ジ・ボントゥーズ、GWE & DJ bonstar、gokarts、灰汁など様々なユニットで活躍する奇才bonstarによる、4台のターン・テーブルを駆使した一夜のライヴを、曽我部恵一が記録! 元々、曽我部が個人的に聴くため、自分でマスタリングしてCD-Rにして持っていたという秘蔵音源が解き放たれました。39分20秒のB-BOY交響曲。必聴です。
bonstar / OUTCIDER HIP HOP
【販売価格】
mp3 : 単曲 200円 / アルバム 1,000円
WAV : 単曲 250円 / アルバム 1,250円
【TRACK LIST】
01. alone / 02. ah baby / 03. bonstarのfight the Power(DADDY KANEはだまっちゃない) / 04. 寝ている人 / 05. 夢 祈り
こういう場に立ち会えた時に感じる、音楽に突き動かされる様な感覚
HIP HOPユニット灰汁のメンバーとしての活動を経て、ソロ / gokartsで活躍するターン・テーブリスト、DJ bonstar。昨年7月に、下北沢440にて開催された曽我部恵一主催のイベント「SHIMOKITAZAWA CONCERT 第十九夜」におけるライヴを収めた本作品『OUTCIDER HIP HOP』。もともとは、録音しておいたライヴ音源を、曽我部恵一が個人的に聴く為にマスタリングして持っていたものだったが、我慢できずにリリースすることにしたという一枚。
4台のターン・テーブルと2台のミキサーを駆使して、アブストラクトな音とビートのループが、スクラッチとエフェクトとともにミックスされていく。そこでは、意図的に針飛びさせることで描き出されるループの度に生まれる針飛びの音までもが、音楽の一部になっていく。
どこか曽我部恵一「サマーシンフォニー」を思わせるようなアブストラクト・トラック「alone」から始まり、何度も何度も音を塗り替えがら、心地よく高揚していく「ah baby」、サウダージなラテンJAZZのワン・ループが、気が付けば暴力的なブレイク・ビーツへと変貌する「bonstarのfight the Power(DADDY KANEはだまっちゃいない)」、そして、<あんた、死なないで>というワン・フレーズを徹底的に解体、再構築していく圧倒的なトラック「寝ている人」。現状に対する怒りや悲しみに満ちたエネルギーが充満する楽曲の後で「夢 祈り」という、未来への希望を静かに描き出すトラックで終わる。
多くの言葉を用いるのではなく、次々とミックスされていくビートとサウンド・コラージュによって、人間の感情を揺さぶる様な、強烈な起伏を繰り返しながら、音楽になっていく39分。bonstarのターン・テーブリストとしての技術と創造力の豊かさに圧倒されるこのライヴ・アルバムは、HIP HOPだからこそのエクスペリメンタルな音楽体験だが、ハードコア、ポスト・ロックのようでもある。
この作品を聴いて現れる様々な感情の対象は人それぞれだろうが、ここにパッケージされている生々しい音の連続には、強烈に人の心を揺さぶるエネルギーがある。僕はただ、bonstarのDJをまだ見たことのない自分を恥じながら、去年の夏の下北沢の一夜を羨ましく思いながら、この原稿を書いている。奇跡的に、こういう場に立ち会えた時に感じる、音楽に自らを突き動かされる様な感覚。ありきたりな言葉だが、音楽の力というのは、そういうことだろう。(text by 佐々木健治)
RECOMMEND
曽我部恵一 / Night Concert
下北沢のちいさなライヴ・ハウス「440」にて、2年間毎月行われてきた曽我部恵一主催による「下北沢コンサート」。最終回となった2012年12月20日、この日曽我部は、新旧34曲を三時間半にわたり丁寧に歌いました。昨年の彼の弾き語りライヴのなかでも白眉となったこの夜の録音から10曲を厳選、曽我部自身のシンプルであたたかいマスタリングにより、最高のライヴ盤が誕生しました。
Open Reel Ensemble / Tape To Tape
オープンリール・デッキを用いた脅威のサウンド・アプローチと、精密且つ大胆なステージングで大喝采を浴びたOpen Reel Ensemble。メディア・アートの世界でも新進気鋭のアーティスト集団として注目を集めている彼らの、記念すべき1st EP『Tape To Tape』がOTOTOYでHQD独占先行配信中!
Fragment / Narrow Cosmos 104
あらゆるジャンル、カルチャーを横断するトラック・メイカー・デュオFragmentによるコラボ作も含め通算5作目にして初のインスト作品。7年前にリリースされネット上で高値取引されてたアナログE.P『咲ク、ササクレ。』に収録されていた「Polygonair」が初のCD化。RemixerにはHyperdub(UK)に所属しRadiohead・トムヨークのweeklyチャートに選出、Flying LotusのRemixにも抜擢された“Quarta330”が参加。
PROFILE
bonstar
1994年、3MC+1DJで活動していたジ・ボントゥーズでECD主催『チェックユアマイク』に出場する。その後、GWE & DJ bonstar、灰汁とグループ名を変えていくも地道に活動を続けていく。主な活動は、2004年THE DEAD PAN SPEAKERS主催第1回『マウントシステム』に出場。2005年静岡Boom Boom Bashにて行われたこだま和文氏のライヴにてフロント・アクトを務める。2010年『KAIKOO』にMouse on the keys + α として出演。同じく2010年『contrarede presents WHY? live in Japan 2010』に出演。その後灰汁解散。ソロ活動では、O-East『Z祭』、曽我部恵一主催『SHIMOKITAZAWA CONCERT 第十九夜』に出演、渋谷EARにて毎月第二土曜日にライヴを行っている。同時にHABIT矢野氏とともにgokartsを結成、HIMO主催『KITASHINJUKU HARDCORE』、音楽ライター遠藤妙子主催『Got to get away』に出演するなど、活動を続けている。