2008/08/06 00:00

京都でしか生まれなかった、圧巻の歌詞世界!!!

古都、京都。

この街は、ある種のあこがれと哀愁を想起させる街だ。鴨川の美しい景色、町中に点在する神社、それを繋ぐ路面電車などが、土地の歴史、学生時代の甘酸っぱい思い、盆地特有のうだるような暑さまでも思い出させてくれる。

そんな街で、酒蔵を改造したライブ・ハウスで活発に活動しているバンドがいる。結成して6年目になるロボピッチャーだ。京大の西部講堂で行われるボロフェスタを主催、京都のカルチャー・フリーペーパー「SCRAP」を発行するなど、ライブ活動以外でも京都の地場と深くつながっている。その音楽は、作詞、作曲を担当しているの思いを描いたまっすぐな歌詞と、ボ・ガンボスソウル・フラワー・ユニオン、はたまたニュー・エスト・モデル等も想起させる関西特有の雑多なアレンジが魅力で、今や京都を代表するロック・バンドとなっている。

彼らの、約2年ぶりの音源が、配信限定で発表された。「ロマンチック探偵」と「パンダーマン」だ。「ロマンチック探偵」は、軽快なシャッフルビートにのって、ひたすらにロマンチックな探偵の事を語る(笑)。反して、「パンダーマン」は、4つ打ちのビートを使い、ボコーダー等を駆使しながら、ロボピッチャー流のドラマチックなポップソングを聴かせる。

圧巻は、やはり、歌詞。あからさまに若年層に向けて歌うわけでもなく、ただ愛を語るわけでもない。経験を積んだ人間らしく、同世代にも、次にその世代を担う若者達をも捕える文学性に富んだ文章は、ただ読むだけでも面白い。そこには、彼らの世代が持つ悩みや喜びがリアルに盛り込まれ、不思議と京都の風景を思い出し、にやけてしまうのだ。

その歌詞をポスト・カードにしてライブ会場限定で配り、配信→ライブ会場という導線を作る事にも成功しているというのだから、彼ら自身が言葉を大切にし、さらにその価値をも理解している事が伺える。

京都と言う土壌が生み出したロボピッチャーは、既に、3枚のミニアルバムと1枚のフルアルバムをリリースしているが、配信という新たなアウトプットを手に入れた。それによって、さらに自由に、アイデアにぶっ飛んだ活動をしてくれるだろう。そして、その音楽を聴いた我々リスナーは、またもや京都にあこがれと哀愁を持つのだろう。そんな連鎖反応のまま、ロボピッチャーがもっともっと世界に広まってほしいと願うのだ。(text JJ)

SuiseiNoboAz(スイセイノボアズ)

東京都新宿区高田馬場発トリオバンド。2007年11月活動開始。以来,都内を中心に様々なイベントに出演。春には二度の関西ツアーを成功させる。現在までに二枚の自主制作音源をリリースし、その凶暴なグルーヴ感と相反するような歌世界で話題になる。

8月中旬、本サイトにてSuiseiNoboAz特集有り。10/18には新宿motionにてマヒルノ、FarFranceを交えた若手3バンドによるスリーマンイベントを予定している。

ずいぶん昔からある感じのいい喫茶店とか、こぎれいなハンチング帽をかぶった寂しい瞳の男とか、カビと誇りの匂いとか、ビールと色あせた壁のポスターとか、謎めいた台詞ばかりの短編小説とか、ミニスカートがとても似合う何かを失った女の子とか、春が来た瞬間の空気とか、誰もいない駅のホームとか、ちかちかと明滅する蛍光灯とか、めくられるのを忘れられたカレンダーとか、子供部屋で抱える孤独とか、初めて自分にぴったりのジャケットを見つけたときの気持ちとか、薄暗いバーの照明が揺れている感じとかを、暴力的なリアリズムで音に刻み込んだらロボピッチャーになると思う。 結成6年。 凄みを増した圧倒的な現実感。現実から踏み出してどこまでも夢幻に浸っていられる立体感。そして、ぎりぎりの生命に纏わる叫びがPOPカルチャーのど真ん中で起こっているという現代的な奇跡。 ロボピッチャーがない世界より、ある世界のほうがきっと面白い。

LIVE

2008/9/25(木)@京都CLUB METRO
2008/9/27(土)@東京青山 月見ル君想フ「復活!ロボピッチャーの東京コントロール」

Borofesta 2008 → ロボピッチャーが主催バンドとして参加する音楽フェス。

2008年10月11日(土)から13(月/祝)
@京都 CLUB METRO/鴨川(METROから徒歩1分)
第一部 14:00-21:00 第二部 22:00-sunrise
2008年10月6日(月)から10日(金)
@京都 Live house nano
all days 18:00-

act
ロボピッチャー / 曽我部恵一 / PARA / ウリチパン郡 /FLUID / DJ HANDSOMEBOY TECHINIQUE/Limited Express(has gone?) /deathsentence panda(from USA)/DJ タカラダミチノブ / 新世界ゴールデンファイナンス/I am robot and proud(from USA)/ DJ 田中亮太 / group_inou / kirihito / オシリペンペンズ/DJ 真保タイディスコ/SUIKA / 嘘つきバービー/スーパーノア/ HALFBY / シゼンカイノオキテ / /DJやけのはら/DE DE MOUSE / 環ROY/younGSounds /サカモト教授/おとぎ話 / nhhmbase / /ゆーきゃん with 坂本健太郎/dOPPO / and more...

MySpace → 所謂ロボピッチャーのMY SPACE。アルバムの曲聴けます。

SCRAP → 2004年7月に創刊されたが編集長を務めるフリ-ペーパー。京都を中心にで3万部配布中。京都の音楽シーンを紹介するために創刊したが、最近じゃ面白企画マガジンになっている。

ブログ「加藤隆生の日記」 → 2001年6月からが書いているblog。最近更新率が下がったが、書き始めたのは以上に早い。もう8年目。

Marble.co → SCRAPのデザイン担当、ロボピッチャーのCDジャケット制作など、にとってはなくてはならないデザイン事務所。デザイナーさんたちとは飲み友達。は週に二回事務所に遊びに行くという。

伊藤忠之オフィシャルウェブサイト → の個人サイトです。ロボピッチャー以外にやっているいろんな活動に関する情報がここで見れるはず。お仕事ください。blogやポッドキャスティングもあり。

KCB OFFICIAL WEB SITE → ベースの有田さとこが参加しているドラムレスのフォークバンド。97年の結成。京都と東京を中心に、恐ろしいくらいマイペースな活動をつづけています。「ライブの半分はMC」との噂あり。

BOSCO Music Web Site → ドラム森崇の経営する、録音スタジオ。ロボピッチャーのアルバムもほとんどこのスタジオでレコーディングしている。郊外リゾート型のプロジェクトスタジオ。

Ignition Label Web Site → ドラム森崇が参加するレーベル。エンジニアワークはもちろん、アレンジや制作なども行っている。

2002年の1月に結成。京大の西部講堂で行われるBorofestaや大阪城野外音楽堂で行われるSAL CULTUREを主催。 ワーナーインディーズネットワークより「消えた3ページ」、ファーストエイドネットワークより「透明ランナー」「まぼろしコントロール」の3枚のミニアルバムを発売。2006年9月に待望の1stフルアルバム「アリバイと40人の盗賊」を発表。又、ボーカル・ギターのは、京都のカルチャー・フリーペーパーSCRAPを発行。さらには、エフエム京都でラジオ番組「SCRAP RADIO」を持ち、ミニコンピレーションCD「これがほんとのアニソンじゃい!!」や脱出ゲーム、宝探しゲーム等のバラエティに飛んだ企画を発案&監修し人気を博している。

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[連載] SuiseiNoboAz, ロボピッチャー

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