約8ヶ月ぶりのリリースとなる本作は、数奇な運命をたどってYuuuuuuが歌うことになった楽曲だ。バリアフリーなアイドルプロジェクト「アイドルインクルージョン」が「アートツリーやまがた」にPV作品「カレシがほしい」を出展したことが縁で、山形県寒河江市の「ギャラリー&カフェあるあーる」との間に交流が始まった。さくらんぼのまちとして知られる寒河江のさくらんぼ畑を見わたす場所にあるこのカフェとの交流を記念して、何かつくれないかと生まれたのが「さくらんぼの実がなったら」ではじまる歌詞だ。ラップ・インクルージョンの門脇篤が曲をつけ、トラックもできあがったものの、少し影のあるこの曲はアイドルインクルージョンのメンバーには自分たち向きではないと不評。石巻日日こどもラッパーズの「本当の車」でコーラスを担当したHARUKAが歌うことになったものの、キーが高いと一部歌えない箇所が出てしまった。そこでたまたまいあわせたYuuuuuuにコーラスのサポートをたのんだところ、「もう二度と歌わない」と言っていたにもかかわらず、後輩のたのみなら仕方がないと引き受け、結局全曲レコーディングしてしまったのが本作である。女子高生Yuuuuuuが歌い、ラップインクルージョンが地の歌詞とは全く違うベクトルで解釈しなおしたラップを入れたことで、もともとは「言えなかった思い」をテーマにしたロマンティックなラブソングとして書かれた歌が、思いもよらぬ深みと広がりをもった地平を獲得した作品に仕上がっている。