2015/06/23 17:57

変化と成長が産んだ、進化と深化ーー"バンド"としての強靭さを手に入れた、吉田ヨウヘイgroup新作ハイレゾ配信!!

ギター、ヴォーカルである吉田ヨウヘイを中心として2012年結成。前作『Smart Citizen』から、FUJI ROCK FESTIVALやOne Music Campなどのイベント出演、渋谷クラブクアトロでのワンマン公演を成功させるなど、"バンド"として充実した1年のインターバルを経て産まれた新作『paradise lost, it begins』。吉田ヨウヘイ本人も語るように、ともに濃密な1年を過ごした他のメンバーからのアイデアやフレーズが色濃く反映されている開けたアルバムとなった。今作に至るまでにメンバーの脱退があったものの、新世代ダブ・バンド、TAMTAMのフロントマンであるKuroがほぼ全編に渡ってコーラスとトランペットで参加するなど、新たな血が彼らの音楽を次へのステップへと押し上げている。この作品もまた2015年を象徴する1枚になることは間違いない。是非ハイレゾでお楽しみいただくと同時に、今作のレビューをどうぞ。

吉田ヨウヘイgroup / paradise lost, it begins
【配信形態】
(左)(24bit/96kHz) WAV / ALAC / FLAC / AAC
(右)WAV / ALAC / FLAC / AAC(16/44.1kHz) / mp3

【配信価格】
(左)単曲 300円 / まとめ価格 2,263円(各税込)
(右)単曲 257円 / まとめ価格 1,851円(各税込)

【Track List】
01. Music, you all / 02. シェイプオブシングス/ 03. ユー・エフ・オー / 04. サバ—ビア / 05. キャプテン・プロヴァーブ / 06. フューネラル / 07. 話を聞いたんだ / 08. パラダイスロスト / 09. イメージ・トレーニング / 10. グッドニュース / 11. 間違って欲しくない

ロック・バンドにこそ宿るドキュメンタリー的な魅力

ちょうど1年前、現在のメンバーが揃って最初のリリース作である『Smart Citizen』が「シティ・ポップ」という曖昧な言葉で括られたのは、いわゆるロック・バンドとは異なる編成や管楽器をフィーチャーした楽曲、ジャズとの親和性、都市の人々を描いた歌詞などが、単純な要因としてあったのだろう。加えて前作は、ひとつの旋律を複数の楽器で取ったり、主旋律以外の楽器はあくまでバッキングにまわるような構成も多く、彼らに「バンド」という言葉を自然に当てはめる気には、確かにならなかったかもしれない。けれども、ライヴを重ねるごとにメンバーの個性が徐々に顕れていく様や、フジロックのROOKIE A-GO GOや初のワンマン・ライヴなど、「ここぞ」という場で見せるあまりにエモーショナルな演奏は、ロック・バンドにこそ宿るドキュメンタリー的な魅力に溢れていた。そうした、彼らがこの1年間で重ねてきた輝かしい瞬間や、その結果ロック・バンドという言葉を相応しいものとした現在が、新作『paradise lost, it begins』には克明に刻まれている。

メンバー全員での合唱とハンドクラップという、シンプルだがマンパワーあふれる幕開けが象徴するように、今作『paradise lost, it begins』は録音面でも構成面でも、プレイヤーひとりひとりの存在が強調された、脇役が誰もいない作品に仕上がっている。それぞれの楽器が異なる位置から各々主役級のフレーズを鳴らし、目の前で絡み合うようなバンド・アンサンブルは実にスリリングだ。それぞれの音色には多少の歪さが許容されているが、だからこそ個々のプレイヤーの顔が生き生きと見えてくる。この1年間でメンバーそれぞれに任される役割が増え、バンドとしてのコミュニケーションが一段階深まったことでの、自信とエネルギーに満ちた表情だ。

しかし今作の雰囲気を決定付けているのは、最後を飾るミディアム・バラードの「間違って欲しくない」だろう。どこかノスタルジックなアコースティック・ギターに乗せて"終わった後"の物語を描くこの曲に辿り着いたとき、今作に収められた彼らの姿もまた、過去になっていくものだということに、はっきりと気付かされる。しかしそれは、彼らが既に未来に視線を向けていることの証であり、"この夜がずっと続けばいい"というようなエスケーピズムよりもずっとポジティヴな説得力を、作品全体に持たせている。

「間違って欲しくない」MV
「間違って欲しくない」MV

リーダーである吉田ヨウヘイは、偉大な先人から周囲の仲間まで、膨大な音楽をインプットし消化しながらも、あくまでメンバーそれぞれの個性、ひいては人柄を通じてアウトプットしていく。バンドの関係性や経験、新しい音楽との出会いや他者との関わり合いが、ダイレクトに反映された音楽なのだ。その双方の能力に彼が長けているからこそ、吉田ヨウヘイgroupは他のどこにもない音楽を生み出しながらも、決して敷居の高くない、親しげな表情で聴き手を出迎える。そして新たな聴き手がそのドキュメンタリーに参加していくことで、彼らの音楽は更に変化していくに違いない。「変化」という言葉は必ずしも良い未来を示すものではないけれど、彼らはそれをきっと良いものにしてみせる、という気概に満ち溢れている。実に頼もしいその姿に、これまで以上に大きな期待を寄せる作品だ。(text by 柳川春香)

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LIVE INFORMATION

paradise lost, it begins レコ発ライヴ
2015年6月24日(水)@渋谷WWW
時間 : 開場 18:30 / 開演 19:00
料金 : 前売 2,500円 ※1D別 / 当日 3,000円 ※1D別
出演 : 吉田ヨウヘイgroup、NOT WONK、SaToA

ONE Music Camp 2015
2015年8月22日(土)@兵庫県 三田アスレチック 野外ステージ
時間 : 開場 11:00 / 開演 12:30 ※オールナイト公演
料金 : 前売 5,000円 / 入場券+駐車券セット 6,500円

PROFILE

吉田ヨウヘイgroup

ソングライターでヴォーカルを務める吉田ヨウヘイを中心として2012年に結成された吉田ヨウヘイgroupはそのコーラス・ワークとバンド・サウンドと管を並列に扱ったマス・ロック的なアプローチをして、「和製ダーティ・プロジェクターズ」との異名を授かり、ファースト・アルバム『From Now On』は熱心なリスナーから賛辞を以て迎えられる。森は生きているや ROTH BART BARONといった親交の深いアーティストたちの協力を得て、2014年『Smart Citizen』をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL 2014(ROOKIE A-GO GO ステージ)、One Music Camp 2014等のイベントに出演、8月には渋谷クラブクアトロでのワンマンを成功させる。

>>吉田ヨウヘイgroup Official HP

[レヴュー] 吉田ヨウヘイgroup

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