2016/08/22 15:30

堀込泰行、あがた森魚らが参加の極上ポップス・ソングブック完成。HARCO、約5年ぶりのソロ・アルバムをハイレゾ先行配信!

シンガー・ソングライターのHARCOが、約5年ぶりのアルバムを発表。OTOTOYでは、CDリリースより1週間早く、ハイレゾで先行配信開始です。この5年の間に、映画のサントラやユニットでの活動と勢力的に活動してきた中で、ゆっくり、じっくりと作られたアルバムは、堀込泰行、杉瀬陽子、あがた森魚と多彩なゲストを迎え、極上のポップ・ソングから、カヴァー曲、HARCOの醍醐味が最大限味わえるインスト曲まで、カラフルな全11曲に仕上がりました。5年分の思いがたっぷり詰まった最高傑作、本人インタヴューとあわせてお楽しみください。

先行配信&ハイレゾはブックレット+サイン入りアーティスト写真つき!

HARCO / ゴマサバと夕顔と空心菜 【配信形態】
(左)ハイレゾ(24bit/96kHz) ALAC / FLAC / WAV / aac : 単曲 324円(税込) まとめ購入 2,700円(税込)
>>ハイレゾとは?
(右)mp3 : 単曲 250円(税込) まとめ購入 2,000円(税込)
【Track List】
01. ゴマサバと夕顔と空心菜 / 02. カメラは嘘をつかない / 03. 口笛は春の雨 / 04. つめたく冷して / 05. TIP KHAO / 06. 電話をかけたら / 07. Snow on the Pasta / 08. 星に耳を澄ませば / 09. 南極大陸 / 10. I don't like / 11. 閉店時間
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INTERVIEW : HARCO

たとえば窓を開けて爽やかな風を部屋に運んだり、床に出しっぱなしになっている本を棚にきちんとなおしたり。それ以前よりも少しだけ気持ちのいい生活に自分を置きたくなる、そんな作用を導く音楽があります。柔らかな声、さりげなくも伸びやかなグルーヴが、きめ細かなアレンジに溶け合うHARCOの歌は、つねにそんな音楽たりえてきました。そして、それらは洒脱なジャズ・アレンジに傾倒した前作『Lamp & Stool』から、オリジナル・アルバムとしては、なんと5年ぶりとなる最新作『ゴマサバと夕顔と空心菜』でも変わっていません。目線を少しだけ落とし、よりカジュアルでスタンドードなポップスへと仕立てあげた今作は、滑らかに紡がれていく音色、その地に立つ自分を一つ一つ確かめていくように歩くスピードで打ちつけられていくリズムが、日々をさりげなく色づけてくれます。

天気雨のあと、夕顔がそっと花びらを広げた夏の黄昏。暖色の落ち葉が舞う秋の並木道。今作の楽曲において、季節や情景はきわめて具体的に描かれています。そして、各曲のシチュエーションが限定されたことで、むしろ聴き手は楽曲をおのれの胸のなかに鮮やかに落としこむことができる。そうすることで、楽曲も聴き手とともに幾つもの季節を越えていける。そんなポップ・ソングとしての強度が今作では全編に漲っています。そう、HARCO自身が今作で歌ってるように。「いとおしく短い季節の向こうへ」と。

実に端正でウェルメイド。今作『ゴマサバと夕顔と空心菜』は、どんな状況にもさらっとはまる極上のポップス・ソングブックです。けれど、時代を経てなお、日常に寄り添い続けるポップス名盤がそうであるように、このアルバムもまた、その滑らかな手触りの背後に、作り手の理想が強く刻まれています。それは、HARCOの持つ生活、ひいては世界へ向けた、こうあってくれたらという願いと言い換えてもいいかもしれません。窓を開けながら、本を棚に戻しながら、とある瞬間聴き手は、これまですっと身体に入ってきた、その祈りの一端に触れては、心震わすこととなるでしょう。

インタヴュー&文 : 田中亮太
撮影 : 雨宮透貴

ほんとに良い曲ができるまでアルバム出さないって気持ちでゆっくり作れました。

ーー前作『Lamp & Stool』からオリジナル・アルバムとしては約5年と、やや時間が空きました。実際は、その期間も、カジヒデキさん、 元GOING UNDER GROUNDの河野丈洋さんとのハルフェス・トライアングル、『らくごえいが』のサントラ、『南三陸ミシン工房のうた』のリリースなどなど、HARCOさん自体はせわしなく活動されていたかと思いますので、前作から今作にいたるまでの道のりをあらためて教えてください。

HARCO : 今回、5年も空いてしまったんですけど、本当は『Lamp & Stool』の延長線上ですぐにアルバムを作りたかったんですよね。『Lamp & Stool』はポップスとジャズのクロス・オーヴァーっていうちょっと大人っぽいものをつくりたかったんですけど、僕のなかでは納得いくものが作れて。ちょうど前作を出す直前に、自分の家に防音施工されたHARCOスタジオ的なものを作ったんです。だから、ここですぐにでもレコーディングするぞって気持ちだったんです。でも、ちょうどGOING UNDER GROUNDのサポート・キーボーディストをはじめまして。あのバンドはいわゆるライヴ・バンドなので、年に日本を3周くらいツアーして、すごくライヴが増えて忙しくなっちゃったんです。初めての仕事だから専念しようと思って、そんなに曲は作ってなく。それで、2011年になったらすぐに震災が起きて、僕の住んでる神奈川県の川崎市では、計画停電が1日に2回あったりとかで、なんかこう自分のモチベーションも上がらないまま。まあズルズルと曲はそんなにたくさん作らず、堀下さゆりさんのプロデュースをやったりとか、他のコンピに参加したりとか。震災のチャリティ・アルバムを南三陸ミシン工房のお母さんたちと仲良くなって作らせてもらったり。そんなことしてたら、あっという間に5年が経っちゃったんですよね。

ーーなるほど。いろいろな外的要因でアルバム制作までは、なかなかいけなかったということでしょうか?

HARCO : そのなかでも何度か曲作り期間というものを作って、集中して取り組んでいたんですけど、なんかね、いい曲がうまれなくて、そのままフェイド・アウトしちゃったことが、2回くらいありましたね。僕のなかでも焦りがあったんですけど、焦りがありつつ、どんなアーティストでもキャリアを重ねると、8年ぶりとか10年ぶりとかのリリースになったりするじゃないですか? だから、僕も、今は時期を空けるときなのかなって思って。あえて半年間何も作らなかったときもあったんですよ。これじゃいけないかなって焦りつつ、自分が曲を書いてないんだぞ、それはそれですごいなって、そういう自分にも変な快感を感じたり(笑)。

ーー(笑)。

HARCO : それで、2013年になって「マンスリー・ワンマン・ライヴ」というものを企画して。ライヴの度に新曲を2曲発表するというしばりで、毎月続けたんです。それを4回続けてやったので、そこで8曲できて。そもそもライヴで歌うために作ったので、ちゃんとアレンジも完成されてて。そのなかの曲も今回入ってます。そのあと1年かけて集中して作れましたね。

ーー実際の制作時に描けたアルバム像は、前作直後に作るモードだったときに描いていたアルバム像とは、やはり異なってたのでしょうか?

HARCO : 違いますね。けっこう離れてます。先ほど話した前作のクロス・オーヴァー感というか、ちょっとジャズっぽい要素が入ってるものを、当初は作ろうと思ってたんです。ただ、ブランクが空いたことで、そのときの気持ちってのは完全に消えて、やっぱりゼロから作り始めた感じになりました。それまでの創作の流れが断たれたことに対して、ちょっと自分なりにショックでもあったんですけど(笑)。だったらいっそのこと、2004~06年ころにCoa Recordsってところ、空気公団や残像カフェを出してたインディーズ・レーベルですけど、そこから出してた時は言葉に重きを置いた作品が作れてたんですね。あんまり曲の感じも背伸びがしてないというか。実際の演奏とか歌も熱すぎない、なんかいい意味で冷めてて。あの頃の感じをまた作りたいなーと思えてきて。そういう曲が生まれるまで今回は出さないくらいな。ほんとに良い曲ができるまでアルバム出さないっていうか、そういう気持ちでゆっくり作れました。

HARCO

ーーHARCOさんの多岐にわたる活動のなかで、HARCO名義でのポップスを制作することは、特にご自身のどんな色や創作欲求に向き合う作業なのでしょうか?

HARCO : HARCOとして何をやるかってのは、全然考えてなくて。HARCOイコール自分なんで。自分が聴きたいものを作る、本当にそれだけですね。究極の憧れは今でもあるんですけど、どうしても自分の声は顔と一緒で変わらないので、理想を追いすぎちゃうと自分の声だったりとか作る曲とかけ離れる場合があるから、まあそこはバランスをとりながら。ただ、前作まではちょっとそこに距離があったんですよ。なんか他のなにかになりたい自分が続いてたんです。でも今回のアルバムは全然そうでなくて、自分そのままですね。リファレンスって言って、参考資料っていうか、こういう風な曲やりたいなっていうのが、今まではあったんですけど、今回は一切そういう作り方はなくて。心の底から前だけを向いて進んでいく感じでした。

ーー熱すぎない音楽をしたいって動機はどこから出てきたものだったんでしょう?

HARCO : うーん、そうですね。その質問のちゃんとした答えじゃないかもしれないですけど、僕、本読むの好きなんですよね。で、アメリカ小説とかだと、ひとつのことを言うのに比喩が多すぎて、ほんとは一語りでいけるのに、すんごい紆余曲折を経て、AからBまでたどり着く。でも紆余曲折を経たことで、自分があらためてわかるみたいな、そういう小説がすごく好きで。さらーっと読めちゃうようなベストセラー小説は苦手なんですよ。なかなかページが進まないほうが好きなんですよね。で、歌でそういうのがあれば聴きたいなと思いますね。そういうのが歌いたいなあと。ストレートな表現が詰まったアルバムもかつては作ったんですけど、 「世界でいちばん頑張ってる君に」って曲があって、あれはCMソングが発端で、作詞も作曲も僕じゃないんです。純粋にシンガーとして参加したものなんですけど、HARCOってあのイメージって人もいるかとは思っていて、そのイメージはイメージでとっておいて、それとは全然真逆のものを作ろうってのはありましたね。

ーー今回の作品はこれまで以上に季節固有の香りや空気を曲に落とし込もうとされている印象を受けました。

HARCO : そうですね。曲1つ1つのロケーションが、僕はすごくはっきりしてますね。心象風景だけを描く歌ってのはほんとに作れなくて。もっと極端なことを言うと心象風景、こういう風に感じたとか、こういう風に考えが移行したとか、自分はあんまりうまく言えない人かもしれない。僕は見たもので説明したいんですよ。それは色だったり景色だったり、そういうことを、なるべくまわりくどく言いたいっていうか。僕は曲を書くときに、これはひとつの癖なんですけど、この曲を書くぞって詞を書いていったら、気がついたらある街のある場所のある季節の何時何分に必ずワープしちゃうんですよ。それは、かつて訪れたことがある場所がほとんどなんですけど、あの時旅したあの鎌倉のあの通りの何番目の信号のこの角度みたいな(笑)。そこに立って詞を書くのが好きですね。で、その曲を書き終わるまでその場所を離れないっていう。

ーー情景描写を描きたいってモードは今作でいっそう強まったものなのでしょうか?

HARCO : それはありましたね。例えば明治・大正の作家で梶井基次郎っていますけど、僕はその方の文章の書き方がすごく好きで。あの方は身体が弱くて20代で亡くなっちゃうんです。だから、普段も身体があんまり俊敏に動けないというか、つねに身体が熱っぽいんで、街を歩くときもすごくゆっくり歩いたり、部屋でじーっとしてることが多かったり、そういうなかで空気がそこで停滞してるみたいな、流れていってないみたいな、そういうときの頭の中身ってあると思うんですよね。そういうのが書けたらいいなってのはありました。うん、梶井基次郎は今回すごく読み返しましたね。瑞々しく景色を切り取るような歌をいっぱい作りたいなと強く思ってたんで。ほんとにさりげない言葉なんですけど。『冬の日』って短篇かな、郵便受けに太陽の光が差し込んだみたいな。あー、それだけでもうなんか良いなーって。顔に陽が当たるとかじゃなくて、郵便受けのなかに光が差し込んでいるってのが素敵だなーって。そういう一節一節が好きですね。

今回はオーセンティック… オーソドックスと言ってもいいかもしれない

ーー作家としての個性に絡めてお訊きしたいんですが、今作に収録された「口笛は春の雨」では、各パートを、堀込泰行さん、杉瀬陽子さん、HARCOさんが詞曲されたそうですね。リリシスト、あるいはメロディメーカーとして、それぞれのどんな色が際立ったものになっていると感じました?

HARCO : 泰行さんは多くを語らないでまとめるのがうまいというか、今回も〈ところがどういうわけか〉から始まって。杉瀬さんは韻を踏んだり、ところどころきめ細やかな言葉のアレンジをされてて。泰行さんと杉瀬さんと僕の共通してるところは、なんて言えばいいのかな、みんな70年代のアメリカの音楽、シンガー・ソングライターとか、MOR、ミドル・オブ・ザ・ロード、中庸ですね、真ん中をいくというか、ちょうどいいあたりの音楽というか、そういうところは共通してるので、ザ・バンドぽくはなりましたね。そう、この曲ライヴで3人で披露したとき、僕はドラムを叩きながら歌ったんですけど、ザ・バンドのリヴォン・ヘルムもドラム叩きながら歌うじゃないですか。彼のドラムプレイとか意識して叩いてましたね。

ーー今、ザ・バンドの名前を出されてましたけど、今回のアルバムはオーセンティックなポップスへとフォーカスした作品に仕上がっていると感じました。

HARCO : そうですね。先ほどMORって言いましたけど、どちらかと言えば前作はAORってのを意識したんですね。でも、正直言うとちょっと背伸びしてたかなーってのはあって。僕はあまり襟を立てないし(笑)。今回はいわゆるシンガー・ソングライター然としたアルバム、僕の今までの作品のなかで1番そういうところが出た作品にしたいと思っていました。例えて言うとジミー・ウェッブがほとんど曲を書いたアート・ガーファンクルの『ウォーターマーク』ってアルバム、僕の好きなウェッブのメロディとガーファンクルの天使の歌声が合わさると最高なんです。そのアルバムはちょっと意識しましたね。オーセンティック… オーソドックスと言ってもいいかもしれない。今回は中庸路線ってのはすごく思ってましたね。だから、バンド・サウンドを意識して、最初は大きいスタジオで一発録りで短期間で録ろうと思ってたんですよ。でも、自分のスタイルって自宅録音の要素がすごく多いってこともあり、あえて自宅録音でバンドをやるって、そこに今回は焦点を与えました。

Art Garfunkel - Watermark
Art Garfunkel - Watermark

ーーHARCOさんは、これまでの多くの方と共作されていますが、それが可能なのはやっぱりHARCOさんご自身が、HARCOって作家性をしっかり持たれてるからだと思うんですね。

HARCO : まあ、HARCO A、HARCO Bとかモードの周期はありますけどね(笑)。でも、今回のアルバムみたいなのが1番の中心ですね。

ーーシンガー・ソングライター然としたポップス回帰という意味で、Coaからのセルフ・プロデュース3部作のニュアンスに近い印象です。

HARCO : そうですね。うちのリスナーもあの頃の作品が1番好きな人が多いみたいで。それまでのHARCOは、まだ方向性が確立されてないという感じはありましたね。2004年に3部作のひとつめの『Ethology』というアルバムを出したときは、リリースまでブランクがあったんですよ、2、3年くらい。僕も時間をいい意味で持て余していた期間で。結構たくさん曲を書いていて厳選して作ったのが『Ethology』。で、今回もブランクが5年空いて。僕はなんかゆっくり作ると良いみたいです。ゆっくり作るとかリラックスした時間を持てるとか、そこが大事ですね。時間に追われると、時間に負けちゃいますね。

ーーセルフ・プロデュース3部作で、ひとつHARCOというアイデンティティを確立されたとして、それ以降の10年で重要なターニング・ポイントを挙げるとすれば?

HARCO : うーん、ポイントとは違うかもしれないですけど、今回、歌い方をその頃に戻したんですよね。歌の感じが、いつも聴いてるリスナーだったら、"あ、また歌の感じ変わったな"って気づくと思います。うん、ちょっと前までは歌を意識しすぎてた何年間かでしたね。今回は喋るように歌いたいなって思って。僕の究極はThe Changってバンドをされてた頃の石井マサユキさん。今はギタリストでいろんなところで活躍されてるんですけど、彼の歌はほんと喋るように歌ってて、すごい好きなんです。でも、どうしても声っていうのは顔と同じで、(顔を歪めながら)誰かを真似ると不自然じゃないですか(笑)。だから、誰かの声を真似ると不自然なんで、やっぱり自分のありのままの声で歌うしかないんです。ちょっと歌いあげてた時期から、今は喋るように。頭声って頭に響かす声が、いわゆるいい声ってされてるんですけど、胸声っていう胸に響く声は良くない声ってされてて。でも、僕はあえて胸声なんだなって。良くない声でも喋るように歌うのが僕は好きなんだなって思って。それはThe Changもそうだし、坂本慎太郎さんとか、あとは最近では高田漣さんですね。レコーディングの時は歌い込まないように今回は意識しましたね。

今日の雨はいい雨だ/The Chang
今日の雨はいい雨だ/The Chang

高田漣/野バラ
高田漣/野バラ

僕の曲を聴いてちょっと部屋の整理整頓をしたくなるとか、そういう気持ちになってもらえたら

ーーターニングポイントという面では、昨年、初のお子さんがご誕生されたそうですが、傍らに歩き始めたばかりの命があるという環境は、HARCOさんのアーティストとしての視野に変化は及ぼされましたか?

HARCO : まあ、影響あるようで、どちらかと言えばなかったですね(笑)。いろんな人に「変わるよー」とか「違ったHARCOくんが楽しみだ」って言われたんですけど、いや、僕はかたくなに変わらないぞって思ってたので。

ーー「カメラは嘘をつかない」の君はお子さんのことのようにもとれました。

HARCO : いや、それは違いますね。どのあたりでそう思われたんです?

ーー「欲張りな午後の空気を掻き分けて歩く君」のあたりとかですね。

HARCO : あ~、へー! じゃあ、そうとってもらってもいいですね。

ーーCoaの頃を思い出すという点でいうなら、この曲が引き出している面も強いかもしれません。ゆったりと前へ進むリズムの感じとか、世界に対する眼差しとか、どこか『Night Hike』に似てる気がするんですよね。『Night Hike』の10年後の景色なんじゃないかなって思ったり。

HARCO : それは嬉しいですね。その頃聴いてくれた人にも今作が届くといいと思います。

ーーその頃のリスニング環境と違う点として、配信での購入も可能になり、さらにOTOTOYではハイレゾでの先行配信もあります。ハイレゾに代表される次世代フォーマットへ期待することがあるとすれば、それはそうした音がもたらすどういった作用にでしょうか?

HARCO : 音の世界って他の分野よりクオリティが高くなるのが、やっぱりちょっと遅れてると思うんですよね、テレビが地デジになったり、さらにもっとすごい4Kとか出てきてるなかで、音の世界はCDの音質から、ずっと30年以上変わってないって現状が続いていて。目で見える世界はわかりやすいけど、耳で聴く違いってわかりにくいからなんでしょうね。今回あらためてハイレゾ、24bit/96kHzまで拡がった音を聴くと、すごく気持ちいいんですよね。ラグジュアリー感が半端ない。これはみんなに届けたいなって思っちゃいました。これからは再生するプレイヤーも進化しないといけないですよね。僕も今回iPhoneに入れたら、このiPhoneでは再生できません(※1)って出ちゃったんですよ(笑)。だから、スマホでもどんどん再生できるようになればいいし、CDもそういう対応になっていけばいいと思いますし。とてつもなく美味しい料理食べた時の感じですよね、ハイレゾは。美味しいもの食べた時の感動っていうか。この出汁最高! みたいな。

ーー今回ポップス作品というのもあり、BGMとしてもいろんな聴き方ができると思うんです。歩きながらでも部屋でくつろぎながらでも。そのなかで、HARCOさん的にこういった聴き方をしてほしいって希望はありますか?

HARCO : 特に限定はしないですけど、僕の曲を聴いてちょっと部屋の整理整頓をしたくなるとか、そういう気持ちになってもらえたら嬉しいです。

ーーすごくわかります。

HARCO : あ、わかります? そうそう、そういう気持ちになってもらいたいなって思って曲を作ってるんですよね。

※1 : 24bit/48kHzを超える音声ファイルに対して、現状iOSデバイス(iPhone / iPod / iPad)が非対応のため、PC上では再生可能だが、iTunesからiOSデバイスへ転送し再生するのは不可。
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HARCO 過去作品

HARCO / 世界でいちばん頑張ってる君に ~Premium EP~

毎日頑張っているあなたへの応援歌「世界でいちばん頑張ってる君に」。CMソングとして話題となったこの楽曲は、世代を超え多くの方々に愛される楽曲となりました。オリジナル曲の他、マリンバでのカヴァー曲(「MARICOVER」収録)、ライヴ・バージョン(初配信)他を含むプレミアムEP。

HARCO / tobiuo piano

HARCO初のアコースティック・アルバム。オリジナル作をメインに、カヴァー・ソングを含んだ収録内容。しっとりとした空気感の中、人懐っこいピアノのメロディと独特のあたたかみのあるヴォーカルが優しく響く、 ピアノ・マンとしてのHARCOの魅力が十分に発揮されたアルバムとなっています。

>>インタヴューはこちら

HARCO / Two Tone / ハミングライフ

「Lamp&Stool」に先駆けて先行配信。夏の終わりのメランコリックな夕焼けの風景を優しい目線で描いた「Two Tone」、スイングジャズ風なアレンジが新鮮なGOING UNDER GROUND代表曲のカヴァー「ハミングライフ」。それはまるで、日々の暮らしに寄り添うリラクシン・ミュージック。

HARCO / Lamp&Stool

様々なジャンルの音楽がクロスオーヴァーする、日々の暮らしに寄り添うリラクシン・ミュージック。スタンダードなポップスが持つ上質さとナチュラルで甘やかな、何気ない日常の断片を切りとる確かな視線は本作も健在。アレンジ、プログラミング、様々な楽器の演奏を手掛け、多彩なゲストを加えたセルフ・プロデュース作。

HARCO+カジヒデキ+河野丈洋(GOING UNDER GROUND) / 『BLUE × 5 = Musabi Live !』(Live Tracks)

ソロ活動は勿論、楽曲提供やサポート・ワークでもお馴染みのHARCO。渋谷系のオリジネイターとして、ポップでスウィートな楽曲を生み出し続けるカジヒデキ。そして、GOING UNDER GROUNDのドラマーとしてのみならず、最近ではソロでも活躍する河野丈洋。キャリアも実力も兼ね備えた彼ら3人が交わって生まれた、絶妙なポップス。甘く心地よい口当たりだが、一癖も二癖もある楽曲の数々は、たまりません。

>>CDの販売はこちら

HARCO+カジヒデキ+河野丈洋(GOING UNDER GROUND) / ハルフェス・トライアングル(24bit/48kHz)

祝15周年を盛り上げるコラボ・ユニット、HARCO+カジヒデキ+河野丈洋(元GOING UNDER GROUND)の配信限定シングルは、3人が各々作詞・作曲・演奏を担当したコラボ曲。「BLUE×4(ブルーバイフォー)」は、作詞・作曲をHARCOが担当。「Lonesome Trip」は、作詞をHARCO、作曲をカジヒデキ。「Cookie」は、作詞:河野丈洋、作曲:HARCOとなるコラボ曲。3人の持ち味を生かしつつもその個性がひとつにまとまった楽曲群をHARCOのボーカルがよりカラフルに彩っています。春に聴きたくなる、ポップで新鮮なおどろきに溢れた3曲です。

erimba with HARCO / MARICOVER

マリンバ奏者erimbaこと大橋エリと、マルチ・プレーヤーとして知られるミュージシャン・HARCOのユニット、erimba with HARCO。耳馴染みのある洋楽・邦楽の名曲をお洒落に新解釈した、チャーミングなマリンバ・カヴァー・アルバム。歌うように響くマリンバの音色は優しくて軽快で心地よさ抜群!

V.A. / モナレコードのおいしいおんがく BEST&FINAL

これまで数多くの才能を発掘してきたにもかかわらず、リリース当時はまったく相手にされず、その後の奮起により大きく羽ばたいていったアーティストなら数知れずという何とも後味の悪いモナレコードのコンピレーション・アルバムがついに業を煮やして終焉!! 最後はそれらの栄光の軌跡を収録かと思いきや、2014年11月をもって引退を表明した初代店長ユキの思い出がたっぷり詰まったただの超個人的アルバム。

LIVE INFO

ゴマサバツアー 2015 春の関東編「春巻と雲呑」

2015年05月17日(日)@鎌倉moln
2015年05月23日(土)@栃木県那須塩原・TorittOcca(トリットオッカ)
2015年05月24日(日)@千葉gris souris(グリ スーリ)

アルバム・リリース記念・東名阪バンド・ツアー『ゴマサバと空心菜と雲呑と烏龍茶』

2015年06月05日(金)@大阪Music Club JANUS
2015年06月07日(日)@名古屋TOKUZO
2015年06月13日(土)@吉祥寺Star Pine's Cafe

PROFILE

HARCO

1997年、HARCO(ハルコ)名義で活動を開始。シンガーでありながら、キーボード全般、ドラム、マリンバなど多くの楽器が演奏できるマルチ・プレーヤーでもある。CMの作曲や歌唱、ナレーションでも注目を集める。2000年、V2 Records Japanよりメジャー・デビュー。02年、アメリカ/ミネアポリス在住のミュージシャンとOCTOCUBEを結成、アルバムを1枚発表する。Coa Recordsにて2004年から毎年発表したセルフ・プロデュース・ミニ・アルバム3部作が注目を集めるなか、05年11月にリリースしたスズキアルトCMソング「世界でいちばん頑張ってる君に」(POLYSTAR/witz)がスマッシュ・ヒット。06年は文庫本「メール交換 銀色夏生×HARCO」を角川文庫より発売。このころ、YUKIに楽曲提供やREMIXで参加。HARCO10周年にあたる07年は、初のベスト・アルバム『PICNICS -BEST OF HARCO- [1997-2006] 』をリリースした。08年は7月にマリンバ奏者・大橋エリとの"erimba with HARCO"名義で『MARICOVER』を、12月に妻であるQuinka,with a Yawnとのユニット"HARQUA(ハルカ)"でミニ・アルバムをリリース。09年夏、アコースティック・アルバム『tobiuo piano』を引っさげて全国ピアノ弾き語りツアーを敢行した。10年夏にはジャズやAORを意識したアルバム『Lamp&Stool』を発表。13年冬、HARCO+カジヒデキ+河野丈洋(元GOING UNDER GROUND)の名義で、スタジオ録音と武蔵野美術大学でのライヴの模様を合わせたアルバムをリリース。07年から現在まで音楽とエコのイベント「きこえる・シンポジウム」を続け、ポータルサイト"環境goo"では、コラム「フィールドスケッチ・シェアリング」を連載中。映画「らくごえいが」「京太の放課後」などの音楽、NHK Eテレ「ニャンちゅうワールド放送局」内アニメ「ネイバーズ」、「Eテレ0655 きょうの選択」、TV東京系「しまじろうのわお!」の歌、俳優、他アーティストのプロデュース、サウンド・インスタレーション制作など、現在も活動は多岐に渡る。2014年3月5日に自らのハルコレート・レーベルよりリリースしたチャリティ・ミニ・アルバム『南三陸ミシン工房うた』をリリースした。

1975年10月16日 生まれ / 神奈川県出身 

>>HARCO Official HP

[インタヴュー] HARCO

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