2013/05/25 00:00

ザ・ナショナル(The National)が通算6作目のスタジオ・アルバムとなる新作『Trouble Will Find Me』をリリース。ヴォーカルのマット・バーニンガーが、「いまや僕らはリラックスしてる。自分たち自身への期待は別にしてだけど。僕らは自分たちのアイデンティティを証明する必要が亡くなったんだからね」と証言するなど、バンドとしてさらなる高みへと上り詰めた、ザ・ナショナルの新境地を感じとってほしい。


The National / Trouble Will Find Me
【価格】
mp3、wavともに 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円

今作には、スフィアン・スティーヴンス、アーケイド・ファイアのリチャード・パリー、セイント・ヴィンセント、シャロン・ヴァン・エッテン、ダヴマンなどUSインディー界を代表する豪華ゲスト勢も参加している。

活動14年目の集大成となる、充実した仕上がり

前作でのツアーはなんと約22ヶ月にもおよぶ大規模なものであり、彼らは、そのツアーを経て、バンドが本人たちの理想としていたものになれてきたと語っているそうだ。その証拠か、約3年ぶりにリリースされる新作アルバムの曲は、全体を通してなにか落ち着いた印象がある。

もはや現在のUSインディ・シーンを代表するバンドとなった、ザ・ナショナル。2005年にリリースした3rdアルバム『アリゲーター』でのブレイク、そして2007年の4th『ボクサー』で、PitchforkやRolling Stoneなどの英米の有力ロック・メディアから高い評価を受け、その地位を確かなものとした。前作にあたる2010年の5thアルバム『ハイ・ヴァイオレット』も全米チャート第3位、全英チャート第5位を記録するなど高い支持を得ている。そして2013年5月、約3年ぶりに6枚目となるアルバム『トラブル・ウィル・ファインド・サム』をここに発表した。すでにPitchforkなどでは高い評価を得ているのでご存知のリスナーも多いだろう。

The National「Sea Of Love」
The National「Sea Of Love」
The National「Demons」
The National「Demons」

今回のアルバムではエレクトロニックな要素も多く取り入れている。先行で公開された、「Demons」を聴いてみるとそれが顕著に分かる。他の曲においても、これまでとは一味違った印象を与えるものがある。同じく先行で公開された「Sea Of Love」では、彼らの良さでもあるバンド・サウンドを重視した仕上がりになっている。またこちらのMVはユニークな仕上がりになっているのでチェックしておきたい。デビューから今年で14年となる彼らにとって、今作は集大成とも言える充実した仕上がりになっている。彼らがたどり着いた場所を確認してみてはいかがだろうか。(text by 益子直人)

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PROFILE

The National / ザ・ナショナル

1999年ブルックリンにて結成。アーロン・デスナー(G、B)とブライス・デスナー(G)、スコット・デヴェンドーフ(G、B)とブライアン・デヴェンドーフ(Dr)兄弟と、マット・バーニンガー(vo)からなる5人組ロック・バンド。2001年デビュー・アルバム『ザ・ナショナル』を自身が運営するBlasslandからリリース。2003年のセカンド『サッド・ソングス・フォー・ダーティー・ラヴァーズ』を経て、イギリス有力レーベルBeggars Banquetと契約、2005年にリリースしたサード・アルバム『アリゲーター』は、Uncutを筆頭に数々の音楽媒体の年間ベスト・アルバムに選出され、彼らが本格的にブレイクするきっかけとなる。2007年、4thアルバム『ボクサー』を発表すると、PitchforkやRolling Stone等英米の有力メディアから絶賛を持って迎えられる。この作品も数々の年間ベストに選出されると同時に、商業的にも成功しロング・ヒットとなる。2010年、4ADから発表した5thアルバム『ハイ・ヴァイオレット』は全米チャート第3位、全英チャート第5位を記録。2013年、6thアルバム『トラブル・ウィル・ファインド・ミー』をリリースする。いまや現在のUSインディ・シーンの核となるバンドの一組である。

この記事の筆者

[レヴュー] The National

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