2014/02/27 00:00

ジョン・フェイヒーとかを初めて聴いたときに「こっちのほうが全然ロックじゃん!」――潮田雄一(QUATTRO)、ソロ初の全国流通版をリリース

潮田雄一 / 水のない海
【配信フォーマット / 価格】
WAV / 2,400円(単曲は各200円)
mp3 / 1,800円(単曲は各150円)

【収録曲】
1. ささくれた風景
2. フィッシャーマン
3. 余白
4. 墓場の猫
5. 知らせ
6. 遠い渚
7. 物語
8. 七日後
9. 睡魔
10. 夢をみた
11. エンディング
12. このまま海まで

INTERVIEW : 潮田雄一

潮田雄一

ロックバンド、のギタリストとしても活躍する潮田雄一が、ソロ作としては初となる全国流通版『水のない海』をリリース。QUATTROでは洗練されながらも輝く存在感を放つフレーズを生み出し、破天荒にステージ上を暴れ回るそのスタイルで異彩を放つ彼だが、並行して活動を続けるソロの音楽性はバンドとは全く異なるもの。

流麗なアコースティック・ギターのフィンガー・ピッキングに乗せ、紡がれる歌。アシッド・フォーク、トラッドなどのルーツ・ミュージックを彼独自の世界に落とし込み、多彩な表現でアプローチ。詩的な歌詞は囁くように、ぽつりぽつりと生み出される。飾り気のない声は滋味にあふれ、どうしようもない深みへと引き込まれてしまう。3枚目の作品となる今作ではサポート・ミュージシャンを迎え、その世界観はさらにきらめきを増し、色鮮やかに。ガラス細工のように繊細で、一音、一声、音のすきまさえも大切に奏でられる音楽。

ステージ上の彼は、バンドだってソロだって完全に自分の世界に没頭してしまっている。お客さんを楽しませようなんて気持ちは持ち合わせていないんじゃないかな、なんて思うほど。しかし純粋に、ただただ音楽を愛し、それを時には全身で表現する姿に、観るものは魅了されずにはいられない。インタヴューでは、彼のルーツを探りつつ、現在彼を取り巻く環境についても訊いていった。潮田雄一という人物の魅力と直結する、どこまでも澄んだその音楽に耳を傾けてほしい。

インタヴュー & 文 : 岩瀬知菜美

パースぺクティヴな観点から色んなことを確認できる

――まず、バンドとの関係からお訊きしようと思います。2006年にQUATTROを脱退、そして2010年に再加入。バンドもとても精力的に活動されているので、かなり忙しくなったと思うのですが、バンドとソロとのバランスの取りかたはどうされているんですか?

ソロは、単純に自分のやりたいことをやる感じです。バンドのほうは、バンド・メンバーとしかできないことがあると思うので。そういうことを考えながらやってます。

――QUATTROでも潮田さんが作られた曲をやられていますよね。ソロとバンドは、互いが互いにどんな影響を与えているのでしょう。

なんて言うんすかね… 単純に、バンドに戻って時間がなくなったのもあるんですけど、バンドはひとりでやっているときとは見えている景色が全然違うので。それでソロのほうも、肩の力が抜けてやれている感じはあります。

――ソロとバンドは、全く違う音楽性ですよね。そこのスイッチの切り替えのようなものは、潮田さんのなかであるのでしょうか?

あまり考えないですね。出てきたものを自然にやっている感じというか。

――ソロとバンドが自然に繋がっている感じもある?

そうですね。たとえば、「このまま海まで」はQUATTROの「ほどけた靴紐」の元の曲なんですけど、「あれやってみようよ」って言われてリハで音出して、わりとすんなりああいう形になったんですよ。

QUATTRO / ほどけた靴紐
QUATTRO / ほどけた靴紐

――「このまま海まで」をアルバムの最後に持ってきたのにはなにか意図があるんですか?

いちばんハマるかな、というか。あの曲が持っている祝祭感みたいなものが、最後にあったらいいなって。

――バンドでも曲を作って、でもあえてソロとしてやり続けることにはどんな意味があるのでしょう。

うーん… 単純に、好きなんです、音楽が。例えば、ギターの弾き方ひとつにしても全然違うことをやっているし、さっきも言ってたように音楽性自体も全く違うので、パースぺクティヴな観点から色んなことを確認できるんです。

――脱退前と、いまではライヴに対する姿勢みたいなものは変化していますか?

戻ってからは変わったかもしれないですね。昔は、エネルギーの向け方がもっと内向きでした。いまもそういう所はあるけど、割と明るくなった(笑)。でも嫌ですよね、あんな暴れる人(笑)。

――いえいえ(笑)。それは、お客さんに楽しんでほしいっていう単純な思いもあって?

ありますね。単純に、こうやってノったほうが楽しいよって思いながら動くとああいう風になるんです。

――浜田(将充 / Ba)さんが加入することによって、変わった部分もありますよね。

そうですね。ハマは、磁力というか。引っ張る力がすごいあって、場を作ってくれる。すごいいい奴だし。たまに怖いけど(笑)。

――YouTubeの動画で、「QUATTROを脱退したのは自分の音楽にストイックになってしまったから」と言っていたんですが、いまの音楽に向かう姿勢は、その頃と比べてどうですか?

あの時は悪く言えばですけど、単純に逃げただけで。いまは、やれることをやろうっていう感じですね。

――QUATTROの脱退、再加入を経て、ソロに対しての考え方は変わりましたか?

基本的な所は変わってはいないですかね。でも、人のことを考えるようになりました(笑)。聴く人もそうだし、バンド・メンバーのことも。

――昔は、思うがままだった。

そうですね。まあいまもそうなんですけど…。

ロック・バンドっていうものが嫌になっちゃって。ロックっていう音楽自体も。

――バンドを辞めたのは、もっとソロに没頭したかったから?

そういうわけでもなくて。若かったし、いろいろあって… じんましんとか出ちゃったし。「もう辞める」っつって。それで、ロック・バンドっていうものが嫌になっちゃって。ロックっていう音楽自体も。

――ロックを聴くこと自体に、頭の中で距離を置いてしまったという部分もあるのでしょうか。

もちろんあります。思想や哲学的には完全にジャズの方が先に行ってるなっていうのはその時思って、ジャズばっかり聴いてる時期もありましたし、戦前のワールド・ミュージックを集めたりしてる時期もありました。

――ロックに戻ってこられてはいる?

そうですね。好きなロックバンドはたくさんあるんですけど、でもたまに、ロックの嫌な感じみたいのを思い出す様なバンドにであったりすると、そういうんじゃないんだよ… みたいなことを感じる時はあります。

――あははは(笑)。当時聴いてたロックを聴くと、嫌な気持ちになったりは?

ありますね(笑)。

――それはつまり、ソロに“いわゆるロックンロール”みたいなものへの対抗意識みたいなものがある?

例えば、ジョン・フェイヒーとかを初めて聴いたときに「こっちのほうが全然ロックじゃん!」って思ったんですよ。そういう、ハードコア的な思想というか、哲学はあります。


ジョン・フェイヒー : 自然発生的なブルースやフォーク・ミュージックを意図的に越えて、アーティスティックなスチール弦ソロ・ギター演奏の方向性を、1959年のアルバム『Blind Joe Death』で明確に示し、その後タコマ・レーベルをはじめとした多くの作品により、「アメリカン・プリミティヴ・ギター」といわれるギター・スタイルを開拓した。

――ミュージシャンって、ディープ・リスナー型と、ほとんど音楽聴かずに… って人と分かれると思うんですが、潮田さんは昔からディープ・リスナー?

どっちとも言えないかな… レコードはすごい買うんですけど、音楽を体系的なものに落とし込めなくて。Turntable Filmsの井上(陽介)くんとかは、音楽理論的に「ここがこうだから変な雰囲気が出るんだよ」とか言うんですよ。でもほとんどなに言ってるか分からない(笑)。

――ギターを弾いていく上で、音楽理論を通ってはこなかった?

ふわっとは… あるんすけど。

――経験で、なんとなく捉えているくらいなんですね。

そうですね。

――そもそも、ギターはいつから始められたんですか。

小6くらいですね。最初に、無理やりおじいちゃんをデパートに引っ張っていって、フォーク・ギターを買ってもらったんです(笑)。

――孫パワーを駆使して(笑)。なぜそこで、フォーク・ギターだったんでしょう。

小さいころから、渋いものに憧れがあって。ボブ・ディランとか、桑田佳祐とか、長渕剛とかがすごい好きで。そういう人たちってフォークギターを持ってるから。いちばん最初にコピーしたのはビートルズだったんですけど。

――渋い小学生ですね(笑)。こういう音楽性に、ソロが固まっていったのはいつごろからですか?

その後ロックが好きになって、ロック・バンドとかブルースを掘り下げていって。戦前ブルースとかの人たちって指で弾くから、それで昔好きだったボブ・ディランとかも指で弾いてたなって思い出して。指で弾いたらもっと広がるんじゃないかなって思って始めたんですよね。多分それは8年前くらい。それでまた後々ジョン・フェイヒーとかロビー・バショーとかを聴いて、ギターの持つ繊細な響きみたいなものに捕われてしまったんです。

――今回のタイトル『水のない海』は、ジム・オルークのアルバム『mizu no nai umi』(2005)から取っているのかな、と思ったんですが。

それ、完全に忘れてたんですよね。のちのちいろんな人に言われて、そうだったな、って(笑)。

――意識せず、なかにあったものが出てきてしまった感じなんですね。でもそうやって自然に出てきてしまうほど、ジム・オルークの影響は大きい?

残念ながら… そうですね(笑)。

――ちなみに好きなジム・オルークの作品は?

『The Visitor』(2009)は最近聴きました。ドローン期もすごい好きです。

ジム・オルーク : 1969~。手がける音楽はアヴァンギャルド・ジャズ、ノイズ・ミュージック、エクスペリメンタル・ポップ / ロック、オルタナティヴ、ポスト・ロック、映画音楽など非常に多岐に亘り、ジャンルを特定することは困難。オルタナティヴ・ロック・バンド、ソニック・ユース、ノイズ・ロック・バンド、ガスター・デル・ソル、ドラッグ・シティ・スーパーセッションに在籍。ソニック・ユースでの担当楽器は道楽であった。

――ワールド・ミュージックはどういったものを聴かれるんですか。

カリプソ、南米系ですね。

――マイティ・スパロウとか。

そうっすね。特に、40年代くらいのカリプソがすごいかっこいいっす。ジャズとかソウルとかがちょうどいいくらいに混ざってて。

自分にしかできないことをやろうっていうのは常にあります

――いまおもしろいと思って聴いてるのってどういうものですか?

いまはなんでも聴くんですけど… レコードが好きで。単純にレコードが欲しいっていう(笑)。

――中古レコード屋回りとかも頻繁に?

そうっすね。ツアーの楽しみとかも、そういう所にあります。

――さっきのお話に出てきたアーティストって、アメリカのものが多いですよね。QUATTROの音楽はUKっぽいものが多かったりもするし。アメリカの音楽に引き寄せられる理由ってなにかありますか?

響きが好きなんですよね。途方もない感じというか、移民の文化なわけじゃないですか? 凄い遠くから本当にただっぴろい土地に移住してきて、そう言う人達のメンタリティって、なんだか凄く音楽的な気がするんです。詳しくは説明できないんですけど、人種の多様性があって伝統がない分、音楽的にも色々なものが交じり合ってどんどん豊潤になっていったし、同じレコードでも、アメリカ盤とUK盤があったらアメリカ盤の方が好き。

――なるほど。同世代くらいのアーティストから影響を受けたりは?

まあ、あります。でも誰だろうが、同世代でやってる人たちにはあんまり影響されたくなくて。同じことやってもしょうがないなっていうのはすごい思ってて。著作権法のの話とかあるけど、人に真似されんのが悪いんだろっていうのは根本的なところでは思っています(笑)。全く一概には言えないですが。だから、自分にしかできないことをやろうっていうのは常にあります。アルバム・タイトルは被っちゃったけど(笑)。他意はないです。本当の意味で価値のあることをやっていけたら。

――ではアルバムの話に入っていこうと思うのですが、前作まではおひとりで作られていたじゃないですか。今作はサポート・ミュージシャンの方が参加していますが、それはどうして?

ひとりだけでやっていると、どうしても風通しが悪くなってしまうというか。空間を埋めてしまう癖があるんですよ。主にギターを作り込みすぎちゃうというか。そうすると音もとんがってきちゃうんすよね。だから今回は、最初からサポートを入れてやろうと思ってました。そうやって曲も作って。だから割とシンプルなギターというか、最初から他の楽器が入り込める隙間を意識して曲作りをはじめました。

――サポートのメンバーさんは、どういった経緯で集まってきた方々なんですか?

いろいろですね。ちょうどいいタイミングで集まってきたり、エンジニアの人に紹介してもらったり、俺がサポートやってるバンドで知り合ったりとか。

――サポートを迎えての、アレンジの方法はどう進めていったのでしょう。任せてしまうのか、それとも潮田さんが指示を出してしまうのか。

半々くらいですかね。イメージだけ伝えてやってもらって、後で微調整みたいな。

――この人がいたから、この曲は作れたというものはありますか?

「夢をみた」は、フルートの馬渕くんが結構アレンジしてくれて、すごく良くなったんです。あんなにフリー・ソウルっぽくなると思わなかった。

――予期せず、いい方向にいったと。前作までと比べて、すごくポップになったと思うんです。製作する上での意識の違いはありましたか?

最初から、なるべく人が入り込む余地を作ろうと思って。ある程度ラフな状態で曲を持っていって。

――サポート・ミュージシャンから広がっていった部分というのもあるのでしょうか。

ありますね。「夢をみた」はもともとアルバムに入れようとも思ってなかったし、アレンジしていくうちに「いい曲なんだ」って気づけたというか。弾き語りだけだと分からなかった魅力というか。

――なるほど。曲はどのくらいのペースで作られているんですか?

常に作ってはいます。でも学がないから、できるのに2年くらいかかる曲もあるんです。

――曲でいうと?

1stアルバムのなかの「白く塗られた手」とか。

――ご自身のなかで、それは「できた!」っていう線引きが分かるものなのでしょうか。

あります、あります。難しいんですけど、歌った感じ、というか… しっくりくるっていうんですかね。

――Niw! Records内のDE KIT RECORDSからのリリースとなったのはどうして?

Niw! のボスが、「やろうや! やろうや!」って(笑)。僕のなかでも一回全国流通させてもいいかな、風通しいいアルバムを作ろうかなって思っていたので、いいタイミングで声をかけてもらったかな。

音楽って空中に向かって放り投げるものだと思うんです

――潮田さんの曲って、歌詞が詩的で特徴的だと思うんです。歌詞の構想はどういった所から得ているんですか?

どばっと出て来るタイミングがあってそういう時に書いた詩が多いですが、一行一行吟味してひねり出す時もあります。その時々で読んでる本にいつの間にか影響されてるところもあります。

――歌詞を作る上で気を付けていることは?

メロディに乗る歌詞とそうでない歌詞ってあるじゃないですか。そういうのを考えて、詩そのものが持ってる世界観が薄まっちゃうのは嫌なんですよ。そういうところは慎重にするようにしています。

――ちなみに好きな作家は?

色川武大、田中小実昌、川崎長太郎とか…。W・バロウズも好きです。

色川武大 : 1929~1989。雀士としても有名。代表作は「狂人日記」、「怪しい来客簿」、「百」など。

田中小実昌 : 1925~2000。往年の深夜番組『11PM』をはじめ、ドラマ、CMなどの場面でも活躍した。代表作は「ミミのこと」、短編集「ポロポロ」、「幻の女」など。

川崎長太郎 : 1901~1985。代表作は「抹香町」、「伊豆の街道」など。

W・バロウズ : 1914~1997。1950年代のビート・ジェネレーションを代表する作家の一人。代表作は「裸のランチ」、「内なるネコ」など。

――粋な作家がお好きなんですね。かっこつけるというよりも、いい意味で目線が低いというか。

そうです、そうです。

――言葉として音楽を聴いたときに、日本のアーティストで好きな人は誰ですか?

渚にてとかですかね。ああいう、しょうもない歌詞の感じとか。あと、やっぱり阿久悠。

――なんでもないんだけど、なんかすごいぞ、って感じ。フォークのアーティストだと?

高田渡は高校生くらいのときから好きで。金延幸子さんとか。

渚にて / Premonition
渚にて / Premonition

渚にて : ハレルヤズやイディオット・オクロックなど、ヘヴィなロック・バンドで活動していた柴山伸二が、妻の竹田雅子らと組んだフォーク・バンド。

阿久悠 : 1937~2007。1970年代、自身も出演した伝説のオーディション番組「スター誕生!」で発掘されたアイドルたちの楽曲の作詞を手がける一方、演歌からアニソン・特撮ソングまで数多くの楽曲の作詞を手がけ、一時代を築いた。生涯に提供した作詞曲のシングル総売上枚数は約6831.9万枚という大記録を残している。

高田渡 : 1960年代から2000年代にかけて活躍したフォーク・シンガー。「三億円強奪事件の唄」、「転身」、「しらみの旅」など数多くのアメリカ民謡に詞を乗せた曲を生み出している。

金延幸子 : 1948~。“日本のジョニ・ミッチェル”と呼ばれた女性シンガー・ソングライターの草分け的存在。2年に細野晴臣プロデュースで“はっぴいえんど”がバックを担当したファースト・アルバム『み空』でデビューし、瑞々しい感性に注目が集まったが、発売とほぼ同時にアメリカに移住。『み空』は幻のシンガーが残した唯一のアルバムとして伝説化していたが、90年代初頭、70年代の邦楽再評価を受けて音楽活動を再開。アルバム『sachiko』などの力作を次々と発表した。

――潮田さんはバンドでもソロでも、変な言いかたなんですが… あまりお客さんのほうを見ていない気がするんです。潮田さんのなかで、“誰かに向けて音を鳴らしている”という意識はあるのでしょうか?

そんなことはないですよ(笑)! でもあんまり… ないですね。音楽って空中に向かって放り投げるものだと思うんです。でも、しいて言うなら、自分みたいな奴に向けてやってるかも。

――「自分みたいな奴」というと。

どんな奴だろうな… 色川武大が好きな人じゃないすか(笑)。

――なるほど(笑)。ちなみに、周囲の評価は気にする?

自分のライヴ情報とか探すのにたまにエゴサーチしたりもするんですが、本当に苦痛ですね。ネットで傷つくのなんて、バカみたいじゃないですか。この世でいちばんバカげたことですよ(笑)。ミュージシャンというか、芸術に携わる人間は他人の評価なんて絶対気にしちゃいけないと思います。どんどんつまらなくなっていくと思います。

やりたいことはアナログ・レコード

――話は変わりますが、作品を通じて、タイトルだったり歌詞だったりに“猫”って言葉が頻繁に出てきますよね。ご自身も2匹飼われていて、いまも鼻にひっかき傷があるわけですが(笑)。潮田さんにとって猫とは、どういう存在なんでしょう?

なんだろうな…。… 動物?

――… はい(笑)。

あれじゃないすか、毛並? 毛並がすごいいいなって。あとは、犬って疲れるかなって。

――犬は、かまってかまってって感じですもんね。猫は気まま。

うん。「まあ、お互いマイペースでいこうや」みたいな(笑)。それでも生活はしていけるんです。それって尊いことだと思います。お互い無理しないけどなんだか凄く仲は良い友達っているじゃないですか? そういうことです。

――なるほど。ソロで今後やってみたいことはありますか?

インストだけのアルバムを作ってみたいですね。ほぼギター中心で。

――ジョン・フェイヒー的な。

そうっす。誰も喜ばないと思うんですけど(笑)。

――そんなことないです(笑)。次回作に向けての意識はもう持たれてるんですか?

考えてますね。一年に一枚出すのが目標なんです。… 3年も空いてしまったけど(笑)。

――そんな目標をお持ちだったんですね。すごく、マイペースに活動されているイメージがあったので。

音楽やっている以上は、作品は残しておきたいなと思っています。いつ死ぬかわからないし。

――じゃあ、アナログを作るしかないですね。

いやあ、作りたいっすよね。やりたいことはアナログ・レコードって、大々的に書いておいてください(笑)。

――はい(笑)。なにか、最後にありますか。

『水のない海』は、歩きながら聴くとすごいいい感じです。

――川辺とか歩いて聴いたら絶対良いですね。電車で移り変わる景色を眺めながら聴くのも、すごく良いですよ。

良いですね。そのまま海まで行っちゃえば良いですね。

――じゃあ、海まで行って歩いて聴け、ということで(笑)。ありがとうございました。

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LIVE INFORMATION

2014年2月27日(木)@新宿MARZ
2014年3月19日(水)@神保町 試聴室
2014年3月27日(木)@山形 sakata*hope
2014年3月28日(日)@新潟GOLDENPIGS
2014年3月30日(日)@富山nolla cafe
2014年4月18日(金)@京都SOLE CAFE
2014年4月26日(土)@高崎Guild

PROFILE

潮田雄一

1984年生東京まれ。Vocal/Guitar。 ソロ、ロックバンド「QUATTRO」、サムベケット率いる「Samm Bennett's GHOSTSTEPPERS」などで活動。類い稀なるフィンガー・ピッキングと詩世界、碧く滋味あふれる声/歌、その酔いどれ吟遊詩人ぶりには、誰が言ったか知らないが、平成のスナフキンとの呼び声も高い。バンジョーやマンドリンも駆使し、王舟、Turntable Films、LOW IQ 01のサポート等、ソロ共々盛んな活動を展開している。2014年通算三枚目のソロ作「水のない海」をリリース。

>>official blog

この記事の筆者

[インタヴュー] 潮田雄一

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