2015/07/11 11:35

歌うことが楽しいってことは忘れたくない——男女ポップス・デュオ、macicoの初作品を独占配信&フル試聴

凛とした歌声とハスキーなコーラス・ヴォイスで、シンプルながらも、芯の通ったサウンドを展開する男女ポップス・デュオ、macico。メンバーのaya(Vo)とtom(Gt,Vo)は2人とも、10代のアーティストのみが出演できるロック・フェスティバル『閃光ライオット』に、それぞれの活動で出演した経歴を持ち、それがこのデュオを結成したきっかけでもあるという。そんな彼らの初シングルである『blue』を、OTOTOYでは全曲フル試聴でご紹介。そっと日常にそっと寄り添うかのような、あたたかな楽曲群をまずは、聴いてみていただきたい。

そして、今回行った彼らへのインタヴューでは、お互い別々の活動を経てmacicoに至った経緯、そしてmacicoでの大きな決意を大いに語ってもらった。ぜひ、彼らの初作品とともに、耳を傾けていただきたい。

『blue』フル試聴実施中!!

レーベル macico Records  発売日 2015/07/11

01. 02. 03.

※ 曲番をクリックすると試聴できます。

※フル試聴期間 : 2015年7月25日(土)24:00まで

作品の購入はこちらから

macico / blue
【Track List】
01. 背中
02. 206
03. MAKIKO

【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC / mp3
単曲 257円 アルバム 500円(税込)

まとめ購入いただくと、デジタル歌詞ブックレットが付属します

macico 1st single blue trailer
macico 1st single blue trailer

INTERVIEW : macico

当初、この配信 / インタヴュー・オファーはシンガー・ソングライター、日向文に向けたものでした。メールの返信には「日向文は活動を終わり、これからはmacicoとして活動します」と書いてあり、そのメールに添付してあったのがmacico『blue』の3曲でした。当然、悔しさもあったけれど、その音源を聴いてみると男女ユニットのいい感じに抜けたポップスであり、何よりも2人の声の相性がとても良く一目惚れに近かった。気づけば悔しさもどこかに飛んでいき、macicoにインタヴュー・オファーをしていたのを思い出します。

2人には、なぜそれぞれの活動を休止し、macicoをやることになったのか。『blue』について、思春期を終えた今の自分達が歌う青さについて訊きました。日向文、ハチミツシンドロームの小林斗夢、そしてmacicoとしても初めてのインタヴュー。必ず、野音のステージで彼らを観たいと思っています。

インタヴュー&文 : 渡辺彰浩

本当の自分が何処にいるのか分からなくなって

——そもそも2人はどうやって出会ったんですか?

tom : 僕がもともと彼女のファンで、Twitterで「いつか一緒に歌えたらいいな」ってことをつぶやいたらayaが反応してくれて。
aya : 「いつか日向文と一緒にやってみたいんだよな」ってつぶやいているのをあたしが見つけて。私が出ていた『閃光ライオット』の次の代にtomのバンドのハチミツシンドロームが出ていたんでそれでチェックしていて。でも、そこから別に対バンとかはなかった。
tom : なかったね。ある時、Twitterでやりとりするようになって。それが2012年かな。

tom

——それぞれ『閃光ライオット』にはいつ出演していたんですか?

tom : ayaが2011年で、僕が2012年ですね。
aya : 新宿で2人ともライヴがあって、その時にちょっと会えるかなってなったんだよね。でも、結局会えず、「なんだったらご飯とか行こう」ってなって、ちゃんと予定を決めて2年越しに出会い。それが去年の1月かな。

——最初にTwitterでやりとりしたのが2012年で、そこから2年越しの2014年1月に出会った。macicoというグループが出来たきっかけは何だったんですか?

tom : 仲良くなって、ツイキャスをやるようになって。
aya : カラオケに一緒に行ってハモったりしたんだよね。

——カラオケに行ったのはいつですか?

tom : 2014年の春ぐらいですね。

——ツイキャスを始めたのがいつですか?

tom : 6月とか夏ですね。

——着実に一歩ずつ進んでますね(笑)。

aya : そう(笑)。6月にツイキャスを2人でして、それが始まりかな。
tom : カラオケで一緒に歌った時に、「これはもしかしたらもしかするぞ」って思って(笑)。

——声の相性いいですもんね。「macicoを組もうか」ってなったのはいつですか?

tom : 去年の12月に「背中」を創って、それがきっかけでした。

——「背中」を創って「やろうか」ってなった?

aya : やりたいなって言ってて、私達の共通の知り合いのハチミツシンドロームを撮ってた、まろ(イシマルノブアキ)っていうカメラマンが卒業制作に短編映画を創るっていうのでそれで「主題歌を創ってくれ」って言われて、それで創ったのが「背中」なんです。「クレジットはどうする?」みたいな感じになって、「じゃあ組んじゃおうか」って。

aya

——tomさんはハチミツシンドロームのボーカル、ギターですけど、先日バンドの解散を発表されましたよね。

tom : ワンマンライヴ(『 ハチミツシンドローム2012-2015 FINAL ONE MAN LIVE』2015年10月12日@横浜Lizard)で終わりです。

——解散の理由は何だったんですか?

tom : ハチミツシンドロームってバンドにおいて、自分が創る音楽が自分じゃなくなってしまったというか。今のシーンだったり、売れるためとか、大きいところに行くっていうことばかりを考え過ぎてしまって、音楽を活動していく上で、本当に大切な事を忘れてしまっていたんです。本当の自分が何処にいるのか分からなくなってしまって、これは歌うことは出来ないなって。

——いつ頃からそう思い始めたんですか?

tom : ハチミツシンドロームの去年の7月のツアー・ファイナルにayaが出てくれた辺りですね。ここから一年間、しっかり続けてから決断しようって決めました。バンドとして、目標やイメージが今までとは違ってきた時期だったから。歌うことが難くなってきた時期でした。

——解散を発表してからライヴをやってみてどうでしたか?

tom : 思った以上にTwitterでの声も大きくて、目に見えないところでも、ハチミツの音楽はたくさんの人の側に寄り添っていたんだなって。それは僕もとても誇りです。決断をした後で、お客さんや、メンバー、ハチミツに協力してくれたたくさんの人達には本当に申し訳ない気持ちで今も溢れているんですけど、そう強く思っているからこそ、それ以上に続けることが出来ないって思ったんです。macicoは自信を持って活動出来ています。

——ハチミツシンドロームとは別にcut your hairというアコースティックバンドもやってますよね。

tom : アコースティック編成の鉄琴とドラム、キーボードです。

——これもmacicoと並行してやっていくんですか?

tom : こっちはみんなやりたいことがあってのメインではなくて、不定期にやっていく感じです。

私、思春期が最近終わったんですよ(笑)

——一方ayaさんはソロとして活動してますが、今後はソロ活動も並行してやっていくんですか?

日向文 - ダラク
日向文 - ダラク

aya : ソロ活動はしなくなりますね。年内で終わりかなって考えています。

——それはなぜですか?

aya : 日向文でしたいことがなくなっちゃったんです。日向文の歌をずっとこの先も自分の人生の中で歌っていけるとは前から思っていなくて、きっと後々創れなくなるなとは思っていて。日向文の曲って自分の中の思春期の部分で、私、思春期が最近終わったんですよ(笑)。日向文で歌いたい歌がなくなって、したいことも自分の中では出来て、お客さんにも愛された。そう思ってた時にmacicoをやり始めたんです。

——思春期が終わった……。失礼ですけど、2人とも年齢確認していいですか?(笑)。

aya : 21歳です(笑)。
tom : 22歳です。
aya : 思春期が終わったのは最近です(笑)。去年くらい。

——曲を創り始めたのはいつ頃だったんですか?

aya : 曲を創り始めたのは高校3年生ですね。17歳とか。『閃光ライオット』に出すために創ったんで。
tom : 俺も閃光ライオットに出した曲が初めて創った曲。
aya : macicoだったらこの先何十年かけてもずっと歌える歌、一歩引いた目線で見た歌が歌えるのかなと思って。日向文はその時の気持ちとか、自分の内面の歌詞が多かったので、大人になったかなって。

——年内で終わりっていうのはスケジュールも決まってるんですか?

aya : 日向文として音源は最後に創ろうかなとは思ってます。まだCDに出来ていない好きだった曲とかもあるんで、最後にそれを音源化して終わろうかなって。1人で歌いたくなったらmacicoの私として歌うかな。日向文ってバンドみたいな感じで考えてたんで、日向文を解散するだけ。私自身はこれからも歌う。

——話を訊いていても2人は出会うべくして出会った感じですね。2人のルーツミュージックって何だったんですか?

tom : ジャンル問わずにたくさんの音楽が好きなんですけど、音楽をやろうというきっかけをくれたのはBUMP OF CHICKEN。今まででだったら、1番聴いてきたのはくるりですね。海外のインディーポップバンドも好きです。
aya : 私は昔からJ-POPをすごい聴いていて、『MUSIC STATION』とか音楽番組を観るのが大好きで。ジャニーズとかも聴いていたし、aikoだったり、高校生くらいでSyrup 16gを聴いて、そこからギターロックを聴くようになって、フジファブリックとか椎名林檎とかを聴くようになりました。

——macicoのツイキャスでは、PUFFYの『愛のしるし』もカバーしてますよね。ayaさんはSoundCloudにいろんなカバーをアップしてますよね。Syrup 16g、GOING STEADYとか。

aya : 上げてましたね。基本的に歌うのが好きなんで、なんでもやりたい。昨日2人で七尾旅人の「サーカスナイト」を聴いていて、「この曲やりたいね」って言ってました。ツアーでやるかもしれないです。

野音でやり続けるのが目標

——今回リリースする『blue』はなぜこのタイトルにしたんですか?

tom : さっきayaが「日向文として歌える曲がなくなった」って言ってましたけど、その思春期を抜けて違う目線に立てたところから、もう1回20代までの自分達を見つめ直して、見てきたものだったり今の景色から見えるものを曲にしたのが『blue』なんです。10代の頃って自分達がものすごく広い世界で生きてると思ってたんですよ。でも、全然そんなことはなくて、その時生きてた世界っていうのはすごく小さくて、囲われていて。囲われた中でいろんなことで悩んで、でもその囲いの中にいたことを否定している訳じゃなくて、その中でしか見えないものだったり、その中でしか感じれなかったことも沢山あったなって。20代までの僕たちが『blue』です。

——思春期の「青=blue」ってことですか?

tom : そうです。「青いな」とか、そういうニュアンスですね。今の目線から若さを歌にしたかったんです。囲いの外から。

——1曲目の「背中」はコーラスもメロディーも綺麗ですよね。

tom : この曲は親子愛の話なんですよ。短編映画の台本を読みながらayaと一緒に書いて、映画のテーマが親子の愛だったんで。

——どういう映画の設定で書いたんですか?

tom : 自分が成長したことによって親がすごく小さく見える瞬間、成長していくとともに親と子が逆転していく感じを「背中」って言葉で表しました。
aya : 親子のラヴソングだよね。

——2曲目は「206(にまるろく)」。この曲は「背中」とは一転、明るい曲ですね。

aya : お散歩したくなるような。

——「楽しい一日は君と繋いだ手から始めよう」って歌詞がいいですよね。

aya : やった! どっちが考えたっけね。
tom : 忘れちゃったね。どこが自分か分かんない(笑)。

——曲は共作ですもんね。「206」のタイトルはどういう意味なんですか?

aya : 同棲しているカップルの話なんですけど、一緒に住んでいる部屋番号が206だったみたいな

——「206」はいつ頃出来たんですか?

tom : 「背中」の次に出来たのが「206」だったんです。
aya : 曲は『blue』に入っている順番で出来ました。

——元々のテーマ、作品がない真っ新な状態で初めて書いた曲。

aya : そうですね。「とにかく楽しい曲を書こう」って。
tom : その頃、僕が悩んでいたってのもあったんですけど、これを一緒に作ってあやと唄ったときに、やっぱり唄うのって楽しいって思いましたね。当たり前なことなんだけど。そういった気持ちを忘れかけていた時期でもあったから。この曲が出来た時の事はよく覚えてます。囲いの中にいては、書けなかった曲でもあったと思います。

——2人の曲の書き方はどんな感じなんですか?

aya : 私は曲と歌詞が同時じゃないと書けないんですよ。だから、曲を書きためるとか、歌詞を書きためるっていうのが出来なくて。
tom : 僕は別で、先に曲だけ創って後から歌詞を乗せるタイプ。
aya : macicoの曲は全部一緒に進めていく感じですね。
tom : メロディーは俺が多いかも。

——「206」は斗夢さんが書いた。

tom : 「206」は俺が結構創ったけど、サビのメロディーはayaだったかな。

——どうして楽しい曲を書こうと思ったんですか?

aya : 「背中」でちょっとゆったりした曲を書いたんで、次は違うタイプのリズムの曲を書きたいなって。ライヴを想像したらそういう曲もあったら楽しいなって思ったんで。

——最後が「MAKIKO」。「普通の生活が幸せで それ以上求めないから許してね」って歌詞がいいですよね。

tom : やったー! これ女子高生のレズビアンの曲なんですよ。
aya : 女の子が女の子のことを好きで、普通に女の子として仲良くしてくれるだけでも幸せだから、好きでいることぐらい許してねっていうことです。作品に憂いが欲しかったんです。

——これはayaさんにそういうことが… ? (笑)。

aya : いや、私は(笑)。知り合いの方が男性好きなんですけど、学生時代に1回女の子と付き合ったことがあるって言ってて。その女性がMAKIKOさんっていう名前だったんで勝手に頂いたんです(笑)。でも、その人を題材にしている訳ではなくて、最初に「女の子通しの恋愛の曲を創ろう」ってなった時に、「今こういう曲を書いてるんだよね」ってその子に言ったら、たまたまそういうことがあったって言ってて。

——題名は最後に付けたんですね。

tom : そうですね。その後に「これはMAKIKOだ」って決まったよね(笑)。

——3階突き当たりが図書室で、5時間目の5分前に彼女が現れる。

tom : その子が必ずそこにいるってことを彼女だけは知ってるんです。その空間だけは2人だけの秘密の空間という設定です。
aya : 授業中は他の女の子といたりするけど、その時だけは触れ合える。

——なぜレズビアンの曲を創ろうと思ったんですか?

aya : 1曲目が親子愛で、2曲目が男女の恋で、3曲目がちょっとイレギュラーな。ラヴソングを3曲入れたくて。

——いろんな愛の形ですね。

tom : blueの上でなりたっている愛のうた達ですね。
aya : 女子高生っていう題材も青いし、そういうところで繋がっている。

——この3曲って必ず「あなたと私」がいますよね。自分だけじゃない曲になってる。

aya : 確かに2人だね。なんかそうなってたね。私はそういうのが多いかもしれない。日向文として創ってきた曲は。
tom : でも、俺も多いよ、今まで。1人の歌っていうのはないもん。誰かがいて、自分がいてって曲ばっか書いてきた。
tom : 届けたいっていうのがあるから、歌としてちゃんと届けるっていう意味で、誰かがいて自分がいてっていうのは切っては離せないことなのかなって。

——男女ユニットって今の音楽シーンでたくさんいるわけではないですけど、そういうことは意識してたりしますか?

tom : あんまりいないなぁって話はしてますね。
aya : 男女のハモりとかも好きですし、人口が少ないので超えていかねばとは思いますけど。
tom : 歌ってて面白いよね。純粋に男女デュオは好きなんです。声の相性にも自信あります。

——7月11日からツアーが『TOKYO BOOTLEG CIRCUIT`15』から始まりますけど、どんなツアーにしたいですか?

aya : セットリストとか細かいのは決めてたりしてて。楽しかったり、笑えたり、聴かせられたり、いろいろ出来たらと思ってる。MCではゆるく喋ろうかな(笑)。

——カバーもやるんですか?

aya : ツアー各地で違う曲を出来たら楽しいかなって思ってたりね。

——今後の目標はありますか?

tom : 今は野音が1番の目標かも。
aya : 野音でやり続けるのが目標。

——やり続けるっていうのはいいことですよね。

aya : 歌い続けることが結構自分の中で大きかったりするから。

——macicoとしては楽しくやり続けていきたいですか?

tom : 音楽が、歌うことが楽しいってことは忘れたくないです。それをハチミツ(シンドローム)では忘れちゃってたんで。本当に自分が心の底からやりたいこと、歌が楽しいっていう気持ちを忘れずに、一生音楽を愛していきたいなって思います。
aya : 私もmacicoは楽しくやっていきたい。

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LIVE INFORMATION

macico 1st single『blue』release tour

2015年8月4日(火)@宮城Cafe de LUcille
2015年8月16日(日)@愛知鑢ら湯
2015年8月17日(月)@京都SOLE CAFE
2015年8月19日(水)@広島ヲルガン座n
2015年9月22日(火)@大阪twice cafe

PROFILE

macico

日本の男女2人デュオ。2015年結成。花の写真を見た時に匂いを思い出すように、楽しいことや悲しいこと、寂しいことやそれらが混ざった時の感情を思い出すような曲を歌とギターのtomと歌と色々のayaで心地よく歌う。

2つの声と1つのギター、2つの才能で奏でる1つの音楽。

待ち焦がれていたちょっと無視できない2人。見誤らないあなたは、通う事になるだろう。

>>macico Official Twitter

[インタヴュー] macico

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