2013/04/04 00:00

2013/4/3~4/10の注目2作品をレビュー!!

今週も沢山の新譜が入荷しました! 全部は聴いていられない! そんなあなたのために、このコーナーでは、OTOTOY編集部がオススメする今週の推薦盤を2~3枚ピックアップし、ライターによるレビューと共にご紹介いたします。 音源を試聴しながらレビューを読んで、ゆったりとした時間をお楽しみください。あなたと素敵な音楽の出会いがありますよう。

吉田諒『短編集』


吉田諒 / 短編集
【配信形式】
mp3、wav

【価格】
mp3 単曲 150円 / アルバム 1,300円
wav 単曲 200円 / アルバム 1,800円

生活に疲れて心が消耗しても、音楽を前にすれば一筋の希望を込める。そんなキレイな一瞬を信じてやまない男が描いた十編の『短編集』が生まれた。バンド、ネズミハナビのフロントマンであり、小説家としても活動する吉田諒がソロ名義で出すデビュー・アルバムだ。「ソロ」や「短編集」という言葉から、思わずシンプルなサウンドを想像するかもしれない。それは始まりの轟音のファズ・ギターのリフに見事に掻き消されるだろう。分厚くメロディアスなサウンドはネズミハナビのメンバーと共に作り上げられ、レコーディング&ミックスにサンボマスターやa flood of circleを手がける杉山オサム、マスタリングにゆらゆら帝国やギターウルフを手がける中村宗一郎を迎えた、堂々たるバンド・サウンドとなっている。吉田が実直な声で紡ぐ日常の中の焦燥と情動の物語が内相的なものに収まらず、人の心をかき乱し聴き手の物語として昇華させることができるのも、このサウンドが物語を鮮やかに彩り動き出させるからだろう。ぜひ彼の音楽を前に一筋の希望を込めて耳にしてみてほしい。何かを信じてみる。そんなキレイな感情がきっと沸き起こるはずだ。(text by 梶山春菜子)

環ROY『ラッキー』


環ROY / ラッキー
【配信形式】
mp3、wav

【価格】
mp3 単曲 200円 / アルバム 2,000円
wav 単曲 250円 / アルバム 2,600円

全国各地、屋内 / 外にて精力的なライヴ活動を行い、様々なアーティストと共演を果たす環ROYが、2年ぶり4枚目のアルバム『ラッキー』をリリースした。今作は、リスナーの現在位置を照らし出してくれる。1曲目「ワンダフル」から、不安の中にも希望を感じさせる言葉を、瑞々しいトラックに乗せて紡いでいく。とまどいや閉塞感を感じるが、純粋さも恒間見える。深夜の雨のようなトラックの中にも温かみを感じるものもあり、彼の言葉が沁み渡っていく。フェイドアウトしていくように過ぎていく日常のように、また次の曲が始まる。歌詞に並ぶのは玄関、部屋、風呂や街等、日々誰もが馴染みのあるもの。世間の喧噪に自分が埋もれるような感覚は、頭の片隅からは離れることはない。アルバムのラストを飾る曲「YES」で〈はじめまして、そしてさよなら〉と彼は何度も繰り返す、今日という一日が終わり明日が始まる。いまここ、まさに聴くものの現在位置を再確認させてくれるアルバムである。聴き終わるとそこに居たのは他の誰でもなく僕だった。(text by 杉山雄哉)

この記事の筆者

[レヴュー] Atoms For Peace

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