2014/11/18 19:17

音楽とビジネス、ライヴとトークが渾然一体に!!ーー恵比寿ガーデンプレイスで開催される〈YEBISU MUSIC WEEKEND〉へ足を運べ!!

この日、恵比寿は日本の音楽の未来へつながる最先端の場所になる。11月1、2、3日の3日間に渡り、恵比寿ガーデンプレイスの3会場5ステージを使って行なわれるライヴ、トーク、プレゼンで音楽を楽しむ・知る・考えるエンタメ・フェス〈YEBISU MUSIC WEEKEND〉。細野晴臣からSuara、NATURE DANGER GANG、BELLRING少女ハートまで、若手もベテランも関係なし!! バンドからシンガー・ソングライター、アイドル、トラックメイカーといった30を越えるアーティストたちがライヴを繰り広げる。それだけでなく、セルフ・プロデュース、マネージメント、音楽ライティング、著作権についてのトークと講座、最新音楽サービスのプレゼンテーションも開催。ジャンル、世代、立場を超え、リアルでもインターネットでも音楽に関する事柄が集結してグルーヴを巻き起こす。この前代未聞のイベントの開催を目前に、主催者の永田純、渡邊ケン、飯田仁一郎、大山裕之の4人にインタヴューで、その理念とイベントについて話を訊いた。音楽の未来はすぐそこにある!? このイベントはマストチェックだ!!


ライヴ、トーク、プレゼンで音楽を楽しむ・知る・考えるエンタメ・フェスが恵比寿で開催!!

YEBISU MUSIC WEEKEND

日時 : 2014年11月1(土)、2(日)、3日(月、祝)
会場 : 恵比寿ガーデンプレイス(ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム、STUDIO 38)の3会場5ステージ
時間 : 開場 : 12時15分 開演 : 13時 終演 : 22時頃予定

チケット :
1日券 : 11月2日(日) ¥3,000(前売) / ¥3,500(当日) (入場可能日 11月1日(土)、11月2日(日))
1日券 : 11月3日(月・祝) ¥3,000(前売) / ¥3,500(当日) (入場可能日 11月1日(土)、11月3日(月・祝))
3日間フリーパス : ¥5,500(前売) / ¥6,000(当日) (入場可能日 11月1日(土)、11月2日(日)、11月3日(月・祝))
学割3日間フリーパス : ¥4,500(前売) / ¥5,000円(当日) (入場可能日 11月1日(土)、11月2日(日)、11月3日(月・祝))
※11月1日(土)の1日券は、当日券のみ ¥1,000 でご用意いたします。
※1日券(11月2日 あるいは 11月3日)をお求めの方は、 11月1日 にもご入場いただけます。
※学生の方は3日間通し券をお求めのうえ、当日、受付にて学生証をご提示ください。1,000円キャッシュバックいたします。
※前売り券の販売状況によっては、当日券は発売されない場合、または入場制限等を行う場合などがあります。最新情報はオフィシャル・サイトにてご確認ください。

チケットぴあ : t.pia.jp Pコード : 242-967
イープラス : eplus.jp/musicweekend
ローソンチケット : l-tike.com Lコード : 74372
Peatix : musicweekend.peatix.com
出演アーティスト

11月1日(土)

トーク
『音楽でできた人生をあゆむということ』
出演 : 麻田浩(Tom’s Cabin代表 / SXSW Asia代表) 聞き手 : 北中正和(音楽評論家)
オトトイの学校 presents『Arts and Lawの、今勉強する、音楽の著作権!!!』
出演 : 藤森純(Arts and Law弁護士) 聞き手 : 飯田仁一郎(オトトイの学校)
ミューズ音楽院 presents『個性的すぎる才能とつきあう方法~精神科医が明かす、才能育成・マネジメント法~』
出演 : 本田秀夫(医学博士) 聞き手 : 高階經啓(LENZ LLC.代表) / 手島将彦(ミューズ音楽院)
パソナ ミュージックメイト presents『音楽で食わずに、音楽と生きる~Wキャリアがもたらす世界~』
出演 : レジー(音楽ブロガー / “レジーのブログ”) / 白木裕也(引力レコーズ) / ウエムラケイ(シンガー) 聞き手 : 安西正史(パソナ ミュージックメイト リーダー)
11月2日(日)

ライヴ :
細野晴臣 / Soggy Cheerios / OGRE YOU ASSHOLE / THE NOVEMBERS / 黒木渚 / トクマルシューゴ / UNCHAIN / ゆるめるモ! / ミツメ / 森は生きている / BELLRING少女ハート / Special DSD Recording Live!!! act : Babi / 水曜日のカンパネラ / Yogee New Waves / NATURE DANGER GANG / コッテル / 杏窪彌

トーク :
THE FUTURE TIMES presents『今、どういった詩が必要とされているのか』
出演 : 後藤正文(THE FUTURE TIMES編集長/ASIAN KUNG-FU GENERATION) / 和合亮一(詩人)
『音楽を届ける新時代のチームづくり〜THE NOVEMBERSの音楽マーケティングのすべて〜』
出演 : 小林祐介(THE NOVEMBERS Vo&Gt / MERZ代表) / 高野修平(トライバルメディアハウス シニアプランナー / サブマネージャー) 聞き手 : ジェイ・コウガミ(音楽ブロガー / “All Digital Music”)
ミューズ音楽院 presents『日本も外国! 〜世界を俯瞰して見えた、日本の音楽のこと〜』
出演 : レナード衛藤(和太鼓奏者) 聞き手 : 手島将彦(ミューズ音楽院)
京都精華大学 presents『音楽を支える、ちょっと変わった”裏方”たちの話し』
出演 : 文原明臣(nana music Founder / CEO) / 原田卓(Peatix Inc. CEO) / 椎野秀聰(楽器設計者、ESP / VESTAX 創業者)
『ミュージシャンと音楽ファンのための、Spotifyってなんだ!?』
出演 : 野本晶 (スポティファイジャパン ライセンス&レーベル・リレーションズ ディレクター) / 孫龍活(スポティファイジャパン リーガル・カウンシル) / 谷口元 (株式会社東京谷口総研 法人格)
『2.5D SESSION -音楽業界の商品とは-』
出演 : 石井龍(株式会社ニーテンゴディー プロジェクト・マネージャー) / MMMatsumoto(MARQUEE編集長) / 武瑠(SuG Vo)/ 他
プレゼンテーション :
プチリリ×Lyric Speaker 、CD baby JAPAN、京都精華大学、尚美学園大学(+3都県高校軽音部優秀バンド)
11月3日(月・祝)

ライヴ :
ZAZEN BOYS / Controversial Spark / Suara / tofubeats / 大森靖子 / 空気公団 / 或る感覚 / HAPPY / 吉澤嘉代子 / 上原れな / 吉田ヨウヘイgroup / Charisma.com / Special DSD Recording Live!!! act : Nao Yoshioka / Awesome City Club / AZUMA HITOMI

トーク :
note presents『デジタル時代、ミュージシャンはどうやって生きていくのか?』
出演 : 津田大介(ジャーナリスト / メディア・アクティビスト)/ 西寺郷太(NONA REEVES) / 加藤貞顕(株式会社ピースオブケイク 代表取締役 CEO)
オトトイの学校 presents『岡村詩野ライター講座 YMW特別編!』
出演 : 岡村詩野(音楽評論家) / 田中宗一郎(音楽評論家)
Billboard JAPAN presents 『ヒットって、何ですか?』
出演 : 佐藤譲(音楽プロデューサー / 株式会社一二三代表取締役)/ 礒崎誠二(ビルボードジャパン チャートディレクター) 聞き手 : RIO(ラジオDJ)
『tofubeatsと音楽ライター / ブロガーが語る、ディグ術と隠れたJ-POPの名盤』
出演 : tofubeats / 近藤真弥(COOKIE SCENE) / 荻原梓(Hi-Hi-Whoopee/Lomophy)
『メジャー・レーベルの人 vs インディーズ・レーベルの人』
出演 : 岩本岳士(Littleize record代表) / 岩崎淳(FunLandRyCreation代表) / 他
『50年前の海賊ラジオ放送局が今に問う、音楽との出会い』
出演 : ハンス・フェルスタッド / ピーター・バラカン
プレゼンテーション : Peatix
>>>YEBISU MUSIC WEEKEND HP

INTERVIEW : 永田純、渡邊ケン、飯田仁一郎、大山裕之

ーー20代・30代・50代・60代と、異なる世代の人たちが中核となって始まっているイベントですが、元々はなにがきっかけで、なぜこのメンバーが集って、どういうことをしていきたいなと思って始めたんでしょうか。

永田 : 元々は、ちょうど2年前の11月、土曜日の1日だけ恵比寿のガーデンルームを借りてイベントを行ったんですね。趣旨は今回と近かったんですけど、生の音楽を聴きながら、サービスを運営している人やいろいろな人の話も聴いて。テーマで言えば、「聴いて、考えて、楽しむ」みたいな。

ーー〈YOAKE〉のことですね。

永田 : そう。その時に飯田さん(OTOTOY)、渡邉さんと、まずは3人を中心にして始まったんです。当時、メジャーの業界は厳しい状況が続いていたし、かといって違う居場所を僕らは見つけ切れずにいて、このままじゃいけないと。どうするか個人的に焦る気持ちがあったのと、あとは本(『次世代ミュージシャンのためのセルフマネージメント・バイブル』)を出したときに反響があって、確固たるものを感じていて。

永田純

渡邊ケン

ーー先が一番見えなかった頃ですよね。

永田 : そうなのかな、やっぱり。飯田さんとはどうやって知り合ったんだろうね。2009年の10月にレコミュニがOTOTOY(飯田が編集長を務める配信サイト)になって、恵比寿のタイムアウトカフェで記者会見をやっていて。
飯田 : はい、そのあたりくらいからですね。
永田 : 飯田さんは、バンドをもう十何年も続けているし、〈ボロフェスタ〉(飯田が主催者のフェス)も十何年もやっているし、配信サイトも凄くうまく取りまとめている。音楽において自分ができることを全部やっていて、しかもそれがブレていなくて。渡邉さんは僕より年上で、トムス・キャビン(コンサート・プロモーターの会社)代表の麻田さんの右腕を務めて、その後にメジャー・レーベルで洋邦の制作、その後ソニーミュージックで音楽出版に携わったり、ドリカムが海外進出するときのマネジメント側の窓口をやっていたりとか、その後SXSW(サウスバイサウスウエスト)ASIAの事務局長をやっていて。そこを離れてからは〈Tokyo Boot Up!〉というイベントをやっていたり。それで3人が中心となって、2012年11月の土曜日に、8時間ぶっ通しでパネルディスカッション3本とライヴを7、8本やったのが最初ですね。

ーーそのときのお客さんの反応はいかがでしたか?

飯田 : 衝撃でした。というのも、トークに人が集まったんですよ。〈ボロフェスタ〉の場合はライヴがメインなので、トークには人が来ない。だからトークにどうやって人を集めればいいんだろうって思っていたんです。それに対して、そのときはある程度、知名度のあるアーティストが出ていたのにもかかわらずライヴよりもトークのほうにお客さんが集まってきたのが衝撃で。「トークってみんな興味あるんだ!」みたいな。で、若い子とかも「新しい感じがしました!」って言ってて。これは可能性あるなと思って、〈YEBISU MUSIC WEEKEND〉に行き着いたわけなんです。で、〈FREEDOMMUNE〉を見たときは、やっぱりライヴ(の方が人気)だったんですよ。深夜にやっていたこともあって、トークを聴くのはしんどかったんだと思う。でもせっかくトークがあるなら、トークとライヴのバランスをもっと上手く取れたら、日本において、いままでにまったくないフェスを生み出せる可能性があるなと思ったんですよね。

ーー〈YOAKE〉を3回やって、そこから〈YEBISU MUSIC WEEKEND〉へ移行するきっかけは何だったんでしょうか?

11月2日に出演する細野晴臣

永田 : それは、今年から来年にかけてが明らかにターニングポイントになる、新しいシーンへの胎動がもうはっきり見えてきたと感じるようになったからだと思いますね。そういう意味では、いま思うと〈YOAKE〉を始めた頃には、閉塞感からどこへ向かおうかと、もがいていた感じはあったかもしれない。あ、でも、あっちの空が白んできてるかも、と。だから〈YOAKE〉だったんですね。一方、今年は、周りを見ても、明らかにおもしろいイベントが増えてきたし、新しい、おもしろい連中がたくさんいて、それぞれの活動をしている。だったら、そこを示して、みんなで共有したいというのが一番大きかったかな。それから、今年は大山さんが入ってきて、新たに確認できて嬉しかったことは、(若い世代も)音楽に対する熱の高さはみんな同じだということです。だから、その熱そのものを中心にどんな人と繋がれるのかと。そういう場ですね。大山さんのブログは見ていたけど、それが実際に〈YOAKE〉で出会って、2年後に今回一緒にイベントをやってたりとかね。他に登壇してくれた連中とか、たまたま出会った人の中でも、その後なにかが生まれていたりだとか。そこはすごく実感しているんですよ。だから、やはりまずはそういう出会いの場になればいいなと。そして、もうひとつは、できるだけ開かれた場になればいいと。そういう意味では、そもそも、お客さんをあまり“お客さま”だと思っていなくて。僕らはたまたまつくる側だけど、彼らは彼らで音楽をずっと聴いていて、(その影響が)どれくらいの人たちに広がってくれるかとか、みんながその後になにを始めるのかとか、ということかな。
飯田 : 僕は堂々とスポンサーが出せるイベントにしたかったんですよ。なぜ日本に〈SXSW〉のようなイベントが根付かないかといえば、音楽とビジネスのバランスが悪いからだと思うんです。「ビジネス・トゥ・ビジネスです」みたいな、分かった人だけを対象にしているような音楽イベントと、かたや、ビジネス感をひた隠しにするタイプの音楽イベントとがあって。そういったイベントに疑問を持っていた中で、〈FREEDOMMUNE〉とかコミケ(コミックマーケット)みたいな、お客さんとビジネスが堂々と融合している感じがするイベントを体験して「すごい!! これだなぁ」と思ってて。

ーー〈SXSW〉はやはり、ライヴと、トーク、カンファレンスみたいな内容なんですか?

渡邉 : 〈SXSW〉は「音楽見本市」とくくるとわかりやすくなると思います。最初はライヴがなく、カンファレンスのみでした。いまはもうなくなりましたが、〈SXSW〉がインスパイアされたのは、ニューヨークの〈New Music Seminar〉というイベントでした。これはカンファレンス中心で、ライヴも組み込まれているものでした。それまでの音楽見本市という形態のものは、どちらかというと業界主導であったものが、〈New Music Seminar〉は新しいアーティストであるとか、アーティスト・オリエンテッド(アーティスト中心主義)なものを目指したんですよね。それが〈SXSW〉のメンバーたちによって、形づくられていったという経緯です。
飯田 : 24歳のときに(〈SXSW〉に自分のバンドLimited Express(has gone?)で)出たときは、「クソイベント!」って思ったんですよ。それは、あまりにもビジネスだったから。僕は(そのときは)ビジネスとライヴや音楽っていうのが結びつかないものだと信じていた。音楽はピュアなものだと(笑)。それが35歳のいまになったら、音楽とビジネスは結びついていて、そこに夢があるんだよと。もっとそういう体感を若いときにしていれば、〈SXSW〉をもっと僕は楽しめたんだろうなと思ったんですね。あのとき、なんでこんなビジネスライクなフェスに俺たちは出ないといけないんだって思ってたけど、いまやっと消化できてきて、「あ、音楽とビジネスって一緒でいいんだ」って。それって悪いことじゃないって思うようになったんです。

細野晴臣とtofubeatsが並んでいても別に違和感がまったくない

ーーそういう世代なんですよね。例えば、(否定的に)産業ロックと言われているものがあって、30歳を超えてから聴いたら、別に産業でもいいじゃんって。そういうのもちょっと気づいたりして。だからその感覚はわかりますよ。

飯田 : そうなんですよね。一時、配信ならアーティストに95%(売上を)返せる、だから中抜きはおかしいって言い出す人がいたんですよ。でも、(その人は)中の人の努力を知らないんじゃないのかなって。マネージャー、流通、配信サイト、メディアとか、そういう人たちの沢山の努力とか生活がある中でやっとミュージシャンはお金を手にできるっていうことがたくさんあるのに、そこを抜いて「95%返せます。それが素晴らしい」、なんてことがまかり通るっていうことを僕はすごくおかしいと思っていて。その「間」をちゃんと見せたいと思ったので、OTOTOYがやっているオトトイの学校や、今回の「トーク」っていうものにはすごく可能性があると思っています。ZAZEN BOYSを見に来た若い子が、「あ、ライターってものがあるんだ」、「Peatixっていう会社があるんだ」とか、「CD Babyっていう会社はこういう運営をしているから成り立っているんだ」とか、気付ける場所があればいいなぁと思うわけですよ、ね! 大山さん!

飯田仁一郎

大山裕之

大山 : 飯田さんだけしゃべればいいんじゃないかと(笑)。
飯田 : ここはすごく大事なところなので(笑)! ちょっとメンバー紹介が遅れてしまいましたが、僕はケンさん(渡邉)と永田さんと僕だけではおもしろいものにならなかったと思っているんです。実はもう一人、(大山さんという)ちょっと変な人が入ったというのが、このイベントの可能性を大きく広げているんですね。(若い世代ならではの)ネットへのスピード感、絶対にその感覚が必要なんですよ。たぶん、〈FREEDOMMUNE〉やコミケにはそれがあるので、あんなにおもしろくて、既存のフェスにはそういう人がいないから、僕らは飽きてきているのかなって。そのスピード感やこの国特有のサブカルな感じ。昔は〈フジロック〉や〈ロッキン・オン〉も持っていたその感じ。ネット世代に対して僕や永田さんは少しずつリーチできなくなってきていて、今回新しく〈YEBISU MUSIC WEEKEND〉を始めるにあたって、そこにリーチできて、その感覚を持って進められる人を欲していたんですよね。だから、僕は永田さんの言うことには反抗的ですけど、大山さんの言うことには反抗しません(笑)。
一同 : (笑)。

ーー僕は40代なんですが、周りに20代の子とかがいますけれども、やっぱり感覚があまりにも違って。いまのはなるほどなと思いましたね。大山さんはどういう形で関わるようになったんですか?

大山 : そうですね。元々ブログをやっていて、単純に好きな曲の紹介とか、音楽のビジネスネタとかを書いていたんですけど。それをきっかけにですかね。永田さんと会ったのは。
永田 : そうだね。
大山 : 〈YOAKE〉の1回目に「これからの音楽の見つけ方」みたいなセッションがあって。あれ、もともとは飯田さんがドタキャンしたんですよね。
飯田 : そうだった… あれはダブル・ブッキングをしてしまって…。
大山 : で、ドタキャンで空いた穴を僕が埋めたという。
永田 : 飯田さんはそうやって出会いを生んでいくからね(笑)。

ーー20代の人というのは、大山さんがブログで書いているような、音楽の裏側というか、音楽そのものじゃない部分に興味を持っている方って多いんですか? 何でこんなアーティストが出てきたんだろうとか、その裏にはどういうシステムがあったんだろう? とか。

大山 : 興味ある人はめちゃくちゃ興味あるけど、興味ない人は本っ当に興味ないです。知らない音楽を聴こうとも思っていないです。その差はめちゃくちゃ広がっていると思います。ただ、音楽シーンとしてはおもしろいし、それを取り巻いているコアなリスナーにとっては一番おもしろい時期だと思いますけど。その差をちょっとずつ縮める役割が〈YEBISU MUSIC WEEKEND〉でできないかなぁ、と。

tofubeats

ーー出演アーティストのラインナップを見ても、より若い人に見てほしいなぁっていうラインナップに見えますね。

大山 : はい。ただ、僕ら世代、例えば、TSUTAYAが出てきてブックオフが出てきてYouTubeが出てきて、ってなると、細野晴臣とtofubeatsが並んでいても別に違和感がまったくないので。それをライヴ・ミュージックでできないのかなっていうのは思っていますね。

Suara
上原れな

飯田 : 例えば、今回のラインナップで言えば、Suaraとか上原れななど、ゲーム音楽で有名になったミュージシャンを入れてみたっていうのは、僕的には新しいことだと思っています。ゲーム・ミュージックとの出会いも、ロック・ファンにはなかなかなかったりするので、うまいこと邂逅させることができたらと。実は、僕がやっている〈ボロフェスタ〉とか、手伝っている〈ぐるぐる回る〉とかが、一番最初にロック・フェスにアイドルを取り入れたと思ってて。そのときにものすごい反発が内部からもあって。なんでロック・フェスにアイドルを入れるんだ、って。でも、「ロック・キッズがアイドルも聴く時代なんだ」って言って、BiSとかでんぱ組.incとかをどんどんフェスにぶち込んだ。で、アイドルとロック・バンドは普通になったけど、コミケとロックの邂逅はまだあまりないなぁ、と。だから、フェスで、もっともっと多くのジャンルを邂逅させたいと思うんですよ。例えば、ランティスっていうアニメに強いレーベルが主催するフェス〈ランティス祭り〉があって、8000円のチケットが1万枚も売れている。それって普通にあることなのに、(ロック・ファンは)あんまり知らないんです。だから僕らのようなフェスをやっている人たちが邂逅させていけば、アニソンがあってゲーソンがあって、ジャズがあってクラシックがあって、そういうことをどんどん提案していけるようになるんじゃないかって。

アンチとか言っていたら、もはやなにも生まれない

ーー先ほどおっしゃっていた「(フェスが)ビジネスであることを隠したくない」というところですが、トークやカンファレンスは、ある意味業界の裏側的なものがにじみ出てくる場だと思うんです。それってものすごく「仕掛け」っぽくなりませんか?

飯田 : 僕はね、服装だと思うんですよね。例えばプレゼンのときに、スーツを着た人がめっちゃ必死にやっても、このフェスじゃ受けないかもしれない。でも、女の人が、ピチピチのレースクイーン的な服装をして、サンプリングをしていたら少なくとも僕はワクワクしてしまいます。ついつい。
渡邉 : 僕なんてもっとワクワクしますね(笑)。
一同 : (笑)。
飯田 : その感じなんですよね。例えばレースクイーン的な服装のお姉さんがコンドームを配って歩いていて、その先で細野晴臣が演奏している、ということっておもしろいじゃないですか? 夜のクラブってそんな感じありますよね?

ーーはい。ありますね。

大森靖子

NATURE DANGER GANG

飯田 : そうなればいいなと思います。例えばあるアイドルが演奏する前に観客にコンドームが配られて「セックスには気をつけましょう」とアナウンスされて、その後めっちゃいいライヴがあって、「変な空間になっているな、ここ」みたいな感じになればいいなと思いますね。大森靖子ちゃんのライヴはそういう感じがあるとおもう。自分で物販をやって、ライヴではお客さんとキスしてしまったりとか、ヤバい発言いっぱいしたりとか。その感じが「かっこいいいま」だなぁと。ベルハーや大森靖子ちゃん、NATURE DANGER GANGがこのフェスを体現してくれるよう(な存在)になればいいなぁと。
渡邉 : そういうエネルギーが欲しいよね。
大山 : それを恵比寿でやっているっていうのがおもしろいと最近思ってきていて。大人の街って言われているところの、密閉された空間でそんなヤバいことが行われるというのがおもしろいなぁ、と。

ーー密閉されているというのは?

大山 : ガーデンルームとガーデンホールは外に出なくても移動できるんですよ。なるべくに外に出さないほうがいいかなぁと。

ーーそれはなぜですか?

大山 : 現実感がすごいから。日常感がするからです。〈フジロック〉に行ったら(周りは)山じゃないですか。〈サマーソニック〉に行ったら、電車で行って電車で帰って、移動の時はコンクリートの上を歩いて、「フェス感」がないというか、なんて言うんでしょうね。

ーー異空間をキープできていない?

大山 : キープできていないと思いますね。だから〈サマソニ〉にはコアファンはいないと思います。

ーーところで、サポーターにメジャーのレコード会社が入っていないのは、あえてですか?

飯田 : そんなことは全然ないですよ。たまたま興味をもってくれるメジャーと出会えなかったというだけ。メジャーが悪いとか、そういうこと思わないです。ロッキン・オンとか、メジャーとか、〈SXSW〉とかそういうキーワードが出てきましたけど、アンチってことは全然ない。それらよりもコミケとか〈FREEDOMMUNE〉とか、音楽フェスにとって新しい可能性が出てきたことに感動して、「僕らでもできないかなぁ」と思って始めた感じなので。アンチとか言っていたら、もはやなにも生まれないと思っています。
永田 : 音楽だけを基準にして、みんなで共通の話題で話せる場をつくろうよ、くらいのことなんですよ、〈YEBISU MUSIC WEEKEND〉は。

ーー「音楽が好きです」というだけのものとは違うものが見えるイベントだと思うんですよ。その中でリスナーにどういうものを知ってほしいのか、それをリスナーの方々に知ってもらうことはどのくらい必要なんでしょうか。

BELLRING少女ハート

ゆるめるモ!

永田 : 音楽とそれ以外とか、表とか裏とか、そんなに考える必要はなくて。例えば、僕がベルハーを観ておもしろいと思う。でも、飯田さんと知り合ってなかったら、僕は一生ベルハーを観ていなかったかもしれないし。で、今年〈ぐるぐる回る〉に行って、ベルハーとゆるめるモ! を観たら、そこの客層の違いまで見えてきて、僕は僕で広がった。そういうことだと思うんですよ。単純に普段聴くチャンスがない音楽を聴く場でもいいし、無理にトークを聴いて勉強しろっていう気もなくて。興味がある人はまたそれをきっかけに広がるでしょうし。だから、僕らから「これとこれを聴け!」っていうのはなくて、おもしろいと思うものをテーブルに広げるから、好きなものを観てみて、と。ざっくり言うとそういう感じですね。だから、形式としてのフェスそのものがやりたいわけではないし、ロッキン・オンや〈SXSW〉と比べられるものを目指しているわけでもまったくないんです。いまこれだけいろいろな音楽があるし、いろいろなことをしている人とか、いろいろなことを考えている人もいるし、そういうのを集めるから、どう? という。そういう意味では、極めて音楽そのものにだけ根ざしているんですよ。それこそ、みんな並列で、興味があるものを見てくださいという感じです。音楽も、それに関わるトークも。ただ、もちろん、中身の吟味には命をかけているつもりです(笑)。
渡邉 : 理想としては、体験するといまの音楽シーンの問題が自然に浮き彫りになるような触れ方になればいいなと思います。直接的には作用しないかもしれないけど、きっかけに触れるというか、振り返ったときになにかのきっかけになっていればいいなと思いますね。

聞き手 : 池上尚志

開催主旨

今、音楽シーンは日々おもしろくなっています。   クリエイターは既存の仕組みや資本にとらわれない活動が可能になりました。生み出した作品を自ら発信し、プロモーションして、リスナーに届けるところまでを構築することで、新しいミュージシャンたちは自由な創作環境を手にしています。ソーシャルメディアや各種ウェブサービス、スマートフォンなどの成熟がこれを支え、これらは今、小さなビジネスとして成立し始めています。かたや、60-70年代から活動を続けるベテランたちも、もう半世紀近く自らのペースを崩さずに作品を発表し続け、ツアーを続けています。

リスナーが音楽と出会う手段にもいまや多くがありますし、多様化するそれぞれにはきちんと居場所があります。これらの背景には、インターネットにより本格的にもたらされつつある私有から共有への大きな流れがあります。

一方で、従来の方法では音楽がお金を生むのがむずかしくなっているのも事実です。そんな中、生業は他に持ちながらも音楽ライター / ブロガーやミュージシャンとして音楽に関わり続ける生き方も生まれています。好きだからこそプライベートに音楽と関わってきた彼らにも今大きな可能性が開かれており、これらすべてが音楽を活性化させていることも新しいシーンの特徴でしょう。

2012年11月、わたしたちは、新しい音楽シーンの萌芽を伝え、新世代のアーティストを紹介する音楽イベントとして、「YOAKE」の開催に関わりました。新たな一歩を踏み出したことを確信し、その後半年ごとに、これまで3回を開催し、共感していただける方も増えてきました。

そして、今後の音楽シーンにとって大きな節目となるであろう今年11月、これをさらに多くの方と共有できる場にするため「YEBISU MUSIC WEEKEND / ライヴ、トーク、プレゼンで音楽を楽しむ・知る・考えるエンタメフェス」として開催します。ジャンル/世代/立場を越えて、「音楽」そのものを軸にみんなが集い、共に音楽を楽しみ、語り、考える開かれた場になることを目指しています。

会場は今年20周年を迎える恵比寿ガーデンプレイス。ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム、STUDIO 38 の3会場に計5つのステージを作り、それぞれ異なるアプローチで新しい音楽と音楽シーンを伝えます。ザ・ガーデンホール(スタンディング / 1200名)のメインステージとサブステージではライヴと弾き語りを中心に、ホワイエには出展ブースを設けます、ザ・ガーデンルーム(200名)の2つのステージではライヴとトークを、STUDIO 38(100名)は主にトークセッションに利用します。各セッションの間にはITサービスや企業のプレゼンテーションの場を作り、今、リスナーやミュージシャンにこそ知ってほしい挑戦する企業や団体との出会いの場を提供します。   ライヴのキャスティングは若手からベテランまで、テーマを体現するミュージシャンを対象にします。トークでは新しい音楽のあり方や関わり方、音楽メディアなど様々なテーマを設定し、識者を招きながら、全員で話せる場を作ります。また、ぼちぼち半世紀に渡る日本のポップスの歴史についてもきちんと見ておきたいと考えています。これらは必ず、わたしたちの未来を考える大きな手がかりとなることでしょう。ライヴとトークを全く別のものとして扱わず、リスナーも共感できる内容にすることによって、新しいアプローチでイベントとしての一体感を生み出します。   どなたにも気軽に足を運んでもらえるように、料金は ¥5,500(学割¥4,500)/ 3日間通しに設定しました。オフィシャルサイトは、単なる1回限りのイベントサイトとしてではなく、継続してリスナー/ クリエイターが集うプラットフォームとして機能させていく予定です。オンライン/ オフライン問わずに、開かれた「ライヴ&トーク」を体現していきます。

主催実行委員会の軸を担うのは、それぞれがフリーランスの立場で音楽と関わってきた4人です。世代は20代から60代、立場はブロガー/ ウェブデザイナー、バンドマン/ 配信サイト編集長/ ローカルフェス主催者、エージェント/ プロデューサー/ 大学教員、前SXSWアジア事務局長など多岐に渡りますが、いずれも音楽が好きで、意気投合してこのイベントを始めました。

今、わたしたちが立ち会っている時代、インターネットにより機会均等がもたらされ、私有から共有に向かう大きな流れは、人類の歴史の中でも希有な、大きな転換期なのかもしれません。そんな時代の中、YEBISU MUSIC WEEKEND がイベントのためのイベントではなく、「音楽」そのものを通じて、出会い、つながり、共に新しい音楽シーンをつくっていくきっかけになれば、と考えています。リスナーとミュージシャンが有機的につながり、新しい循環[サイクル]が生まれていく。みなさんとご一緒できることを、心からお待ちしています。

YEBISU MUSIC WEEKEND実行委員会
大山裕之・飯田仁一郎・永田純・渡邉憲一

>>>YEBISU MUSIC WEEKEND HP

出演者の音源を予習しておこう

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