2013/03/31 00:00

LIVE REPORT geek sleep sheep@渋谷CLUB QUATTRO

3月26日、まだ週も始まったばかりの火曜日の夜に、渋谷CLUB QUATTROには満員の人が詰めかけていた。今日ここで行われるのは、geek sleep sheepのワンマン・ライヴ。この名前にピンとくる人は、まだそう多くはないかも知れない。しかし、メンバーが所属しているバンド名を聞けば、音楽好きならずとも耳にしたことがあるであろう名前が並んでいる。このバンドは、MO'SOME TONEBENDERの百々和宏(Vo、Gt)、凛として時雨の345(Vo、Ba)、L'Arc~en~Cielのyukihiro(Dr)により結成された、3ピース・バンドである。音源のリリースもなく、まだ数える程しかライヴを行っていないため、その全貌は未だ謎に包まれたまま。そんな状況の中、この日のライヴはソールド・アウト。バンドへの注目の高さがうかがえる。客層は女性の姿が目立ち、特にフロアの前方には、会場で売られていたgeek sleep sheepのロゴが入ったTシャツを着ている人が多く見られた。

定刻から10分ほど過ぎた頃、場内が暗転すると、待ちわびた客席から悲鳴のような歓声が上がる。ステージ後方のスクリーンに「Tokyo」「Shibuya」「3.26 Tuesday」などとの文字が次々と浮かび上がる。その文字が「345」に変わると、ひと際大きな歓声が起こり、345が登場する。軽く一礼すると、いつものベースではなく、キーボードを弾き始める。続いて百々が登場し、キーボードの音色に合わせるようにギターを弾く。最後にyukihiroがステージに姿を現し、メンバーが全員そろうと、スクリーンの文字は「geek sleep sheep」へと変わる。yukihiroも他の2人の演奏に加わる。そのまま、セッションを始めるかのようにライヴは始まった。

345がキーボードから手を離し、ベースを抱えると、場内は激しい音の洪水に包まれる。yukihiroのドラムは、L'Arc~en~Cielの時に比べるとシンプルなセットだが、それを感じさせない力強い音が響く。そんな演奏の上に、百々が情緒的な歌を乗せる。彼らが普段やっている音楽とは、一線を画す世界観を描き出す。ライヴが進むにつれて、345がメインでヴォーカルを務める曲も披露される。彼女のヴォーカルも、メロディアスに優しい歌を聴かせるなど、曲により様々な表情を見せた。こちらも、凛として時雨では聴くことの出来なかった一面である。

中盤、百々が「ありがとう」と挨拶し、345がたどたどしくMCをすると、場内に笑みがこぼれる。それを笑顔で見守るyukihiroの姿を見て、百々は客席の声を代弁するかのように「うちのバンドはドラマーの方だけマイクが置いてないんですよ」と、残念そうに話す。geek sleep sheepのライヴで、yukihiroの声が聞ける日は来るのだろうか。また、この日はバンドにとって久しぶりのライヴであると同時に、初のワンマン・ライヴということで、入念にリハーサルを行ってきたとのこと。

続いて披露されたのは、NIRVANAの「Smells like teen spirit」のカバー。ここまで、未発表のオリジナル曲ばかりが演奏されていたこともあり、馴染み深いイントロのギター・リフが聴こえると、場内は拳を上げて応えていた。その後もオリジナル曲の合間に、カバー曲をいくつか演奏した。

ライヴが進むにつれ、披露される曲の音楽性は、どんどん広がりを増す。轟音を響かせるシューゲイザーのような曲もあれば、激しいドラミングが印象的なヘヴィな曲、MO'SOME TONEBENDERでの百々のプレイからは想像出来ないような、キャッチーなギターを聴かせる曲まで、実に様々な曲が演奏された。しかし345のコーラスや歌声のせいか、どの曲も不思議とポップに聴こえた。歌詞も、ポップな言葉やロマンチックなフレーズが多く使われているように思う。中でも「SANPO」のサビで繰り返し歌われた、<猫にゃんにゃんにゃん / 犬わんわんわん>というフレーズが、頭から離れない。百々が「これからもよろしくお願いします。いい曲いっぱい作ります」と話し、最後の曲を演奏すると、ライヴは終了した。

演奏が終わり、鳴り止まないアンコールを遮るかのように、スクリーンに「please listen」も文字が映し出される。そして、ライヴの最後に演奏された曲が場内に流れる。こちらは、この日演奏されたgeek sleep sheepの中でも、ひと際キャッチーなメロディとアレンジが印象的で、345と百々が交互にヴォーカルを聴かせる曲。何より驚いたのは、これは恐らくスタジオ・レコーディングされている音源だということだ。曲が終わると、客席からは大きな拍手が起こった。この曲が近い将来、我々の手元に届けられることを、期待せずにはいられない。この日のライヴで、今後の活動がアナウンスされることはなかったが、すでにアルバム1枚作れるだけのオリジナル曲がストックされていることは、証明されている。geek sleep sheepの今後の活動に、要注目だ。(前田将博)

写真 :
岡田貴之 TAKAYUKI OKADA
石川浩章 HIROAKI ISHIKAWA

「confusion bedroom」
2013年3月26日(火)@渋谷CLUB QUATTRO

<セットリスト>
1. new song
2. イマジネーション
3. ラストシーン
4. new song
5. ジーザス
6. new song
7. Smells like teen spirit (NIRVANA)
8. new song
9. Since Yesterday (Strawberry Switchblade)
10. SANPO
11. GOHAN
12. When You Sleep (My Bloody Valentine)
13. new song
14. new song

PROFILE

geek sleep sheep

kazuhiro momo : vocal, guitar from MO'SOME TONEBENDER
345 : vocal, bass from 凛として時雨
yukihiro : drum from L'Arc~en~Ciel

オフィシャルサイト

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