トラップとエレクトロ・ポップのビビッドで華やかな出会い——ハイレゾで描かれた、Purity Ringによるセカンド・アルバム
レディー・ガガへのリミックス提供や、ラッパーのダニー・ブラウンとのコラボレーションなど、ホットな話題で名を知らしめている、モントリオールのエレクトロ・ポップ・デュオ、Purity Ring。2012年にはFUJI ROCK FESTIVAL出演を果たすなど、すでに日本でも注目を浴びている彼らの新作『Another Eternity』をハイレゾで配信! ダブステップ、チルウェイブ色の強かった前作のタッチを継承しつつ、ポップに美しく仕上がっている今作は、更に多くのリスナーの耳に届くのではないだろうか。ポップス・シーンにも新しい風を吹かせてくれるであろう注目のサウンドを、ぜひ高音質で、レヴューとともに堪能していただきたい。
Purity Ring / Another Eternity
【配信形態】
(右)ALAC / FLAC / WAV / AAC(24bit/96kHz) : 単曲 257円(税込) まとめ購入 2,600円(税込)
(左)ALAC / FLAC / WAV / AAC / mp3(16bit/44.1kHz) : 単曲 257円(税込) まとめ購入 1,543円(税込)
【Track List】
01. Heartsigh / 02. Bodyache / 03. Push Pull / 04. Repetition / 05. Stranger Than Earth / 06. Begin Again / 07. Dust Hymn / 08. Flood On the Floor / 09. Sea Castle / 10. Stillness In Woe
新たなR&Bのかたちを提示してみせてくれた
ベース・ミュージック・シーンからR&Bへ歩みを寄せたジェイムス・ブレイク、R&Bからダブステップやチルウェイブを取り込んだザ・ウィークエンド。彼らの登場で生まれた“インディーR&B”と呼ばれる新しいミュージック・シーン。ここ数年、このシーンもそろそろ飽和したかと思うと、また新たなアーティストが出てきては世間を賑わしている。近年で言うとブラッド・オレンジやポスト・ジェイムス・ブレイクの歌姫、バンクス、奇抜なサウンドとミステリアスさで新世代のビョークと評され昨年の話題を独り占めにしたFKAツイッグスなどだ。コリン・ロディックとミーガン・ジェームスによるカナダの男女デュオ、Purity Ringもまた2012年のファースト・アルバム『シュラインズ』でエレクトロ・ポップという枠組みの中にR&B、ヒップホップのリズムを取り入れ、新たなR&Bのかたちを提示してみせてくれた。
ちなみにFKAツイッグスを世に送り出したレーベル〈Young Turks〉には、他にもSBTRKTやThe xxといったアンビエントなサウンドの中心にボーカルをのせるスタイルの、インディーR&Bに近しいアーティストが名を連ねている。
そして2015年、Purity Ringのセカンド・アルバム『アナザー・エタニティ』は、インディーR&Bというシーンをさらに照らし出した。彼らのファースト・アルバムはもとより、ジェームス・ブレイク、バンクス、FKAツイッグスなどの作品はどれもダウナーな雰囲気が多いが、今作『アナザー・エタニティ』は全くもって真逆だ。まずアルバム・ジャケットから見ても、前作のダークな雰囲気から一転、宙に浮く女性に後光差す神秘的なアートワークになっている。アート・ディレクターはセイント・ヴィンセントやケンドリック・ラマーのアーティスト・フォトを手掛けるRENATA RAKSHA。サウンド面も、ドラマティックかつダイナミックなエレクトロ・サウンド、以前にも増して強く打たれる刺激的なビート、ミーガンのヴォーカルも、よりクリアかつメロディアスになり、眩しいほどのポップネスを放っている。今作はシンセ・ポップ、エレクトロ・ポップと呼ばれるサウンドではあるが、ヒップホップをベースに、近年のベース・ミュージックの影響もしっかりと組み込まれたビートや計算された音の配置などクレバーな音作りが、そこだけに留まらせない要因となっている。
多方面からのクロスオーバーにより、広がり続ける宇宙のようなインディR&Bというシーン。今作はその枠組みをさらに広げることになるだろう。この先も次々と新たな音楽が生まれるだろうこのシーンからまだまだ目が離せない。(text by 吉野敬一郎)
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FKA twigs / LP1
2014年最重要新人、FKAツイッグスの待望のデビュー・アルバム。アルカやジェシー・カンダなどによる、サウンド、ビジュアルで圧倒的な個性を誇り、デビュー前から〈Dazed & Confused〉の表紙を飾る等、話題沸騰の新世代歌姫。グラミー賞受賞のロードも大絶賛するなど、今後も彼女から目が離せない。
元テスト・アイシクルズ、そしてライトスピード・チャンピオン名義でのカントリーなポップで活動でも知られるデヴ・ハインズのプロジェクト、ブラッド・オレンジ。彼の本拠地であるNYにて、セルフ・プロデュースで制作された『Cupid Deluxe』は、前作に比べ、さらにソウル度を強めて、昨今のオルタナティヴなR&Bとも共鳴する作風となっている。
クリアな電子音と女性ヴォーカルが美しき物語を描き出す、フランスのエレクトロニカ・アーティスト、セイセット(Saycet)による彼による3枚目のアルバム『Mirage』。繊細な電子音、女性ヴォーカリスト、フォン・ソムサヴァットによる歌声は、高音質でさらに真価を発揮する響きを持っている。
PROFILE
Purity Ring
カナダはハリファックス / モントリオールを拠点に活動する男女デュオ。“ゴブル・ゴブル(現“ボーン・ゴールド”)”のドラムとボーカルとしてツアー三昧の日々を送る中、R&Bやヒップホップをこよなく愛するコリンが曲作りを開始し、ミーガンにボーカルを依頼。2011年1月にインターネットで発表するや否やたちまち世界中から賞賛の嵐が! 英老舗レーベル〈4AD〉と契約し2012年7月『シュラインズ』世界デビューを果たし、フジロック・フェスティヴァル’12に出演のため初来日。ダニー・ブラウンやジョン・ホプキンスとの共演を行うなど 精力的に活動。2015年3月セカンド・アルバム『アナザー・エタニティー』をリリースする。
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