Nice Nice
その繰り出されるサウンドは驚くほどに緻密ながらも、アーティな雰囲気や知性を感じさせるインテリジェンスな音というよりも、もっとストレートに体に訴えかける、いわば肉体的サウンド。人間の根源的な快楽への欲求を全面に押し出すように、自由にシンプルに本能の赴くまま築き上げられていく世界観は頭で理解しようとしても到底理解不可能、体全体で感じるしかない。恐ろしいほどにサイケデリックなエレクトロニック・サウンドと否応なしに耳に残る中毒性の高いメロディ、まるでクラウト・ロックかのごとくミニマルに重ね上げられていく中毒性の高い反復ビート、シューゲイザー・バンドを彷彿とさせるかき鳴らすノイズ・ギター、パワフルに打ち込まれていくタイトなドラム、時折覗かせるマス・ロック的手法、そして圧倒的にダイナミックな展開。それらの要素を抜群のバランス感覚と独自の解釈で丸ごと飲み込んで、無邪気に吐き出したかのような音の洪水は不穏ながらも快感さえ覚えてしまう。バトルス、ライトニング・ボルト、ブラック・ダイスから、アニマル・コレクティヴ、ギャング・ギャング・ダンス、ノー・エイジ、ファック・ボタンズまで。比較されるアーティストは数多くいるが、決してそれらの模倣ではなく、唯一無二のサウンドとしてアプト・プットするセンスは群を抜いていて、もはや脱帽する他無い。
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インタヴュー
Warp Records 期待の新人 Nice Nice『Extra Wow』インタビュー text by 水嶋美和
デビュー・アルバムにして名盤! と言っても、過言では無いだろう。人工的なエレクトロの音と肉体的なドラムのリズムが両方極まった状態で、譲歩せず、交わりもせず、一触即発の距離を保ちながら絶妙なバランスで共存している。なぜこれほどまでのバンドが今まで表に出てこな…