鳥肌モノのポリフォニー!! UQiYO、斬新すぎるコンセプトの新作をハイレゾで配信
これはすごい。きわめて斬新コンセプトと圧倒的なクオリティをもったアルバムが登場した。Yuqi(Vo / Composer)、Phantao(Key)、Satoshi(Perc / Dr)の3人からなるユニット、UQiYO(ウキヨ)の新作がそれだ。その内容はと言えば、「GIRL to BOY」(=女の子から男の子へ)、「BOY to GIRL」(=男の子から女の子へ)という2種類の曲が交互に繰り返され、そのたびに少しずつ変化していくというもの。しかも、最後にはひとつの曲(「THY LUV」)へと融合し、感動的なポリフォニーを奏でることになるのだ。男女が互いに成長しながら想いを通わせていく様子を、巧みに表現したアルバムと言えるだろう。
もともとは7週間にわたるプロジェクト「2014 Winter」としてスタートし、昨年12月から1曲ずつ発表されてきたこれらの楽曲。このたび、そのすべてを収録したアルバム『THY LUV - Complete +1』が配信開始された。しかも、24bit/48kHzのハイレゾで。ピアノ、アコースティック・ギターを主体とし、生音の魅力を存分に活かした楽曲たちを、唯一無二のコンセプトとともに楽しもう。楽曲やプロジェクトについて詳しく解説したレヴューとともにどうぞ。
THY LUV - Complete +1
【配信フォーマット / 価格】
ALAC / FLAC / WAV : 1,500円 (単曲購入は200円)
【収録曲】
01. Girl to Boy 1
02. Boy to Girl 1
03. Girl to Boy 2
04. Boy to Girl 2
05. Girl to Boy 3
06. Boy to Girl 3
07. THY LUV
08. THY LUV featuring MICHIYO HONDA
09. ex1 THY LUV 1
10. ex2 THY LUV 2
男女が互いを育み合い、恋愛していくかのような音楽
2013年12月27日、「2014 Winter」と題されたひとつのプロジェクトが始動した。
UQiYO(ウキヨ)というアーティストが開始したこのプロジェクトは、「GIRL to BOY」(女の子から男の子へ)、「BOY to GIRL」(男の子から女の子へ)という2つの曲が、2月14日までの計7回、毎週少しずつ成長(アップデート)されていくというもの。まるで男女がお互いを育み合い、恋愛していくかのようなストーリー性をもったプロジェクトだ。もうすでに完結しているのでネタばらしをすると、最終日の2月14日、ヴァレンタイン・デーのアップデートで、2つの曲が合わさりひとつになる。リアルタイムで見ていた人にとっては、まるでひとつのドラマを観ているような、今までにないプロジェクトだ。
最初の楽曲「GIRL to BOY」は、ピアノ主体のシンプルな曲に柔らかな歌声がのった心地良い1曲。次に公開された「BOY to GIRL」も、ギターのリフ主体のシンプルな楽曲だ。次のアップデートでは、「GIRL to BOY」にシンセのリフが追加され、なんともカラフルな雰囲気に。「BOY to GIRL」はシンセだけでなく、ドラムのリズムが加わってダンサンブルに進化。この時点で両曲の雰囲気はどことなく似てきている。男女の距離が近づいてきたのだ。「GIRL to BOY」の2回目のアップデートでは、シンセは控えめに、ストリングスは美しい大人っぽい雰囲気をまとう。「BOY to GIRL」は全体的に音がまとまり、ポップでありながらどこかシックに。男女が大人へと成長していく様子がしっかりと表現されている。そしていよいよ2つの曲がひとつに合わさり、「THY LUV」という楽曲が完成するのだ。今回配信される『THY LUV - Complete +1』には、前述の7曲に加え、「THY LUV」をもとにしたエクストラ・トラックが2曲、そして本田みちよをヴォーカルに迎えた「THY LUV featuring MICHIYO HONDA」が追加収録されている。
最初はバラバラだった2つの曲が…
最後にはひとつの楽曲に。
Mice Paradeやmumを彷彿とさせるUQiYOの楽曲は、日常を歌ったものでありながら、その洗練されたサウンドと浮遊感のある歌声で、私たちを非日常にいざなってくれる。斬新なコンセプトだけでなく、しっかりと楽曲で聴かせてくれるのが彼らのすごいところだ。今回のプロジェクト以外にも、さまざまなクリエイターたちとコラボし、独特の試みを次々と行うUQiYO。その点、ミュージシャンというよりは、アーティストという表現がぴったりの存在だ。
さまざまな表現方法で、私たちを非日常の世界にいざなってくれるUQiYOから目が離せない。変わらない日常に飽きてしまった人、新しい刺激を求めている人、そういった人たちにこそ、彼らの音楽が届けばいいと思う。(text by 吉野敬一郎)
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Mice Parade / Candela
これまでとはひと味もふた味も違うMice Paradeの最新作。「これまでのMice Paradeは忘れてほしい。まったく違うものになる。はるかに良いものに」。アダム・ピアース自身がそう語った意欲作。 結成14年、今なお前進&挑戦しつづける彼らの姿は、感動的ですらある。
mum / Smilewound
BjorkやSigur Rosと並び、アイスランドを代表するバンドとして高い評価を受けるmum(ムーム)。彼らが4年ぶりにリリースした2013年作『Smilewound』は、生音をふんだんに使ったポップスから、幻想的なエレクトロニカまで、多彩な表情を持った1枚。日常の喧騒を忘れ、ゆったりと耳を澄ませてみては?
本田みちよ / スタート(24bit/48kHz)
OVERROCKETを脱退した本田みちよが、わずか2ヶ月でリリースしたソロ・シングル。「スタート」というタイトル、そしてエネルギッシュな曲調からは、新たな一歩を踏み出そうとする彼女の決意が感じられる。本田自身が「新しくスタートする人への応援歌」と語る、ポジティヴな1枚。OTOTOY独占で高音質配信。
PROFILE
UQiYO
"日常を、心地よい非日常-浮世-にいざなう音楽ユニット" 。
Vo / ComposerのYuqiを軸に2010年よりKeyのPhantaoと活動を開始。2014年1月よりPerc / DrのSatoshiが正式加入。「音楽を、音以上の体験として提供したい」という志で、さまざまな試みとともに音源リリースやLive活動を行う。「同期を一切使わずにリアルタイムLooperなど駆使し、濃厚で温もりあるエレクトロの音世界」を繰り広げる。2013年春にリリースした「at the Starcamp」のMVは、webデザイン業界の最注目株であるデザイン・スタジオ「TWOTONE」から協力を得て撮影。宣伝なしで再生回数10,000を超す。同年5月にアルバム『UQiYO』をリリース。自主制作ながらロング・ヒットを続け、More Recordsの「Album of the Month」を獲得し、Flake Recordsから大レコメンドされたことをきっかけに知名度が広がる。今年4月からHMVにて全国展開(一部を除く)。2013年秋にはボトルの中に手紙の音源を入れる商品が完売。一方、劇や映像音楽制作、CMへの楽曲提供などを行う。