2015/06/11 16:00

"おヒゲが生えた"たんきゅんデモクラシー!? NHK「みんなのうた」登場楽曲をハイレゾで配信!

小学生に見えるね、猫っぽいねと言われつつ、立派にがんばる中学3年生(?)の4人組ガールズ・ユニット、たんきゅんデモクラシーと、多岐に渡るサウンドデザインを手掛ける作曲家チーム、マニュアル・オブ・エラーズがこのたび『NHKみんなのうた』の新曲制作においてコラボレーション! どちらも一筋縄ではいかなそうな2組がつくりあげた「ひげヒゲげひポンポン」は「もしも私にヒゲが生えてきたら、どんなヒゲ?」という女の子の素朴な疑問を歌った楽曲。音源化にあたってカップリングに郷 拓郎が作詞・作曲、編曲を山口優が務めた「友達の友達」、まゆたん作詞・岡村みどり作曲・郷 拓郎編曲の「おんなのこだけの国」も収められ、「ひげヒゲげひポンポン」カラオケ・ヴァージョンを含む充実の4曲入り。

OTOTOYではこのハイレゾ音源を独占配信スタート! たんきゅんデモクラシーの魅力たっぷりな録音・撮影現場潜入レポートと、楽曲をじっくり解き明かすプロデューサー座談会とともにお届けです!

ハイレゾ音源独占配信スタート!!

たんきゅんデモクラシー / ひげヒゲげひポンポン
【Track List】
01. ひげヒゲげひポンポン (作詞 : 荒木尚美・大橋弘典 / 作曲 : 荒木尚美 / 編曲 : 郷拓郎)
02. 友達の友達(作詞・作曲 : 郷拓郎 / 編曲 : 山口優)
03. おんなのこだけの国 (作詞 : まゆたん / 作曲 : 岡村みどり / 編曲 : 郷拓郎)
04. ひげヒゲげひポンポン(カラオケ)

【配信形態 / 価格】
24bit/48kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 270円 アルバム 972円
>>ハイレゾとは?

『ひげヒゲげひポンポン』プロデューサー座談会

女子中学生のせつない気持ちを歌うガールズ・ポップ・デュオ「たんきゅん」の後輩ユニットとして「たんきゅんデモクラシー」が突如世の中に現れたのは、昨年の12月。初代メンバーのみやまゆとチャンユメが卒業後、沈黙を守ること9ヶ月。なんとメンバー総入替えで4名に増員されたことが発表された。プロデュースは引き続き、まゆたん&ごーきゅんこと郷拓郎(detune./グレンスミス)。ユニット名は「たんきゅん」から「たんきゅんデモクラシー」に進化し(民主主義?)、昭和レトロな制服姿のMV『清く正しく』、今ではあまり見ることのないブルマー体操着で踊るMV『スクバカゲロウ』、昭和の懐かCM風の動画『サクラウメドロップスCM30秒』など独自路線の映像を次々に公開し、ミニ・アルバム『くし正く清』をリリースしたのは記憶に新しい。NAVERまとめ『昭和ロマンなおかっぱ女の子ユニットが可愛い♡』の閲覧数も10万Viewに届く勢いで、密かに話題になり始めている今年注目のユニットだ。そんな「たんきゅんデモクラシー」が、なんと『NHKみんなのうた』6月-7月の新曲に登場することが決定した。(特設サイトはこちら)

新曲は『ひげヒゲげひポンポン』という、これまた摩訶不思議なタイトル。Eテレはじめ、テレビ、映画、アニメーション、プロダクトの音楽など様々なサウンドデザインを多数手掛ける作曲家チーム「マニュアル・オブ・エラーズ」の所属作家・荒木尚美が作詞作曲を手掛けているとのこと。「マニュアル・オブ・エラーズ」、略してマニュエラと言えば、最近話題の京浜兄弟社関係の作家が多数所属する音楽プロダクション。アニメ『たまこまーけっと』では、主題歌や劇伴を全面的に手掛けたことが話題になった。また、代表の山口優と松前公高のユニット「EXPO」はアニメ『キルミーベイベー』の主題歌、BGMも手掛けている。一筋縄ではいかないプロダクションのようだが、そもそもみんなのうたと言えば、ゼロ年代中盤に一世を風靡した『おしりかじり虫』にも、マニュエラが関わっていなかったか…?

たんきゅんデモクラシーとマニュエラも、どうやら関わりが深いらしい!? ということで謎を解明すべく、プロデューサー・チームにインタヴューを敢行! さらにレコーディング&ジャケ写撮影現場に潜入してみた!

プロデューサー陣紹介!

左から山口優、まゆたん、ごーきゅん

山口優
▽「友達の友達」編曲 / 企画プロデュース

作編曲家・サウンドプロデューサー。1987年、松前公高とのユニット「EXPO」でデビュー。クライアントワークでの音楽・サウンド制作に軸足を置き、自ら設立した音楽制作プロダクション「マニュアル・オブ・エラーズ・アーティスツ」の代表として、十余名の作曲家と共に、広告、テレビ、ゲーム、ウェブなど様々な媒体に作品を提供し続けている。
まゆたん
▽「おんなのこだけの国」作詞 / 企画プロデュース

東京都生まれの音楽家。武蔵野美術大学卒。でんせつの女の子バンド「マサ子さん」のVo.。主題歌及び花子さんの声を担当しているアニメ番組「新・花子さんがきた!!」が、ポンキッキーズでの放映開始20周年を迎え、キッズステーションにて絶賛放映中。2012年より、女子中学生のせつない気持ちを歌うガールズ・ポップ・デュオ「たんきゅん」のPとして、ごーきゅんと共に活動し、現在は「たんきゅんデモクラシー」のPを担当。作曲家・岡村みどりとのコラボレーション企画「ミントリノカ」の作品をリリース予定。
ごーきゅん aka 郷拓郎
▽「ひげヒゲげひポンポン」編曲 / 「友達の友達」作詞作曲 / 「おんなのこだけの国」編曲 / 企画プロデュース

ポップ・デュオ「detune.」(でちゅーん)の主にヴォーカル / ソングライティングを担当。佐々木敦氏主宰のレーベル「HEADZ」より現在までに3枚のアルバムをリリース。2008年より、detune.として脱力系CGアニメとして人気の『Peeping Life』シリーズの音楽・主題歌を担当。2010年より、音楽制作ユニット「グレンスミス」での活動も開始。2012年より、女子中学生のせつない気持ちを歌うガールズポップデュオ「たんきゅん」のPとして、まゆたんと共に活動し、現在は「たんきゅんデモクラシー」のPを担当。それぞれのユニットでの活動やプロデュースの他、楽曲提供なども行っている。

最初に役割をきっちり決めるところからコラボを始めたので、あとは何が出来てくるかみんなで楽しむという状況でした

——今回たんきゅんデモクラシー(以下、TQDC)とマニュエラがコラボすることになった経緯を教えてください。

山口優(以下、山口) : 元々は弊社の仕事で荒木尚美が「みんなのうた」に曲を書き下ろしたんです。すでに映像の原画もあって、曲と歌詞もフィックスしてるのにヴォーカルだけが決まっていない状態で。何人か候補を考えてたんですが、その第1候補として推したのがTQDCだったんですね。関係者との打ち合わせでそれが通ったんだけど、僕は最初は放送のことしか考えてなかったんです。ところがやっぱりCDを作る話になりまして。

——最初はヴォーカリストとしての起用だったんですね。

山口 : そうなんです。ただ、TQDCは郷拓郎という作詞作曲家ありきのユニットでもあるので、CDの話になってちょっと困ったんですね。

まゆたん : 実際すでに勘違いされてて、郷くんが「みんなのうた」に曲を書き下ろしたっていうお得感のある誤報が出回っちゃってます(笑)。

山口 : 早いすね(笑)。 「ひげヒゲげひポンポン」(以下、「ひげポン」)に関しては番組的にも「TQDCのひげポン」として出るので、色々な誤解は仕方ないとは思ってたんですが、CDとなるとカップリング曲はどうする? レーベルはどうする? みたいなことも出てくるんですよね。だったらもうがっつり一緒にやって楽しんじゃおうかと。

ごーきゅん : 結局「桜餅同好会」という共同レーベルまで作ることになりました。

——今回はたんきゅんPのおふたりと、マニュエラからは山口さんと、先程の荒木尚美さん、岡村みどりさんが参加されてますね。みなさんどんな役割だったんですか?

まゆたん : 作詞、作曲、編曲、プロデュースまで入り乱れてますね。

山口 : 最初に役割をきっちり決めるところからコラボを始めたので、あとは何が出来てくるかみんなで楽しむという状況でした。

曲ごとの極みが出せたかと。それぞれの曲の役割がより顕著になって

——各曲の説明をお願いします。シングル曲の「ひげポン」は郷さん(ごーきゅん)の編曲ですよね。

山口 : 荒木がアレンジを誰かに頼みたいと言ってたのと、やっぱりTQDC名義で出るならサウンドもその世界に寄せたいなと思って郷くんにアレンジをお願いしたんだけど、最初のデモはかなり荒木の原曲に近かったですね。

ごーきゅん : 山口さんから「遠慮しちゃってます?」って(笑)。

山口 : うん(笑)。僕はTQDCのファースト・シングル「清く正しく」の大人っぽいオケに子供の歌が乗っている感じが大好きだったので、その後いっぱいリハモ(コードのつけなおし)をしてもらって、最終的にはちゃんと郷くんのサウンドになりましたね。荒木も気に入っておりましたよ。

ごーきゅん : ほっ。良かった~。

まゆたん : この作品の中では唯一すずりとはんしがヴォーカルで参加してます。彼女達は大体ヴィジュアルで参加という形なので(笑)。

ごーきゅん : 前作よりすずりの声がわかりやすくなってると思います!

——2曲目の「友達の友達」は今回唯一の郷さんの曲で、アレンジが山口さん。

山口 : 最初のデモを聴いたときちょっと驚きました。マイナーコードだったんで。マイナーの曲ってほとんど作らないんですよね。detune.にもマイナー曲って殆どないし、どうしたものかと。

まゆたん : シングル全体のバランスを考えて、BPMを指定したり、あらかじめ若干の発注はしたものの、デモを聴いたら意外なものが出てきたので意表をつかれました(笑)。たんきゅん時代も、マイナー曲だと『たんきゅんS・O・S』とかあったけど、また違った感じになったよね。

山口 : 当初は弊社の別な作家に頼もうと思ってたんです。郷くんの曲をJ-POPの仕事してる人がアレンジしたらどうなるんだろう? とか思って。結局スケジュールの都合などもあって僕がやることになったんですが、正直かなり悩みました。10種類くらいのアレンジを試行錯誤しちゃって。エレクトーンのデモレコードみたいなモンドっぽいものとか、チープな80'sテクノポップとか、アホみたいなディスコモノとか。納品後にもさらに違うアレンジを作ったりして(笑)。

ごーきゅん : 全部聴いてみたいですけど!

山口 : いやいや、全部中途半端でやめてて。今のアレンジには若干後悔も残っていて。だって明らかに浮いてるでしょ(笑)?

ごーきゅん : いや、曲ごとの極みが出せたかと。それぞれの曲の役割がより顕著になって。どちらにせよ、僕としては自分の発想しないことが含まれるのが嬉しいですね。

まゆたん : マニュエラ感が出てておもしろい並びになったと思います。

山口 : そう言ってもらえると助かります。この曲、前半はずっとビートを半分で取ってるんですよね。自分的にはなんかブルックリンのニューウェイヴやダブ・ステップ的なリズムの取り方がどうしても合ってる気がしちゃって。それが悩んだ一つの原因でもあるんですけど。あと、この曲は歌詞もちょっと問題作ですよね。

まゆたん : みんなからブラックな歌詞って言われてたよね。どういう意図で書いたの?

ごーきゅん : 曲も歌詞も若干コミカルなつもりで書いてるんですよね。「私と話すことで得した?」とかも、この女の子としてはふざけて言ってるんです。照れ隠しというか。あとは「友達の友達は友達と...」って箇所によって助詞だけ変わるのがややこしい呪文みたいで、そういうの覚えるの、TQDCの彼女たちも好きかなと思って。

山口 : ごめん、コミカルさ受け取れてなかった(笑)。ヴォーカルの4人はあまり聞いたことないような歌詞だねって言ってましたね。そういう意味でもちょっと変化球な曲になりました。

——「おんなのこだけの国」はまゆたんが作詞で岡村みどりさんが作曲、さらに郷さんがアレンジというコラボ感たっぷりの曲ですね。

まゆたん : みんとりさん(岡村みどり)とはミントリノカという別ユニットもやっているので、紛らわしいかなと一瞬思ったりもしたんですけど、コンセプトが違うので実際困りはしませんでした。このユニット本来のコンセプトである、女子中学生感を出す曲にしようと決めてたので…。キャロル・キングやカーペンターズのような王道の普遍的なナンバーにしたい気持ちが最初からあったんです。歌詞は、2020年、もう二十歳になった4人が中学生時代を振り返るという内容で、イメージ的には「イエスタデイ・ワンス・モア」が下敷きになってます。みんとりさんはバカラックみたいな名曲を書く人なので、ばっちりハマるとも思ってました。

山口 : 6分以上の長さになってますね。なんというか、自由です(笑)。 この曲は詞先なんですよね。

まゆたん : そうですそうです。元々はもっとスローテンポでお願いしてたんですが、それだと12分位になっちゃう(笑)というのでテンポを早めて。結果的に軽快なポップスになったので、長さを感じさせないと思います。で、みんとりさんは楽曲も素晴らしいんですが、歌詞の世界にも入り込んで来てくれるのがすごくて。

山口 : 例えばどんな?

まゆたん : 曲の中で輪唱みたいになるところがあるんですけど、あれは2015年の私たちと2020年の私たちなんだね、と言ってくれたり。

ごーきゅん : 自分はメロが輪唱を呼んでる気がしたのでそうアレンジをしたんだけど、みんとりさんの中でもおそらく同じように鳴ってたのかと思ってました。

まゆたん : 時の経過と曲の構造を合わせたいと思ってたのも理解してくれて、そういう意味でも詞先で作ったのは正解だったなと思います。曲が先にあってそれに歌詞を当てはめたらおそらくそれで終了になっちゃうんですけど、コラボレーション感を感じながら共同作業が出来たと思います。あとこの曲ってやっぱりグロッケン入ってるね(笑)。

ごーきゅん : TQDCではほとんどの曲にグロッケン入れてます。なんかもうマーキングみたいに(笑)。

正直まゆたんのプロデュース力に感心してました。こういう大胆な裏切りはワクワクさせられます

——今回はジャケや写真などのビジュアルもかなりイメージが変わりましたよね。

まゆたん : レトロ・イメージの冬服からパステルカラーの夏服に着替えました。ひげポンのイメージが形になった感じです。カメラマンの飯田かずなさん、メイクアップの双木昭夫さんと組めたらいいなと思っていたのが実現して嬉しいです。

山口 : かなりショックを受けましたよ。こっちもアリだったのかーって(笑)。インディからメジャーに引き抜かれてビジュアル変えられたみたい、とか不謹慎なこと言っちゃいましたけど、正直まゆたんのプロデュース力に感心してました。こういう大胆な裏切りはワクワクさせられます。

——最後に、今回コラボしてみてみなさんいかがでしたか?

まゆたん : 1番印象的だったのは、普段大量に仕事をこなして仕事慣れしてる方々なのに、全然業界ノリではなくて作品作りにすごくまじめに取り組んでることでした。これがマニュエラなんだーと思いました。

ごーきゅん : 3月から始めてこんなに早く作品化が出来たのはマニュエラさんのおかげです。

山口 : 今回は原盤や出版も入り組んでて事務的な処理が割と大変だったんだけど、そのせいでかえってダラダラしないで済んだところもありますね。あと郷くんがちょうどお芝居(飴屋法水演出『コルバトントリ、』)に出演してる時期で忙しかったのも結果として良かったのかも。

まゆたん : ヴォーカルのみんなも頑張った! スケジュールもハードだったのに一生懸命覚えてきてくれて。

ごーきゅん : とても優秀ですよ! TQDCであることを楽しんでくれてるのが何よりです。

山口 : 今回は「ひげポン」以外はちょっと引いた立場で見てたんですが、あらゆる作業が次々と正解を掴んでいく様に感動しましたね。ミックスの右塚周くんはもちろんですが、マスタリングをして頂いた高橋健太郎さんの見事な仕事ぶりにも大感謝です。

ごーきゅん : 右塚くんはここをこうフォローしてほしいと思ってるところを叶えてくれて、いつも本当に助かってます。健太郎さんは1度書き出した後に、並べてしっくり来るまで丁寧に何度も試してくださって。贅沢してるなあと思います。

まゆたん : TQDCでは子供の声を取り入れて、どこまで真剣に音楽を作れるかを目指してるんです。たんきゅん時代からずっと90年代のJ-POP感を意識してて。郷くんの手がけているユニットでは一番王道感があるのがたんきゅんとTQDCだと思ってます。

ごーきゅん : 確かにdetune.やグレンスミスとは違って、歌う人を想定して書いたり、シングル感を意識したりして毎回大変なんですけど、そこが楽しいですね。

——ありがとうございました!

次項
『ひげヒゲげひポンポン』録音・撮影現場潜入レポート!

[インタヴュー] たんきゅんデモクラシー

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