天性の歌声と美貌を持ち合わせた2010年代のアイコン、デラドゥーリアンのデビュー作をハイレゾ独占配信
過去にダーティー・プロジェクターズに在籍し、あらゆる楽器をこなしながら、魅惑の歌声を披露してきたマルチ・プレイヤー、エンジェル・デラドゥーリアン。最近ではフライング・ロータスの最新作『You're Dead!』に参加したことも記憶に新しい彼女が、ついにソロ・デビュー・アルバム『The Expanding Flower Planet』をリリース! なんとOTOTOYでは本作のハイレゾ版を独占配信! ダーティー・プロジェクターズを思わせるひねくれポップスから呪術的なダークな楽曲まで、彼女から生み出された多種多様な楽曲達をぜひハイレゾで。収録曲「A Beautiful Woman」がアメリカの音楽情報サイト〈ピッチフォーク〉の“Best New Track”に選ばれるなど、早くも話題を集めつつある本作をレヴューとともにお楽しみいただきたい。
ハイレゾ版はOTOTOYだけ!!
Deradoorian / The Expanding Flower Planet(24bit/96kHz)
【配信形態】
ALAC / FLAC / WAV / AAC(24bit/96kHz) : 単曲 288円(税込) まとめ購入 2,829円(税込)
【Track List】
01. A Beautiful Woman / 02. Expanding Flower Planet / 03. Violet Minded / 04. Komodo / 05. Your Creator / 06. The Invisible Man / 07. DarkLord / 08. Ouneya / 09. The Eye / 10. Grow
現実と全くかけ離れた音の世界は絶対的に孤高の存在
USインディ界きっての才女、エンジェル・デラドゥーリアンがついにそのベールを脱いだ。ダーティー・プロジェクターズの元メンバーであり、現在はアニマル・コレクティヴ、エイヴィ・テアのソロ・プロジェクト、エイヴィ・テア・スラッシャー・フリックスのキーボードを担当している。USインディ・ロックの金字塔的作品『Bitte Orca』での彼女の美しい歌声は多くのリスナーを魅了した。
U2、ビョーク、フライング・ロータス、ヴァンパイア・ウィークエンド、カインドネス、プレフューズ73やザ・キラーズのブランドン・フラワーズという数々の大物アーティストの作品にもゲスト参加するなど、その才能はお墨付き。音楽性や歌声もさることながら、その上とてつもない美人という、まさに才色兼備。今作はそんな彼女のデラドゥーリアン名義で初となるフル・アルバムだ。
『The Expanding Flower Planet』と名付けられた今作。直訳すると“広がる花の宇宙”というタイトルは彼女の書斎の花の曼荼羅からイメージしたという。セルフ・プロデュースでほぼ一人で作り上げたという今作は、自出のUSインディ的な要素以外にも、ジャズ、クラウト・ロック、中東やアジアの民族音楽まで自らのルーツを惜しみなく取り入れた作品だ。その中でも特に影響を感じるのが彼女が自身のルーツと語るジャズ・ハープ奏者のドロシー・アシュビーの1970年作『The Rubaiyat of Dorothy Ashby』だ。この作品を一言で表現するのは難しい。どこかのレコード屋では「スピリチャル・ハープ・エキゾチック・オリエンタル・ソウル&ジャズ・ファンク」なんて書かれていた。そんなことを言われても全く理解できないが、聴いてみればそう言われるのも分からなくはない。異国情緒溢れるメロディと神秘的なハープの音色、現実と全くかけ離れた音の世界は絶対的に孤高の存在であり、ジャンルにはめ込むことを許さない、真にオリジナルな作品だ。
今作も同様、彼女の音楽は何にもカテゴライズできないオリジナルな作品だ。ドロシー・アシュビーのような神秘的でエキゾチックなメロディを中心に、クラウト・ロックのビート、そして彼女の美しい歌声によって作り出される音楽は、神秘的でありながら、どこか親しみやすさもある独特な雰囲気。アーティスティックに作り込みすぎず、ポップすぎでもない、その絶妙なラインを成立させる彼女の美的感覚は彼女の才能と言ってもいい。今作は伝統的な音楽から新しい音楽を生み出そうという彼女の探究心とこれまでの数々の経験が生んだ傑作だ。類い稀な才能、天性の歌声、誰もが魅了されるその美貌、全てを持ち合わせた彼女はもはや2010年代のアイコン的存在と言っても過言ではないだろう。(text by 吉野敬一郎)
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世界的に絶大な人気と影響力を誇るアニマル・コレクティヴのメイン・ソングライターの一人であるエイヴィ・テアがダーティー・プロジェクターズのエンジェル、ボアダムスでの活躍で知られるジェレミー・ハイマンの3人で結成したエイヴィ・テアズ・スラッシャー・フリックス。表情を変えながら展開されるドリーミーな世界は唯一無二。
DJハーヴィーによる幻のサイケデリック・プロジェクト、ワイルデスト・ドリームスによるフル・アルバム。ディスコ・ダブ以降のオルタナティヴなスタイルの先駆けとも言える、ハーヴィー自身による伝説的ミックス『マッド・ドッグ・クロニクルズ』の世界観を彷彿させるブルージー&ロッキンな内容。クラブ・シーンと現行サイケをクロスした濃密な音の桃源郷は必聴。
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PROFILE
Deradoorian
1986年、北カルフォルニア生まれのシンガー&マルチプレイヤー、エンジェル・デラドゥーリアンによるユニット。ダーティー・プロジェクターズの大傑作『ライズ・アバヴ』、『ビッテ・オルカ』(カバージャケットへの登場も印象的)時のメンバーであり、現在はエイヴィ・テアー(アニマル・コレクティヴ)のエイヴィ・テアーズ・スラッシャー・フリックスの一員として活動中。ビョーク、ザ・ルーツ、フライング・ロータス、デヴィッド・バーン、U2、ヴァンパイア・ウィークエンドら匆々たる面子とのコラボレーション経験を持つ。入り組んだ密集和声とバルカン半島や中東の音階を駆使し、現代的なエクスペリメンタル・ポップと前近代的なポリフォニーと融合させたデラドゥーリアン・サウンドは、異質ながらどこか懐かしい印象を与える。昨2014年秋にはRed Bull Music Academyの為来日。恵比寿リキッドルームで行われた「EMAF TOKYO 2014」ではループ・ペダル、生楽器と魔法のように重なり合うヴォーカルによるパフォーマンスを披露した。