、OTOTOYの配信限定で収録している曲なんですけど、「Virgo」という曲があって、これが5拍子と4拍子をミックスして作ったんですね。頭でっかちにリズムをよらすっていう方法論が自分の中でうまく機能したような気がする曲なので、この曲は思い入れがありますね。

――まさに、OTOTOYで購入できるわけですね。

NAGAO : そうですね。よろしければ是非!

――OTOTOYの配信限定曲「Star Dancer」はどういう曲ですか?

NAGAO : こっちは、6/8拍子で作った曲で、だからこの配信限定の曲が、変拍子の試みの名残といえば、名残ですね。

――この2曲みたいな曲を今後は推し進めたい?

NAGAO : そうですね。変拍子があって、ポリリズムがあって、和声としては、ちょっと明るすぎたかな、という気もしているので、もうちょっと中間色的な和声を使って(笑)。ついついやっているとロック的なテンションが上がってきて振り切ってしまうんですよ。振り切っちゃうんですけど、振り切っちゃわないくらいの。楽しいけど、ちょっと悲しいみたいな状態ってあるじゃないですか。その辺のもやっとした状態が好きなんですよ。

――NAGAOさんの音楽は仰るように理論で作るという部分と、ちゃんと楽しく聴けるという部分が両立しているところがいいなと思いました。

NAGAO : やっぱり元々、ダンス・ミュージックが好き、というのと。あとはやっぱりゲーム音楽の影響ですかね。それこそゲーム音楽とかがめちゃくちゃ技巧的じゃないですか、植松伸夫先生とかプログレ博士ですから。転調、変拍子の鬼。でも全然普通に聴けますよね? 他に、ゲーム音楽だと浜渦正志さんという、FF10とかサガフロンティアとかの人なんですけど、DSとかの比較的知名度の低いスクウェア・エニックスのタイトルの音楽がすごく良いんですよね。「シグマハーモニクス」とか。知らないですよね(笑)? 僕も実際にやったことはないんですけど。サウンドトラックがすごくいいんですよ。是非聴いてみてください。

――なるほど。ありがとうございました。最後に今後の予定などありましたら教えてください。

NAGAO : 11月にリリース・イベントを予定していますので、宜しければ遊びにいらしてください。

PROGRESSIVE FOrM過去作品はこちらから

Geskia / SFIMT(24bit/96kHz)

flau、術ノ穴などからのリリースでも知られる希代のトラック・メイカーGeskiaの通算7枚目となる待望の最新アルバム『SFIMT』!前作『Silent Of Light』に続きPROGRESSIVE FOrMよりリリース。本作の特徴は何と言っても収録全10曲にちりばめられたボーカルやボイスの存在であろう。その意味ではGeskia初のヴォーカル・アプローチなアルバムとも言える。フィールド・レコーディングを始めとした多種多様なヴォイス素材の声や歌のフレーズを分解し、ピッチを様々にいじったものを再構築してオート・チューンで歌わせるという手法を取っており、男性らしく聴こえる声も元は女性の声だったり、その逆もあり、楽曲を構成する楽器の一部として声に性別としての役割はもたせてはいないが、そこには強烈な存在感と魅惑的なメロディー・ラインが奏でられている。アルバム全体としては、都会的な影の部分や現代的な響きは意識して取り入れており、個人的な憂いや倦怠感などの渇きを都市の生産的で肯定的な躍動感と対比させた部分、またそこから産まれるのはパーソナルな核になる孤独感と多幸感にスポットを当てて表現されています。WARP、TriAngle Records、Young Turks、Modern Loveといったレーベルのエッセンスとシンクロする現在進行形の音楽に通じたテイストのリスナーにお薦め。

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Tetsuya Hikita+NIL / Ferry(24bit/96kHz)

ソロとしてはそれぞれ00年代後半より活動を開始、2012年にユニットとなり同年12月にBunkai-Kei recordsからリリースした1stアルバム『utakata++』より約2年、疋田哲也+NILによる待望の2ndフル・アルバムが完成。Electronica、IDM、Techno、Dub、Ambientなど1つのジャンルでは収まらないほどの様々な要素が鏤められた彼等従来のサウンドの良さはそのままに、心の琴線に触れる叙情的なメロディーやコード、大地と大空を駆け巡る情景的なストリングスやシンセサイザー、また聴き手の耳を離さないスムースなリズムと構成力などをはじめ、楽曲としての精度の飛躍とともにその魅力が存分に凝縮されつつ、そこに作品としての一貫性も加わり、非常に魅力的なアルバムに仕上がった。アートワークには、第7回大野城まどかぴあ版画ビエンナーレ展池田満寿夫大賞、第4回山本鼎版画大賞展上田市長賞などを受賞した銅版画作家である上原修一の作品をフィーチャー。マスタリングは、AOKI takamasaやAmetsubなどPROGRESSIVE FOrMの初期~中期を彩ったアルバムを手掛けた、オノセイゲンが代表をするSaidera Masteringのチーフ・エンジニアである森崎雅人が担当しました。

>>特集ページはこちらから

Peeano / S E A S O N S(24bit/48kHz)

《New Age Electronic Jazz》とでも呼べる心地の良いサウンドFOGPAKやMizukage Recordsといったオンライン・レーベルへの積極的な楽曲提供で注目を集めるオランダのビート・メイカーPeeanoことStephan a.k.a. Peeano Pijlooによるジャジーな空気を合わせ持つ秀逸1stアルバム。アート・ポーターやマーカス・ミラーといったJazzミュージシャン、マイケル・ジャクソンやD'Angeloといったブラック・ミュージックのアーティスト、AOKI takamasaやAmetsub、また久石譲から強い影響を受けているという言葉の通り、ソウルフル~ジャズ~電子音楽~サウンドトラックといったサウンドの要素が絶妙にブレンドされ、アーティスト独自のオリジナリティー溢れる音世界へと昇華され表現されている。スペイシーなローズやシンセ、美しいピアノ、子気味の好いビートや装飾音をはじめとした各楽器が全編における構成と展開の妙と相まい、タイトルである『S E A S O N S』に結実した色彩を奏でる素晴らしいアルバムに仕上がっており、様々な空間にとけ込む洗練された長く聴けるサウンドです。

PROFILE

yuichi NAGAO

香川出身・東京在住の音楽家。
美術教師の父と音楽教師の母の家庭に育ち幼少時より絵や音楽に親しむ。父親のアトリエで観たシュール・レアリスム絵画や、アニメ「銀河鉄道の夜」における細野晴臣のOSTに多大な影響を受け、のちの音楽制作の原体験となる。

高校卒業を機に上京、美術大学でメディア・アートやサウンド・アート等を学ぶかたわら、菊地成孔氏に音楽理論を師事。ジャズ・ミュージシャンなどとの即興演奏を中心にエクスペリメンタルなフィールドを中心にライヴ活動を行う。

その後、webコンテンツへの楽曲提供などクライアント・ワークを行いながら、2010年に開催された「Red Bull Music Academy Basscamp」への参加をきっかけに、ソロ名義でのアーティスト活動を開始。2012年8月に『Midsummer EP』をリリースしつつ都内を中心に制作とライヴ活動を展開、老舗クラブ青山蜂のレギュラー・イベント"Sukima Tokyo" にてレジデントを務めるほか、都内のビート・コレクティブ"En-Tokyo" に参加するなど、特定のジャンルに捕われず積極的な活動を続けている。

Twitter
Soundcloud

PROGRESSIVE FOrM

2000年に設立以来、日本における様々な、新しいエレクトロニック・サウンドをサポートし、海外との繋がりを絶えまなく継続、推進し続け、いまや日本を代表するインディペンデント・レコード・レーベル。

PROGRESSIVE FOrM HP

[インタヴュー] yuichi NAGAO

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