2014/03/19 00:00

Cornelius、5作目のオリジナル・アルバム『Sensuous』をFLACでハイレゾ配信スタート

8年のときを経て、Cornelius(コーネリアス)が、5作目のオリジナル・アルバム『Sensuous』をハイレゾ音源(24bit/96kHz)でリリースする。2006年にリリースされた本作は、世界19か国でCD発売されているコーネリアスの代表作のひとつ。同作品の映像&サラウンド作品集となる『SENSURROUND+B-SIDE』は、第51回グラミー賞の「ベスト・サラウンド・サウンド・アルバム賞」にもノミネートされるなど、コーネリアスの世界的な活躍の足がかりをつくった。もともと24bit / 96khzでレコーディングされていた本作。配信環境が整った2014年、リマスターもエディットもされることなく、そのままの音質にて解禁されることとなった。それにあわせ、OTOTOYでもシステムを開発。FLAC配信のスタートをコーネリアスとともに切る。そして、それを記念し、コーネリアスこと小山田圭吾と、彼の片腕であるエンジニア / プログラマーの美島豊明の対談を行なった。新しい『Sensuous』。ぜひ、最高の音質で体験していただきたい。


コーネリアス5作目のオリジナル・アルバムをハイレゾ配信スタート
Cornelius / Sensuous (24bit/96kHz)
配信形態 : ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC
配信価格 : まとめ購入のみ 3,000円

【収録曲】
1. Sensuous / 2. Fit Song / 3. Breezin' / 4. Toner
5. Wataridori / 6. Gum / 7. Scum / 8. Omstart / 9. Beep it
10. Like a Rolling Stone / 11. Music / 12. Sleep Warm

INTERVIEW : 小山田圭吾 × 美島豊明

コーネリアス2006年の大傑作(にして最新作)『Sensuous』が、24bit/96kHzのハイレゾ音源で配信されることになった。音楽の内容はもちろん、音質の良さでも定評のある作品であり、待たれていたリリースと言えるだろう。オリジナルの24bit/96kHz音源そのままのリリースであり、リマスターもエディットも「されていない」が、それは「その必要がない」からである。これを機に主謀者の小山田圭吾と、彼の片腕であるエンジニア / プログラマーの美島豊明に話をおききした。

インタヴュー & 文 : 小野島大
写真 : 雨宮透貴

左から、小山田圭吾、美島豊明

作ってた当時に聴いてたのは、確かにこれなんですよ

ーー今回ハイレゾで出す経緯は?

小山田圭吾×(以下、小山田) : 出さないかって言われたから(笑)。当時フォーマットがなかったんですよ。24bit/96kHzで録った音源はあって、DVDオーディオかSACDで出したかったけど、ワーナーはもうDVDオーディオ出さないっていうし、SACDはメーカーが違うから最初からなくて。
美島豊明(以下、美島) : DVDは出したけど、映像が入るしサラウンド音声だから、容量の関係でハイレゾ音源は入れられず、圧縮音声になったんです。
小山田 : 当時はまだハイレゾ音源を配信するシステムもなかったからね。

ーー24bit/96kHzで録った音こそが『Sensuous』本来の音、という思いはあるんですか。

小山田 : でももう、今となってはいろんなフォーマットで聴いてるからねえ(笑)。mp3でもYouTubeでも(笑)。だから今やどれってこともないんだけど、でも作ってた当時に聴いてたのは、確かにこれなんですよ。この音をスタジオで聞きながらやってたから。

ーーオリジナルの24bit/96kHzをCDフォーマットに適合させるためにダウン・コンバートしたってことですよね。それで音が変わったって印象はあったんですか。

小山田 : うーん…。
美島 : ちょこっとね。
小山田 : オーディオ環境によっては、わかんないぐらいの違いかも。でも元の音を圧縮した状態でも、感触は残ってた気がする。
美島 : そんなに悪くないですよCD。差分もとってみたんですけど、正直、そんなに変わってないっていうのが印象でしたね(笑)。

ーー確かにCDもすごく良い音ですからね。

美島 : ええ。高山(徹)くん(※『Sensuous』を始めとするコーネリアス作品のミキシング / マスタリング・エンジニア)が、ダウン・コンバートするときに何通りか試して比較試聴して決めてたと思います。

ーーダウン・コンバートのやり方が何通りかあるってことですか。

美島 : ディザーのかけ方で、いくつかあるみたいです。96kHzから44.1kHzにするわけだから、割り切れないわけですよ。どこかでギザギザが出ちゃう。そこをどう処理するか。そのやり方がいくつかあって。

ーーじゃあ今回の24bit/96kHz音源は、録った元の音のまま、ということでいいんですか。

美島 : うん、そのままですね… あ、違うわ。PQの前の音…。
小山田 : あ、そうそう。CDには1曲目のPQの前に、隠しトラックってほどでもないけど、ちょっとだけノイズが入ってるんですよ。CDをかけて、最初まで巻き戻して初めて聴けるっていう音が入ってるの。

ーーなんとそんな音が入ってたとは! 7年半聴いてて、ぜんぜん気付かなかった(笑)。

小山田 : うん、僕もすっかり忘れてて、今話してて思い出した(笑)。でもそれはハイレゾ版ではカットしました(笑)。

過剰なものから、よりシンプルなものに向かっていった

ーーコーネリアスの作品は『POINT』から音が格段によくなった印象ですね。

美島 : 無音部分をちゃんと作ってるという。
小山田 : まあ、音作りですよね。音の隙間を使って音作りをするようになったんで。それ以前はレイヤーで音を重ねていくような作りだったから。録音のクオリティや機材の変化っていうよりも、楽曲自体が、ひとつひとつの音をちゃんと聴かせるような構造になっていったことの方が大きいと思う。録音したスタジオ(現在の場所に移転する前の中目黒のプライベート・スタジオ)は、商業スタジオに比べるとぜんぜん狭いけど、そのぶんケーブルの取り回しとかぜんぜんやりやすい。そういう理由もあるかもしれないけど…。
美島 : いや、それけっこう大きいと思うよ。ケーブルは短く直線で、というのがオーディオの基本だから。大きなスタジオだとすごく長く引き回すでしょ。ケーブルが20メートルとかざらにあるから。
小山田 : ああ、それはけっこうでかいかもね。

ーープライベート・スタジオのほうが狭くてケーブルが短くて済むぶん、かえって音質では有利な面もあると。

美島 : 最近の若い子のやってるのって、けっこう音良かったりするもんね。

ーーなるほど。その「ひとつひとつの音を際立たせる」という方向で、音楽を作る上で何が変わってきましたか。

美島 : ムダな音を入れなくなった。
小山田 : うん。音を省くというか。ひとつの音が鳴ってる時に、ほかの音をなるべく鳴らさないとか、同じ位置なら、同じ周波数の音を省いていくとか。スネアがカーン! と一発鳴っているときに同時にベースは鳴ってないとか。そういう音作り。で、ステレオの定位でも、スネアがセンターで鳴ってる時は、右左に振るとか。同じタイミング、同じ時間軸で、なるべく音が鳴らないようにする。ひとつの音に十分なスペースを与える。

ーーそれはアレンジの段階で考えるわけですか。設計図的なものを作って。

小山田 : うん、うん。

ーーつまり『POINT』の時点で音楽の作り方が大きく変化したわけですよね。なぜそうしようと思ったんですか。

小山田 : なんとなく… としか言いようがないけど(笑)。『FANTASMA』で、サンプル一杯使ってレイヤーっぽい音作りでやってたんですよ。で海外で出すことになって、サンプルの契約問題が大変で(笑)。それでサンプルを使えなくなっちゃった。あとは… 自分の指向も、そういう過剰なものから、よりシンプルなものに向かっていったというのもあって。年齢的なこととか、世の中の流れとか。いろいろ作用して。

ーーシンプルになることで、ひとつひとつの音がより重要になってくる。

小山田 : そうそう。マスキングされて鳴ってるのと、それだけパン! と一発鳴ってるのとでは、残響の残り方とか、音の質感とか感触とか、聴こえ方がぜんぜん違う。そういうものが積み重なって音楽になっていくから。だからそういうひとつひとつの音の質感が、より重要になってくるよね。

そのほうが気持ちいいから(笑)

ーー『Sensuous』はこの時点でのコーネリアスの音楽の完成形だったと思うんですが、その後さまざまな仕事をされてきた過程で、変わってきたことや得たもの、付け加えられてきたものはなんだと思いますか?

小山田 : なんだろ… 時間はたったのでいろいろ経験はしてるし、変わったこともあるかもしれないけど… でも大して変わってないと思うよ(笑)。20代の時みたいに、毎日好きなものが変わったりとか代謝が激しいわけでもないんで(笑)。30代から40代って、そんなにガラッと変わるようなことって、あんまないじゃないですか。衝撃を受けて人生変わる、みたいなの。これ作ったのは30代の終わりだったけど、そういう意味じゃあんま変わってないですよね。ただこのころとちょっと違うのは、『POINT』『Sensuous』はすごいストイックというか、切り詰めてシンプルに、ってことを考えて作ってたけど、今はもうちょっと遊びのある感じにはなってきてる気はします。音作りもそうだし、考え方もね。

ーー一番すぐそばで見てきた美島さんは、小山田くんの変化は感じますか?

美島 : いや、そんなに変わってないよね(笑)。機材が変わってアップデートするっていうのはあるけど、内面的なものはそんなに変わってないと思う。

ーー機材は、今のスタジオに来て、すごくシンプルになったって話をされてましたよね。

美島 : ああ、そうですね。アンプも使わなくなっちゃったし。
小山田 : でもさあ、80年代みたいに、1年2年で新しい機材が出てきて音ががらっと変わったり、みたいなことってもう、ないじゃないですか、一般的に。
美島 : じみ〜〜な変化しかないよね。
小山田 : たとえばサンプラーが出てきたとかドラムマシーンが出てきたとかシンセが出てきたとか、そういうことでガラッとサウンドが変わるみたいなことって、この10年ぐらい、あんまない。『POINT』ぐらいからハードディスク・レコーディングになって、こういうところ(プライベート・スタジオ)で地味に作業ができるようになったってところで、けっこう大きくサウンドは変わったと思うけど、それ以降は大きな変化はない気がするけどね。

ーーLOGICはアップデートされてるんですよね?

小山田 : すごく効率はよくなったし、やれることも増えてるけどね。僕と美島さんも長いから、すごく作業は早くなった。
美島 : 外の楽器を使わなくなったから、セッティングに時間がかからなくなった。
小山田 : このころはアンプ鳴らしてギターを録ってたけど、今は鳴らさなくなったからね。エレキはアンプシミュレーター使うようになって、かなりラクになったし、ぜんぜん(音が)いい(笑)。
美島 : 録った音を聴き比べても、(アンプで鳴らしたのと)違いはわからないですねえ。
小山田 : 逆にマイキングとかによっては、失敗することもあるけど、アンプシミュレーターならぜんぜん確実だし。
美島 : (アンプを)温めるまでに時間がかかるんですよ(笑)。
小山田 : その間にアイデアの熱が冷めちゃったりしてね(笑)。思ったことを思った瞬間にぱっと形にできる。しかもある程度ちゃんとしたクオリティで。その分、いろいろ試したり形にしたりする時間が持てるようになった。

ーーコーネリアスの音楽の変化は、機材の進化で作業が効率良くなって、アイデアをより直接的に素早く具現化できるようになってきた過程でもある、と。

小山田 : うん、それはそうですね。
美島 : 言われてみればそうですね。

ーーいわゆるシンガー・ソングライター的な作り方じゃないから、そういう環境面の影響は大きいでしょうね。メロディの作り方なんかも、普通のアーティストとは違う作り方なんですよね。

小山田 : そうかもしれない。歌詞から出てくるってことはないもんね。作曲の作業もどっちかというと…。
美島 : 構築というか。
小山田 : 音を並べてったりするだけなんで。いろんなものを置いていくっていう。
美島 : いわゆるメロディメイクじゃなくて、コンポーズなんですよ。

ーー閃きじゃない?

美島 : 閃きはあるけど、構築してる。
小山田 : 自分でメロディを考えるというより、ほかとの関係性で出来てくるっていうことですよね。

ーーこないだ日暮愛葉にインタビューしたんですけど、彼女は常々「鼻歌で作曲する」って言ってますよね。「フンフンフン」って鼻歌で歌って、それを曲にする。そういう作業とは違うわけですよね。

小山田 : いや、僕も元は鼻歌みたいなもんですよ。それをいじって変えていくんです。最初に出てきたものは取っ掛かりに過ぎないけど、いろんな形になって、最終的に曲になっていく。最終的に形は違ってても、最初に出てきた瞬間は鼻歌に近いものですよね。
美島 : (取っ掛かりが)歌じゃない時もある。リズムだったりコードだったり。
小山田 : うん。まずはテンポですね。
美島 : テンポも途中で変わるじゃん(笑)。
小山田 : そうなんだけど(笑)。でもこういうレコーディングをしている以上は、最初に決めなきゃならないのは、テンポなんですよ。まずテンポを決めて、じゃあキックをこのタイミングで入れていこう、とか…。

ーーだんだん積み上げていく感じ。

小山田 : そうそう。最初はほんと漠然としたものから始まるんだけど、その漠然としたものを録音してみて、それを聞いてるうちに、それに対してアイデアが出てきて、それを再生しているうちに、またアイデアが出てきて。そのアイデアの辻褄をどんどん合わせていくと、楽曲になっていく、みたいな。

ーーその積み上げていって辻褄をあわせる、という作り方はコンピューターを導入するようになって変わってきたってことですよね。

小山田 : うん、そうですそうです。それ以前は、ある程度曲を作って、デモにして、それをスタジオで演奏して録音しなおす、ということをやってたけど、今はもう、デモと本チャンの境界線はなくて、曲作りっていうのもなくて、曲を作りながらアレンジもして、なんだったらミックスもしてるって状態で作っていくっていう。

ーーそうなると、作曲の作業のプロセスだけじゃなく、楽曲の概念自体も変わってきますよね。『Sensuous』だと、「Music」という曲が、いちばんオーソドックスな歌ものに聴こえるんですが、これはどういう風に作ったんですか。

小山田 : これはまずコード進行を作って。そこからメロディを作るんだけど、普通のシンガー・ソングライターだと、ギターを爪弾いて、歌って、こんなメロディかな、っていうふうに作ると思うんだけど、僕の場合はコード進行を作って録音して、聞いて、コードを弾いてる場所じゃないところにメロディを置いていったりするんですよ。わかる? 言ってること(笑)。“ジャーンジャッジャッ”というリフの、そのジャーンの間にメロディを置く。ほかの音との兼ね合いで、コードもベースも鳴ってない場所にメロディを入れたり、リズムの鳴ってない場所にメロディを置いてったり。

ーーへえ… なぜそんなことを?

小山田 : そのほうが気持ちいいから(笑)。

ーーああ、さっき言ってた、ひとつひとつの音を際立たせるため。

小山田 : そうそうそうそう。メロディだったり、一つひとつの音がわかりやすく聴こえるように。それによってグルーヴが生まれる。そうすることで、ありきたりなものにはならないっていう。
美島 : でもあとで自分で歌うと歌いにくかったりする(笑)。
小山田 : そう! 弾きながら歌うと異常に歌いにくいことになるんだけど(笑)。でも、よりおもしろいものになるんです。このコードに対してこのメロディになりがち、っていうのは絶対あるんですよ。客観的に見て、そこからどうやったら離れられるかってことを考えるんだけど。それにはリズムと音程なんだけど、コードの構成音から、なるべくテンションの音だけにいくようにしたりとか、半音進行にしたりとか… ってことを考えながらやってると、まあ、奇っ怪なものになっていくわけです(笑)。

ーーある意味自然じゃないものになっていく。

小山田 : そう。それをいかに自然に聴こえるように構築していくかってことなんだけど。

ーーその作業は時間かかりそうですね。

美島 : でも、それが早くなってるんですよ。
小山田 : 機材面もあるし、慣れもあるし、自分の中でやり方が確立されてきたっていうのもある。こうやったらこうなるとか。美島さんとのコミュニケーションも早くなってるから。あの音、って言ったらパッと出てくるとか。長いからストックがどんどん溜まっていってるからね。
美島 : あの時のあの音、とか、あの時のあのドラムのパターン、とか。そういうのから引っ張ってきて、そこからまた作ったりとか。
小山田 : 自分の好みのパーツをいろいろ揃えて、それを適宜呼び出して、いろいろ順列組み合わせして作っていくんですよ。その作業はサントラの仕事をやって、ずいぶん早くなったな。

新しい感覚、聞いたことのない音みたいなものは常に目指したいですね

ーー曖昧な人間の記憶に頼るんじゃなく、しっかりしたデータベースに蓄積したいろんな情報やパーツを組み合わせて、構築していく。まさに「編集」ですね。

小山田 : そうだね。

ーーそういうのを全部ほっぱりなげて、生ギター一本で弾き語りとか、そういうことやりたい衝動に駆られることはないですか?

小山田 : うーん… そういうの、つまんないんですよね(笑)。それでおもしろいことができる人もいるけど、自分でやってもいいものはできないと思うな。普通にやってもおもしろくないしねえ。

ーーやはり、「聞いたことのない、新しいもの」を目指してるわけですか。

小山田 : 新しい感覚、聞いたことのない音みたいなものは常に目指したいですね。音楽聞いてて一番興奮する瞬間ってそれじゃないですか。なんじゃこれ! っていう。自分もそういうのを作ってみたいんですけど、でもやってるのは自分なので、自分で自分には驚けないし(笑)。でも音楽作ってて、たまにそういう瞬間があって。それが一番盛り上がるとこなのは確かですね。

ーーそういう新しいものを作るのに一番重要なことってなんですか。

小山田 : やっぱり、その人がどれだけおもしろいことを考えられるかってことじゃないですかね。新しい機材に触れることが、そういうおもしろい発想に結びつくことはあるけど。

ーーあらゆる音が出尽くしたと言われる今、新しい音楽を作るのは大変ですけどね。

小山田 : 年とるとさ、どんな音楽聴いてもだいたい、聞いたことあるな、って感じになるじゃない(笑)? あっ、これはアレだなって、わかっちゃうじゃない?

ーー今の若い人は新しいものを作ることを最初から諦めてるフシはある。

小山田 : うんうん。90年代ぐらいまでは、新しいものってまだあった気がする。でも今は全部アーカイブされてさ、どの時代にもアクセス可能で。これ新しい! ってものはなかなかない。

ーー「これは新しい」と思っても、いや君が知らないだけだよって突っ込まれて終わり、みたいな。

小山田 : そうそうそうそう(笑)。ポピュラー音楽の歴史も長いから、ほとんどの場所は埋め尽くされてるわけで、なるべくその隙間を見つけながら作りたいなとは思ってるんですけど。

ーー制作中の新作はどういう構想なんですか?

小山田 : うーん、なんだろ。わかんないや(笑)。いつもゴールの見えない状態でやってるから。漠然としたところから始めて、ある程度できてくると、なんとなくその中に方向性みたいなものが見えてくるって感じだから。

ーーまだ見えてない?

小山田 : まあなんとなくうっすらと… でもまた変わるかもしれないし(笑)。できてみないとなんとも…。

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PROFILE

Cornelius

'89年、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。
バンド解散後 '93年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。
現在まで5枚のオリジナル・アルバムをリリース。
自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやREMIX。
プロデュースなど 幅広く活動中。

>>OFFICIAL WEB

美島豊明

音楽プロデューサー・プログラマ・エンジニア1961(昭和36)年、千葉生まれ。小学生でビートルズを聞き、音楽に目覚める。楽器は幼稚園からオルガン、小学でエレクトーン、中学でピアノとギター、高校ではブラスバンドでフルートなど、手広く手がける。1980年、法政大学文学部、哲学科入学。中学からバンドを始め、大学時代はライヴハウスで活動。「レコード会社の人が見に来る直前まで行った(美島)」。大学時代から、プロとしてコマーシャル音楽の作曲、制作を開始。デビュー作は… 「日本酒のテレビCMだったと思うんだけど、音源、探しても無いんです…(美島)」とのこと。1984年に大学卒業後、いったん音楽とは無縁のコンピュータ・ソフト開発の会社に就職するも、数ヶ月でシンセサイザーのレンタル会社に転職。複雑化、高度化していた当時のシンセサイザーの専門家(マニピュレーター / プログラマー)として、音楽制作の現場から声がかかるようになる。

この記事の筆者
小野島 大

 主に音楽関係の文筆業をやっています。オーディオ、映画方面も少し。 https://www.facebook.com/dai.onojima

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