2012/06/08 00:00

結成5年の集大成。最高傑作3rdアルバム堂々完成!

壊れかけのテープレコーダーズ / ハレルヤ
【Track List】
01. 街の灯 / 02. 迷路 / 03. ニセモノの銀河 / 04. エレベーター、ひらかない / 05. 曇りの裂け目 / 06. 人さらい / 07. 天気の話 / 08. 見たことないうた、聞いたことないそら

all songs written by komori
all songs arranged by 壊れかけのテープレコーダーズ
recorded、mixied、masterd、and photo by 近藤 祥昭(at GOK SOUND,2012, from March to April)
designed by 嶋田真由美(TRASH-UP!!)

「違和感」は「インパクト」になりえる

「きゃりーぱみゅぱみゅ」のファンではないが、ファンでなくとも、「きゃりーぱみゅぱみゅ、ってちゃんと発音できないよね」という話は何回も耳にしたことがあるし、自分でも言ったことがある。「きゃりーぱみゅぱみゅ」という名前(改めて文字にすると、字面の面でも強烈である)はあまりにも言いにくい。そして言いにくいからこそ、耳に残ってしまうのだろう。普段なら流行っているアイドルの名前なんてすぐに忘れてしまうような自分が、ふと気づいたら「きゃりーぱみゅぱみゅ」という名前で検索をかけていて驚いた記憶がある。

何が言いたいかというと、「違和感」は「インパクト」になりえるということだ。壊れかけのテープレコーダーズのボーカル&ギターであるコモリキヨタカの歌には、音の流れにひっかかるような、「違和感」がある。リバーブとトレモロがかかったディストーション・ギターと、ギター・フレーズの隙間を埋めるようなベースが印象的なサウンドは、ゆらゆら帝国を始めとしたサイケデリック・ロックの影響を強く受けていることがうかがえる。音が少なくなる場面がほとんどない、空間を覆いつくすような音像だ。

だがコモリの発する歌は、そういった、ある種支配的な演奏に寄り添い、一体となってしまうことに抗っている。普通、リバーブがかったサウンドを指向するバンドにあっては、ボーカルもぼやかされ、抑揚のない場合が多い。だが、彼はひとつひとつの音節をぼやかすことなく、はっきりとした発音で歌う。それは、演劇の途中に挿入される俳優の歌に近い。発声法が演劇の方法と似ているのではないだろうか。先ほど、「違和感」は「インパクト」になりえると書いたが、「インパクト」は言い換えれば「存在感」という言葉に置き換えることもできる。彼の歌は、演奏に対する異物としてあるが故に、まさに舞台の上に立つ俳優のような「存在感」を放っているとも言えるだろう。(text by 上野山純平)

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LIVE INFORMATION

『ハレルヤ』リリース・ツアー
2012年6月12日(火)@新宿 Motion
2012年6月16日(土)@大阪 梅田 HARD RAIN
2012年6月17日(日)@京都 三条 VOX HALL
2012年6月23日(土)@東高円寺 U.F.O CLUB
2012年7月5日(木)@横浜 CLUB LIZARD
2012年7月6日(金)@仙台 MACANA
2012年7月8日(日)@水戸 Club SONIC

『同じ空の下、謳う、ハレルヤ』<大阪編>
2012年7月16日(月・祝)@大阪 塚本エレバティ
Act : 壊れかけのテープレコーダーズ(東京) / 太平洋不知火楽団(東京) / TACOBONDS(東京) / and Young…(大阪) / ゆーきゃん(京都)

『摩天楼の下、叫べ、ハレルヤ』<東京編>
2012年7月23日(月)@新宿 LOFT
Act : 壊れかけのテープレコーダーズ / ズボンズ / +1 more special guest!!!(6/15告知解禁) / (OA)ハグレヤギ

PROFILE

壊れかけのテープレコーダーズ
2007年結成。結成当初より都内を中心に激しいライヴ活動を展開、サイケな轟音とオルガンによるドリーミィなポップさ、男女ツイン・ボーカルの織り成すハーモニーが奇跡的に合ったサウンドが評判を呼ぶ。2009年2月1stアルバム『聴こえる』が全国発売され、同年7月のFUJI ROCK FESTIVAL「ROOKIE A GO-GO」に出演する。2010年3月、イベント「TOKYO NEW WAVE 2010」に参加、同名のオムニバス・アルバム(ビクター)に収録。同年12月、録音からマスタリングまで中村宗一郎(ピースミュージック)に託した2ndアルバム『箱舟』を発表。
2011年5月、初のワンマン・ライヴを三軒茶屋HEAVEN'S DOORで行い、それから選曲したライヴ・アルバム『HALF-BROKEN ANNIVERSARY』を自主発売(CDR)、ディスクユニオン・チャートに約2ヶ月に渡りチャート・インするなどロング・セラーとなる。この2年は札幌から福岡まで年間100本近くのライヴを行うなど当代屈指のライヴ・バンドとしても定評がある。2012月2月には、新宿歌舞伎町グランドキャバレー跡地にて行われたフェスティバル「みんなの戦艦2012」に出演(企画にも参加)、成功を収めた。継続的に開催している自主企画イベントでは、THEラブ人間、撃鉄、オワリカラ、住所不定無職、Paradise、CAUCUS、よしむらひらく、ヤーチャイカなど同年代のバンドから、割礼、燻裕理、灰野敬二、蝉といった、ベテランとも競演を果たし、世代を越えた人気を得ている。

壊れかけのテープレコーダーズ official HP

この記事の筆者

[レヴュー] 壊れかけのテープレコーダーズ

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