額田王が詠んだ万葉集所収の歌の中に出て来る文字列「豊旗雲」(帯状絹雲)を背に,オパネマの息子は真夏のような寒さの中,常に既に虫の息となっていました。とはいえ,夜になって月が姿を現すと同時に,その太い月からの贈与によって,幸いにもオパネマの息子は虫の息を脱しました。そのとき,街中では既に五月雨のリズムに乗って,金木犀の香りが漂う中,盆踊りが踊られていたそうです。五月雨のリズムで盆踊りを踊ることはできるかもしれません。オパネマの息子が盆踊りに加わったかどうかは,詳らかではありませんが,いずれにしてもその盆踊りの最中に演奏されることを想定して制作された楽曲群です。