USインディーの代表格、Real Estateが5人体制で新作をリリース

エコーの効いたギターとシンプルなリズムが奏でる、ローファイかつドリーミーなサウンド。その評価を確かなものとした前作『Days』から2年半、Real Estateの新作『Atlas』がついに届けられた。ジャクソン・ポリス(Dr)、マット・コールマン(Key)を加えた5人体制で臨んだ今作は、ぐっと厚みを増したアンサンブルがこれまでになくリッチな印象を与える。先行シングル「Talking Backwards」がピッチフォークで"ベスト・ニュー・トラック"に選出されるなど、いまやUSインディー・シーンを代表する存在として認知される彼ら。その新たなサウンドをご堪能あれ。

Real Estate / Atlas

【配信フォーマット / 価格】
WAV : 1,500円 (単曲は各200円)
mp3 : 1,500円 (単曲は各200円)

【Track List】
01. Had To Hear
02. Past Lives
03. Talking Backwards
04. April's Song
05. The Bend
06. Crime
07. Primitive
08. How Might I Live
09. Horizon
10. Navigator

変化しすぎないことの強さ

各国の音楽シーンで脚光を浴びた『Days』から2年半。米ニュージャージー出身のインディー・バンド、Real Estateが、新作『Atlas』をリリースした。ジャクソン・ポリス(Dr)、マット・コールマン(Key)を加えた5人編成で制作された今作は、M.ウォードやルーファス・ウェインライトの作品にも携わるトム・シックをプロデューサーに迎え、ウィルコの所有するシカゴのスタジオでレコーディングされたという。

Real Estateと聞いてすぐに思い起こすのは、マット・モンデナイル(Gt)の微睡むようなエコーのかかったギター・ワーク(ロジャー・マッギンの12弦ギターを思わせる)であるし、それこそが彼らのサウンドの肝でもある。また、ブライトなメロディーと歌心、そして奇をてらうことのない素朴なサウンドは、現在も脈々と受け継がれるアメリカーナの系譜に位置づけることができるだろう。もちろん、今作でもモンデナイルの鳴らすギターは磨きがかかっており(ほんのわずかにダビーにも聴こえる)、その揺らめくような音色はいっそう多様になるばかりだ。それだけでなく、人懐っこいメロディーやリズムの豊かさも存分に感じられる。そういう意味では、前作と大幅に変わったところは見られない。


Real Estate / Talking Backwards

だが、今作はプロデューサーにトム・シックを迎えているためか、前作の霞がかったような音作りに比べて音の分離が良くなり、ひとつひとつの楽器が予想以上に立っている。それゆえ、新しく加入したドラムとキーボードのアレンジの妙を聴き取ることができるし、結果としてサウンドに重厚感が増したと言えるだろう。そして何よりも際立っているのが、柔らかい歌声を持ったマーティン・コートニー(Vo)のヴォーカルである。今まではモンデナイルのギター・ワークの影に隠れていた印象があったコートニーの歌声だが、音が比較的クリアになったことで、軽やかさだけではなく、どこか哀愁の漂う深みを感じ取ることができるようになった。彼の歌声とモンデナイルのギターが両輪となり、この作品の持つ美しさをグッと引き立てているのだ。

しかし、それと同時に感じるのは、変化しすぎないことの強さ。Real Estateが誇るその安定感が、この作品のもつケレン味のなさや、素直な楽曲の強度にはっきりと出ているように思う。そして、それこそが彼らの着実な成長を支えているに違いない。(text by 坂本哲哉)

RECOMMEND

Real Estate / Days

Real Estateの評価を確かなものとした2ndアルバム。米ピッチフォークで8.7点を獲得し、ベスト・ニュー・ミュージックに選出。この作品がきっかけとなり、USインディー・シーンを牽引するバンドとして世界的に脚光を浴びる。Arctic Monkeysを擁する英人気レーベル「Domino Records」からのリリース。

>>特集ページはこちら

Real Estate / Real Estate

Real Estateの記念すべきデビュー作。滑らかな残響が醸し出す立体感とシンプルなリズム。揺らめきながら漂うようなギターのアルペジオが、サイケデリックかつドリーミーな浮遊感を演出する。ピッチフォークにて2009年の年間チャート20位にランクイン。

>>特集ページはこちら

Woods / At Echo Lake

USインディー・シーンの最重要レーベル「Woodsist」のオーナーをメンバーに持つバンド、Woodsの日本デビュー作。フォーキーかつサイケデリックな響き、ノイジーでよれたギター、それでいて美しいメロディ。その独特のローファイ・サウンドは癖になる。

>>特集ページはこちら

PROFILE

Real Estate
米ニュージャージー出身の5人組。2009年、アメリカのレーベル「Woodsist」より『Real Estate』でデビュー。2010年に初来日を果たすと、翌2011年にはArctic Monkeysを擁する「Domino Records」に移籍し、2作目『Days』を発表する。この作品は米ピッチフォークで8.7点を獲得し、ベスト・ニュー・ミュージックに選出。これがきっかけとなり、USインディー・シーンを牽引するバンドとして世界的に脚光を浴びる。

>>Real Estate OFFICIAL HP

o

 
 

レヴュー

現役高校生5人組ロック・バンド、FAITHがポップ・パンクを正面突破
[CLOSEUP]・2017年11月17日・この音楽は勇気で、正義だ──現役高校生5人組FAITHがポップ・パンクを正面突破 すごいやつらが現れた! 長野県伊那が生んだポップ・パンクのニューヒーロー候補、FAITH! 現役高校生5人組、うち3人が日米のダブルという珍しい組み合わせに加え、Vo.ドリチュラーあかりはSPINNSのモデルとしても活躍中。「モデルがファッション感覚で音楽やってるんだろ?」そう思いの方もいるかもしれませんが、すでに実力は折り紙付き! 今夏開催された10代限定夏フェス〈未確認フェスティバル2017〉ではファイナリスト8組の1組に選ばれており、サウンドも往年のエモ / ポップ・パンク好きにはたまらない海外志向の本格派! OTOTOYではそんな期待のニューカマーの記念すべき初全国流通盤を配信とともに、現役大学生の目線から独自のレヴュー掲載! FAITH / 2×3 BORDER【配信形態】ALAC / FLAC / WAV / AAC【価格】単曲 257円(税込) アルバム 1201円(税込)【収録曲】1. Take me away from here2. Bana Pla3. distance4. DON’T FALL5. S
by 中の人
BATHS、シンガーとしての存在感をさらにましたポップな新作──ハイレゾ配信
[CLOSEUP]・2017年11月17日・BATHS、シンガーとしての存在感をさらにましたポップな新作──ハイレゾ配信 ウィル・ウィーゼンフェルトのメイン・プロジェクト、バスの3rdアルバム『Romaplasm』が到着した。もはや老舗アンダーグラウンド・レーベルとなった〈アンチコン〉からリリースされた本作は、開放感に溢れるポップな作品に、また“ビートメイカー”から一歩踏み込んだ、シンガー・ソング・ライターとしての側面も前面に出た作品となった。OTOTOYでは本作をハイレゾ配信。ダディー・ケヴによるマスタリングもぜひとも堪能していただきたい。さらにはレヴューとともに、こちらもハイレゾ配信となっているジオテック名義『Abysma』リリース時の記事も関連作として再掲してお届けします。 Baths / Romaplasm(24bit/48kHz)'【Track List】01. Yeoman02. Extrasolar03. Abscond04. Human Bog05. Adam Copies06. Lev07. I Form08. Out09. Superstructure 10. Wilt11. Coitus12. Broadback【配信形態 /
by 寺島 和貴,河村 祐介
【REVIEW】地に足がついていない!?──愛はズボーン、煎じ詰めた“待望”の1stフル・アルバムリリース
[CLOSEUP]・2017年11月15日・【REVIEW】地に足がついていない!? ──愛はズボーン、煎じ詰めた“待望”の1stフル・アルバムリリース OTOTOYとレコード・プレス・メーカーの東洋化成によるコラボレーション・レーベル〈TOYOTOY〉から初のアナログ盤となる『銀ギラ』のリリースや、自主企画イベント〈アメ村天国〉の開催など、今年は飛躍の年であることがうかがえる、愛はズボーン。そんな彼らがこのたび満を持して、1stフル・アルバム『どれじんてえぜ』をリリースした。本作のジャケットは世界的画家・黒田征太郎が手掛けている。黒田は愛はズボーンのメンバーたちが敬愛している画家で、まさに細部にまで強い想いが込められた作品に仕上がったと言えるだろう。そんな彼らの活躍を良質なハイレゾ音質で感じることができるのは、OTOTOYだけ! 本作をさらに楽しむテキストとして、レヴューも掲載! 未来の音楽濃縮盤をとくとご堪能いただきたい! ハイレゾはOTOTOYだけ! 未来の音楽が濃縮された、1stフル・アルバム愛はズボーン / どれじんてえぜ'【配信形態】WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC>>>ハイレゾとは?'【価格】単曲 2
by 宮尾茉実
《12ヶ月連続配信企画、第9弾》──goodtimes、カップル同士の"あるある"な感情に容赦なく切り込む
[CLOSEUP]・2017年11月15日・《12ヶ月連続配信企画、第9弾》──goodtimes、カップル同士の"あるある"な感情に容赦なく切り込む 10年超のバンドキャリアを持つ、井上朝陽(Vo&Gt.)、安田そうし(Gt.)の2人が新たにスタートさせたギター・ロック・バンド、goodtimes(グッドタイムス)。2017年3月より《12ヶ月連続音源配信》をOTOTOYで行い、注目を集めている彼らが、この度第9弾「アメニモマケル」の配信をスタートした。彼らの魅力にもっと浸ってもらえる楽曲を、ぜひレヴューと共にお楽しみください。 goodtimes、全ての恋愛経験者に捧ぐ第9弾goodtimes / アメニモマケル'【配信形態】WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC【配信価格】単曲 250円(税込)【収録曲】''1. アメニモマケル REVIEW : 全ての恋愛経験者が唸る、く人の"あの頃"を刺激する goodtimesは前回のインタヴューで、情景が浮かびやすい曲を作っていると語っていたわけだが、今回も人が「もう触れたくない」としまい込んでいた気持ちに、ピンポイントで突き刺さる"あるある"な楽曲「アメニモマケル」をリリー
by 宮尾茉実
【REVIEW】映画『この世界の片隅に』の音楽を手がけ、多くの話題を呼んだコトリンゴが約3年半ぶりとなるオリジナル・アルバムをリリース!
[CLOSEUP]・2017年11月08日・『雨の箱庭』は私たちにどんな世界のすばらしさを見せる?──約3年半ぶりコトリンゴのオリジナル・アルバム 卓越したピアノ演奏と柔らかな歌声で浮遊感に満ちたポップ・ワールドを描くコトリンゴ。そんな彼女が約3年半ぶりとなるオリジナル・アルバム『雨の箱庭』をリリースする。前作からこれまで、アニメ映画『この世界の片隅に』の全ての音楽を担当し数々の賞を受賞する等、音楽家としての評価を高めた彼女。映画同様、今作でも作詞作曲編曲(ストリングス、ホーン含む)、サウンド・プロデュースのすべてを手掛けている。そんな今作は、のちにドキュメンタリー映画となった企画「LIGHT UP NIPPON」のために書きおろした楽曲のほか、RADWIMPS・野田洋次郎主演ドラマ「100万円の女たち」の主題歌等、色とりどりの音楽たちがぎゅっと詰め込まれた鮮やかなアルバムが完成。歌のように響くピアノの音色と、そっと優しいコトリンゴの歌声と共に生み出されるカラフルな音世界を、レヴューと共におたのしみください。 約3年半ぶりとなるオリジナル・アルバムコトリンゴ / 雨の箱庭'【配信形態】ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) /
by ai
つりビット、ニュー・シングルをハイレゾ配信
[POWERPUSH]・2017年11月06日・5人が挑む、新たな海原への決意をこめてーーつりビット、ニュー・シングルをハイレゾ配信 5人組アイドル・ユニットのつりビットがニュー・シングル『1010〜とと〜』をリリースした。今年の春にリリースされた2ndアルバム『Blue Ocean Fishing Cruise』も好評な中、彼女たちの成長と主張が感じられる新曲が到着。その理由を、宗像明将のレヴューで紐解いてみよう。 ハイレゾver.のアルバム購入者から抽選でサイン入りポスタープレゼント!つりビット / 1010~とと~(初回生産限定盤)'【配信形態】24bit/48kHz ALAC / FLAC / WAV / AAC【価格】単曲 540円(税込) アルバム 750円(税込)【Track List】01.1010~とと~02.A Color Summer!! ポスタープレゼントの詳細は、こちらからご確認ください。'' REVIEW : 『1010~とと~』 つりビットが大きく変化する瞬間を私たちは目にしようとしている。彼女たちのニュー・シングル「1010〜とと〜」は、サウンド面ではこれまでのイメージを大きく変え、歌詞の面ではつりビットらしさを追求した
【REVIEW】芸術とは。青春とは。──For Tracy Hydeがインディ・ポップの命題に立ち向かう『he(r)art』
[CLOSEUP]・2017年11月02日・芸術とは。青春とは。──For Tracy Hydeがインディ・ポップの命題に立ち向かう『he(r)art』 インターネット次世代シューゲ・ポップ・バンドFor Tracy Hydeが新作『he(r)art』をリリース。90年代から00年代にシーンを支えたSLOWDIVE、Ride、The Pains of Being Pure at Heartが次々と今年新作をリリースしたことで巻き起こったシューゲイザー復興の潮流。日本のライヴシーンでもシューゲイザー / ドリーム・ポップが中心となりつつあるなか、そのまさに最前線に立っている彼らが新作をリリースすることは、来たる2018年の音楽シーンの大局のための礎を築いたといえるはずである。OTOTOYではそんな未来のシーンを占う逸材の新作をレヴューと共にお届けする。 都会の生活をモチーフにした次世代ドリームポップ・バンドの2nd! For Tracy Hyde / he(r)art'【配信形態】ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC【配信価格】 単曲 257円(税込) / アルバム 1697円(税込)【収録曲】''01.Openin
by 中の人
インディR&B? フューチャー・ソウル?──世界規模で盛り上がる音楽シーン、そして連動する日本のバンドたち
[CLOSEUP]・2017年11月01日・インディR&B? フューチャー・ソウル?──世界規模で盛り上がる音楽シーン、そして連動する日本のバンドたち 森大地(ex-Aureole)、萩原朋学(KAGERO / SaraGrace'sOneHotNight)、tsubatics(ex-Aureole / MUSQIS / suthpire)、松本一輝(THE ROAMERS / リリカ リリス)、桑原渉(WINDOWZ)の5人によって結成されたバンド、Temple of Kahn(テンプル・オブ・カーン)。この錚々たるメンバーの集結により音源発表前から注目を集める彼らが、初のEP『Good Luck EP』を11月8日にリリースする。OTOTOYでは待望のデビューEPを期間限定でフル試聴を行い、Temple of Kahnを読み解くヒントとなるインディR&B、フューチャー・ソウルのアーティストをまとめた記事を掲載。海外だけでなく、日本でも連動するその音楽シーンとともに、その楽曲を聴いてみてはいかがだろう? Temple of Kahnの初EPを期間限定フル視聴Good Luck EP / Temple of Kahn【収録曲】1. Always H