2012/12/16 00:00

唯一無二のダンス・ミュージック・バンド、ROVOが、2年ぶり10作目となるオリジナル・アルバムを完成。毎年恒例となった日比谷野音での「ROVOプレゼンツMDTフェスティヴァル」が今年6月に10周年を迎え、更に勢いを増している彼らのグルーヴは留まることを知らない。結成以来の絶頂期を迎えたROVOが放つ、時代を生き抜くための音をお聴きください。

ROVOの2年ぶり10作目となるオリジナル・アルバム

ROVO / PHASE
【価格】
MP3 : 1,800円(まとめ購入のみ)

1. BATIS / 2. COMPASS / 3. D.D.E. / 4. MIR / 5. REZO

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PHOENIX RISING

V.A.

¥ 1,222

RAVO

ROVO

¥ 1,885

ROVO流ダンス・ミュージック定義の改革

"なにか宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう"――その一言から結成された、勝井祐二・山本精一を中心としたインストゥルメンタル・バンドROVO。強靭なダブル・ドラミングに壮大なエレクトリック・ヴァイオリンを重ね、今一番宇宙に近い音楽を奏で続けている。昨年はイギリスのテクノ・バンド、SYSTEM7とのコラボ・ライヴを成功させ、今年2012年は毎年恒例となっているイベント「Man Drive Trance Festival(通称MDTフェス)」が10周年を迎えた。そんな節目である本年、ROVOが10枚目のニュー・アルバムをリリースした。その名も『PHASE』。"段階"という意味をもつこのアルバム名は、今までの彼らからさらに一歩先へと跳躍したアルバムである。

1曲1曲の性格やメリハリの違いも勿論だが、彼らの変化は終盤を飾る2曲「MIR」、「REZO」に顕著に表れている。平穏という意味が込められた「MIR」は、ミドル・テンポな1曲だ。特に過激な盛り上がりを見せることはなく、ワウを効かせてしっとりとしたファンクが続く。控えめなヴァイオリン・ソロに、中盤ではアコースティックな側面も匂わせる。ラストを飾る「REZO」は20分の大作。同じくBPMは控えめに、水の中へ深く潜っていく時のような程よい水圧感を感じさせながら、じわじわと反復を繰り返す。ポワポワとしたミニマルなシンセ・サウンドは、水中の空気のように丸みを帯びて水面に駆け上がっていく姿を想像させる。ドラム・ベースが本格的に入ってくるラスト7分の力強く、儚い展開も魅力的だ。

ROVOの音楽というのは、音ひとつひとつの筋に魂が通っていて、曲が終盤に行くにつれて、やがて1つに収束するというストーリー性を持っている。原点回帰でありながらROVO史上最も開かれたメロディー・センスを発揮していた前作『RAVO』は、太い幹から様々な展開をいくつか枝分かれさせやがて収束していく、大木のような大きい安心感を持ったアルバムであった。それに比べ今作は、今まで以上に音の筋が細分化され、その先には巨大な心臓が波打っているような強大なパワーを感じさせる。デジタルとアナログを極限まですり合わせた結果生み出された人間臭さが、"踊りたい"という感覚の中枢を直接刺激する作品である。

"宇宙"を合い言葉として、派手に、壮大に情熱を振りまいてきたROVOが、今ここにROVO流ダンス・ミュージック定義の改革を宣言した。この先には、何が待っているのか? 予測不可能な展開に、これからのライヴ・パフォーマンスが待ち遠しくなること間違いなしだ。(text by 梶原綾乃)

LIVE SCHEDULE

ROVO NEW YEAR LIVE "CONDOR 2013"
2012年1月15日(火)@代官山UNIT

2012年2月15日(金)@横浜THUMBS UP

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PROFILE

ROVO

「何か宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう」と、勝井祐二と山本精一を中心に'96年結成。 バンド・サウンドによるダンス・ミュージック・シーンの先駆者として、シーンを牽引してきた。 驚異のツイン・ドラムから叩き出される強靱なグルーヴを核に、6人の鬼神が創り出す音宇宙。 音と光、時間と空間が一体となった異次元時空のなか、どこまでも昇りつめていく非日常LIVEは、ROVOでしか体験できない。“フジロック・フェスティヴァル”、“ライジングサン・ロックフェスティヴァル”、“メタモルフォーゼ”、“朝霧JAM”、“アラバキ・ロックフェスティバル”など、大型フェス / 野外パーティーにヘッドライナーとして連続出演。 2011年は、世界中のダンス・ミュージック・シーンで活躍し続けるイギリスのテクノ・ユニット「SYSTEM7」とのコラボレーション・プロジェクトを始動し、京都と東京での合体LIVEを大成功させた。 毎年恒例となったROVO主催の日比谷野音「MDTフェスティヴァル」は、2012年で10回目の開催を迎える。 国内外で幅広い音楽ファンから絶大な信頼と熱狂的な人気を集める、唯一無二のダンス・ミュージック・バンド。

ROVO official HP

この記事の筆者

[レヴュー] ROVO

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