Momentaryは新世代のジャズ・ミュージシャンたちの動きとシンクロしながら、自身の可能性を「作・編曲」に求めた意欲作である。ソリストのアドリブ・スタイルの変遷を、作・編曲、特に編曲という作業は正当に評価されることの少なくその他扱いされることが多かったジャンルだった。「ジャズの本質」をプレイヤーの即興能力に置くならば、あらかじめ演奏することを決めておく「アレンジ」というものの価値は切り下げられざるを得ず、モダン・ジャズの大隆盛時代だった50年代後半から60年代後半にかけて、ジャズは他のポピュラー・ミュージックと差異を強調するために、スコアにまったくたよらない表現の拡張を推し進めることに熱中した。その時代にあって、それははっきりとした価値であった。反面なんの楽譜も使わない演奏という選択も、それ自体でひとつのアレンジである。